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異世界で神(娘)と暮らし始めて嫁探し?  作者: 超七玉
サーヤ冒険者になる、ヒロ能力に目覚める
37/47

37、ダンジョンで人探し

37、ダンジョンで人探し


「ふぅっ、全くあの人は一体いつ帰ってくるんだか・・・」

 と、そろそろ臨月を迎えそうなお腹を優しく撫でながら、村の北側の山を見上げ、小さく呟いた

「おかぁしぁん!ハイっ、つぎぃ!」

 と、小さな手で、洗濯物を母親に渡す娘


「はい、ありがとうねぇ

 サキは良いお姉さんになれるよぉ」

 と、娘の頭を撫でながら、洗濯物をもらい

「ヨイショっ!」と、物干し竿にかける


「おねえたん!おねえたん!サキちゃんは、おねえたん!」


 サキと呼んだ娘から受け取った洗濯物は全部干し終わった


「あんの馬鹿!

 この子の名前は、誰が付けるんだよ、まったく・・・」


 おかぁしゃんと呼ばれた女性は、村の北側の山を見上げて、誰に向けてか分からないが愚痴った




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜約半年前〜


「仲間に入れてくれて助かったよ!」


 背中に大剣を携えた大柄な男が目の前の3人に礼を言う


「いや、俺達も、メンバーが減って困ってたんだ

 一時的な加入でも助かるよ」


 耳の先端が尖っているが、肌がいい感じに日焼けしているようなエルフが答えた


「そうだぜ!

 今回のチャレンジで、何とか手柄を立てたいんでな!」


 拳に金具の付いたグローブをはめながら、動きやすそうな格好の女性が答える


「見ての通り、お転婆な2人がいるので、貴方のような落ち着いた方に一緒に行動してもらえると助かります」


 ちょっと小さな神官帽を被っているが、両拳はテーピング、左手にはハンマーに近いメイスを持った、貴方もお転婆では?と、言いたくなるような女性が丁寧に答える


「多分、ダンジョンでは、アンタらの方が部があるだろうから、アンタらのルールに従う

 ちょっと、入り用なんで、俺も、稼ぎたいんだ

 足を引っ張らなねぇように気をつけるよ!」

「そんな謙遜しなくても大丈夫だよ

 大剣のドノバンっていやぁ、名前くらい聞いてるさ!

 さぁ、気合い入れて行こうぜ!」


 拳のグローブをはめ終わり、手のひらに拳をパンパンしながら剣闘士の女が気合いを入れる


 ドノバンと呼ばれた男は、ちょっと照れながら


「ははは、ダンジョンにはこのダンビラは不向きだから目立つんだろぅ?

 それに、俺は、街での依頼がメインでな、こっちは、たまにしか来ないから、みんな珍しいんだろ?!

 ヨーシ、なにわともあれ、稼ぎに行こうぜ!」


 男1人に女3人と、他所から見たら羨ましいそうなメンバーが、ダンジョンに入っていった



ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「おっ、ドノバン久しいな!

 カミラは元気か?」


 ここは、地下3F、コボルドのようなモンスターを薙ぎ払ったドワーフが、後ろから走ってきたドノバンに話しかける


「ジムさん久しぶり

 もう少ししたら、2人目が産まれるんだよ!

 その為に入り用でさ

 悪いけど、今回は、先に行かせてもらうぜ!」


 ジムと呼ばれた男の隣を走り抜けるドノバン、続くメンバーも、ちゃんとジムに挨拶してから追い抜いていく


「おうおう、稼ぐのはいいが

 そんなメンツで、カミラの悲しむような事はすんじゃねぇぞ!」


 と、笑いながら檄を飛ばす


 ドノバンは、片手を高々と挙げて答えた


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「やっぱり、ドノバンは凄いね

 私ら、まだ、何もしてないんじゃないか?」


 褐色のエルフが、手持ちぶたさに腕組みしながら、ドノバンの戦闘を見ている


「はははっ、まだこの辺は、俺1人で十分だよ!

