39、復活、再会、そして別れ
39、復活、再会、そして別れ
「ふぅ!
ニールさん!こっちの商品並べ終わったよ!」
「ありがとう、サーヤ!
じゃぁ、ローエさん達の所にお昼を運んでくれるかな?
ほっとくと昼も食べずに作業するから、あの人達w」
ローエさん達が、ドムさん(ライリーちゃん)の鍛冶屋を建設し始めたのは、パパ達がダンジョンに入った昨日からなんだけど、昨日夕食の時間に戻ってこないんで、ジョージ君と見に行ったら、もう暗くなってるのに、まぁだ作業してたんだよぉ〜
全く、夢中になるのも大概にしてほしいよね
なので、ニールさんが、気を利かせて、お弁当の配達をして欲しいって頼まれちゃった
「ジョージ君と行って来てもいい?」
「あぁ、頼むよ!
ジョージ、お願いするよ!」
"へい"って、返事が独特のジョージ君
台所にローエさん達のお弁当をもらいに行くと
「あら、お使いしてくれるんですか?
なら、ちょっと待ってください
お二人のお弁当も作りますね」
働き者のノラさんが、アタシ達の分のお弁当まで作ってくれる事になっちゃったw
でも、忙しそうだし、手伝っちゃおう!
「やったぁ!
じゃぁ、自分で入れるから、どれを入れていいか教えてぇ」
「そぉ?なら、そこから好きなのを選んでいいですよ」
やったぁ!
パパがノラさんに教えた、唐揚げを多めに入れちゃおw
ジョージ君は、男の子だから、お肉多めで・・・っと
「よし!完璧!
コレ、ローエさん達の分だよね?
じゃぁ、行ってくるね」
「はい、お願いします
お気をつけて!」
最初は、おしゃべりしながら歩いてたんだけど・・・
「うぅ、お弁当入れてた時の匂いがいい匂いだったから、お腹すいちゃったよ
ジョージ君、急ご!」
「あぁ、わがった」
荷物のほとんどを持ってくれてるジョージ君が、少し歩く速度を上げた
負けじとアタシも速度を上げるw
2人で抜いたり抜かれたりしていたら、ロイエさん達の所に着いた
ホラ、やっぱり、夢中になって作業してるぅ
「ローエさーん、ドムさーん、ライリーちゃぁん
お昼持って来たよぉ!
早く来ないと、アタシとジョージ君で食べちゃうよぉ!」
ちょっと大きめの木材をテーブル代わりにお弁当を並べ、お茶の準備をしながら声を掛けた
「おっおい!
サーヤ待て!
オマエは本当に食いそうだから、ちょっと待ってくれよ、オイ!」
ぐぅ、一体、ドムさんは、アタシの事を何だと思ってるんだろ?
「サーヤちゃんありがとう
今、キリがいいから、すぐ行くよぉ」
ドムさんとライリーちゃんは、返事があったからヨシ!
でも、ローエさんは・・・
「サーヤ嬢、わりぃ!
ここだけ仕上げちまうから、先にやっちゃってていいわ!」
だと思いました!
「はぁい!
じゃぁ、食べちゃおうよ」
ドムさんと、ライリーが、手を拭きながらやって来るのを見ながら、ジョージ君と待つ
ローエさん以外が揃ったところで、席につき
“いただきまぁす”と、みんなで食べ始める
ノラさんは、ホント料理が上手なんだよ!
ドムさんとライリーちゃんのお弁当箱なんて、アタシの5個分くらいあるのに、もう、1/3くらい食べちゃってるしw
「家を建てるのも面白いね
サーヤ達も手伝えばいいのに」
「ええ?
アタシ、あんな丸太とか持てないし!」
ライリーちゃんに誘われたが、3人が、太くて長い丸太を運んでるのを見ているので、どんなに誘われても無理!
「ジョージよ、お前さんは、いいガタイしとるし、仕事熱心だなw
違う仕事がしたかったら、うちに来てもええどw」
「えっあぁ
嬉しいけっど、ニールさんとサーヤの仕事を手伝わねぇといげねぇから・・・
すんません」
ジョージ君が、肉を頬張りながら答えた
「あぁぁあ、いいなぁ
サーヤは、こんないい彼氏がいてぇ!
銀鳩の仲間から、もう巣立つ仲間が出るなんてねぇ」
「ちょっとぉ!
ライリーちゃん!彼氏だなんて!
ジョージ君に失礼だよぉ〜」
銀鳩の仲間ってのは、イリナちゃん、リネンちゃん、ライリーちゃん、ミサちゃんとアタシの5人で、ミランダさんのお店で買った、同じ銀の鳩のペンダントをしている親友仲間の事だよ!
ミサちゃんは、後から入ったんだけど、その時にパパが、これからも友達増えるようにって、ミランダさんに無理言って、多めに譲ってもらってあるから、今後も、銀鳩仲間を増やすのだ!
って言うか、ライリーちゃんは、いきなり何を言い出すんだよぉ!
ジョージ君とは、まだ、何回かしか、一緒にお仕事してないのに!
「おっ俺なんかに、サーヤは、勿体無ぇど!
サーヤは、もっと、偉い家の人と付き合った方が、いいと思う」
ジョージ君・・・
「おい、ジョージよ
サーヤは、アイツの娘みてぇなもんだ
オマエさんが言う玉の輿より、オマエさんのような働きモンが案外似合っとるかもよ」
「ちょっとぉ!ドムさん!
ジョージ君は、これから立派になるんだからねぇ!」
ジョージ君は、仕事熱心で、いつも真面目なんで、絶対これから大活躍するんだからぁ!
「それとなジョージ、人の価値なんてのわ、種族や家柄、ましてや、金や権力じゃぁ決まらねぇんだ
オマエさんだって、立派にクリスんとこで働いてんだ、自分を蔑むんじゃねぞ
そこら辺で、働きもしねぇで、悪さしてる奴らからしたら、偉いもんだ!
なんてなw
おっと、ちょいと長く生きてるお節介なドワーフの独り言だと思ってくれよ!」
ドムさんって、なぁんか、パパみたいな事言うんだよなぁ・・・
あれっ?ジョージ君が、俯いてる
「どっ、ドムさん、じゃぁ・・・
俺、荷物運びだけじゃなく、商人の仕事ば、やってもいいのか・・いいんですか?」
「ったりめぇよ
サーヤを見てみろ、好き勝手しまくってるだろーがw」
えええ?
