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異世界で神(娘)と暮らし始めて嫁探し?  作者: 超七玉
サーヤ冒険者になる、ヒロ能力に目覚める
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36、ダンジョンに挑む!

36、ダンジョンに挑む!


「なぁんか、最近、地下5階以下のモンスター共が増えてきてないかい?」

「そうだのう、まぁ、地下1階に人を住まわせなくしたから、増えやすくもなったんじゃろ」


 それで防御が出来るのかと言うくらい、面積の小さい防具のブレンダと、典型的なこれぞドワーフ!と言う感じのジムが会話をしている


 ここは、冒険者の村の新しいリーダー?ニールの屋敷


 みんなで昼食をとっているところだ


 冒険者の村のツートップの会話は、最近のダンジョンの変化について話しをしていた

 そこへ、この屋敷の主人でもある、クリス商会のニールが会話に混じる


「モンスターが増える事は、素材も増えるって事で、この村としては、いい事なんじゃないですか?」

「もう、ニール殿は、すぅぐ、いい方向に考える!

 でも、そうやって、村の経営に繋げてくれる考えが、大好きだ!」


 "ちょっとぉブレンダさん!"と、顔を赤くするニールをエレノアやアリア達が見て笑い合う

 出会って間もない2人だが、ブレンダの方は、この村の立て直しに一生懸命のニールの事を崇拝している


 冒険者の村で、商人のまとめ役になったニールの屋敷には、現在、フィスとローエ、ブレンダ、エレノア、アランに加え、ジム、アリア、商人のサントス一家が住んでいる


 サントスは、前回のジムさんの御用改め(裏帳簿に載ってる奴らをやっつけた)の時に、逃げ出さずに残っていた商人で、一家でこっちに越してきて、ニールの手となり足となり働いている

 住んでた家は、別の商人に明け渡している、勿論、クリス商会の傘下という形でだ

 妊娠中の奥さんが、料理や洗濯などの雑用をアリアと協力してやっている


「ニール様、素材等の商いの方は、徐々に軌道に乗っていくと思われますが、やはり住居、もしくは、宿の方が全然足りませんね」


 そのサントスが、食事中に申し訳無さそうに発言した


「サントスさん、いい加減"様"付けはやめてくださいよぉ

 しかし、困りましたね、ローエさんに頼みたい所ですが、現存する家屋の修繕で忙しいでしょうからね

 でも、相談だけはしてみます、それと、クリス様にも連絡しておきます」


 致し方なく、悪事に手を出した事のあるサントスだが、根は真面目な商人、ニールの若くして素晴らしい才能に突き動かされ、毎日、走り回っている

 ジムやブレンダというビッグネームが後ろにいるため、村の中では中々の存在になりかけている


「それと、ニールの旦那!

 サントスの奧さんも、そろそろ安静にした方がいいでしょうから

 何人か、暇してる奴ら、ひっ捕まえてきて、働かせましょうか?」


 ニールの言葉に続くようにアランが、サントスの奥さんの事を気遣う提案してきた


「無理矢理連れてくるのはちょっと・・・

 出来れば、自主的に来てくれる方がいいですね」

「おいアラン!ニール殿に迷惑かけるような奴を連れて来やがったら承知しないからな!」


 "へっへい"と、首をすぼめるアラン

 一連の流れがいつもの事なのか、周りは笑顔で見守っている


「アリア、マップはどの辺まで出来てる?」

「はい、やっと、地下7階層が終わりそうです

 次の階段の部屋までのマップなら、23階分まで、ちゃんとありすよ

 地下8階は、更に広いのでマップ作りに乗り出す前にモンスターの湧き具合と、調整のために、久々にチャレンジに行ってみますか?」


 ジムに聞かれたアリアは、ちょっとワクワクした感じで、"チャレンジ"なるものを提案してきた


「おっ!

 久々に行くのか?ジムさん!

 オレ達も混ぜてくれよ!

 ニール殿!少しダンジョンに潜ってもいいか?」

「え?何のことですか?」


 いぶかしげに聞くニールにブレンダは、ニヤリと怪しげな視線を送り


「ニール殿、実はな・・・」


 ブレンダは、"チャレンジ"なるものの説明を始めた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 モネの店で、ミニダンジョンを見せてもらってから、2日後、俺達は、冒険者の村へ向けて出立した


 ドムさんの店は、入り口にデカデカと、"しばらく不在"の張り紙をして、急ぎの用は、冒険者の村まで!って書くところが面白い

 急いでいても、すぐに会えないと言うねw


「オジサぁン、荷物は、大丈夫、崩れたりしてないよぉ〜」


 サーヤが、荷馬車から、ピョンと跳ねながら伝えてきた


「おお、ありがと!

 ここら辺は安全だし、タガート達もダイヤもいるから、ジョージも一緒に休憩しよう」

「うん、わがっ・・・

 あっはい」


 ジョージは、一生懸命言葉使いを気を付けようとしているのが感じ取れる


「おぉ!ワシらは、どうも歩幅が狭くてかなわん

 ヒロ!エール!エールをもらえるか?」

「仕方ないなぁ」


 冒険者ではないにしても、みんなで移動しているから、断ろうと思ったけど、冒険者じゃないし、ドムさんだしw、エールを出してあげた

 ライリーは、自分の水筒を飲んでいる

 やっぱり、仲のいいイリナ達が、周りを警戒してくれているから、遠慮してるようだ


『ワレにも、水をもらえるか?』


 先日、ショートカットになったダイヤからおねだりがあったので、シロの分と2つ用意した


「ちょっと早いけど、ランチにしようよ」


 俺は、みんなに"おにぎり"や"パン"を用意しながら声を掛けた


 もう、こう言う時の飯担当が俺になりかけている気がするが、まぁ、そんなに手間でもないし気にしない


「あっ、これ、食べてみてください」


 と、ミサが修道院で作った"チーズ"を切り分けてくれた


 みんなで、ピクニック感覚でランチをしていると、見覚えのある荷馬車が、目の前を行きすぎた

 すると、少し先でその荷馬車が停車して、1人の人物が降りてきた


「貴方は、先日の冒険者様では?」


 そうだ、前回、冒険者の村に行く途中で、車輪を直してあげた商人だ


「おっ!偶然ですね!

 冒険者の村にまた向かうんですか?」


 確かあの時は、全然儲からなくて赤字にならない程度で引き上げてきたって言ってたな


「あの時は、本当に助かりました

 もう、ここへ来るつもりはなかったのですが、どうやら、冒険者の村のリーダーが変わって、商売がしやすくなったと聞いたんで、また、勝負に来たんですよ

 貴方も、また行かれるのですか?」


 商人の情報網は凄い、そういう情報はすぐ伝わるんだな

 もしかして、リーダーってニールの事かな?

 ここでは、内緒にしておこう


「そうなんだ

 こないだ一緒だった商人が、村で店を出してね、その応援というか、商品の運搬みたいな感じかな?」

「おお、あの時の若旦那ですね

 なんと、もう店を出してしまったのですか?