 レディは、お茶でも飲んでてくれよ!

 っと、俺は、魔石は、1番小さいのでいいからさ、数で勝負してやんぜ!」


 鎧を纏ったスケルトンナイトの攻撃を避けながら、次々と粉砕していくドノバン


「参りましたね!

 これは、ドノバンさんの奥さんが羨ましいですね」


 と、魔石を抜いたモンスターに手を合わせる神官


「イヤイヤ、女と子供には優しくしろって、かみさんがうるさくてな!

 まっ、体力だけは自信があるから、任せてくれ!」


 褒められたと勘違いしたのか、ドノバンの動きが加速するw


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー



「くそっ

 うちらの攻撃が通用しない!」

「私のメイスでも、多少しか・・・」


 アイアンゴーレムに挟み撃ちをくらい、1体はドノバンが、もう一体を女達で対応したが、褐色のエルフのナイフ、剣闘士の打撃が通じない!

 辛うじて神官のメイスが、若干動きを止められる程度だ


 ドギャーン!


 すると、後方から物凄い音がきこえた

 振り向いた時には、アイアンゴーレムを打ち倒したドノバンが、こちらに走り込んで来て跳躍した!


 3人を飛び越え、アイアンゴーレムの顔面から一刀両断してみせた


「スマン、怪我はないか?

 次からは、挟まれねぇように気を付ける」


 女達は唖然とする

 実は、女達は、このダンジョンで稼いで生活しているが、今まで潜った事のある階層など、とっくに通り過ぎている

 ドノバンですら、ここまで潜るのは初めてらしい

 先の階層のストーンゴーレムですら、女性陣では歯が立たなかった

 この階のゴーレムは、外見はストーンゴーレムと同じだが、外皮が若干魔鉱石化している為、硬度が一段高くなっている

 しかし、そんなアイアンゴーレムですら一撃で倒したドノバンを見て、自分達は物凄い剣士とチームを組んでいるのではないかと感じている


「なっなぁ、ドノバン、私らは、アンタを甘く見ていたよ

 本当にこんなに稼がせてくれてありがたいよ」


 剣闘士の女が、グローブを脱いで薬草を塗りながら言う


「そうか?

 そりゃ良かった

 ところで、魔石はどれくらい手に入った?」

「はい、500から600個くらいですかね?

 まぁ、ほとんどドノバン1人でやっつけたんですけど・・・

 大きさも今のゴーレム含めて、申し分がないと思います」


 ドノバンに聞かれ神官の女が応える


「そぉか・・・1人あたり120から150かぁ・・・

 よぉし!アンタらが良ければこの辺で戻ろうか?」


 ドノバンには、まだ余力はあるし、もう少し稼ぎたかったが、他の3人の実力を鑑みてこの辺が潮時かと考えた


 女達は、少し相談して


「正直、これではドノバンの骨折り損じゃないのか?

 アンタが多めに取るならいいが、キッチリ4等分では、アンタに申し訳ないよ」

「せめてもう1階層だけでも潜って、ドノバンの分の取り分を増やさせてくれよ」

「そうです

 入り用なのに私達に合わせていては、思うように稼げないでしょう」


 剣闘士、褐色のエルフ、神官は、それぞれがドノバンの為にもう1階層潜らせてくれと懇願した


「アンタら・・・

 いいのか?

 なら、あと、1階だけ付き合ってくれるかい?」


 ドノバン達は、数体のアイアンゴーレムを倒しながら進み、階段を下り、しっかりと休息を取り、道具も確認して、通路に入っていく


「よし、また、戻ってくるから、荷物はこの部屋に置いて行こう

 無理はせず、危なくなったら引き換えそうぜ」

「分かった!

