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異世界で神(娘)と暮らし始めて嫁探し?  作者: 超七玉
サーヤ冒険者になる、ヒロ能力に目覚める
32/47

32、ヒロ、街の代表の前で、初めての?プレゼン?

32、ヒロ、街の代表の前で、初めての?プレゼン?



「ダメだぁ」

 

 ふぅ、つい、声に出ちゃう

 ヒロさんの来てた服の、このチャック・・・小さな金具を細かく縫い込んでて、少しほぐしたくらいじゃよく分からない

 こんなのどうやって縫ってるんだか、まったく分かんない・・・


 一体、どこの技術なんだよぉ!


 でも、でも、でも、これも凄い!


 手首の部分のこのパチっとハマるやつ!

 チャックにばかり執着してたから見逃してたけど、マジで凄い!


 何日か前に、クリスが凄い形相で入って来たと思ったら


「リリス!露出の少ない部屋着をこちらの2人に、今夜までに用意して!」

 って、後ろにいた綺麗なお姉さん2人を紹介してくれて

 クリスの必死な顔と1番後ろにいたヒロさんの困った顔を見たら、笑っちゃったんだけど


 その時に、ヒロさんから、どこぞのダンジョンで手に入れた大蝙蝠の羽根って言う素材と一緒にもらった

 この"ホック"って金具と、それを服に付ける道具


 ボタンより、嵌めるのと外すのが楽で、勝手に取れたりしない

 しかも、ボタンの様に、糸がほつれて外れたりしない優れ物

 寒い時にヤキモキしなくていいかも・・・


 まあ、服に穴を開けるってのが、ちょっと、仕立てる側としては躊躇しちゃうのと、その部分だけ、生地を厚くしないとダメそうだけど

 総合的には、最高だね


 ちょうど、ヒロさんの最初の服の、袖口、襟、ポケット、要所要所に付いてたんだよね


 しかも、ホックの予備も、山の様に持って来てくれて、ヒロさんって、ほんと何者なんだよ?


 あまりに嬉しかったんで、クリスには悪いけど、あの2人のお姉さんの部屋着は、ちょっとセクシー仕立てにしてあげたよ

 聞いたら、何故かクリスもヒロさんちに寝泊まりしてるらしいから、クリスの分も作ってあげたから、文句はないだろ?


 それと、この大蝙蝠の羽根は、凄い伸縮だな!

 しかも、全然破けない!

 獣臭さもあまりないし、洗って乾燥してみて、上着の素材に使えたら儲けもんだ

 まぁ、チャックの事は置いといて、ヒロさんには、また試作で上着を作って着てもらおうかなぁ


「おーいリリス

 こちらのお客様の裾上げを頼むよ」


 おっと、仕事だ!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 今、俺は、ドムさんの店の工房にいる

 街の代表に氷の製造と保管を教えてほしいと言われたが、ルイスの考えで、度肝を抜く様な事をしてみてわ?

 って事で、あれから、7日、強度、重量、構造と、試行錯誤している


「ふふふ・・・ふはははは」


 やってやったぜ!

 流石に前の世界の冷蔵庫までとは言わないが、俺の肩くらいまでの大きさ!

 幅は120cmくらい、奥行き80cmくらい

 まぁ、1枚扉だけど

 

 中は、4段構造


 これなら、文句ないだろ?

 お披露目が楽しみだよ


 扉のパッキンがないのが難点だけど、そこはドワーフのドムさんの細工の技術!

 扉の蝶番ちょうつがいのガタを極力無くし、強度や摩耗も考慮して魔鉱石(青)を惜しみなく使う

 扉の合わせ面には、凹凸おうとつの噛み合わせで、隙間を無くし、冷気の漏れは無い

 簡単な、鉤爪ロック構造で、勝手に扉は開かない

 完璧な仕上がりだ


 そして、氷保管&運搬用の冷凍庫!

 こちらは、上扉型の横200cm、縦100cm、高さ(深さ)100cmの置き型タイプ

 両方とも、この大きさだと空っぽであれば、俺とタガートでも余裕で持てる

 中身が入ったら、ドムさんなどの怪力でもないかぎり、持てなくなるかな?


 冷蔵庫の改良版で、エールの樽を丸ごと縦置き収納出来る冷蔵庫も作っちまったぜ!

 こちらの扉は、上下2段で、下側の扉の高さは30cmくらい、下の扉を開けたら、バルブに筒状の木を刺して、バルブを捻れば、エールがカップに注げる仕組み!

 扉を全開にしないから、冷気も逃げにくい!


 ドムさんも欲しがったが、ライリーと俺で猛反対!

 "こんなの置いといたら、仕事にならない!"ってね


 そして・・・


「ヌフフ・・・ぬふふのふ!」


 今回は、これだけじゃねぇぜ!


 街の代表にクリス商会を売り込む絶好のチャンス!

 ルイスの売り込み案だけじゃ物足りないと思って、俺は、最初から、特製の荷車の製作をドムさんに提案してたんだ!

 そん時のドムさんは、目をまん丸くして喜んでたな


「それだよ!それ!

 荷車の車輪の様なデカいモンを鉱石で作る!

 そういう、デカくて難しい事がしたかったのよ!