 さすがですなw

 申し遅れましたが、私、アルジアの街を拠点として商人をしております

 タイガンと申します

 あの時は、名前も告げずに申し訳ありませんでした」


 行った事無いけど、確か、俺がクリス達と初めて会った時、アルジアからの帰り道だったような・・・


「イヤイヤ、俺達の方こそ名乗らずに申し訳なかったね

 俺はヒロ、あの時の商人はニールって言って、俺達は、しばらくそこにいるからよろしく」

「ヒロ殿、本当に先日はありがとうございました

 村では、ライバルになってしまうかもしれませんが、お互い助け合っていきましょう

 おっと、こうしちゃいられない

 ニール殿に負けないように、私らも早く商いをしないと!

 では、この辺で失礼します」


 そう言って笑顔で手を振ったタイガンは、行商を主に行っているのか、いい感じに日焼けしている爽快な男だった

 村で、上手くやれる事を祈ろう


「あっそうだ!

 ミサさんこれ貰ってぇ!」

「えぇ、なんですか?」


 サーヤが急にミサに何かを渡した

 そして、水を飲んでいたシロの首に何かを着けた


 あぁ、前に言ってた、ペンダントかな?


「これは、女子仲間の証なんですぅ!」

「そうだよ、私とイリナも着けてるよ」


 イリナとリネンが首からシルバーの鳩?のペンダントを取り出した

 ライリーもおにぎりを頬張りながら見せてきた


「嬉しい!じゃぁ私も仲間に入れてもらえるんですね!」

 ミサは、配り終わって余ったチーズをリュックにしまい、ペンダントを首に着けた


「ワン!」


 自分もいるぞ!ってシロが吠えた


 羨ましそうにダイヤが見ていたので


『ダイヤも欲しいのか?』


 と、聞いたら


『フン、ワレには、これがあるからいいのだ!』


 と、誇らしげに先日の戦いで、少し焦げてしまったバンダナを見せてきた

 なんだかんだ言って、人との繋がりを喜んでいるんだな


「なんかいいなぁ」

「そうだな、いいなヒロ!

 なぁドムさん、俺らにもアレに負けないような男だけの何か作ってくれよぉ」


 意外とそういうところは、子供っぽい、アイトとタガート


「フン、青二才どもが、男なら、そんな物より、手柄を立てて、自分で手に入れろぃ」


 鍛治師のドムさんに、いかにも冒険者的な事を言われて、ショゲるアイトとタガート


「まぁまぁ、ダンジョンで何か手に入ったら考えよう」


 俺は、ショげる2人を慰めた


 しばらく休息を取り、俺達は出発したが、休息している間も、商人や冒険者の往来があった

 前回の移動の時と違って、その行き交う人達に笑顔が多い事に、村がいい方向に変化している事が伺える


 夕方には、村の入り口に到着した

 門番には、以前ダンジョンの門番をしていた大男が立っていた


「アンタか・・・

 あの時は、悪かったな

 随分と大所帯のようだが、引っ越しか何かか?」

「あぁ、過ぎた事だよ

 今回は、ニールの所への商品の運搬と鍛冶屋を出店するって感じかな」


 俺は、ギルドカードを出しながら、今回の来訪の旨を伝えた

 俺のギルドカードを確認した門番が、ギルドカードを返しながら、少し顔を近付けてきた


「アンタやジムさん達のおかげで、住みやすくなった

 ありがとなw」


 と、言いながらゴツい顔でウィンクと小さくグーポーズをされた


「おうおう、男同士で、イチャイチャは好かんな

 ジムの弟のドムだ

 ホレ、古いがギルドカードじゃ」


 ドムさんが、割って入ってきた


「え?ジムさんの?

 これは、失礼、ギルドカードは古くても問題ないです」


 何故か、少し緊張しながら確認し、他のみんなの事も確認してくれた


「後ろの白い犬はいいが

 大きい方は、ちょっと勘弁してもらえるか」

「あぁ、そうだった

 ダイヤ、悪いけど、いつものようにしてもらえるか」


『分かった、たまに鍋とシシカツを頼むぞ』


 "はいはい"ホント、食い物があればなんでもいいんだな


 無事門をくぐり、先にアイトに連絡に行ってもらい、俺達は、ゆっくりニールの屋敷に向かう


 心なしか、村の中が騒がしいが何かあったんだろうか?


 ちょっと固まって喋っている人達の会話からは


「また、先に進んだらしいぞ!」

「さっきのは、デカかったな?」

「あのモンスターは、なんなんだ?」


 などなど、ダンジョンで何か起きているような会話が、聞こえてくる


 そんな周囲の会話を聞きながら歩いていると


「あら、ヒロじゃない?」


 そよ風のような声が聞こえてきたと思ったら、エルフのフィスだった


「おっ!大工見習いのフィス!

 ちゃんとローエを手伝ってるのか?」


 こっちは、久しぶり!みたいに近づいていくのに対して、昨日会ったじゃない?みたいな怪訝な顔のフィス


 この辺が、エルフと俺達の時間軸の違いなのかもしれない


 まあ、元気そうで何よりだ


「今日の仕事は終わって、親方が片付けを始めたから、抜け出してきて、ちょっと村の外に散歩でも行こうかなぁと思ってね」


 おいおい見習いさん!片付けは、見習いの仕事だろうが!

 まぁ、どうせ、日中も自由にしてんだろうけどね


 そんなフィスが踵を返して


「じゃぁ、私も、今日はニールの所に行こうかしら」


 と、俺達と歩き始めた

 そんなフィスに女性達が寄り添い、キャッキャっ言いながら歩いている


 少し歩くと、アイトと1人の男が近づいてきた


「皆様お久しぶりです

 ニール様は今、手が離せないので、代わりに迎えにきました」

 

 ん?確か


「あれ?あの時の」

「はい、申し遅れました、サントスと申します

 今は、ニール様のもとで働かせていただいております

 ささっ参りましょう」


 サントスさんに導かれるようにニールの屋敷に向かった




「あっヒロさん、兄さん、みなさんお久しぶりです

 すいません、素材の仕分けでテンテコ舞でw」

「オイオイ、なんなんだよこの素材の数々は、見た事ねぇモンスターばかりじゃねぇか?」


 屋敷の庭先に通されて、俺達の目に飛び込んできたものは、モンスターの素材の山だ


 挨拶もそこそこで、タガートが食い気味に質問するのも無理はない


 聞けば、定期的に行われている、ダンジョンの生態調査が実施されているらしい

 しかし、その実態調査が、いつからか、どれだけのモンスターを倒しながら、どこまで潜れるかの腕試し的なイベントになってきているらしく、これを"チャレンジ"と呼んでいるらしい


 これまでは地下23階までが、最下層だったのだが、今回は、そこを超えたらしいと報告があったらしく、村が盛り上がっているらしい


 え?アリアからもらったマップは、地下6階までだったけど、そんなに深く地下があるのが分かってんの?

 結構、デカいダンジョンなんじゃない?


 今までは、村の内側のジムさんチームと外側のブレンダチームは、分かれて挑んでいたが、今回は、2人が1チームで進んでいるので、快進撃が期待されているらしい


 倒したモンスターなどは、ジムさんブレンダの親しい仲間達が、手分けして運んでくるのだが、その数が尋常じゃなく受け入れ側のニールは、運搬役への駄賃や、素材の仕分け、はたまた、後で行われる予定の、素材のオークション的な競りの準備も任されたらしいので、テンテコ舞のようだ


「そんな大イベントが行われてるのかよ

 そうだ、サーヤとジョージくんも一緒に来てるから、何か手伝えるんじゃないか?」

「おぉ!それは、嬉しいですね

 サーヤさん、ジョージ、明日から、申し訳ないけど、バリバリ働いてもらうよ!」


 "任せて!""わがりました"!