私、好き勝手してるぅぅ???
でも、ジョージ君のやりたい事が知れて嬉しいかもw
「サーヤ!
俺・・・に、読み書きと計算を教えてくんねえかな?」
「えっ?うん!分かった!
厳しくいくからねぇぇ!」
たはっ、ちょっと先生を気取っちゃった
「それはそうとさぁ
ヒロさん達どうしてるかなぁ?」
「ははは、オジサンは.逃げ回ってるんじゃないかなw
だって、戦いなんてしてこなかったんだから、無理だよぉ」
そうそう、私達の住んでた世界では、モンスターなんて出てこないし、優しいパパの事だから、モンスターが可哀想で戦えないかもね
「そうかのぉ
案外、奇抜な発想で、アニキ達を驚かせてたりしてなw」
「それもあるかもだけど、もしかしたら、リネンやミサちゃんの後ろに隠れてたりしてねw」
おお、ライリーちゃん鋭いなぁw
でもパパは、格好つけるところがあるからなぁ
しかし、パパがダンジョンって・・・、大丈夫なのかなぁ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うぃっくしょん!
うぃぃぃ!」
なっなんだ?寒気がしたぞ!
うわぁ、なんだぁ?
あれ?俺、寝てた?
ん?この柔らかい感触は?
枕か?
ん?何か聞こえるな
「・ろさん!」
「ヒロ!戻ってこい!」
「ダメだよ!起きて!」
あれ?
あっ、そうか、俺、石化してるのか?
そうだ、石化しても、周りの事は感じられるって、モネが言ってたな
ん?でも、柔らかいものとか、触れる感触は感じられるのか?
俺は、自分の顔のしたの枕を触ってみた
あれっ、マジで柔らかいぞ!
いや、まだ、分からない!
もうちょっと・・・ぷにぷに・・・
うん、太もも・・・かな?
あれっ、触れるって事は、俺、動けてる?
「きゃぁっ!
エッチ!」
バッシィーン!
「ぐはっ!」
ヤバい!頭が取れたかも!
いや!今ので、意識がはっきりしたぞ!
俺は、ハッとなって起き上がった!
「あれ?
俺、動けてる?
石になってないの?」
「っかぁ、気絶してたかと思ったら、今度は、リネンにお触りかよ!
スケベもいいとこだな!」
タガートが、呆れたように俺の顔を覗き込んできた
「ほっ目が覚めたのか?
あの粘液を喰らっても石化せんとわな!」
ジムが、こっちに振り向いて驚いていた
「あっ!エレノアは?
エレノアは、大丈夫なのか?」
「ヒロさん、気にするな!
片足だけで済んだよ」
ブレンダが、青ざめた顔で教えてくれた、しかし、少し狼狽したように続ける
「なぁ、ヒロさん、イリナが言うように、ホントに石化は治せるのか?」
俺は、どれくらい気を失っていたのか分からないが、慌てて、四つん這いで、ジムさんが診ているエレノアに近づく
エレノアは、右足が膝までねずみ色に変色していて石化している
熱いのか、痛いのか、顔を歪めている
「多分、大丈夫だと思う・・・
ちょっと待ってくれよ」
俺は、マジックバッグに手を入れる
「ヒロさん、これかな?
さっき、握りしめてたよ」
リネンが、小瓶を手渡してくれた
「おっ、それそれ」
どうやら、俺は、気絶する前にどうにか、超回復薬を取り出せていたんだな
俺は、エレノアに近づき、小瓶を開けて、石化した足にかけて、残りをエレノアに飲ませた
"治ってくれよ"
エレノアの足が、淡く光ったと思ったら、元の綺麗な肌色に戻った
「おいおい
オマエさん、本当に石化を治せるんか?」
「そうよジム!
ヒロは、これで、私も治してくれたのよ!」
ジムは、目を丸くして驚いていたが、石化から復活した張本人のフィスに言われては、納得する他ない
「でも、ヒロさんは、石化しなかったけどね!」
「そうです、どうなる事かと心配したんですよ!」
リネンとミサが、何故か怒りながら(怒った顔も何故か可愛い)詰めて来た
リネンは、さっき、太ももをイジイジしちゃったから、キチンと謝るとして、なんで、ミサまで怒ってるんだ???
「まだ、恩返しも出来てないのに、石化してしまったらと・・・心配したんですからね!」
ぐっ、ミサがおもっきり睨んできた・・・すいません(可愛いです)
「ヒロさん、また、エレノアを助けてくれてありがとな
ホラ、オマエも礼くらい言わないと!」
「ひっ、ヒロさんありがとう
でも、ヒロさんが、石化しなくて、ホント良かったぁ
突き飛ばされた時は、もうダメかと思ったのに・・・
足も治してくれて、ありがとう」
エレノアは、目に涙を浮かべている
「そりゃそうだよな、足が石になっちまったら、生活に困るもんな
良かった良かった」
「ヒロさん、多分、そこじゃなくて、ヒロさんが石化しなくて良かったと思ってるんじゃないかな?」
へ?アイトくん、何言ってるのかな?
まぁ、もし石化しても、超回復薬の小瓶は取り出せていたから、大丈夫でしょ?
俺がキョトンとしていると
「ダメダメ、ヒロは、そう言うところは、鈍感だからダメよアイト!」
「はぁぁぁぁ
オイオイ、ニールへのアドバイスはカッコよかったのになぁ」
フィスとタガートにケチョンケチョンに言われてしまった
『ありがとう・・・ヒロ・・・』
そんな話しをしていると、あの声が、念話が入ってきた
俺は、部屋をぐるりと見ると、石像・・・が、不自然な格好で立っていて、その石像の前で、泣きながら座り込むイリナが目に入ってきた
俺は、ゆっくり立ち上がり、その石像に近付く
足元には、上半身だけの女性、そしてその女性の両脇の下に手を入れて、引っ張ろうとしている・・・エルフの女性か?