 ワシが作るには、叩いて、薄く延ばして、曲げて、繋げて・・・

 出来なくはねぇが、相当面倒くせぇんだ!

 おうヒロ!

 車輪と車軸は任せたぞ!

 後の加工は、ワシに任せろ!」


 あの時のドムさんは、マジで、目が輝いてたなw

 多分、もう、3徹くらいしてんじゃないかな?w

 


 そして、それから3日後・・・・

 俺達は、クリス商会に集合した


「みなさんご苦労様でした

 この度、ヒロさんの好意で、冷え冷え箱改め、冷蔵庫と冷凍庫をクリス商会で取り扱える様になりました

 そして、街の代表であるレイモンドさんに、氷の製造と保管、また、この2つの商品をテイラー商会として紹介出来る機会をいただきました」


 そこで、クリスは1度言葉を止めて、集まった者達を見る


 俺、サーヤ、ドムさん、イリネと、リネン、それとローズさん

 最後にルイスに頷き


「今回の機会を必ずものにして、テイラー商会とヒロさんの名を世界に!」


 警報!クリス暴走開始!


「コホンッ!」ルイスの咳払いで、なんとか暴走は止まるw


「はっ!

 えっと、とにかく・・・

 さぁ、行きましょう!」


 荷台の骨組み、車輪、車軸を魔鉱石で仕上げた荷車は、馬の4頭引きだ


 荷車は頑丈な分、重量もあるが、車輪と車軸の駆動部は、俺が寝る前にしっかりと寸法を頭に叩き込んで、寝ながら作った、クリアランス0.10mmの滑り軸受!

 魔鉱石(青)は、摩耗知らずの半永久の滑らかさ(多分w)

 車輪の外径には、ドムさんが、3徹かまして刻み込んだラジアル模様!

 しっかり路面を掴むので、車輪の空回りはない


 荷車の手綱を握るのは、ルイスだ


 俺達は、大通りを街の中央区画に向かって闊歩していく!


 太く長い大通りを進む事数分、行政区の入り口でレイは待っていてくれた


「やぁ、ヒロ!

 随分大所帯で来てくれたね

 待ち遠しかったよ!」


 レイが手を振りながら、出迎えてくれた


 予め、アポは、クリスの方で取っていてくれた為、日は空いてしまったが、無礼は無いと思う


「待たせてしまって申し訳ない

 こちらが、俺のパートナーのテイラー商会のクリス」

「初めましてレンモンド様

 テイラー商会代表のクリス・テイラーです」


 まずは礼儀として俺達から紹介していく


 レイもクリスも、これからの意気込みか、しっかりと握手した


「こちらに控えているのは、ルイスとサーヤさん

 サーヤさんは・・・」

「あっ、俺の・・・養女だ

 今日は、テイラー商会の一員で来てもらった」

 クリスが、ルイスとサーヤを紹介してくれた

 俺は、サーヤを養女と言ってしまったが、別に構わないだろう

 一緒に暮らしてるんだし、神だと言うのは、俺とドムさんしか知らない事だろうし



「それと他にもパートナーとして、既に顔見知りと思うが、ローズさん、そして、鍛治屋のドムさん」

「先日は、失礼しちゃって・・・」

 "いえいえすいません"


 レイとローズさんは、ちょっとバツが悪そうに挨拶した


「久方ぶりですね」

「おう!一端いっぱしの顔つきになってきおったな」


 レイとドムさんが、ガシッと抱き合う


「えぇ、あの頃の俺よりは、少しは成長してると思いますよ」


 聞けば、冒険者をしていた頃にドムさんやジムさんに世話になっていたそうだ

 それを聞いて、少し気が楽になったな


「そして、イリナとリネン

 俺の冒険者仲間であり、ちょっと今回の案件と関係があるので来てもらった」


 こういった場所が不慣れなのか、連れられて来たロボットのようなイリナと緊張気味のリネン



 紹介のターンが変わってレイサイド


「俺は、レイモンド、一応街の代表をしている

 彼女は、オレより代表の仕事をこなしているジュディだ

 細かい事は、彼女なら、ササッとなんでも片付けてくれるぞ」

「レイモンドさんご冗談は、おやめください

 副代表兼秘書のジュディです」


 ジュディは、いかにも秘書って感じのキリッとした態度、そして、服装は執事のようなピッタリ目の服装で、もあ、出るところが、惜しみなく出ていて、素敵な女性だ!

 見てるだけで幸せな気持ちになるよ・・・


「こちらは、以前、連絡があった時に、魔法使いもいてほしいって言うから、来てもらった

 魔術学院のエイミーだ」

「ライフィス魔術学院学院長のエイミーよ

 よろしくね」


 エイミーと紹介された女性は、西中央区の魔術学院の学院長さんらしい


「そちらの魔法使いさんの持ってる杖って・・・」

「あっ、これ、師匠からもらった物です」

 "あらそう"と、答えたエイミーが、少し笑顔を見せてくれた




「まぁ、立ち話もなんだし、オレの屋敷に行こう」


 レイの号令で移動が始まった

 みんなそれぞれ、話しながら歩き出す


「なぁヒロ、俺は、すぐ来てくれるものとばかり思ってたんだが、あの荷車はもしかして・・・」

「あぁ、俺は、あまり説明が得意じゃないんでね、実物を見てもらおうと思ってね

 それに、これだったら、街の人に活用されるんじゃないかな?とか

 流通に使えるんじゃないかな?