 判断は、ドノバンに任せる」


 このダンジョンに入った回数が少ないドノバンでも、途中から下りの階段がある部屋の方向は大体分かってきていた

 これまでは、南側に進むようにしていたが、この階層は、下に進むつもりはないので、通路を左(北側)に進む


「じゃぁ、お言葉に甘えて、稼がせてもらうぜ!」


 ドノバンは、後ろから来る3人に、ニヤリと笑いながら、気合を入れた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 暗く長い通路をほぼ灯りを当てにせずに進む俺達は、声も小さくして、緊張の糸を途切らす事なく、ゆっくり進んでいた


 さっき、地下20階層の階段と思われる辺りを通過した


「ねぇ、さっきから、結構魔石が落ちてるんだけどなんだろうね

 あっ、ちゃんと集めてるから、後で山分けでいいよね?」


 アイトが、最後尾で、囁くように教えてくれた

 実は俺も、この通路に入ってから、至る所に魔石を感じていたんだけど、気にしていなかった

 どうやら、モンスターは、死んで、その後に食べられたり、スライムが処理してくれても、魔石だけは残るみたいだ


「やったじゃねぇか!

 これで、入場料は返ってくるなっ!」


 タガートの冗談が、今はありがたい

 みんな、少し気持ちが和んだかもしれない


「ちょっと、一旦、休もう」

「そうね、肩の力を抜きましょ」


 いまだ、通路の奥からは、無数の何かの音の反響音がかすかに聞こえてくる

 なるべく、通路の奥側に灯りを漏らさないようにして、渇いた喉を潤す


「みんな、少しでいいから、腹に入れておこう」


 俺は、マジックバッグから、サンドイッチを取り出して、みんなに配る


「ヒロさん助かるぅ

 緊張しすぎて、お腹減ってたぁ」


 リネンが、肩をすくめながら感謝してくれた


「みなさんチーズも少し食べといてください

 イライラしなくなりますよw」

「じゃぁ、タガートは多めに食べとけよ

 すぐイライラするんだからw」


 "だねぇw""んだとぉ!"


 ミサの気遣いにちょっと俺が乗っかって場を和ませてみた

相槌を打ったアイトと喰ってかかるタガートが軽く揉み合っている


「ふぅ、フィスさんは凄いですぅ

 あんなに暗くても見えるなんて

 よし!今回で、あたしも夜目が効くようになってやるぞぉ!ですぅ」

「クククっ

 イリナは見えなくても感がいいから、見えてるくらいに歩けてるわよ!

 それに、種族の違いを超えるのは大変よぉ〜」


 "がんばるですぅ"と、言うイリナが、ホントに出来てしまう気がするのは、俺だけじゃないと思う


「でも、あんなに魔石が転がってるってさぁ

 ここで、モンスターが存在してて、潰しあったり、寿命だったりで、死んでいってたのかなぁ?」


 タガートにベッドロックを決められているアイトが、魔石の事を思い出して、推測を始めた


「リネンの言うように、ここがモンスターの通り道なのか、ダンジョン以外の生息地域なのかは、分からないが、この通路にモンスターがいる事には変わりないね」

「そうね

 でも、バジリスクが出現するまでは定期的に発生していたモンスターの襲撃が、私が石化した後に減ったらしいけど、それとこの通路が、何かしら関係あるのかも知れないわね」


 フィスが、150年前の事を持ち出して悩み始めた


「その時のモンスター襲撃ってどこから来てたの?」

「詳細は分からないけど、街の監視棟からみて北の方角、そう、こっちの方角から来てたのよねぇ

 だから、もしかしてって思っちゃったわけ」


 あながち外れてないかも・・・


 確か、ダンジョンの中のモンスターも勝手に増えるって言ってたから、ここの通路の奥底で、モンスターがポンポン湧いてるのかも・・・


「まぁ、今回で、全てがハッキリしないにしても、何かしらが判明できればいいし

 目的は、あくまで、声の主の捜索で変更なしって感じだな」

「おっおう!

 その声の主が、ベッピンさんなら、俺が助けてやるぜ!」


 "いいかげんにしろ!"