それと・・・・バラバラになっている・・・女性か・・・
そのどれもから、石というより、そこに人がいるようなものを感じる
「その突っ立っておるのが、ドノバンじゃ・・・
カミラの旦那のな
それと、多分、前回潜った時のメンバーじゃろう
治せるか?」
「うん、やってみる」
俺は、心配そうに見ているイリナの前で、まず、ドノバンの体に、モネと作った超回復薬を満遍なくかけていく
いつものように淡く白く光ったと思ったら
「うおぉぉぉぉぉ!」
と、獣の咆哮のような声が部屋に響き渡ったと思ったら
「おわっ!」
と、慌てて後ろに尻餅をついて転倒した、さっきまで石像だったドノバン?
「ししょーー!」
イリナが、転倒したドノバンに、ボディースラムのように飛び込んだ
「なっ!
なんだぁ!?
いっイリナか?!
ちょっ、待て!どけどけ!」
ドノバンが、倒れる前にいた場所に慌てて戻る
「あぁ、なんてこった
何がどうなってんだよ・・・」
訳が分からない感じのドノバンの隣に、ゆっくりとジムさんが近づく
「おい、ドノバン、ちょっと座って話そうかのう」
ドノバンが落ち着くのを待って、ドノバンの話しを聞き、そしてジムさんが、これまでの経緯を話した
「そぅかぁ・・・
石にされたのは分かってたんだが、意識だけはあったんだが、もうどうしようもなくて、寝てたよ
バジリスクの下敷きになってたアイツを見るって言うか、確認する事は出来なかったからな、こんな事になってるとは・・・
そうか、下敷きになってた部分は、石化しなかったって事か・・・」
ドノバンが、落胆している時だった
『ヒロ?ドノバンを助けてくれてありがとう
彼には、お礼を言ってくれるかしら・・・
ありがとう、気にしないで!ってね』
「えっ?あなたは・・・」
例の声だ!
しかし、念話をしてきている女性が、分からない俺は、なぜか、エルフと思われる石像に近寄ろうとした
『こっちよ
見ての通り、私は、治せないわ
たぶん、石化のおかげで、意識を保てただけ
最後は、神官の子に、祈ってもらえるかしら
それと、私を引っ張ろうとしている、その子も助けてもらえたらありがたいわ』
「あっあぁ、分かった
それでいいんなら」
まさか、俺に助けを求めてきたのが、上半身しかない女性だったとは・・・
「ドノバンさん、はじめまして、イリナの仲間のヒロです」
俺は、ドノバンに近づき、俺の経緯をゆっくり話した、そして、助けを求めてきた、女性の言葉も伝えた
「そうか、アイツが念話で、助けを呼んでくれてたのか・・・
自分がこんな状態なのに・・・
覚悟は出来てるんだな、なら、そうしてやってくれ
しかし、まずは、助けてくれてありがとう
もう、諦めてたから、びっくりしたよ!
それより、石化を治しちまうなんて、ヒロは凄ぇな!
それと、イリナ達、ジャジャ馬共で、苦労するだろうが、よろしくなw」
ドノバンは、上半身だけの女性に跪き、彼女の肩に手を当て頭を下げた
「守れなくて悪かった
それと、助けを呼んでくれてありがとう」
しんみりとした時間が過ぎていくのかと思われたが、裏の通路を見張っていたタガートの声で打ち破られた
「しんみりしてるところ
すっすまねぇが、ヒロ!
なんか、凄え数の・・・多分リザードマンが近づいて来てるぞ!」
タガートの声に、フィスやブレンダが反応するよりも早く、ドノバンが飛び出していた
「よっしゃぁ!
こっちは、半年も固まってたんだ、憂さ晴らしくらいさせてもらうぜ!
イリナ!ダンジョンでのモンスターの倒し方を教えてやるからついて来い!
おっと、ブレンダ、エレノアありがとな!
ヒロ!もう1人治してもらえるか!」
さっきまで石像だったとは思えない勢いで、裏通路に躍り出るドノバン
「ハイですぅ!」
「オレも手伝うぜ!」
イリナの後を追ってブレンダが走る
俺は、ドノバンに頼まれた、もう1人の石像に超回復薬をかけていく
「ひゃっ!」
と、声をあげて、後ろに尻餅をつく褐色のエルフ
「大丈夫?」
と、手を差し出すフィス
「あぁ、ありがとう」
立ち上がった、褐色のエルフの顔をマジマジ見るフィス
「あなた、南の森の出身かしら?」
フィスが、少し驚きながら尋ねた
「げっ!なっ何で、こんな所に!
まぁ、でも、助けてくれて感謝する
そうだな、アンタらから見たら、南の森だな」
と、言いながら、その女性は、右手を左胸に当て、フィスに頭を下げた
フィスも同じ仕草で軽く会釈した、エルフ界隈の挨拶か何かだろうか?
「はぁ・・・
彼女達はダメそうね
人間とのパーティーでは、いつかは、別れが来るのは分かってたけど、こんな形で別れるのは、ちょっと寂しいわね」
言いながら、バラバラの石像の頭の部分を両手で持って軽く抱きしめた
「ねぇ、ヒロ
アナタはいつも、普通の人の思い付かないような事をするのが好きなんだから
2人も助けられるんじゃない?」
「まぁ、この回復薬がどれくらいの症状まで効くのかは、分からないんだけど、もしかしたら、成功するかもしれないから、やってみようか?」
褐色のエルフは、抱きしめていた女性の目を見つめた
「そうだな、冒険者が何もせずに諦めては、いけないよな
分かった、出来るだけ、元の形に並び替えて、薬をかけてもらってもいいか?」
「勿論!」
俺達は、砕けていた女性をなるべく元の形になるように床に置いた
「ミサ!
この薬を元に戻れって祈りながら足の方から満遍なくかけてくれるかい
俺は、頭の方からかけていくからさ」
と、言いながら、ミサに超回復薬を手渡す
「わっ、分かりました!
では、いきますよ」
俺とミサで、石化して砕けている女性に超回復薬をかけていく
全体にかけ終わった時だった
体全体が、淡く白く光ったと思ったら
「うわぁぁぁ!」
剣闘士姿の女性が、大声と共に起き上がった
「イデデデデデっ!?
あれ?」
剣闘士の女性が、自分の体を点検し始める
「やった!
やったよ!
もう諦めてたのに、まさか、元に戻れたよ!