 って、感じで、一応、試行錯誤してきたよ」


 まぁ、見てのお楽しみと、ここでは、オブラードに包んでおいた


「レイモンド様の意向に添えれるよう、テイラー商会として尽力させてもらいました」

「ありがとうクリス、レイで構わないよ

 本当に楽しみだ」


 レイが満面の笑みで、期待してくれている



「ちょっと、リネンさんよろしいかしら・・・」

「はい、何でしょう・・・学院長さん」


 魔術学院学院長エイミーが、久々に会った知り合いにでも話しかけるように、優しくリネンに話しかけた

 しかし、リネンは、エイミーの事など知らないので、よそよそしく反応する


「ちょっと気になったんだけど、その杖をくれた人って・・・」

「カミラさんです」


 その名を聞いて、エイミーは、少し驚いたが、すぐさま笑顔になり


「あらら、ならば、あなたの実力は、相当な"モノ"なんでしょうね?w

 カミラの修行は、大変だったでしょう?」

「えっ?カミラさんの事、知ってるんですか?

 もぉ、今でも、会いに行くと、すごぉくしごかれるんです」


 渋い顔で答えるリネン

 エイミーは、笑顔のまま、リネンの話を聞き


「実は、私が初めて受け持ったクラスの中で、1番ヤンチャで、それでいて優秀だったのが、カミラなの・・・

 何をやらせても1番で、魔法もすぐに覚えて、もう私が教えることなんてなかったわ

 でも、卒業を控えたある時、クラスでイジメがあってね

 孤児院から来ていた子が、裕福な家庭の子に嫌がらせを受けてたらしいのよ

 それが許せなかったカミラが、嫌がらせをしていた子達を全員やっつけちゃって、怪我までさせちゃったの

 やられた子達の親が学院に押し寄せて来て、大騒ぎになっちゃって・・・

 結局、カミラは卒業を前に自分から辞めるってなっちゃってね

 だから、カミラは学院を卒業出来ていないの・・・

 でも、私の元を卒業した証に、その杖をプレゼントしたの・・・

 私が愛用していた、母の形見の杖をね・・・


 あぁ、懐かしいわぁw」


「え?形見だなんて、そんなに大切な杖だったんですか?

 カミラさんは

 "杖くらい、ちゃんとしたのを持たなきゃダメだ!"

 って、カミラさんが使ってたこの杖をくれたんです

 自分は、新しい杖が欲しいとか言って・・・

 おっ、お返しした方がいいですか?」


 リネンは、貴重な杖と知り、自分が、持っていていい物か分からないので、返そうと思った


「あの子らしいわね・・・

 私があの子に託した杖を

 あの子があなたに託したって事は、それが、どういう事か分かるでしょ?

 照れ臭かったのよw

 大丈夫、きっと母も喜んでるわ」


 しばらくリネンは、杖を見つめて、その後強く抱きしめた


「わっ、分かりました

 大切にします

 それと、もう少し、カミラさんにしごかれてみようと思います」

「それがいいわ

 でも、もし次にキツすぎたら、私の名前を出していいわよw」


 "はい!そうします"と、元気に答えるリネンをみて、エイミーは笑顔で、頷き返し、優しくリネンの肩に手を添えた


 隣で、何だろう?と、心配そうに見ていたイリナも、ホッと、鎧の胸部を撫で下ろした




「随分、頑張ったそうね

 これが終わったら、店に来てくださいな

 労うわよ」

「おっ、おう

 ありがてぇな、そうさせてもらおうかな

 それと、店の方の箱は、異常ねぇか?」


 ドムさんが、ローズの店の冷え冷え箱改め、冷凍庫の調子を聞く


「えぇ、大丈夫よ!

 こないだはリネンが魔力の注入をしてくれてね

 そうそう、あの2人も暇な時に来るように言っといたから、賑やかでいいわよ

 でも、ホント、ヒロさんとドムさんには感謝しかないわ

 あぁ、でも、少し憂鬱なのよぉ

 私、以前、レイモンドさんって知らずに頭をはたいちゃってさ

 ドムさん、どうしようかしら、私、レイモンドさんを見れないわ」

「ガハハハっ

 らしいなwみんな知っとるぞ!

 流石は、ローズだ!ってなw

 まぁ、アイツの事は、駆け出しの頃から知っとるが、安心しろや

 そんな小さえ奴じゃねえさ

 じゃが、今日は、はたくなよw」


 "もう、ドムさんったら"

 バン!と、背中を叩かれたドムさんw


 その音にびっくりして、何故か、レイが首を引っ込めたw




「サーヤ、今日は、クリス様、ヒロ様の大切な日です

 私達も、頑張りましょう」

「うん!

 でも大丈夫かなぁ、オジサン失敗しないかなぁ」


 サーヤは心配そうに御者台から見つめる


「ヒロ様なら大丈夫でしょう

 上手くいけば、その後は、みんなで食事を楽しめるはず

 片付けで、ジョージも来るでしょうから、案内の方、頼みますよ」

「うん、分かった!