 俺が目的の再確認をしたら、タガートがチャチャを入れてきたので、みんなで喝を入れる!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「っかぁ!このゴーレムは、オレ達じゃ、キズもつけらんねぇぜ」

「はははっ

 相性じゃ相性!

 ワシにとっちゃ、いい食後の運動なんじゃがなw」


 "ガハハハっ"と笑いながら、すでに7体のアイアンゴーレムを倒したジムは、ハルバートの刃を確認してニコニコしながら進んで行く


「ジムさん!

 多分、そこを左に行けば、もう階段かと・・・」


 アリアの忠告通り左に曲がると部屋の入り口らしきものが、通路の右側に見えてきたが


「おっし!

 もう2体ばっかり、鉄の山を作ってやっか!」


 どりゃっせぇぇぇ!


 ジムが、ハルバードを2回振っただけで、迫ってきたアイアンゴーレムは崩れ去った



「おみゃぁさんたち、何もしとらんから、たいして疲れておらんじゃろ?

 このまま、下に降りるぞ!」


 実際、ジム以外は、この階層で、何一つしていない、そのジムに言われてしまっては、誰も反論出来るわけもなく、地下27階に降りて行った


 降り切るや否や、みんなの顔つきが変わる


「野営の道具が残っておるな

 誰か、ここまで来ておったか?」

「埃の様子から、半年から1年前ってとこでしょうか?」


 アリアの見解を聞き、みんなが顔を見合わせる


「ドノバンさんが、前回ここまで来てたのか?」

「あの人の破壊力ならあり得そうだよ姉貴!」


 ブレンダの疑問にエレノアが答える


「しかし、ここに野営の道具を仕舞わずに挑んでるってこたぁ

 ここに戻るつもりだったっつうこったな・・・」

「となると、ドノバンの旦那は、この階で・・・」


 ジムの推測に、アランが返すと、"バッシーン"と、ブレンダに頭をはたかれた


「滅多な事、言うんじゃねぇ!

 もしかしたら、次の階に行ってるかも知れねぇし、そんでもって、ダンジョンの中で生活してるかも知れねぇだろ!

 なぁ、ジムさん」


 ブレンダのかすかな希望に対してジムは、静かに


「・・・難しいだろうな

 しかし、この階にドノバンの手がかりがあるやも知れん

 すまんがみんな、チャレンジはここまでにして、ちょっくら、ワシに付き合ってくれんか?」


 ジムは、みんなの顔を確認して、ゆっくり問いかけた、誰1人として反対する者は居なかった


「まずは、どっちに向かったかだな

 アラン、それとアリア悪いが、左右に分かれて通路を調べてくれ

 スミス、後方にチャレンジは、ここで終了する事を伝えて、運搬者共は冒険者に守らせて地上に戻らせろ!

 万が一の為に、気の利く奴ら何人か、ここに待機させてくれ!

 しかし、ドノバンさんを探すって事は、誰にも言うなよ!」

「分かりやした

 口の固え奴らを何人か集めときやす」


 ブレンダが指示を出すと、アラン、アリア、スミスがそれぞれ動き出した


 エレノアは、残されている野営道具を調べ始めた


「凄い量の魔石が入ってる

 こりゃ4人でも、相当、遊んで暮らせるよ

 それと、正直これだけの道具を置いていったらさ

 姉貴ごめんね

 他の場所での野営は、難しいかも・・・」


 エレノアは、ブレンダを気遣いながら言ったが、ブレンダは口を真一文字にして残された野営道具を見つめた・・・


 ブレンダにとってドノバンは、街からたまにやって来る程度の先輩冒険者だが、ジムとの繋がりもあり、一緒にダンジョンに入った事もある

 戦い方だって教わった事もある

 奥さんのカミラにも世話になっている

 やんちゃなブレンダにとっては、信頼のおける兄貴的な存在だ


 そんなドノバンが、ダンジョンから帰って来なくなって半年、口には出さないが心配しているのは当たり前だ


 一縷の望みを捨てる事が出来ない


 しばらくして、アランが戻ってきた


「左の突き当たりの壁に、かすかに印がありやしたぜ

 おーい、アリア戻って来ぉい」

「よくやった!