 2人は仕事があって嬉しいのか、満面の笑みで答えた


「ニール、実はさぁ、商品の補充の為だけに来たわけじゃないんだよ

 相談があってさ」

「なんでしょうか?」


 俺の言葉を引き継いで、ライリーが今のこの村での武具の修理や販売の問題点を伝えた


「そうだったんですか、すいません、専門外なのでライリーさんに苦労をかけてしまって」

「なぁに、気にせんでくれ、ニール!

 鍛治屋だって苦労をせんと上達せんからの」


 ドムさんの言葉に、ライリーが苦笑いをする


 そこで、こっちで鍛冶屋を建てたい旨を伝え、炉と建物に使う粘土や木材は持参したと言うと


「そうですか、今、こちらも宿などの宿泊施設が足りずに困っていまして

 しかも、あれからローエさんには既存の建物の補修をしてもらっているのですが、そちらが片付かない状態なんです」

「なら、そっちは、クリスに手紙でも書いて、大工を何人か派遣してもらおうよ」


 そっちの件は、早速、明日、街に戻る人を探して、手紙を運んでもらう事に決まった


「まぁ、問題は、一つずつ片付けるとして、この屋敷は、無駄に広いので、まず旅の荷物を解いてゆっくりしてください」


 冷蔵庫や冷凍庫の大物を降ろして、みんなが荷物を解いている間、俺は、マジックバッグしか荷物がないので、与えられた部屋でダンジョンの事を考えていた


 地下が23階以上あるのが分かった


 1階の階段の部屋は、ダンジョンの入り口をくぐり右に行った突き当たりにある

 と言うことは、そこが、1番北西側になる

 地下1階の階段の部屋は、大体そこから200mくらい南側にある


 俺の考えが合っていれば、地下23階なら、長さ約4.6kmくらいの下り坂がある事になる

 しかも、まだ地下はあるらしいから、どれだけ長い通路があるか分からないし、最悪、通路なんか無くて、壁の向こうに裏ダンジョンがあるかもしれない


 それと、俺の記憶では、地下1階の天井が、4mくらいだったんで、地下23階の時点で深さは、床の厚みも加えたら100m越えだ

 こりゃ、結構凄いダンジョンに入ろうとしてるかも知れない


 ちょっとブルってきたな・・・


 まっ、そんな事を考えていても仕方ない、1番身軽な(荷物が少ない)俺は、何か手伝う事でも探そうと、台所に行くと、見覚えのある女性が一生懸命に料理をしていた


「何か手伝いますか?」

「あっ、気付かずにすいません

 あっ、ヒロ様?ですか、以前は、ご迷惑をおかけしました

 今日は、腕によりをかけて作りますので、皆さま、もう少しお待ちくださいね」


 そうだ、サントスの奥さんだ

 お腹も大きくなってきているのに、ちょっと申し訳ないな


「いやいや、立っている者は、親でも使えって言う言葉もあるんだから、何か手伝わせてください」

「いえ、お客様にそのような事はさせられません」


 っと、美人な若奥さんが、眉間に皺を寄せての真剣な顔!

 ヤバい、素敵!


「ノラ!ダメよ!言い出したら聞かないし、ヒロは、お客じゃなくて仲間よ」


 いつの間にか、台所に入ってきて食器を棚から出し始めるフィス


「フィスさんいつもすいません

 でも・・・」

「あら、私は良くて、ヒロはダメってのは、お勧めできなくてよ

 もう、ノラも仲間なんだから、気にしないでいいんじゃない

 あれ、今日は何人だったかしら」


 大きなテーブルに勝手を知ってるのか皿を並べていく


「そうそう、他にもいるから、みんなでやろう!」


 渋々ノラは承諾してくれた

 その目には、うっすら涙を浮かべている


 ミサとリネンも合流して、料理を手伝う


「へぇ、それ入れてもいいんだ?」

「えぇ、味に深みが出て、ライスやパンがすすみますよ」


 リネンが、ノラの隣で料理を学びながら手伝っている


「うわ、コレは、なんですか?

 不思議な感じです」


 ミサが、小皿に盛られた物をマジマジ見ながら質問してきた


「はい、私の故郷で伝わる食べ物っていうか、余った牛の乳の再利用的な節約料理です」


 ん?牛乳の再利用?まさか?


「あっ!ヨーグルトだ!

 うわぁ、まさか、こっちでコレに会えるなんて思わなかったよ!」

「えっ、ヒロ様もご存知なんですか?」


 あっと、つい、あまりの久しぶりの出会いで、発言してしまったw

 まぁっいいっしょ


「うん、小さい頃から、食べてたよ

 食べすぎて、お腹が緩くなったりして、怒られたりしてたよ

 果物や冷たい物と食べても美味しいよね」

「そうですね、お通じが良くなりますよね

 果物ですか?取置きがあったら添えてみますね」


 よし、こりゃいつかアイスを作らないとね


 ノラさんも、慣れてくるとテキパキと指示を出してくれて、あっという間に料理の用意は出来、みんなで夕食になった



 夕食の時間になり、かなりの人数での食事になると思ったら、いつもならいるはずのメンバーがいないという事もあり、テーブルには余裕があった


 全員で食べる食事は、クリス商会のならわしのようなものらしく、立場や種族など関係なく一緒に食べるスタイルだ


 サントスから今日の出来事を聞いたり、俺達のライフィスの話、ローエから改築の進捗などなど、会話は沢山ある


「そうだノラさん、明日から1人、住み込みで家事手伝いの方が来られます

 冒険者なんですが、小さいお子さんがいるので、冒険に出れないとのことで、お手伝いにきてもらう事になりました」

「やったじゃんノラ!

 これで、お腹の子に集中できるじゃない!

 ニール!ノラの事だから、1人くらいじゃ仕事しちゃうから、もう1人くらい探してあげてよ」


 恐縮していたノラに援護射撃をするフィス

 どうやら1番の年長者は、ノラの理解者として振る舞っているようだ

 長年世界を見てきた(100年以上は石だったけどw)エルフの言葉には、誰も逆らえない


「はい、まだ、募集していますし、なんなら、親が冒険者の子供や、商人になりたい人など、うちに興味のある人にも来てもらおうと思ってます」


 さすがニール!こりゃ、本店のクリスもオチオチしてられないぞ


「若旦那!ドムさんの鍛冶屋の事だけど、材料は持ち込みだって本当かい?

 ヒロさんの事だから、まぁた、とんでもねぇ量の材料を持ってきてんだろ?

 なんなら、そっちを片付けちまって、余った材料をもらって、他に利用したらどうだい?」


 なっナイスローエ!

 でも、俺の事だからって、どゆこと?ね?どゆこと?w

 ってか、ニールを若旦那って呼んでるんだねw


「そうなんですか?

 ヒロさん、材料はどのくらい余りそうなんですか」

「流石にこの屋敷と同じ大きさを建てられるほどはないと思うけど

 イリナが結構切ってくれたから、かなり木材は持ってきたよ」


 先日のカミラさんの依頼の初日に、イリナが、体力の続く限りに倒した木材が、長いまんま、枝だけ切ってマジックバッグにぶち込んであるから、相当使い道があると思うんだけど、生材じゃダメかな?