ヤァリー!儲けたぜ
あんちゃんありがとな
ってぇと、後は・・・」
と、復活したてでも、かなり元気な剣闘士が、最後の1人に四つん這いに近づいて来た
「あぁ、下半身は、石化してなくて、あれか・・・」
ここはダンジョンだ、人間といえども、動かなく無防備であれば、モンスターからしたら、それは単なる"肉"だ
彼女は、意識があったんだから、自分の下半身が、モンスターの餌食になってゆく様子を感じていたんだろうな・・・
「ヒロさんって言ったか?
流石に下半身がなかったら無理?だよな?」
剣闘士の女性が、グローブを外して、石化している神官の女性の頬を触りながら聞いてきた
「もう、ここまできたら、ダメ元でやるっきゃないだろ、なっ、ミサ」
俺は、マジックバックから残りの超回復薬を全部出した
そして、4本のうちの2本をミサに渡そうとした時だった
「姉さん!」
口に手を当て、驚愕の表情で石化している神官の女性を見ている
あれ?ミサって孤児院で育ったんだよな?
今、姉さんって言ってなかった?
「こっ、この人、エリン姉さんだと思う、私が小さい時によく孤児院にきてくれてたの
ヒロさん!お願い助けてあげて!」
ミサに頼まれたんじゃぁ、ちょっと真剣にいかないとな!
「あぁ、やってやろーじゃんか!
こうなりゃ、超回復薬を全部かけちゃおうぜ
ミサは、頭から、俺は、お腹にかけて、下半身の復活をを試してみる!」
「分かった
いきます!」
ミサがゆっくりとした動作で、錫杖を片手で持ち、祈りを捧げながら、超回復薬をエリンの頭からかけていく
俺は、お腹周りにゆっくりと超回復薬を円を描くようにかけていく
「頼む、元に戻ってくれ!」
『ありがとう
でも、勿体ないわ・・・ぐっ』
エリンの念話が、かすかに俺の頭の中に届く
少し、痛がるような声がした
エリンの下腹部が、白く淡く光り始め、何かが生えてくるような感じに思えた
俺は、ならば!と、その白く光ってる部分にさらに超回復薬をゆっくりかけていった
心なしか、何かが生えてきている速度が上がった気がした
しばらくすると、そこには、上半身だけ神官服の女性が横になっていた
「あっ!みっ、見ちゃダメ!」
慌てて、エリンの下腹部に覆い被さるミサ
ごめんなさい、俺は、しっかり見てしまいました
でも、見えなかったフリをして、エリンの足に軽く触れてみた
「おっ!体温を感じる
もしかしたら、上手くいったんじゃないか?」
俺は、エリンの足をサワサワしながら、喜びの声をあげた
「おい!ヒロ!
本当にすけべなんだな」
タガートのちょっと軽蔑するような、また、半笑いの声が俺の耳に届く
「いや、これは、生きてるか、確認しっ」
バッシーン!
「ヒロさん!
私はいいけど、知らない人にそれはないでしょ!」
リネンがマジギレしている
いやいや、リネンも怒ってくれていいのに・・・
じゃないよ!
「いやだからっ!」
「スケベ!」
ドーン
言い訳する俺は、剣闘士と褐色のエルフに吹き飛ばされた
うっすらと目を開けるエリンが、仲間に助け起こされる
ミサが、自分の荷物袋から、替えの上着を出して、エリンの腰に巻く
「おいおい、オマエさん、本当に人間か?
如何わしい魔術師か何かなんじゃねぇか?」
様子を見守っていたジムさんが、呆れたように近づいてきた
確かに、俺は、物凄いことをしてしまったのかもしれない
"石化=死"であった場合、俺は、命の理を破ってしまっているかもしれない・・・
でも、目の前で、困っている人を助けないでいられるか!
ならば、如何わしい魔術師と呼ばれようが関係ない!
俺のセカンドライフなんだ、思ったように、感じたように生きてやるぜ!
「ジムさん!ヒロさんは、ヒロさんですよ!
如何わしくなんかないですよ!」
ミサが、エリンを介抱しながら答えてくれた
「そうだよ!
お節介ないい人だよ!」
ちょっ、リネン?お節介ってw
「ジムさん、ヒロは、見ての通り、通りすがりの単なるスケベだぜ!
なぁ、アイト!」
「そっ、そうだよ!
タガートの言う通り
ヒロさんは、ちょっぴり変わった通りすがりのスケベなヒロさんだよw」
コイツら!俺の素性を知ってるからって、言いたい放題だな
「そうね
私達やドワーフでは分からない、お人好しの鈍感さんかもね」
「ほっ、まぁ、ドムが気に入っとるんじゃ、何をやらかそうが、疑うわけじゃねぇが、目の前で、こうも簡単に石化を薬で治されちゃぁな
まだまだ、俺も知らん事があるもんだなw」
ん?なんか、みんなそんなに俺を変な風には見てないみたいでホッとしたかな?
「そうそう、そんな深く考えちゃぁ、まだまだ、ヒロを理解できねぇよ
なっアイト!」
「そうそう、ヒロさんを知るには、真剣に考えないほうがいいですよ」
タガートとアイト・・・そうやって誤魔化してくれるなんて、お前ら、やっぱり、最高の親友だよ
"だな"とか、"そうよねぇ"とか、笑い合っていたら
「ふぃぃ!
全然、肩慣らしにもならねぇな!」
「ったく!
ドノバンさん1人で片付けちまうから、全然つまんねぇよ!」
部屋の壁の穴から、息も乱れない2人が、愚痴りながら入ってきた
「ししょーずるいですぅ
魔石の回収しかできなかったですぅ」
しばらくして、魔石をたらふく抱えたイリナが入ってきた
「はははっそうだったか?
ヒロ!これじゃ礼にもならねぇかもしれねぇが
その魔石、ぜんぶ貰ってくれ!
って、おい!
全員無事じゃねぇかよ!
一体、何をしたんだ?」
戸惑うドノバンの肩をジムさんが、軽く重く叩く
「アイツは通りすがりのスケベな、お人好しらしいから、見たままを受け入れろ
それと、ヒロ!
ドノバンの魔石は、貰っとけ!
ついでに。このバジリスクの魔石も、貰ってやってくれ
みんな、ええよな?」
ジムさんから出された魔石は、拳2つ分位の超デカいものだ
「えっ?
じゃっ、じゃぁ、鑑定してもらって、みんなで分けよう」
タガートとアイトが、飛び跳ねて喜んでいる
「こっちは、お前らのじゃろ?