 ってか、デケェ声出してんじゃねぇ!

 ヨシ、ジムさん、左だ!

 左に向かおうぜ!」


 ブレンダの掛け声と共に通路に出たのは良かったが


「お兄ちゃんのバカァ!」


 と、言いながら走ってくるアリア


 すると、ズシン!ズシン!と地響きと共に、天井に頭が届きそうな巨漢が追いかけてきた


「一つ目!

 お前ら下がっておれ」


 ジムさんが、ハルバードを構えて迎え撃つ

 その横をアリアが、"お願いします"と、声を掛け、すり抜けるように通り過ぎて、後衛にまわる


 フンっ と、一瞬巨漢が笑った気がした

 どうやら、自分の膝下くらいまでしかないドワーフを見下しているのだろう


 ノーモーションで、巨漢の右手がジムを襲う!


 ジムの胴体位ある拳をハルバードの柄で受ける


 ギィン! 鉄と鉄がぶつかったような音が、通路に響く


 ジムの両腕の筋肉が軋む!


 ズザザザザァ


 ジムがそのままの姿勢で1m程、横にズラされる


「任せろ!」


 ブレンダが、迷いなく走り出し、跳躍し、通路の左壁を利用してさらに跳躍!

 右肩下がりの巨漢の頭に向かって飛んでいく!


「オリャぁ!」


 シュパパパパ!


 ブレンダの双剣が弧を描きながら襲いかかる


 咄嗟に左手で顔を庇った巨漢だったが、4本中3本の指を地面に落とした


「ちっ!

 動きが速ぇぇな!」

「コイツは、サイクロプス

 巨人族に位置するヤツだ

 図体がデケェだけじゃねぇぞ!

 舐めたら、ひとたまりもねぇからなっ!」


 ジムの言葉に緊張が走る


「すいやせん

 こっちも、出てきちまいやした」


 ジムとブレンダが横目をくれると、アランとアリアが、数体のリザードマンを相手にしている


「ふんっ、今日は、焼きトカゲだなw

 そっちは、2人で少しの間凌いでくれ!

 エレノア!

 左右から行くよ!」

「うん、分かった!」


 指の数を減らされたサイクロプスは、地団駄を踏んで怒っている

 通路にその振動が伝わっていく


「ジムさん!

 美味しいところはくれてやるよ!」


 ブレンダの掛け声と共に、エレノアと交差するかのように通路の壁に向かって走り出し跳躍!

 寸分違わず、同じタイミングで、壁を蹴る

 2人は、2つの矢となりサイクロプスの顔に向かって、両サイドから迫る!


「ぐおおおおおっ!」


 怒ったサイクロプスは、両手で2人を払い除けようとはたこうとした


「今よ!」


 しかし、2人は、最初からサイクロプスの顔など狙っていなかった


 2人は、お互いの足の裏を合わせて、同じタイミングで蹴り出す!

 幾度と姉妹で戦いを切り抜けてきたからこそ出来る技だ


 2人は、襲い来る丸太より太い腕を難なくかわして、サイクロプスを飛び越えて後ろに着地


 何も叩く事の出来なかったサイクロプスは、勢い余って前につんのめりそうになるのを右足を一歩出して踏ん張った


 サイクロプスの後ろに着地した2人は、すぐさまくるっと反転し、サイクロプスの足に向かって跳躍する

 そして、サイクロプスの両膝の裏に斬りかかる


 シュパパパパ!

 ザン!


 膝の筋を切られたサイクロプスは、自身の体重を支えられずに、膝から崩れ落ちる

 慌てて手を着こうとしたが、そこには、虫ケラのように見下した小さな生き物がいる


 ジムは、かち上げるように、ハルバードを振り上げる


「ドリャッセェイ!」


 ジムのハルバードは、サイクロプスの首にクリーンヒット!


 ズッシャァァァン!