「明日、材料を広げられるような場所あるかな?」

「大丈夫だよ

 ジムさんが、場所を確保してくれてるから、明日案内するね」


 ライリーグッジョブ!

 ジムさんに相談してたなんて、早く言ってくれよぉ〜


「じゃぁ、明日、そこで用意した材料を出すね

 ローエ、すまないが、建物の構造は、ドムさんと決めてくれるかい?」

「分かった

 じゃぁ、飯が終わったら、エールでも飲みながら、やりましょうぜドムさん!」


 "おう!すまんな!"と、エールを掲げるドムさんは、さっきから、肉とエールを交互に口に運んでいる


 話はトントン拍子に進み、デザートのヨーグルトをみんなで食べてお開きになった





 あてがわれた部屋で、俺は、建築で使うだろう"釘"を魔鉱石で、作っていた

 永遠に続くような作業を無心に行っていると、部屋の入り口をノックする音が聞こえた


「開いてるよ!」


 と、応えると、タガートとニールが酒瓶を持って入ってきた


「ワリィなヒロ、チョイと人生の先輩として、話を聞いてほしくてさ」

「旅の疲れも癒えてないのにすいません」


 "まぁまぁ"と、立ったままでは、なんだからと、2人を椅子に、俺は、ベッドに腰掛けて、まず、乾杯した


 最初は、この村の状況とか、話していたが、ダンジョンに入っているジムさん達の話になった時だ


「実はな、ヒロ、ブレンダさんとコイツの事で、ちょっと聞いてもらいたくてな」


 どうやら、俺達が街に戻ってから、ブレンダはニールにベッタリで、何かにつけて、

"ニール殿のために!"

"ニール殿が言うならば!"

"ニール殿が好きです!"

 と、言われ続けていて、ニールは、女性と交際した事がないが、最近では、そんなブレンダを気にしてしまっているのか


「ブレンダさんは冒険者なので、ダンジョン入るのは当然なんですが、エレノアさんの大怪我の件もあるので、もう、心配で心配で・・・」


 と、もう、それは、恋じゃん!


「なぁヒロ、俺も、そっちはてんで経験不足なもんで、何をアドバイスしていいか分かんねぇし

 しかも、あのブレンダさんだろ?

 勘違いや間違いで、怒らせたら、たまったもんじゃねぇからさぁ

 頼む、兄貴分として何かいいアドバイスをくれねぇかな」


 ぬふふふ!って事で、結婚経験のある(こっちの世界では、まだ童貞w)俺のところに来たのか・・・

 タガートくん!分かってるねぇ!

 実は、俺も、嫁さんしか経験ないからなぁ・・・なぁんて、言えなくなっちゃってんじゃんか!

 仕方ない、ここは、よーく考えたフリをしてからの


「ん?そんなの結婚しちゃえばいいじゃんか?

 お互い好きなんだろ?」


 まどろっこしい事の苦手な俺は、ド直球のアドバイス


「ええ?だって私は、まだ、未熟者ですし!

 その、ブレンダさんは、素敵すぎるから、私なんかより・・・」

「オイオイ、話が突拍子もねぇじゃねぇか?

 しかも、コイツの嫁になったら、普通は、義妹になるんだろうけど、あの人、ぜってぇ、姉貴的存在になるじゃねぇか?

 俺、一生アゴで使われるじゃんか?」


 2人は、それぞれにアタフタと、何やら言ってきたんで、俺は、ビシッと


「何か、問題ある?」


 !!!!!!!!!!


「もっ、問題は・・・ないです」

「ングググ、そんなに無ぇかも・・・」


 はい、決定!

 なんだよ、単なる後押しが欲しかっただけなんじゃねぇの?


「まぁ、ブレンダさんの気持ちもちゃんと聞いてからがいいだろうけど、こういうのは、やっぱり男の方から、アクションをするのがいいから、ダンジョンから帰ってきたら、まずはデートでも誘ってみたら?」


 なんだろう、自分は、女性に対して、モジモジするくせに、他人には、積極さを強要するなんて、俺ってサイテーかもw


「そっそうですか・・・・」


 部屋に入ってきた時のニールは、ちょっと暗かったけど、今は、何かを決心したような顔になっている気がする


「ふぅ、やっぱりヒロは凄えな!

 こうも、バシッとアドバイスされちゃぁ、コイツに相談されて、アタフタしてた俺が恥ずかしいぜw

 実際、俺より年上だし、姉貴でもかまわねぇかw」


 タガートも、そう言いながら、何かスッキリした感じだ


 入ってきた時とは打って変わって、肩を組みながら出ていく2人、なんだかんだで仲がいいんだろうな・・・


 はぁ、俺も、誰かと・・・か・・・


 ふぅ、サーヤにドヤされて、第2の人生を楽しむと決めたけど・・・


 正直、みんなタイプなんだよなぁ・・・


 あっ、いかんいかん!

 今夜は、釘を作らねば・・・

 と、集中してたら、こっちに来てから知り合った女性が頭をよぎる


 クリスのド直球


 ミサの清純さ


 リネンの隠れ"たわわ"


 ローズさんの大人の色気


 ソフィさんの素敵な奥様感


 モネのマシュマロ・・・


 ヤバいヤバい、出会った女性が、みんな素敵すぎる・・・


 やっべ!なんか体温上がってきちまった!


 くぎぃ!!釘に集中!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 やってしまった・・・・


 朝方まで、頭の中から、何かを吹き飛ばすかのように、釘作りに没頭してしまった



 朝食の後、ライリーに伴われて、武器屋の建設予定地に、ローエとドムさんとで来たけど、村の中央付近のかなりいい場所で、片隅には、現在のライリーの仕事場の掘立て小屋がある


「よし、これだけ広けりゃ広げられるだろ」


 と、マジックバッグから、丸太をドンドン出していく


 うーん、止まらない


 100本は下らない、しかも、全て10m以上の大木だ


「ヒロさん、森の1つや2つ、潰してきたのかい?」


 ローエに呆れられてしまった


「まだ、釘もあるんだけど見る?」


 言いながら、昨晩の成果を出すと


「ぐはっ、なんだよヒロさん、死ぬまでに使いきれねぇよそんなに!」


 ローエが笑いながら怒ってるw


 ついでに、大猪の腸に詰めてきた、粘土も取り出す


 重さは変わらないが、ちょっとバックが軽くなった気がするw


「ローエ、コイツと付き合うなら、こんな事で驚いてちゃ、やってらんねぇぞ」

「みたいですね・・・

 いや、尚更、やる気が出てきやしたよ

 よっしゃ、もう、今日から始めっちまいますぜ!

 ドムさん!さっさと終わらせるとは言ったけど、手を抜くつもりはねぇから安心してくだせぇよ!」


 ローエは、目から炎を出す勢いで気合を入れて、材木に向かっていった


「おう!コイツにゃ勿体ねえかもしれねぇが、頼むぜローエ!

 よーし、やるとすっか!

 ほれ、ライリー、お前も手伝わんか!」


 腕まくりをしたドムさんに促されて、ライリーも手伝い始めた

 しかし、ライリーの目も活気が溢れているようだ


「おし、じゃぁ、俺達は、ダンジョンに行くねぇ」


 作業に集中している3人を置いて俺は、みんなの待つダンジョン前に向かった


 ん?あれっ?3人?