落ちておったぞ」
と、ドノバンに魔石を投げる
「おっと、これは、俺は貰えねぇな
アンタらにやるよ」
と、褐色のエルフに渡そうとする
「いや、ダメだ
約束は約束だ、この階層は、ドノバンの為に探索したんだ、なっ」
「そうね、そういう約束よ」
褐色のエルフとエリンに言われ、ドノバンは、しばらく魔石を見つめていた
「分かった!貰っとく
ありがとう」
エリンら3人は、満面の笑みで肩を組んで、お互いの無事と、ドノバンへの約束が果たせた事を喜び合った
「ところで、ヒロよ
オマエさんは、一体どうやって壁の穴から出てきたんだ?」
俺は、ジムさんに問われ、前回、違和感を感じた、階段の部屋の壁の話から始めた
ダンジョンの西側に沿って、1本道の緩やかな坂の通路があったのだ
そして、もしかしたら、昔、この街を度々襲っていたモンスターの襲撃も、この通路を通って出てきたのではないかと結びつけた
「ワシが、ライフィスに来た時には、既にモンスターの襲来はほとんどなくなっておったんじゃ
フィス、お前さんが、いた頃はあったんなら、このバジリスクといい、何か、関係があるんじゃないか?」
「ええ、ダンジョンの中のモンスターは分からないけど、そっちの通路に出てきたモンスターは、私が石化される前には、定期的に街に襲撃あって、よく迎え撃ったのよねぇ」
寿命が長く、過去のライフィスの街を知る2人が言うんなら、俺の推測もあながち外れていないかも知れない
「ちょっといいかな?
俺達が通って来た通路に出てきたモンスターが、この崩れた壁からダンジョンに入れたって事なら、俺達が入ってきた1階の部屋も、こんな感じで、モンスターが入ってきちまうんじゃないか?」
!!!!!?
タガートの言葉に、一瞬周りが凍りつく
「いや、今まで、階段の部屋には、何故だか、モンスターが入って来た事なんて無いけどな・・・」
何年もこのダンジョンを潜る事を生業にしてきたブレンダが言うが・・・
「しかし、長年ここで探索しておるが、それでも分からんかった事が、目の前で起きておるんじゃ
警戒はした方がええじゃろな」
「そうだな、この壁の穴もこのままじゃ、この階層にモンスターが増えまくっちまうよな
ヒロさん、あの時みたく、チョチョイと直せないか?」
ジムさんも、確信が持てずにいる
それに、ブレンダが言うように、この穴は、放っておけない
「チョチョイwってわけじゃ無いけど、直せると思うよ」
俺は、マジックバッグから、前回のダンジョンで手に入れた魔石の瓦礫を取り出し、ちょっと念じながら、壁に出来た穴にくっつけていくと、壁が補修されていく
「すっ、すげぇな!
錬金術師か何かか?」
ドノバン達が驚愕していたが
「まぁ、あれだ、コイツは、特別だ!
夢でも見てると思って受け入れるしかねぇぞ」
ジムさんに言われて、渋々受け入れてくれた
「ドノバンさん、申し訳ねぇが、ヒロの事は、内緒にしてくれねえかな?」
「そうですぅ!秘密ですぅ!」
タガートと何故かイリナが、一言言うと
「あぁ、恩人の秘密って事だな!
見なかったしとくよ、なっ?」
ドノバンに言われ、他の3人も同意してくれた
って言っても、だんだん俺のスキルが広まっていってる気がするw
それと、以外と鉱石の扱いが上手くなってきているのは嬉しいな
「ねぇ、もし地上に戻るなら、壁の向こうの通路で戻った方が、早いんじゃなくて?」
「そうだね、まっすぐ1本道だもんね」
俺は、フィスの提案を受け、アイトがうなずく
この通路の事をジムさん達に説明すると
「マジかよ!
それなら、その通路から戻ろうぜ
早く帰らねえと、カミラにドヤされちまう
そうだ!
ちょっと荷物取ってくるわ!」
ドノバン達が通路に飛び出して行った
「モンスターがいるかもしれねぇから付き合うよ!
来いアラン!
エレノアは、ここでゆっくりしてな」
ブレンダとアランも飛び出して行った
ドッゴォーン!
!?!??!?!
ドノバンとブレンダが出て行ったと思ったら、何やら、デカいものが、地面に崩れる音がした!
一体、ダンジョンの中には、どんなモンスターがいるんだろうか?
いやいや、考えたくもない
俺は、冒険者と言えども、戦いはからっきしだからねw
俺が、壁をチョチョイwと修復していると、既に歩けるようになったエレノアが、手持ちぶたそうに壁の穴の修復をしている俺の所に近寄ってきた
「ヒロさんに、また、助けられちゃった
今度、ちゃんとお礼させてもらうから」
「え?うん!
でも、あの薬を作ったのは、モネって言う、調合師だけどねw」
俺は、壁の修復に集中しながら答えた
少し頬を膨らませるエレノア、どうやら、俺の回答は、エレノアを満足させられなかったようだ
「エレノアさん、もう大丈夫ですか?」
エリンが荷物を取りに行ったので、体が空いたミサが、俺の元へやってきた
ん?エリンは、下半身を隠しながらダンジョンに入ったのか?
ちょっと想像してしまった
「うん、ありがとう
ねぇ、ミサ!
これで、ヒロさんに助けられた回数が、私は2回になったよ」
「っくぅ!
前衛のエレノアさんの方が、怪我をする可能性が高いからズルいですよぉ」
"へへぇん"と、胸を張り、治ったばかりの足を見せびらかすエレノア・・・・
はぁ、一体全体、何の自慢大会をしてるのやら・・・
そうこうしていると、ドノバン達が戻って来た
「うひょぉ!
サイクロプスがいたぜぇ!」
「やっぱドノバンさん凄ぇや!
ジムさん顔負けの1撃だったよ」
こっちは、こっちで腕っぷしの自慢話しだよ!
メンツも揃ったので、人が1人通れる分だけ残しておいた壁の穴に入ろうとすると
「ワシらは、ゆっくりダンジョンで戻るとするわい!