 この装置、気に入ってもらえるといいなぁ」


 サーヤは、御者台から振り向いて、色々な装置達を不安そうに見つめた




 レイの屋敷は、そんなに離れていなかったが、結構高い塀で囲まれ、警護もしっかりされた屋敷だった


 中庭には、大きめの東屋?とでも呼んだらいいのか、ガゼボとでも言うような、屋根があり、その下にテーブルがあるオシャレな設備がある

 そこで今日の会談が、行われるらしい


 ルイスとサーヤ、そしてジュディ以外が席に着いた

 サーヤはルイスと俺の助手だ


 レイのメイドさんが、お茶の準備をしてくれた


「では、これより、氷の製造、およびその保管法についての説明をテイラー商会にしていただきたいと思います」


 おっと、お堅い感じだ

 ジュディが、ビシッと場の空気を引き締めた


 そうだよな、レイは、街の代表だもんな、俺らは、プレゼン側なのを忘れちゃイカンイカン!


「ありがとうジュディ

 でも、今日は、もっとフランクに行かないか?

 まだ、1度しか会ってないが、ヒロやクリスとは、長い付き合いになる気がする

 それに、あまり堅苦しいと、違う意味で、ローズさんにまた、はたかれそうだw」


 "ちょっとレイモンドさん、許しておくれよ"と、ローズさんが、顔を真っ赤にして詫びる

 テイラー商会側の全員が笑いを堪えている

 しかし、ローズさんには申し訳ないが、今のレイの一言で、かなり場が和んだ・・・流石だ


「じゃぁ、出し惜しみも悪いから、お披露目と行こうか!」


 俺は、そう言いながら、東屋の脇まで寄せた荷車の後ろのシートをめくった

 まず、見えるのは冷蔵庫だ


「ん?」

 レイが、眉間に皺を寄せて見ている


 フン驚くのはこれからだ


 まず、荷車の後ろの両脇に立っている筒から足を出す

 クレーンのアウトリガー的な感じでね


 その間にドムさんが台車を組み立てる


 後ろの大きめのアオリを倒すと、それがゲートになる

 俺とドムさんで、重い冷蔵庫をゲートまで移動させる


 ゲート脇の四角穴にハンドルを取り付け、ゆっくり回す


 冷蔵庫の乗せたゲートが、ゆっくり下がる


「おいおい、なんて芸当だよ

 すごいな!」


 レイには、分かって貰えたかな?

 ヨシ、ツカミはOK!


 さて、冷蔵庫を台車に移し、みんなの前まで移動させる


 続いて、冷凍庫も同じ要領で、みんなで見れる場所まで移動させる



「さてと、この縦長たてながの箱なんだけど、名前は"冷蔵庫"って呼ばせてもらおうと思う

 こちらの横型の箱は、"冷凍庫"と呼ばせてもらうよ」


 まず冷蔵庫を開ける前に、最上段の氷のトレイと同じ物をテーブルに置き

 そこに、サーヤになみなみと水を入れてもらう


「装置の説明に入る前に、まずは、氷の作り方だけど、エイミーさんなら、簡単に作れると思うけど・・・

 リネンお願いしてもいいかな?」

「うん、分かった」


 リネンが、トレイの水の上に手のひらを掲げ、静かに目を閉じる


「あら、わざわざ水を凍らせるの?

 氷なら、念じれば出せるし

 実際の氷なら、冬になれば、北の山の向こうの湖で、毎年、勝手に出来るわよね?

 冷やすだけなら、氷は要らないんじゃなくて?

 魔法で、一瞬で冷やせるし・・」

 

 エイミーが不思議そうな顔で問いてきた


「ん?そうだけど、氷を商売にするなら、実体があって、冷やす事に使えて、食べれて、そして溶けたら水として利用出来るのが、氷でしょ?

 って事で、本物の氷を作れたらいいんじゃないかなぁと俺は思ったんだけど・・・」


 あれ?こっちでは、今まで、氷を自分で作るって考えなかったのかな?


「ほら、綺麗な水を凍らせれば、綺麗な氷が出来るよね?」


 そんな話しをしていると、やはり氷魔法が得意なリネン、透明の綺麗な氷が出来た!


「流石リネン、綺麗な氷だね」

「ありがと」


 凍ったトレイをみんなに見せながら、リネンを褒めた

 エイミーが、"へぇぇ"と、何に対してか分からないが、感嘆の声を出した


「まぁ、氷を自分で作る事をどう思うかは別として、湧き水なんかの綺麗な水をこうやって、魔法で凍らせれば食べれる氷が出来るっていう、理屈はいいかな?

 じゃあ、ルイス、サーヤ、次の物よろしく?」


 俺は、出来立ての氷をトレイから取り出しながらルイスとサーヤに声を掛ける


 ルイスが、何やら、上部にハンドルの付いた装置を持ってきて、テーブルの上に置く

 サーヤは、食器や色々な瓶を持ってきた


 俺は、ミスリルナイフで、出来たての氷を割り、形を整えて、ルイスの持ってきた装置の真ん中に氷を置き、上のハンドルを回し始めた

 次にサーヤが、小鉢のような皿を持ってきて、装置の下で削られた氷を受け止める


 そう!かき氷だ!