 頭を無くしたサイクロプスが、通路にぶっ倒れた

 ジムの背丈くらいある頭が、少し遅れて通路に落ちる


 ブレンダとエレノアは、そのまま、倒れたサイクロプスを踏み越えて、アラン達が相手をしているリザードマンの群れに向かって走り出した


 2人が加勢すると、瞬く間に、リザードマン達は切り刻まれていく


「ジムさん、大丈夫でしたか?」


 アリアが、ジムに駆け寄る


「ふんっ、図体がデカくても、重ねてきた年月じゃぁ、ワシには勝てんさ

 使える素材も無かろう、見張っとるから、魔石だけでも抜いといてくれ」

「はっはい!

 それにしても、大きいですねぇ」


 そうこうしていると、ブレンダが、ジムの所に戻ってきた


「この階層の奴らは、オレとエレノアでも楽勝だから、ジムさんは、エールでも飲んで、ゆっくりしてくれて構わないぜ!」

「ほぉ!言うようになったじゃねぇかw

 今度は、巨人から逃げ惑う姿を見せてもらおうかのw

 ならば、ワシとアリアが後衛になろうじゃねぇか!」


 そんな冗談を言いながら、壁の目印を手掛かりに進むことになった


 何度目かの曲がり角を過ぎた所で、左側に入り口を見つけた


「アリア、すまねぇがその部屋を調べてくれ

 アラン、この先に目印があるか見てきてくれ」


 ブレンダが、テキパキと指示を出す

 いくら仲が良いとは言っても、アリアはジムさんの相方だ、一言"すまない"と付け加えるところが律儀だ


 そして、ゆっくりしてくれとは、言ったものの、ジムに目配せをして後方を任せる


 アランがすぐに戻って来て、この先の通路には目印が無いことを報告する


「あああああぁ」


 今度は、部屋に入ったアリアが大声を出した


 1番後ろにいたジムが、ブレンダをどかして部屋に入った


「どうした!」


「こっ、コレ、見てください」


 アリアの声に、みんなが駆け寄る


『ドノバン!』


 そこには、石と化したドノバンが立っていた


 足元には数人が石化されているようだ


 よく見ようとそれぞれが近づいた刹那


シャー!


 と、壁の一角が崩れていて、そこから何十体というリザードマンが殴り込んできた!


 ブレンダとエレノアが、すかさず近付き、次々とリザードマンを倒していく

 アランは、通路を見張っている


「ジムさん、あんな所に宝箱があります

 調べてみますね」

「ほぉ、このダンジョンで宝箱なんて初めて見たわい」


 ジムは、ブレンダ達の戦いから目を離さずにアリアと会話した


「ジムさん!

 こっちからも来やしたぜ!

 さっきのヤツとトカゲ野郎が両方来やした」

「フンっ、どうせサイクロプスは、ここには入れねぇさ

 リザードマンだけに注意を払え!」


 確かに、あのデカさでは、この部屋の入り口は潜れない

 アランが、入り口から2歩位下がり、ショートソードを構える


 しかし、ちょうど入り口の前で、サイクロプスとリザードマン達が戦い始めてしまった


「ほぉ、面白ぇじゃねぇか

 アラン、見物といこうや、変わったことがあったら、合図してくれ」

「ジムさん!

 この宝箱、罠とか無いと思います」


 ジムは、"そうか"と答え、思案する


 ドノバン達は、どうして石化した?


 罠か?


 毒の類か?


 モンスターか?


 宝箱は閉まっていたし、アリアが調べても罠は無さそうだ


 モンスターか?

 それにしては、ドノバンの立ち姿が変だ


 分からねえ・・・


 思案するジムをブレンダが、リアルに呼び戻す


「ふぅ、蹴散らしたぜジムさん!