 あれ?誰か忘れてない?と考えながらダンジョンの入り口に到着したら


 そこに集まる仲間の中にフィスがいるじゃないか!


「ヒロ!遅いわよ!」

「オイオイ、大工の見習いさん、ちょっと集まる場所が違くないかい?」


 舌をチロっと出してはにかむフィスだが、そんなお茶目な顔さえ、エルフがすると綺麗に見えてしまう


「親方には、許可をとったわよ!」

「そうそう、フィスさんがいれば百人力だよー」


 アイトも調子がいいなぁ

 まぁ、確かにフィスは、戦力としてこのメンバーの中で1番だと思うから助かるけどね


「だな、フィス、申し訳ないけど、索敵をお願いするよ」

「任しといて、じゃぁみんな、腕輪だけ新しくしといてくれるかな

 もう、みんなのは加護が薄れてるでしょ」


 そうだった、風の妖精が、少し守ってくれるんだった

 それぞれが、腕輪を確認して、前回ほどではないが、人混みが出来ているダンジョンの入り口に向かう


「はぁい!いらっしゃぁい!お兄さん達!

 今は、ジムさん達がチャレンジ中だから、お手伝いさんか、ダンジョンに挑むのかだけ教えてくださぁい!」


 ブレンダほどではないが、かなり露出度の高い防具の女性が話しかけてきた

 どうやら、今の門番は、彼女らしい


「え?ジムさんの手伝いも出来るの?

 一応、ダンジョンに挑むんだけど・・・」

「ははは、お手伝いなら、ニールさんが発行している"お手伝いカード"を持ってないと認められないよぉ

 挑むんなら、ダンジョンと村の管理料として、1人、銀貨1枚いただきます

 ごめんね、一応、ダンジョンが売りの村なんでね」


 へぇ、値段はそのままなんだな、しかし今回はちゃんと説明をしてくれた、やっぱりニールは真面目にやってるんだな


 俺は、銀貨7枚を渡して、ダンジョンに入った


「ありがとう

 ジムさん達が、奥まで進んでるからって、無理はダメですからねぇ

 いってらっしゃぁい!」


 俺達は、門番と、ハイタッチをしながら入っていく


「さぁ、俺らは、新しい発見をする為に来たんだ

 1階は、やり過ごして行くよ!」


 入り口を入ると、以前にも増して、売店やら、食事処が増えていて、奥の方まで人がいる

 そして活気があるように思われる

 俺達は、それらには目もくれず、入ってすぐ右に進む

 目的は、階段の部屋だ


 地上1Fの天井は5mくらいあり、そこらじゅうに照明のように松明や、光るオーブのような物が、壁や売店の屋根などに掲げられている為、非常に明るくなっている


 階段に向かう方向は、ちゃんと道のようにされていて、そこには、邪魔になりそうな物は何も置かれていない


 しかし、左側には、出店が軒を連ねていて


「おっ!ダンジョンに行くなら回復薬どうだい?」とか

「腹ごしらえはいいかい?」

「食料は足りてるかぁ」

「地下3Fまでのマップ、金貨1枚でどうだい?」


 など、賑やかに呼び込みしてくる


「なんか、前より活気あるな」

「あのマップ、ヒロさんのとちょっと違うね」

 などとこちらも会話をしながら歩く


 しばらくして階段の部屋に来たが、数名のオッサン達が待機していた

 どうやら、ジムさん達が手に入れた素材などの運搬者らしい


「すまないね、ニールの所に世話になってる者なんだけど、ちょっとここで調べ物をさせてもらいたいんだよね」


 わりかし優しくお願いしてみた


「おっと、ニールの旦那の関係者かい?

 こりゃ、邪魔だて出来ねぇぜ

 ここは今、ブレンダの姉貴達のチャレンジで手に入れた素材が順次運ばれてくるから、ちょっと騒がしくなるかもしれねぇが、その時だけ我慢してくれ

 後は、邪魔しねぇから好きにしてくれてかまわねぇぜ」


 口は悪いけど、優しい対応だし、ニールの名前を出しただけで、反応がいいのは、ありがたい


 そんな話をしていたら、階段の下が騒がしくなった


「今から、いくぞぉ!」


 と、下から声がしたと思ったら、"エッサホイサ"の掛け声と共に、2人1組の男達が、何かを運んでくる


 ん?ちょっと、コレ、腕?


「あら、ストーンゴーレムじゃない?珍しいわね」


 へ?フィスさん?ゴーレム?って言った?

 ゲームの世界の町の門番の?

 俺、笛を持ってないけど・・・w

 んでこれは、腕か何かですか?腕だけで2mくらいありますよ!


「ご苦労さん、何人補充だ?」

「おう、ご苦労さん

 運び屋10人、冒険者D級以上1パーティー追加だ

 だんだん獲物がデカくなってきてるぞ!」


 そんなやりとりが交わされて、ストーンゴーレムと言われた物の一部が、また運ばれてきて、入り口に向かう

 入れ替わりに屈強な男達と、冒険者のパーティらしきメンツが、やってきて、まずは、冒険者が、階段を降りて、続いて、ここにいた5人と新しく来た10人の内5人が、階段を降りていった


 バケツリレー的に素材を運んでるのかな?


「一体どれくらいの人達が中に入ってるんだい?」


 俺は、興味本位で聞いてみた


「運び屋だけで100人くらいか、んでそれを守る冒険者は、20組くらいじゃねぇか?」


 片目のない屈強なオッサンが答えてくれた

 元冒険者かな?

 凄い数だな、こりゃ大イベントだな


「いやぁ、でも、以前は、運び屋も、横取りしてくる冒険者との争いで、そりゃぁ命懸けだったけど

 今回からは、ニールの旦那とジムさんが、しっかりルールをこさえてくれたんでな

 ちゃんと報酬が出るってんで、みんな助かってるよ」


 もう1人の白髪の多めのオッサンが笑顔で教えてくれた


「ほぉ、アイツ、なかなかやるな」

「ははは、兄とは正反対だなw

 まぁ、ブレンダの事が心配なんだろ?」


 "かもなw"と、俺とタガートは笑い合った


 するとアイトが近づいてきて


「ヒロさん、もう一度、調べたけど、やっぱりこの壁には、罠や仕掛けはなさそうだよ」


 東側の壁を調べてくれたが、やはり何も無いそうだ

 でも、俺にはくっきり見えるんだ

 枠組みは、魔鉱石(青)で作られていて、中央は、魔鉱石になりかけてる鉱石なんだ

 絶対、何かある

 俺は、鉱石や鉄類とは相性がいいから、こんな壁・・・

 そっと両手の手のひらを壁に当てる


「みんな、一応階段の部屋は、モンスターが入ってこないらしいけど、何があるか分からないから、準備しといてくれ!」


"おう!"とか、"分かった"など、返事はバラバラだが、みんなが武具を身構えるのは背中で感じた


「ねぇ、ちょっと、何するの?」


 しまった、フィスには説明してなかった

 今回の件を知らないフィスだけは、何をしてるのか分からず呆けている

 しかし、ここまできたら、もう、やるしかない


「いくぞ!