ブレンダ、ええよな?」
「あぁ、スミス達や運送屋を回収しながら戻らねえとな」
って事で、ジムさん達と別れて、俺達はさっき来た通路をドノバン達が増えたメンバーで戻ることになった
通路側から残りの壁を補修し、俺達は、ミサの照らしてくれた通路を歩き始めた
「なぁ、イリナ
俺は半年も石になったままだったってこったよな?」
「そうですぅ!
ホント、心配だったですぅ」
"ワリィワリィ"と、言いながら、イリナの頭をポンポンするドノバン
「多分戻ったら、カミラさんに怒られるね」
「っくぅ!それが1番やだよなぁ
おい、お前ら、ちゃんと説明手伝ってくれよな!」
リネンにいじられて、ドノバンが、弟子達に腰をかがめて手を合わせながらお願いする姿は、ホントに師弟関係か?と疑ってしまう
「ヒロさぁん!
さっきの、デッカい魔石見せてくださいよぉ〜」
「おぅ!そうだそうだ!
俺らは、何もしてねぇから
見るだけでもいいからさ」
"ほらよ"と、俺は、アイトにジムさんから預かった魔石を渡した
「ジムさんは、くれるって言ってたけど、鑑定してもらって、しっかりみんなで分けようと思ってるから、安心してくれよ」
俺が、そう言うと、魔石を見てたタガートとアイトが、"イェイ!"と、ガッツポーズをした
「ミサ?
大きくなったわね」
「でしょぉw
エリン姉さんが孤児院に顔を出さなくなって何年になるかなぁ?
会いたかったんだよ!
エリン姉さんに憧れて冒険者になったのに、全然会えないと思ったら、この村にいて、この半年間は石化されてたなんてね」
ミサは、久々に会ったエリンにべったりくっついて離れない
「ごめんごめん、、みんなでお金貯めて、アグノラの・・・
って、うちのエルフの子ね
そこに遊びに行こうってなったんだけど、この村は、ホッント商人がみんなセコくてね
その日暮らすのも大変になっちゃったの、ごめんね」
「そうだったんだ
じゃぁ、ダンジョンを出たらビックリしちゃうかも
ジムさんとブレンダさんで、頑張って、村を変えちゃったみたいだよ
あっ、ヒロさんも一躍買ったんだよ!凄いでしょ」
ミサは、エリンの腕に絡みつく様に話さない
「あら、随分と、あの人の事を褒めるのね
さては、アレだなぁw」
おでこをピンっと指でつつかれ、ミサが、顔を赤くする
「もぉ!
エリン姉さんのイジワルぅ!」
遠目で見たら、本当の姉妹の様だ
「いやぁ、でも、助かって良かったな、アグノラ!」
「あぁ、エリンもニッキーも助かったのは、奇跡どころの話じゃないだろうな」
ニッキーと呼ばれた剣闘士は、パシパシと体を触りながら
「奇跡には違わないが、どこか、欠けてないか?」
と、言いながら、アグノラの前でクルクル回ってみせている
そんなやりとりを横目で見ていたフィスが、いつのまにかアグノラの側にきて
「ねぇ、ワタシはフィス
まだ、名前を聞いてなかったわね?」
「あぁ、私は、アグノラだ
私も名乗らずに失礼したな
って、フィスって言ったら、アンタ!
ハイエルフの国で、話題の・・」
"それ以上は言わないで!"
言いかけたアグノラの言葉を止める様に、しかし、優雅な静かな声と仕草でフィスは制した
「まぁ、あと2〜300年くらい、帰らなくても、どうって事ないわよ
それと、申し訳ないけど、私に会ったことは、内緒にしてほしいかな」
フィスは、遠い同族のグラノアでさえ、息を呑む様な笑顔でウィンクしながらおどけて見せた
「とんだ、お転婆姫様だな
まぁ、助けられた身だ、内緒にしておくよ」
「しかし、あの、ヒロって言う男は、一体何者なんだ?
普通に考えて、石化は高位の司祭に多額の寄付でしもなけりゃ、治してもらえないと聞いたが、まさか薬で治してしまうなんて・・・」
「私にもわからないわ
だって、私もつい最近、石化から解放してもらったのよ」
フィスが、あっけらかんと答える
「アンタも石化してたのかい?
どんくらいの期間さ?」
「そうねぇ、150年だったかしら」
フィスが、ニッキーに質問されて、 "昨日の睡眠時間"を答えるような感覚で答える
「ええええ!150年んんん?
俺達の半年なんて、可愛いもんだな」
「??ちょうど、ハイエルフの国が騒がしくなったのが、そのくらい前だったな
アンタもついてなかったな」
ニッキーとアグノラを驚かせた
「まぁ、でも、ヒロが、よく分からない変わった人間なのは、保証するわ
変わってるからこそ、私達は助かったのかもね」
「え?
なんか言った?」
なんか、さっきから、フィス達の会話の中で、俺の名前が囁かれていたぞ
「何でもないわよ!
ヒロがスケベだって言ったの!」
ギャハハ
フィスの返しに、タガートとアイトが大笑いする
こんな賑やかに歩いていては、モンスターも近づいてこないのだろう
途中で何度かの食事休憩と、1度の睡眠休憩をとり、1階の階段付近まで戻ってきた時だった
「ねぇ、この先の・・・
これってさぁ
何かが崩れてきて、塞がれたように見えない?」
アイトが、階段の部屋を通り過ぎて、突き当たりの壁だと思ってた場所を手のひらで叩いている
ミサの灯りを壁の近くまで移動してもらうと・・・
確かに他の壁や床、天井は、人工的な作りに対して、突き当たりだけは、壁というより、岩肌になっている
「ホントだ
もしかして、この通路って、本来は、そのまま地上に繋がってたんじゃないかな?
雪崩何かで塞がったのかもね」
「ホントね、確かに違和感があるわ
となると、本来なら、この通路の奥底でモンスターが湧くなり、繁殖なりして、ここを通って、地上に出てたかもしれないって事かしら?
それなら、あの頃のモンスターの来襲も辻褄が合いそうね」
うん、多分いい線いってると思う
その当時を知るフィスが言うのだから、信憑性が高い
「ちょっと待てよ!
俺らが、石化された時は確か・・・
あの部屋の宝箱を開けた時に、凄え音が鳴り響いて
バジリスクの野郎が出てきたんだよな?」
「えっ?あぁ、あれは、失策だった
調べたら、何も仕掛けは無いと思ったんだが、開けたら、急に音が出てしまってな
悪かった」
褐色のグレノアが、渋々顔で謝罪すると、ドノバンは、軽く手で飛んでる虫でも払うような仕草で、気にするなと返した
「となると、その音が合図で、あの通路を駆け上がってくるのかしら?