「作った氷を削ってるのか?」

「あぁ、水は、物を洗ったり、飲んだり出来るよな?

 じゃぁ氷は?冷やすだけ?

 いいや、食べれるんだなぁこれが!」

 レイの疑問に、分かりやすいように答えてみた


 続いてサーヤが、小鉢に盛られたかき氷に、擦ったイチゴのような果物を果肉ごと乗せ、冷えた牛乳を少しかけて、砂糖も少しまぶす


「さぁ、レイ!

 まずは、騙されたと思って食ってくれ!」


 サーヤが、スプーンを差して、レイに渡した

 ジュディが、眉間に皺を寄せ、レイに近付くサーヤをを止めようとしたが


「分かった、騙されてみるか!」


 レイが、サーヤからかき氷を受け取り、知ってか知らずか、少し混ぜてから、ゴッソリすくって食べた


「うぉっ!冷たっ!甘っ!」

 と、叫んで、飲み込んだと思ったら、急に、


「ぐはっ!いっでぇ!」


頭を抑えて悶絶し始めた


「レイモンド様!」

 と、側に控えていたジュディが、駆け寄る


「あなた!何をしたのですか?

 毒でも混ぜたのでしょう!」


 と、俺を睨みつけ、既に手には小型の剣を握って俺に身構えた


 一瞬、みんながイスを引いたが


 ゆっくり、レイが手を挙げてジュディを制した


「まっ、待て

 うぅぅっ、こみかみがイテェ!

 でも、冷たくてうめぇ!

 こりゃ一体なんなんだ!」

「かき氷です!

 氷が無いと作れない、オジサンと私の生まれた里の夏の風物詩です

 一気に食べると、頭がキィーンと痛くなっちゃうけど、甘くて、冷たくて、暑い日には最高なんです!

 色んなフルーツがあるから、みなさんも食べてください」

 

 次から次へと出来上がる、かき氷に果物や、餡子、牛乳や蜂蜜!と、色々なトッピングをして食べてもらう


「最初は、少しずつ食べてくれ!」

「おいおい、先に言ってくれよ!」


 俺の忠告にレイがボヤく

 "あれ?言ってなかったっけ?"と、とぼける


 エイミーやジュディが、恐る恐る食べる中、クリス、イリナ、リネン、ローズは、既にかき氷の虜になっていたため、自分で好きな果物を掛けて食べ始める


 そして、みんなで、こめかみを叩くw


「ふん、甘ぇもんはガキの食いもんだろ?

 早くエールをくれ!

 暑くてかなわんわい」

 ドムさんは、1度食べて、あの頭痛で、もんどり打った経験があるので、理由をつけて食べようとしないw


「あら、美味しいわね?

 氷にこんな食べ方があったのは、知らなかったは」

「はっはい、最初は、痛かったですが、慣れてくると、この痛みも、快感かもしれませんねw」

 エイミーとジュディも喜んでくれたようだ


「リネンの魔法でも試したが、食べる前に無きなったり、削ってる途中で無くなったりしてたんだ

 やっぱり、喉越しと、腹から体を冷やすのと、あの頭痛は、本物の氷じゃないとなw

 こんな感じで、氷の作り方と、暑い日こそ氷が必要な事は分かってくれたかな?」

「ええ、これは、絶対に必要だわね」


 エミリーが、少し関心を持ってくれた


 そして、やっと冷蔵庫の紹介だ

 まず、扉を開けて、最上段の説明


「ここにさっき作った氷のトレイを置き、隣に、氷の魔力を注入した魔石を置く

 すると、この氷は溶けない、と言うか、非常に溶けにくい状態を保てるんで、いつでも氷として使える

 冷たい冷気は、下に落ちる習性があるので、2段目は、凍るか凍らないかの温度になるんじゃないかと思う

 格段の棚板は、小さな穴がたくさん開いているから、冷気は、キチンと下がっていく

 で、この2段目に肉や、魚を小さなトレイに入れて置いておくと日持ちがする

 別に1段目を広くして、食材をしっかり凍らせてもいい


 3段目は、鍋とかを作って、余った物をそのまま入れてもよし!

 傷まないから、取り出して、また、火にかけて温めれば食べれるし

 逆に、冷やしながら、味を染み込ませる料理方法もあるくらいだから、覚えておくといいよ!

 んで、1番下は、野菜室ね

 まっ、エールの小樽くらいなら丸々3段4段に入るかもね」


 俺は、格段の棚板を外してずらしてみせた


 既にレイは立ち上がり、中に入っている食材などを実際に手に取り状態を確認している


「おい、なんてこった!

 1番上と1番下では、確かに少し冷たさが違うぞ!

 それに、入れてある食材が、全部冷たいぞ!

 変色もしていない!

 って事は、傷んで無いって事だよな」

「あぁ、そう言う事だ

 よく、野菜や氷は、洞穴や地下に穴を掘って、室?(むろ)だっけか?

 そこに保管する方法もあるけど、これが家庭にあれば、食材を頻繁に買いに行かなくてもいいし、料理の作り置きも出来るって事ね」


 レイが頭を突っ込んだりしながら、また、手を入れたりして確認している


「ふーん

 これ、もしかして、デザートやスイーツも入れて保管出来ちゃうのかしら」

「勿論です

 うちの近くの"ダ・ンゴーレ"で、購入したスイーツも、冷やしておけば、わざわざ買いに行かなくても、数日は楽しめます」


 クリスの説明に、エイミーとジュディの目が光る


「あら、"ダ・ンゴーレ"のスイーツが、何日も楽しめてしまうの?」

「そっそれは、由々しき事ですね!