 開けゴマってな!」


 と、言いながら、腕にちからを込めて押してみた


 ・・・・何も起きない


「ヒロ、何やってんのよ?」

「はははっ、壁とちからくらべかい?」


 フィスは、怪訝な顔だ

 運び屋と思われるオッサン達にいたっては、笑いながら見ている


 でも、俺達は、いたって真面目だ、誰も、俺を疑っていない


 もう一度、黙って押してみる


 ミシッ!と音を立てて、壁の継ぎ目から漆喰のような物が、パラパラと落ち始めた


「頑張って!」


 リネンが応援してくれた


「え?まさか?」


 フィスが、何かを察した


「頼む!」


 再度、壁に頼み事をするかのように目一杯押してみた


 ガラッ!ガラガラガラ、ドッシャ!


 と、壁一面が向こう側に崩れ落ちた!


「オイオイ!マジかよ!」


 タガートは、剣を握り直しながら驚く


 埃が待って向こう側は見えないが、空間がある事だけは分かる


「フィス、アイト!

 索敵頼む!」


 "任せろ!""わっ分かった!"と、2人は、崩れた壁、そして、ゆっくり奥の部屋を索敵する


 運び屋のオッサン達は、全員が全員、顎が外れるくらいの大口を開けてマヌケな顔になって動けなくなっている


「敵なし!

 右は行き止まり!」


 アイトが、報告してくれた


「左に向かって通路!距離は・・・分からないわ」


 フィスの目でも距離が掴めないほど長いと言うことなのかもしれない


「よし、じゃぁ、フィスとイリナが先頭、続いて役に立たないけど俺

 ミサとリネンを守る感じで、アイトとタガートが最後尾!

 これでゆっくり進もう

 ミサ!灯りを頼むね

 さぁ!無理せず、行けるところまで行こう!」


 陣形を決めて進もうとしたら、呆気に取られていた運び屋のオッサン達が、やっと我に返ったらしく


「あっ、アンタ達何者だよ?

 こんな所ぶち破っちまって!」


 そうなるよね、誰も、今までここを調べなかったんだからね


「えっ?

 通りすがりの冒険者だよw」


 俺がそう答えたら


 タガート達が、大爆笑した


「なんだよその間抜けな決め台詞w」タガート

「もう、笑わせないでよヒロさん!」リネン

「今回は、冒険者に格上げされてるですぅw」イリナ

「ふふっ、思い出しますね」ミサ

「なんだろう、今回は、頼もしく感じるね」アイト


「ちょっと、ちょっと何の事?

 私にも教えてよぉ〜」フィス


「後で片付けるから、ここはこのままにしておいてね」


 俺は、みんなに笑われる中、運び屋のオッサン達に"じゃ!"と、挨拶して、通路に入っていった




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふぅ、コイツは、打撃武器が合ってるね」

「オイオイ、ワシのハルバードは、打撃武器じゃねぇぞ」


 ジムのハルバードで、2分割にされたストーンゴーレムを椅子がわりに座り、休息するブレンダと、硬いストーンゴーレムを仕留めても、刃こぼれしない自分の武器に酔いしれるドム


「姐さんコイツはどうしやす?」

「魔石だけ抜きゃいいだろ?」


 と、アランに答えるブレンダ


 既に地下25Fに到達していて、このエリアで、既に10体からのストーンゴーレムを倒している


「24階も、25階も下へ向かう階段は、南に向かって行けば見つかりますね

 単調に見えるのは考えすぎですかね」

「そうね、真っ直ぐ進めないけど、そっちに向かってダンジョンが、伸びてる感じで間違いないかもね」


 アリアの推測にエレノアも同意する

 アリアが、ジムさんとコンビを組むようになってから、マップを書き始めて、フロアの全体マップは地下6Fまで完成した

 他の階層は、チャレンジの時や、ジムさんの探索に付き合った時に通った場所を記載しているが、隅々までは、分からない

 今は、アリアのマップ作りにジムが付き合って、1つのフロアをゆっくり周りながら、素材を手に入れている


「ところでジムさんは、100年以上ここを探索してるんだろ?

 なんで、マップを作らなかったんだ?」


 ブレンダが、不思議に思い質問してみた


「あぁ、ワシは絵が下手でなw

 なんてな、ドワーフは、地下に棲むからな、地図などいらんだろ?

 逆に、お前らはこれくらい覚えられんのか?」


 ジムにもっともな返しをされて困る人間達


「覚えきれねぇですよジムさん

 それに罠とかもありやすし」


 アランが、人間代表で答える


「そんなもんかのぉ

 しかし、このダンジョンは人工物なのに、いつ、誰が、何の目的で作ったのか、全く分からんな

 しかも、どこまで続くのやら・・・」

「え?このダンジョンは、何かおかしいのか?

 オレたちゃ、ダンジョンって、ここしか知らねえから分からねぇけど」


 ふと、ジムが長年の疑問を口にしたが、自分より100年以上も生きてる時間の短いブレンダ達では、その疑問には答えらなかった


「まぁ、ワシらドワーフは、天然ものより、人工物の方が、先人の技が見れてありがてぇってこったな

 ガハハハハ」

「はんっ!ジムさん、なんかカッコいい事言っても、似合わないよ!

 なぁw」


 "うるせぇ"と、ジムに怒られるブレンダは、こうやって、昔みたくジムさんとダンジョンを探索できて嬉しくて堪らない


 雑談をしながら休息していると


「すいやせん、遅くなりましたぁ

 運び屋連れてきましたぁ

 それと後方にはモンスターは出ていません」


 冒険者が、運び屋を連れてきた

 そして、後方の現場報告をした


「おっ、ワリイなスミス!

 疲れてねぇか?」

「大丈夫です

 と言うか、モンスターは全て、ジムさんと姉御で倒してしまっているので、ある意味、退屈です」


 神官帽を被った背の高いスミスと呼ばれた男が、ブレンダに答える


「オイオイ、回復担当が、そんな事言うなよ

 俺たちゃ、オメェがいるから、安心して戦えるんだぜ!」


 と、スミスと呼ばれた神官にアランが答える


「フンっ、お前は怪我をしても、回復などしてやるか

 俺の奇跡は、ジムさんと姉御用だ」

「ングググ!なにを!」


 会話だけ聞いていれば、喧嘩の様に聞こえるが、誰も慌てないところを見ると、いつものやりとりのようだ


「ほっ、スミスがそう言うなら、アラン、オメェは、後ろに下がってなきゃなw

 怪我でもされちゃぁ、誰も助けてやれんぞw」


 ジムさんに弄られ、"そんなぁ"と、嘆くアラン


「スミスさん、兄をいじめないでやってください

 あぁ見えて、心は弱いんでw」

「アリアに言われたら仕方ないな、回復薬くらいはくれてやってもいいぞ」


 "ングググっ"と、唸るアラン、どうやら、今回の口喧嘩は、スミスと呼ばれた男の勝ちのようだw


「どうするジムさん、まだ潜るんだろ?」

「あぁ、今回は、かなり順調だしニールの考えたこのやり方だと、俺達の消耗が少ねぇからな

 次の階段の部屋で、今日は、野宿すっかの!」


 "だろぅ!"ニールを褒められて、自分の事のように喜ぶブレンダ


「よぉしアリア!次は、どっちだ!」

「右に沿っていく感じで行けば、階段の部屋に絶対行き着くと思います」


 "ヨッシャー!"と、張り切って進むブレンダにみんなが付いていく



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ここが、多分、地下5Fだな」


 隠し通路に入り進むが、モンスターの気配は、全く感じないが、緩やかな坂になっている通路を歩いていたら、俺の推測通り、等間隔で、壁の魔鉱石の違う場所があり、そこが、各階の階段の部屋と思われる事が判明した

 俺は、BBQ用の炭で、一応、壁にマークをしておく

 しかし、この隠し通路に入ってびっくりしたのが、通路の幅と高さだ、なんと、約8mくらいか?