 おっ、そっちは、そっちで面白そうな戦いしてんじゃねぇか?」

「姉御、どうやら、デカいのが勝ちそうでっせ

 これなら、入ってこなそうなんで、安心でさぁ」


 当のサイクロプスは、リザードマン達を叩き潰して、今度はこの部屋に興味を持った

 かがんで入り口から顔を覗かせ、吠えてみたり、太い腕を入れて来たりしているが、手の届く範囲には何も無い


「しっかし、どうすっかねぇ・・

 こんな所で石化されちまってわ・・・

 それと、この人達・・・」


 石化した状態のドノバンを腕を組みながら見ているブレンダが、どうしたものかと悩んでいる


「運び出すしかなかろうて」

「こんな事なら、運搬者共を帰さなきゃ良かったなぁ」


 ジムが、こりゃ重そうだと言わんばかりにドノバンを担ごうとした時だった


 キィーーーーーーン

 キィーーーーーーン!


 甲高い音が鳴り響いた!


「ごっごめんなさい

 罠がないから開けちゃったんですけど、いきなり音が!」



 ドンドンドン!と、サイクロプスだろう、大きなモンスターの走る音?振動?


 シャー!と、いう、無数のリザードマン達が近付いてくる声


「ブレンダ!エレノア壁を頼むワイ

 アランは、ワシと入り口

 アリア!その音止められるか?」


 それぞれが臨戦体制をとる


「ふぅ、ちぃっとばかし、緊張してきたの・・・」


 こんな地下の部屋で、籠城戦をよぎなくされちジムは、長年の経験から、嫌な予感を感じてしまい、誰にも聞かれない程度の声でぼやいた・・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 少し時間は遡って、通路組・・・



「慌ただしいわね」


 地下23階くらいの階段部屋と思われる辺りを通過した時にフィスが、小さいが透き通る声で呟いた

 その声は、風の精霊のおかげか、全員の耳に届く


「見えないけど、凄い数の何かが走って来る感じがするですぅ

 でも、途中で、方向転換してるみたいですぅ」

「あら、いい線いってるわね

 ちょっと先で、ダンジョン側になだれ込んでるわ」


 ???イリナは、マジで進化してるのか?

 って、ダンジョン側って、どこかが、開通してるのか?


「警戒は、そのままで、少し、先を急ごうか?

 いいかい?」


 オレは、後ろの3人に許可を促すと、"任せる""うん""はい"と、うっすら見えるそれぞれの顔から返事がきた


「分かったわ、行ってみましょ

 イリナ、私の討ち漏らしを頼むわね」

「分かったですぅ」


 フィスは、これまでより早く歩き出したが、その佇まいは、全くもって優雅なものだ

 イリナは、さっきまで、大剣を構えた状態で、すり足のように進んでいたが、大剣を肩に担いで、つかに手をかけながら、ゆっくりではあるが、腰を屈めた状態でゆっくり出来ました歩き出した


 しばらく歩くと


「あれ?いなくなったわ」


 フィスから、モンスターが全部消えたと説明が入る


 確かに、さっきまで、伝わって来ていた音が無くなり、静かな通路に戻った


「なんだったんだろう

 もし、モンスターがダンジョン側に行ったとしても、ここまで静かになるかな?」

「モンスターが、誰かに全部やっつけられちまったんじゃねぇか?」


 タガートが、1つの可能性を呟いた


「だといいが・・・」


 キィーーーーーーン

 キィーーーーーーン!


 いきなり、甲高い音が、通路内に鳴り響いた!


「うぅぅぅぅ、うるさいわねぇ」

「フィス!大丈夫か?

 にしても、嫌な音だな!」


 俺たちより長い耳を持つフィスは、その分聴力も良いのか、耳を塞いで眉間に皺を寄せている


「くっ来るですぅ

 何か、大きなモンスターが来るですぅ!」


 一同に緊張が走る、夜目が効かなくても、イリナを信用してるからこそ、疑わない


 うるさく鳴り響いていた音が止んだ


「間違いないわ・・・

 何か大きいのが、這いずって来てるわ!」


 嫌な警告音から、解放されたフィスが、イリナの言葉を肯定する


「這いずるって何がだよ!」


 タガートの疑問に、俺は、ホラーでよく見る、上半身だけのゾンビとかを思い浮かべてしまい、違う意味で、びびってしまった



 ズズズズっ!