 もっ、もしかして、クリスさん、今回、"ダ・ンゴーレ"のスイーツなどは・・・」


 エイミーとジュディも、クリス御用達のあの店のスイーツは好きなようだ

 それに、今回クリスはちゃんと・・・


「勿論、ご用意してあります

 しかも、シェフに頼んで、冷やしても美味しい物を厳選して頂きましたので、後ほどお召し上がりください」


「はうっ」

 エイミーが、少し、腰をくねらせた


「レイモンド様、早く商談を終わらせて、スイーツを食べましょう!」


 よーし!女性陣は、落ちたな!w


「おっ、おぉ、楽しみだな」


 レイが少し引き攣った顔をしている


 次は、レイを落としにかかるかな?

 俺はおもむろに、扉の内側に並べられていた、カップを取る


「はい!

 コレ、蓋付きのカップ!

 まっ、作り方は、企業秘密だけど、ちょっと回すと蓋が取れるんだ

 まだ、試作品で、横にしたら、ちょっとこぼれちゃうけど、加工次第では、結構、密封出来ると思うんだよね」

 と、カップをレイとドムさんに渡す


「これこれ、コレを待っとったんじゃ」


 ドムさんは、カップを受け取るや否や、一気に中身を飲み干す


「っかぁ!どうだレイ!美味かろうが!」

「ぷっはぁ!分かってるぅ!

 この美味さと冷たさ!

 これが飲みたかったのよ

 いやぁ、すぐなくなっちゃうな」


 既にローズさんが、荷車にセットされていた、丸ごとエールの樽を入れ込んだ冷蔵庫の扉を開いて、次のエールを今度は、大きめのカップに注いでいて、レイとドムさんに渡す


「エイミーさんは、こちらが合うかしら」


 ローズがエイミーに手渡したのは、カップに大きめの氷を入れた、ブランの果実水割り!


「いただいてみるわ」


 ローズに渡された果実水割りを1口飲んだエイミーは、目を丸くした


「あら、飲みやすい!

 こんなに飲みやすくて美味しいなんて、何杯でも行けちゃいそうだわ?」


 かき氷の食器を片付けているルイスが、人目もはばからず、俺に向かって、グーポーズをしてきた


「ジュディさんは、お仕事中なんでこっちは、いかがですか?

 薄めにしてあるので、酔わないらしいですよw

 飲んでみてください」

 ジュディがサーヤにすすめられて飲み始める

 ジュディは、酒だと聞き渋々口を付けたが、あまりの飲みやすさに、2口目には一気に飲んでしまった



「最後にこっちの冷凍庫は、上の扉を開ければ、ガッツリなんでも入るし

 棚板で区切ってもいい

 今回は、予め、俺とリネンで作った、適当な大きさの氷を何個も入れてある

 勿論、氷魔法をしっかり注入した魔石を入れておけば、中々溶けやしないし、2つ入れたら、入れた食材を全部凍らせる事だって出来る

 まぁ、何でも凍るって訳ではないと思うけどね

 冷蔵庫も冷凍庫も、魔鉱石で作ってあるから、魔力と相性がいい・・・と、思う

 勿論、氷だけでなく、凍らせないと運べない物、鮮度を保ったまま運びたい!

 なんて事も可能だ!」


 そして、俺は、荷車に近づき

「そして、この重い物達を運んで来た、この荷車の骨組み、車輪、車軸、アオリ兼ゲートも・・・」

「魔鉱石か?」


 俺が言う前にレイが答えた


「ドムさん!俺の記憶では、魔鉱石をこんな形に成形するなんて、いくらドワーフのドムさんでも、難しいんじゃないかな?

 それに、そうそう良質の魔鉱石を集めるのだって、運ぶのだって大変だろ?」


 レイが捲し立てるようにドムさんに詰問する


「・・・・

 フン、よく知っとるな


 運搬は、人手を出すか、マジックアイテムがあれば何とかなるじゃろうが

 他は、あれだ、大きな声では言えんが、ヒロ特有のスキルのおかげだ

 しかし、ヒロのスキルは公にしちゃイカンと思うとる

 魔鉱石がこうも簡単に加工、成形されちゃぁかなわん

 すまんが、ヒロだから作れるって事で、受け止めて欲しいワイ」


 ドムさんは、既に5杯はエールを飲んでいたが、急に真面目に俺の事を説明してくれた


「実は、私も、詳しくは知りません

 でも、ヒロさんの事は、このテイラー商会が保証します

 ヒロさんのスキル、技術を悪用、及び他の街への流用は、絶対無いと言い切れます

 ただ・・・ヒロさんは、御自身には、色々と、その自由過ぎるというか・・・」

「ん?クリスどうした?

 ヒロは、自分には?って、どうにかしちゃうのか?」


 クリスが言い淀んだ事をレイがいぶかしむ


「あぁ、こう言うこっちゃろ?」


 と、ドムさんが、俺の上着を無理クリ脱がせて


「どう思う?