 一体何のための通路なんだろうか・・・?

 そんな事を考えていると


「よくこんな通路見つけたわね?」


 暗い中でも聞くだけで心が和むようなフィスの声が耳に入ってきた


「あっあぁ、何となく、地図を眺めてたらね」


 地図を重ねたりしてたら、見つけてしまった事や、地下から念話で話しかけられた事などをフィスに話した


「じゃぁ、その人も私のように石化してるかもって事?」

「分からないけど、助けを求められたからね

 一応調べてみないとね」


 "ふぅん"と、答えるフィス


「しっかし、こうも何も出ねぇと、このままじゃ銀貨1枚分も稼げねぇぜ」


 タガートが愚痴った


「まぁまぁ、まだ、少ししか進んでないだろ」


 と、アイトがなだめてくれた


「ところで、私とイリナってダンジョン初めてなんだけど、これって、今が昼なのか夜なのか分かんないね」


 リネンの素朴な質問


「だよな、ずっと夜って感じだよな

 フィスさんは分かるのか?」


 タガートも、リネンに言われてそうだな!的に思い、1番の年長者に聞いてみた


「うん分かるけど、昼とか夜とか関係ある?」


 あぁ、夜目は効くし、1日なんて俺らの数秒、もしくは、瞬きの一瞬くらいにしか感じないエルフには愚問なのかもしれない


「まぁ、俺達には、やっぱり暗いのは、目視確認がしづらいから、キツイよな

 神経すり減るから、もう少し進んだら、休息を入れようよ」

「休憩賛成ですぅ!」


 イリナの元気な声に負けて、俺達は、地下6Fの階段部屋と思われる辺りで休憩する事にした



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「昔を思い出すなジムさん」

「あぁ、まぁだ、お前さんが、スライムから逃げ回っていた頃の事か?」


 地下26階の階段エリアで、休息をとっているジムが、乾燥肉を頬張りながら、左手をヒラヒラさせて、逃げ惑うブレンダを表現した


「ちげぇよ!

 オレとエレノアと3人でダンジョンに入っていた頃の事だよ!」

「ガハハハっ

 どっちにしたって、モンスターから逃げ惑ってただろうがw」


 頬を膨らませ、腕組みして、ぷんぷん顔のブレンダと、恥ずかしそうに舌を出すエレノアを見て、アランが、クククっと笑いながら


「久々っすね、姉御が楽しそうにダンジョンを潜るなんて

 俺、嬉しいっすわ!」

「フンっ、いつもお前が不甲斐ないからだろ!」


 スミスにダメ出しを喰らって"何を!"と、喰ってかかるアランだが、照れ隠しである事がバレバレだ


「ホントなら、あの人達も・・・」

 と、沈むような声でアリアが呟く


「そうだったなぁ

 アレは、前回のチャレンジだったか・・・

 一体、何処に消えちまったっちゅぅんだ?」


 ジムが、頭の片隅に仕舞っていた物を取り出すかのように呟いた


「カミラさんの出産前に稼がねぇとな!とか言って

 久々のチャレンジに勢いよく潜って行っちまったんだよなぁ」


 ブレンダが、ドノバンとの当時のやり取りを口にした


 前回のチャレンジが、おおよそ半年前、その時は、ジム、ブレンダのチームの他にも、いくつかのチームが、チャレンジに挑みしのぎを削っていたらしい


「ドノバンさんなら、これまでの階層のモンスターには引けを取らないと思うし、もっと下まで潜ったとしか思えないけど、あの時のメンバーって・・・」


 エレノアが、分析するには、ドノバンの実力は、かなりのものらしい


「あぁ、ええっと名前は忘れたが、剣闘士、ダークエルフ、女神官だったか?のパーティーに入れてもらったんじゃなかったか?

 回復がおるから、長丁場では有利だのぉ」


 ジムが当時を振り返る

 その時ジム達のメンバーは、ジムが、アリアとの2人組

 ブレンダは、エレノアとアランの3人組

 スミスは、ブレンダ達とは別のチームのリーダーをしていて、今回のように、みんなが通った通路の警備や荷物運びの護衛を買って出ていた


「ケイシーの野郎が居なけりゃ、もっと深い階層まで、安全に潜れたのに・・・」

「仕方ないよ姉貴・・・」


 つい最近まで、ここを牛耳っていたケイシーが、冒険者を苦しめていたせいで、ダンジョンの攻略、調査が滞っていたらしい


「半年以上も、ダンジョンの中で暮らすのは、難しいじゃろうが、もしかしたら、何かしらの理由で、出れねえのかもしれん

 せっかく、このメンバーで潜れたんだ、まだまだ行けるじゃろうから、ドノバンの野郎を探しながら進もうや?

 ヨシっ、少しくったら、仮眠をとろうぜ」


 ジムさんの言葉に、みんなが頷く・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よぉし!しっかり休んだし、そろそろ進もうか?」


 俺達は、地下7階(多分)の階段エリアを過ぎたくらいで、休憩をした


「そうね、さっさと終わらせましょ

 私もローズのお店に行ってみたくなったわ」


 リネン達に、ローズのお店での、面白いお客さんの話しを聞いて、興味が湧いてきてしまったらしい


「えぇ!フィスさんが、お店に出るんなら、俺も行こうかなぁw」


 フィスの事が大好きなアイトが、言うと


「ちょっと、お金使いすぎても、援助はしないからね!」


 と、ミサに嗜められ、肩をすくめながら、片付けをするアイト


「さぁ、どこまで続くか分からないけど、気は抜かないようにな!」


 みんなの頷く動作を装備の擦れる音で確認して歩き出す


 軽いとはいえ、構えたミスリル製の盾の重さが腕に伝わる


 夜目の効くフィスがいるから、安心はしているが、一応、俺も通路の奥を見据えながら進む・・・



 どれくらいの時間が経過しただろうか?


 地下19階(多分)の階段の部屋と思われる場所を過ぎた時、フィスが歩みを止め、口元に人差し指を当てながら、右手で後ろの俺達を制した


 何故か、左の腕輪の周りを風が軽く触れた気がする


 イリナがフィスの隣に並ぶ

 不思議だが、こんな時はイリナの鎧は、音がしないような気がする


「かなり奥だけど、何か居るわよ・・・

 まぁ、人や同胞では無さそうね」


 フィスの声に、緊張が走る


 ミサの掲げる灯りの届く範囲には、何も居ない


 しかし、向こうからは、こちらの灯りは分かってしまうだろう


 仕方ないが、その明るい範囲に俺達以外のものが入ってきたら、戦闘開始の合図だろうと、俺は思った


 音を立てぬように、ジリジリと進むフィスが、弓を構え弦を引き絞る・・・


 バシュン!と、放たれた矢は、意外にも螺旋のように弧を描き飛んでいき、暗闇に吸い込まれた


 ドサっ!