 ん?俺にも感じるぞ!通路を何かが、凄いスピードで、這いずる振動が足元に伝わってくる



「灯り!」


 俺は、咄嗟に叫んだ!


 ミサが、すぐに反応してくれて、イリナの前方に灯りを灯す

 少し、気合が入ったのか、俺の目が暗闇に慣れてたせいか、その灯りは、凄く眩しかった


「シャーっ!」


 眩い光の中で、獣が何かを嫌がるような声が通路内に響いた


 中身は、50代の俺にしては、すぐに動けた気がする!

 イリナとフィスを押し退けて、何があってもいいように盾を構えた


 そしたら、何か液体のようなものが盾に当たった


 眩しさがやわらぎ、目の前に現れたのは、でけぇトゲトゲしい鎌首を揺らすモンスターが現れた


「え?また!?」


 フィスの声が通路内をこだまする


「気を付けて、バジリスクよ!

 毒と石化の粘液を吐くわよ!」


 こっコイツが、フィスを石化させたモンスターか?

 でっけぇなぁ!

 ん?じゃぁ、さっきの盾の衝撃は???


 俺は、盾の表面を覗き込んだ・・・

何もなってない

 ふぅ一安心


「きゃぁ!

 腕がぁぁ、熱いですぅ!」


 見ると、イリナの左手の白い防具が、ねずみ色に変色していた


「くそっ!」

「イリナ!」


 俺は、小さくぼやき、マジックバッグに手を突っ込んだ

 イリナの声を聞いたリネンが、後方から走り寄ってくる


 粘液を吐いたであろうバジリスクは、まだ、視力が回復していないようで、反転しようとしているが、通路の壁にぶつかったりしている


 俺は、モネと共同製作した、石化を解けるはずの超回復薬を無造作にイリナの左腕にぶっかけて、少し残った分はイリナに飲ませた

 "頼む!治ってくれ!"


「あ、あぁぁぁ」

 イリナの声から、痛さが消えた気がする


 イリナの左腕を見ると、ほんわかと白く輝いたかと思ったら、元の白い防具が現れた


「動かせるか?」

「だっ、大丈夫そうですぅ

 ヒロさんありがとうですぅ」


 いきなり、鎧に抱きしめられた!


「ぐはっ!」


 身体中の骨が軋んだ!


「バカ!イリナのチカラじゃヒロさんが、死んじゃうでしょ!」

「あっ、ごめんなさいですぅ」


 イテテテテ、いやいや、よほど、嬉しかったんだな


 どっ、どうやら、この薬は、バジリスクの石化にも効くのが分かった!


 通路に目を戻すと反転しようとしていたバジリスクが、いなくなった

 通路から気配が消えた



「次、来るわよ」


 と、弓を構えるフィスの声と共に、通路の奥から、わらわらとリザードマンの群れが現れた


「イリナ!頼む!」

「はいですぅ!」


 イリナが前衛に躍り出る


 しかし、さっきのバジリスク、あんな大きなモンスターが、ちょっと目を逸らした隙にいなくなるなんてあり得ない

 しかし、今は、目の前のリザードマンに集中しなければならない

 俺は、フィスの予備の矢筒をいつでも交換出来るように準備をしながら、フィスとイリナの後ろ姿を見守った

 いつも読んでいただきありがとうございます、超七玉です。

 今回は、ダンジョンで、行方不明だった人を見つけた話です


 ここで小説を書き始めて、そろそろ1年が経過しようとしています。

 自分が、最初描きたかった話しにアレも入れてみよう、コレも入れてみようとしていたら、ダンジョンに潜ってました

 ソロソロまた、違った事を書こうかなぁと、楽しみ膨らませすぎて、書き込みが進まなくならないように注意します。

 失礼します。ありがとうございました。

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