 こやつは、ミスリル製の鎖帷子を自分でこさえやがったのよ

 こんな細工、作れん事はないじゃろうが、こんなの作っとったら、他の仕事が出来んくなる

 飯の食い上げじゃワイ

 あぁ、あと、この小手もな!」

「いやぁ、俺、武芸は皆無だから、せめて、防御だけでもと思って・・・」


 ドムさんに脱がされて、つい恥ずかしくなってしまったテヘペロw


「ぷっははははっ

 ヒロって凄えんだな!

 もしかして、全部、ヒロのスキルと発明か?

 参ったなぁ、スキルなら仕方ないな、ヒロしか作れないって事だろ?

 で?テイラー商会を通す理由は、こないだ言ってたパートナーだからか?」

「いえ、冷蔵庫や冷凍庫、果ては荷車の製作の窓口を私どもテイラー商会にする事で、ヒロさんの事を公にせずに済むかと・・・

 それと、必要に応じて、魔石や魔鉱石の入手、魔石への魔力の注入や氷の作成をレイ・・さんの方で、依頼したり、発注していただければ、制作に掛かる費用を抑えられるかと・・・

 レイさんが、街の商品として売り出すか

 また、私共も取り扱って良いかは、お任せします」


 レイは頬杖をつきながら、エールの入ったカップをゆっくり傾けて覗き込んでいた


「ふぅん、そして、俺が利益を乗せて売ってもいいってか?

 てっきり、今回のは、テイラー商会の方で、冷蔵庫の独占販売をしたいとかの話かと思ってたんだけど・・

 まさか、共同開発、共同販売って・・・・

 となると、エイミー?」

「えぇ、魔石への魔力の注入や氷の作成など、うちで教育がてら学院生にさせられるかもね

 勿論、しっかりとした品質は管理するし

 注入した魔石や氷を買い取ってもらう形にしてもらうと学院の運営が助かるわね

 街の予算だけじゃ足りないのよねぇ

 近頃は、学院生の親御さんが、善意って事で、寄付をしてくださるから助かってるけど

 その反面、学院生の確執が生まれちゃってるの、その改善にも繋がるわね」


 エイミーが、意味深にリネンを見ながら提案してきた


「ほぉ、まずは、その金持ち連中から、巻き上げるかぁ?w」

「レイモンド様!お言葉に注意してください!」

 レイの発言をジュディが注意する


「そう言ったお金持ちさん達を大人しくさせるのは、あなたの仕事でしょ?

 そんな方々のせいで、素質ある子を手放した私の身にもなってよ」

 エイミーは、隣に座るリネンを見て言う


「そうだわ、リネン、さっきの魔法は素晴らしかったわ

 今度、学院に遊びに来てみる?

 なんなら、先生をやってみる気はない?

 あなたなら大歓迎よ」

「えっ?学院長・・・私がですか?

 ありがとうございます

 とても、うれしいです

 でも・・・まだまだ、未熟ですから・・・」


 嬉しかったのだろうか?リネンが満面の笑顔だ


「そうそう、ところで、そちらのお嬢さん達が、一緒なのは、なんでなんだい?

 まさか、街の中で荷車の護衛でもないんだろう?」

「あぁ、もし、魔法使いの人がいなかったらと思い、呼んだのと・・・

 さっきのエールは、美味かったよな?」


 覗き込んでいたカップが空になっていて、ローズが新しいカップを持ってくる

 それを一気に飲んで


「ふひぃ!

 勿論、最高だ!これはたまらない

 このエールと2人が関係あるの?」

「あぁ、大アリだよ!

 2人の故郷で作られたエールだよ!

 まずは、このエンパラのエールがないと、この最高のエールは味わえない

 レイには、エンバラに行って、実際に村を見てもらって、もっと生産とか増やせたら、エンパラのエールをライフィスで近隣の街に流通させられるんじゃないかなぁ・・ってな

 それで、2人が居たら、交渉はより良い交渉になるかなぁって思ってね」

 


「ギャハハ!

 こんなに何でもかんでも、してやられるのは、初めてだよ!

 ヒロ!ホント凄いよ!

 フィスの件と言い、冒険者の村の件と言い

 参ったよ

 それに、この美味いエールも俺に委ねてくれるのかい?」

「オホンッ

 誠に申し訳ありませんが、テイラー商会は、先日、機会がありまして

すでに永久的な契約をエンバラと結んでおります

 ですので、私どもテイラー商会も、エンバラの生産拡大に協力させてくださるとありがたいです」


 ぶぅぅっ!と、口の中のものを吹き出すレイ


「っかぁ、クリス!抜け目ないな!

 仕方ないか、そこの出身のお2人さんは、元々クリスやヒロの仲間だもんなw

 まぁ、それでも、このエールはまだまだ売れる事は間違いないだろうから、実に面白い話だね」


 レイは、気分がいいのか、さらにエールを煽り、少し目を瞑り何かを考えるような仕草をした


「ならば、イリナとリネンだったかい?