でも、一体誰が?
あの階層って・・・」
「あぁ、多分、俺達が、初めての到達だと思うけどな」
フィスの考察に、ドノバンが否定をする形になった
「まぁまぁ、ダンジョンの他にモンスターの湧いてくる通路!
対策を打てば、何とかなるんじゃないかな?
街に帰ったら、ギルマスやレイモンドに報告すれば、何とかしてくれるさ」
俺は、難しい事は偉い人達に任せる主義なんで、深く考えない事にした
そして、1階の階段の部屋に入ろうとすると、かなりの人だかりが出来ていた
俺は、壁を修復するために、ドノバンに頼み、人払いをしてもらった
俺のスキル?は、これ以上、人に見せてはいけないような気がする
無事に壁を修復し、俺達はダンジョンを出ることにした
村で、ドノバンと旧知の者は少なく、ドノバン達が生還したことは、それほど話題にはならなかった
一旦、ニールの屋敷に向かい報告をする
そして、まずは、俺達とドノバン達の魔石や素材の買取をニールにお願いすることにした
「ちょっとヒロさん、どうやったら、こんな短期間で、こんなに魔石を集められるんですか?
ドノバンさん達の分も含めると、一気には、ちょっと厳しいですね」
「ならば、ドノバンさん達の分を先に買い取ってよ
俺の方のは、街で見てもらうよ」
ニールが言うには、俺がジムさんから貰った(預かった)魔石は、デカすぎるとの事で、見てもらえなかった
また、通路に落ちていた魔石の量も多すぎて、待ったがかかったw
「でも、ドノバンさん達の分だけでも、うちの金庫が空になりそうですね
では、鑑定しますので、少々お時間をください
それと、みなさん、今夜は、ゆっくりされて行って下さいね
サーヤ!みんなを頼む!」
「はぁい!
あっ、パっ、オジサンお帰り!
怪我とかしてない?」
サーヤが、エプロン姿で現れた
「おっ?何だ、家事手伝いか?」
「うん、お店の方は、片付いたから、ノラさんのお手伝いしてた」
全く、この"神"は、何でも首を突っ込むなw
まっ、周りに迷惑をかけそうになったら、俺が、保護者として対応すればいいか?
「あっ、じゃぁ、私達も荷物を置いたら手伝おうよ」
「うん、分かった!
あっ、イリナは、ドノバンさん達をお願いね」
ミサとリネンが、ノラとサーヤの手伝いに立候補した
「なぁ、一体、この村は、どうなっちまったんだ?
なんか、こう、明るくなってねえか?」
ドノバンは、荷物を下ろしながら、イリナに尋ねる
「あっ、私は、初めて来たから、分からないですぅ
でも、ヒロさん達?が、前に、来た時に、村をガラッと変えちゃったそうですぅ」
イリナは、ここに来る道中にヒロや、タガートから聞いた情報しか知らなかったので、逆に言えば、以前の村の状況を知らない
「なんか、気色悪いなw
(半年前w)ダンジョンに入る前と出た後で、雰囲気が全然違うじゃんか」
「そうね
幾分か、精霊も機嫌が良さそうね」
「仕方ないわよ、半年経ってるんですから」
ニッキーは驚き
褐色のグレノアは感じ取り
エリンは、ある意味受け入れている
ジムやブレンダの行動は、それだけすごい事なのだろう
「もしかして、今日は、ここに泊まれんのか?」
「多分大丈夫だと思うですぅ
もし、部屋が無かったら、師匠は、私とリネンの部屋に泊まるですぅ」
"うわマジかっっ"と、何故か、焦るドノバン
「格闘の練習楽しみですぅ!」
項垂れるドノバンを見て、臨時のパーティーメンバーから、笑みが溢れる
その夜は、ドノバン達の生存祝いも兼ねて、夕食会が開かれた
街の変貌に驚きつつも、まだ、ジムさん達が、ダンジョンから出てこないので、詳しい説明はないが、グレノア達の表情からして、見違えるほど良くなったのだろう
ダンジョン横の通路に関しても、明日、街に戻り、レイモンドとギルマスへの報告は俺が担当する事になった
いつもなら、寝てる時や、日中に鋼材で何かを造形したりしても、さほど疲れないのだが、今日、と言うか、今回は、異常に疲れているように思える
初めてのダンジョン探検しかり、魔鉱石での壁の修復2ヶ所しかり、でも、1番は、普通なら石化するはずの状態なのに、石化しなかった事・・・
今までは、サーヤが怪我や病気のしない身体を与えてくれたから、怪我とかしない事が、当たり前のように思ってしまっていたが
もしかしたら、怪我や病気、異常な状態に対抗する為に、何らかのチカラ、体力なり魔力なりを浪費していて、今回は、それが多過ぎたのかも知れない
俺は、食事がひと段落した時に、お暇して、与えられた部屋で、早いが休む事にした
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日は、朝から、ドノバン達の歓喜の声で起こされた
「ヒロ!起きろ!
俺達は、大金持ちだぜ!
っかぁー!
ニールはいいやつだなぁ!」
いきなり、ノックもせず、タガート以上のノリで入ってきたドノバンに叩き起こされた
「なっなんだよ!
まだ、眠いのに!」
「馬鹿野郎!
魔石やら素材やらをニールが、全部で、金貨80枚(約800万円)で買い取ってくれるってんだよ!
グレノア達も、空いた口が塞がらなくて焦ってるぜ!」
何だよ、俺だってそのくらいの買取価格かと思ってたよ!
こう見えても、商人なんだぜ!
と、思いながらも
「そっそりゃ良かった
カミラさんとサキちゃんにお土産でも買って行った方がいいかもよ」
「おっ!
カミラの機嫌を取るにはいい考えだな!