 暗闇から、何かが地面倒れ込む音がした


「シャーっ」と言う、声?音?


 が、複数あがった


「イリナ、私が打ち漏らした奴を頼むわね」

「はいですぅ」


 フィスが、次の弓を引き絞りながらイリナに注文を出す

 イリナも、食事処のウェイターのように返事をして、大剣を構える


「天井を張ってくるかもしれないから、リネンも準備しといてね

 ヒロ!2人を守ってよ!」

「うん!」「おう!」


 リネンは、返事と共に杖を構える

 俺は、気合いと共にミスリルの盾を構える


「来るわよ!」


 フィスは、掛け声と同時に矢を連続で放つ!

 連続で放たれた矢は、床、壁、天井とあたかも中央をあえて避けているかのように軽い弧を描いて飛んで行く


「多いわね」


 フィスは、笑顔すら浮かべているかのような、余裕の表情で、次々と矢を放つ


「ごめん、1体頼むわ」


 フィスが言うと、床を張ってくるような姿で走ってくる・・・トカゲ?

 爬虫類のような存在


「チェストぉー」


 ズドン!


 イリナの一撃で、2mを裕に超えるトカゲは絶命した


「リネン頼むわ」


 次は、天井を這って来るトカゲ!


「ファイヤボール!」


 俺の後ろでリネンが、気合いを入れると、俺の頭の脇から赤い何かが発射された


「うわっと!」


 その赤い玉は、天井を這って来るトカゲの頭に直撃!

 ドサっと落ちたところに、イリナの一撃!


「イリナ!

 疲れたら変わるぞ!」

「タガートさんありがとですぅ

 全然、余裕ですぅ!」


 後方から、弟のニールより若いイリナを気遣うタガートが、後方の通路を警戒しながら声を掛ける


「フィス!

 矢は足りるか?」

「うーん

 もらえるかしらw」


 笑顔さえ滲ませるフィスの背中の矢筒をマジックバッグから取り出した物と入れ替える


「皆!頑張って!」


 まだ、見守る事しかできないミサが、みんなに声を掛ける


「ミサ!ありがとう

 私は、平気よ!

 って事は、みんなも平気よねw」


 軽くウィンクしながらフィスに言われては、イリナも黙っていられない


「フィスさん!

 もっと獲物が欲しいくらいですぅ!」

「言ったわねw」


 ハッパをかけたつもりのフィスが、19年と言う、彼女に取っては、欠伸をしたくらいの時間の感覚しか生きていないイリナに言われて、逆に気合いが入ったのか、打ち損じが激減した


「フィス、俺が言うのもなんだけど、無理はするなよ!」

「あら、優しいのね」


 段々と、フィスの放つ矢の数が減ってきたので、疲れたのかと思い、戦闘初心者の俺が声を掛けてみた


「一旦、途切れたみたい

 ちょっと様子を見ながら進んでみましょw」


 構えていた弓を下げながらフィスが危険が去った事を告げた


「フィスさんすげぇな!

 殆ど1人でやっちまったんじゃねえか?」


 タガートが褒めちぎる中、俺達はゆっくり進んで行く

 足元には、大きなトカゲ・・・にしては、後ろ足が長い者達が無数に転がっている

 その殆どが、眉間に矢が刺さっている


 フィスの弓の正確さが凄すぎる

 絶対に怒らせてはいけない存在だと感じたw


「大丈夫よ、しばらくは、何の気配もないわ

 しかし、嫌な記憶が蘇るわねぇ・・・」


 フィスの言葉に一同が安堵をしながら、大きなトカゲから、魔石を抜いていく、しっかし、コイツらは、食べられるのだろうか?

 悩むなぁ・・・

 うん?待てよ、フィスの嫌な記憶とは何だろう・。・・


「嫌な記憶って何なの?フィスさん」


 アイトが、大きなトカゲの爪を剥がしながら質問した


「うぅん、言いにくいんだけど、私が、石化した時に、バジリスクと一緒にやって来たのが、この子達・・・リザードマンもどきだったのよねぇ」


 リザードマン?ってなったら、もう、二足歩行じゃんか!?

 いやいや、食えない食えない!


 ん?バジリスクって言った?


「え?バジリスクって、その、150年くらい前の時に、街を襲ったやつ?」

「そうねぇ

 あの時も、この子達が、かなり攻めてきたのよねぇ」


 一体どう言う事だろう、150年前のモンスターがここにいるって事なのか?


 いや、その時は、全滅させて、それからは、あまり襲われなかったって聞いたような・・・

 うーん分からない


「ねぇ、もしかして、この通路って、モンスターの通り道なんじゃないかな?」


 リネンが恐ろしい事を言う


 イヤイヤ、怖い怖い!


「それなら、今まで、もっと遭遇しても良かったんじゃないか?」


 俺は、リネンの発言を否定する根拠!など何も無いが、ただ、そうであってほしく無いために否定した


「そっそうだよ

 もし、そうなら、通路にもっと、こう、モンスターの痕跡って言うか、死骸とかあってもいいんじゃないか?」

「あら、ダンジョンなんだから、そんな物は、他のモンスターやスライムが綺麗にしてくれるでしょ」


 アイトも俺と同じ考えのようで否定したつもりだったが、これまでの経験(生きてきた年数)が尋常じゃないフィスにあっさり片付けられてしまった


「もしかして、この通路の奥底に、モンスターの巣窟があって、そこから、ダンジョンや世界にモンスターを排出してたりしたら面白いわねw」


 フィスが、そんな事を言うもんだから、みんなで通路の奥を見つめる


 どれくらいの見つめただろう

 また、どれくらいの沈黙が流れただろうか・・・


 何か聞こえる

 真っ暗な通路の奥の方から、反響に反響を重ね、何の音か分からないが、こちらに伝わってくる


「いる?よね?」

 どのくらい離れてるか分からないけど・・・」


 俺は、恐怖心を押し殺すようにフィスに問いかける


「ええ、そのようね

 ヒロ、その盾、大きくていいわね

 ミサ、あかりは、その盾の後ろで(とも)灯してくれる?

 そうすればみんな歩けるでしょ?

 イリナは、ゆっくりでいいから、足元に気をつけながら、私の後ろから着いて来れるかしら?」

「もう、目が慣れてきているから、大丈夫ですぅ」


 陣形は崩さず、出来るだけ、暗くして歩く事に決まった


 俺は、盾の覗き穴から、うっすらとイリナの動きに合わせて揺れる白い防具を頼りに摺り足のようにして進む

 フィスは、そんな俺に合わせるかのようにゆっくりと散歩でもするかのように進む


 やばい、キンチョーがMAXを振り切ってきた

 暗さとはこうも恐怖心を煽るものなのだろうか?

 フィスがいるから大丈夫だろうと心に言い聞かせても、盾を構える手には自然にちからが入る


 "ゴクリっ"


 誰かのツバを呑み込む音が伝わってくる


 永遠かと思う時間をかけて、俺達は、暗い通路を進んで行く


いつも読んでいただきありがとうございます

今回は、冒険者の村のダンジョンで、主人公が違和感を感じたところの探索になります

よろしくお願いします

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