よし!ちょっくら、村の中見てくるわ」
何だかなぁ、嵐のように出て行ったよ
まぁ、起きちゃったから、身支度でも始めようかな
って、荷物は、マジックバッグだけだけどね
って事で、俺とサーヤ、そしてタガート達は、報告と馬車の返しで、一旦、街に帰る事になった
帰りの馬車には、ニールが買い取った魔石やら素材やらが満載されているので、この人数でもちょっと不安だが、ダイヤもいてくれるだろうから大丈夫だろう
ドムさんとライリーは、鍛冶屋が出来るまでは、ここに残るそうだ
まぁ、あと10日もすれば形になるそうだ
まぁ、ダンジョンに潜ってるジムさんが、出てくるのも待つ感じだな
イリナとリネンは、ドノバンの帰宅に付き合うらしい
どうやら、カミラの雷が落ちるだろうから、それを分散する為に、お小遣いを貰えるとのことで、引き受けたらしい
エリン達は、思わぬ大金が入ってきたので、以前からの念願だった、褐色のグレノアの故郷に3人で遊びに行くらしい
色んなことがあったが、それぞれが晴れやかな顔で、村を後にした
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〜翌日〜
「かっ、帰ったぞぉ!」
ドタバタドタバタ!
「とーたん、おかえりぃ!」
ドノバンの帰宅に喜ぶサキちゃん!
勢いそのまま、ドノバンに抱きつく!
「おお、元気にしてたかぁ・・・
ん?」
その後ろから、真っ黒なオーラを纏った、鬼の形相のカミラが現れる
タッ!と跳んだ!
「いつまで、ほっつきあるってんだ、ゴルァ!」
強烈な右ストレートが、ドノバンの顔面に入る
が、さすがは、ドノバンのけぞる事なく、顔面で受け止めた
が、鼻血がダラー!
「ヨシ!おかえりw」
さっきの鬼の形相とは、全く違う、超笑顔で、ドノバンの首にしがみつくカミラ
「はぁぁ、仲が良いんだか、悪いんだか」
「良かったですぅ」
その様子をリネンとイリナが、呆れながら見ているのだった
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ドノバン達と別れた俺達は、夕方には、ライフィスに着いた
まずは、冒険者ギルドに冒険者の村での出来事の報告をして、隣の買取屋に手に入れた魔石の買取をお願いした
ダンジョンの裏通路で、拾い集めた魔石と、ドノバンからもらった魔石は、合計でちょうど金貨5枚だったので、みんなで1枚ずつ分けた
それとテイラー紹介の護衛(他含む)の依頼は、準備金含めて、1人銀貨50枚だった
「え?オジサン!私、何もしてないから、こんなに貰えないよ!
そうだ、フィスさんにあげたらいいんじゃないの?」
お留守番だったサーヤが、遠慮してきた
そしたら、俺より早くタガートが口を開いた
「サーヤ、俺達は、5人で、テイラー商会の護衛と鍛冶屋建設の手伝いを引き受けたんだ
だから、報酬や、素材の買取は、5人で均等に分ける
これが、チームだぜ!」
「そうだよ
サーヤは、ダンジョンに入ってないからって、気が引けちゃうかも知れないけど、逆に言えば、俺達がダンジョンに遊びに行ってる間のニールの手伝いをサーヤに任せちゃったんだから、みんなで分けるのは当然なんだよ」
アイトに優しく説明されて、サーヤも納得したらしく
「分かった
じゃぁ、今度、このお金で、フィスさんに何かプレゼントする!」
「うん、それがいいよ!
何なら、私も一緒にプレゼントするから」
サーヤの提案に、ミサも乗っかってくれた
銀鳩仲間、中々いいんじゃないか?
「ヒロ、ちょっといいか?」
買取屋のおやっさんに連れられて、ギルマスが眉間に皺を寄せながらやって来た
俺は、何かやらかしたかと思い、少し緊張しながら振り向いた
「この魔石なんだけどな・・・
こりゃ、手がすぎるし、かなり魔力も入ってそうだなぁ
これが、さっき話してたバジリスクのやつか?」
「あっ、うん
みんなで倒したから、買い取ってもらったら、みんなで分けようと思うんだ」
うん、確かに俺も手に取ってみた時に、なんか、すげーパワーを感じたけど、あれがバジリスクの魔力なのかな?
って事は、モンスターは、魔法を扱わなくても、魔石に魔力を貯められるって事か?
いやいや、仕組みがよく分からないなぁ
とか、考えてると
「多分、これ希少価値があると思うから、1度預からせてくれるか?
レイモンドやエイミーに相談してから、金額決めるわ
まっ、悪いようにはしねえから安心しな」
って事で、こりゃ結構な額になるんじゃね?とか、タガート達と顔を見合わせて、笑顔が溢れてしまった
その後は、クリスの所に報告だ
ったんだけど・・・
クリスの店に戻ったら、倉庫がとんでもないことになっていた
家具やら、食器やら、衣装やら荷物だらけだった
「あっお帰りなさいませ!
ヒロさん、見てください
ニールの結婚の段取りは、テイラー商会で、完璧にこなしてますよ!」
と、言った後に俺の耳元で
「私とヒロさんの分も、用意してしまいました」
と、言って、顔を真っ赤にしていた
ん?何で?俺とクリスの分?・・・
はっ!あれ?俺、クリスに告ったりしたっけか?
確かに、クリスは綺麗で、真面目で、ちょっと猪突猛進だけど
いや、待て待て待て、まだだ、まだ、そんな、もうちょい色々こっちの人生を横臥してから、パートナーを決めるんだ
「くっ、クリスは、準備が早いなぁ
多分、まだ、ニールは、デートもしてないと思うよ
それと、クリス・・・俺・・・」
「いいんです!
もう、ニールは、冒険者の村で、テイラー商会の為に、一旗あげてもらうんです!」
えええ?本人の気持ちは?
そして、またもや、俺の耳元で
「それと、私は、ヒロさんから離れないって決めました
やっぱり、助けてもらった、この命は、ヒロさんの為に、捧げていきたいと思ってます」
ぐげぇぇ!俺が、告られた!・・・のか?
なんだなんだぁ
ちょっと急すぎて訳わからねぇ!
ん?なんだ、この、クリスの店で、働くみんなの目線と雰囲気・・・ってか、みんなニヤニヤしてねぇか?
おいおい
「どうなってんだよぉ〜!」
いつも読んでいただきありがとうございます、超七玉です
年末から、バタバタしてまして、執筆活動が全然進まなかったです
なんとか、次のエピソードも導けそうです
よろしくお願いします
ありがとうございました