 故郷の長に、仕入れの話やエールの製造拡大の話しとかを俺が直接出向いて相談しても大丈夫かな?」


 イリナとリネンは、顔を見合わせて喜んだ


「勿論ですぅ!」

「はい、小さな村なので、レイモンドさんが、手を差し伸べてくれたら、村のみんなも喜びます」

「ははは、そうかありがとう

 2人も俺の事はレイと呼んでくれ!

 ヒロの仲間なんだろ?

 もう、俺達も仲間だ

 それと、リネン・・・、エイミーの申し出にも前向きに考えてやってくれるかい?

 エイミーには、いつも、色々と助けてもらっているんでね」

 "わっ分かりました"と、町の代表直々の申し出に、恐縮するリネン

 そんな姿のリネンは見た事ない、うん可愛らしいw


「と、ここまで聞いていて、正直驚きを隠せないんだが

 ジュディ、もう、あらかた計算したんだろう

 どう見る?」

「少なく見積もっても、まずは、冷蔵庫を何台か製造して、富豪の皆様に、高値で提供し

 それを元手に量産

 冷凍庫の活用でこれまでにない食材や物の流通が計れる

 魔石は、継続的に魔力の注入が必要と思われるので、定期的な収入も望める

 それに伴い人手も必要になり街の就労率も上がり、さらには、冒険者ギルドや魔術師学院への依頼の拡張

 敷いては、新たな街への流通経路の拡張なども視野に入れられるかと・・・

 全てにプラスはあっても、マイナス面が見当たりません」


 レイが深くため息をつき、自らの頬を叩いた


「くっ、本当は、作り方を知りたかったが、ヒロしか出来ないなら仕方がない

 クリス!定期的な購入依頼を出すから、不足の材料などは、その都度伝えてくれ、調整するし、作業分担などジュディと調整してくれ

 それと、ヒロ!

 俺ともパートナー、いや、仲間になってくれないか?

 男同士でしか頼めない事だってあるだろぅ?」


 ぐっ、街の代表が頼む事ってどんな事だよ

 黄金で出来た風呂とか?

 黄金で出来た甲冑とか?

 黄金で出来た踊り子の服とか?

 ちょっと趣味悪いな・・・


「喜んでそうさせてもらうよ

 スキルを深く追求されたらどうしようかと思ったんだけど、受け入れてくれて本当にありがとう

 近いうちにスキルを使うところは見せるからさ」


 と、大体の話がまとまってきたか?という頃合い、何やらいい香りがしてきたと思ったら、ルイスがBBQをしていた


 勿論具材は、冷蔵庫で保管していた物を使っている

 肉や魚、なんとイカのような生物もいる

 勿論、テイラー商会のツテをフルに使って仕入れた高級品だそうだw!


 俺のおにぎりも、何やら、色んな具材(・・・潮の香りがするぞ!)を乗せて、網焼きしている


「さぁ、一晩冷やしたシチューも火が通りましたぞ

 冷蔵庫の真骨頂!食べてみてくださいな!」

 ん?ルイスがどこぞの屋台のオッさんみたいな事を言ったぞw


 っかぁ、懐かしいなぁ、昔、カレーを作ったら、突発の出張が入って、あったかいまま冷凍庫に入れて仕事に行って

 2日後に、帰って来て、再び温めたら、驚愕的に美味かったっけなぁ

 シチューの場合はどうなんだろう・・・ちょっと一口・・・


 ヤッベェ!シチュー半端ねぇ!


「いいねぇ!

 冒険者時代を思い出すよ

 エイミー、ジュディ、頂くとしよう!」

 レイ達も、席を立ち、ルイスの元へ殺到する


 俺は、冷蔵庫から、リンゴのような果物を2つ取り、クリスの元へ行く


「クリス、上手くいったみたいだな?

 食べるかい?」

「いえいえ全てヒロさんの紹介の仕方が上手だからです

 売り込み方が、私達より上手ですね

 それと、それ、食べたいのですが、私、皮を剥くのが・・・」


 そうだった、クリスは料理が不得意だったんだw


 俺は、皮を剥いて半分にした果物をクリスに渡した


「ありがとうございます

 サーヤさんにもっと料理を教わらないとw」

「いいんじゃないの?

 人には、向き不向きがあるからさ」


 "ですかねw"と、笑いながら果物を食べるクリス


 すると、誰かが駆け寄ってきた!


「クリスさんだけズルいよ!

 私も、食べたい!」


 リネンが、睨みながら言ってきた!


「おっ!そっ、そうか、じゃぁ、はい、残りの半分!」

「ありがと」


 リネンが、照れくさそうに食べている

 クリスが、キョトンとした顔をした後、笑顔になった

 俺は、皮とかは気にしないから、剥かないで果物を頬張る


「リネン、エイミーの話は受けるのか?」

「うーん、1度カミラさんに聞いてみてからにしようと思う

 学院長さんは、カミラさんの恩師みたいだからw」


 前は、カミラさんの事を結構ボロクソに言っていたけど、何故か、カミラを立てているような所は、やはり師弟関係なのかな?


「リネンさん、エイミーさんのお誘い受けてみてもいいんじゃないんですか?

 私達の仲間が、魔術学院の先生になるなんて誇らしいですよ」

「うーん、私みたいのが、先生って・・・

 いいのかなぁ?」


 クリスとリネンが、ワチャワチャしながら話している


 クリスとリネン・・・そこにイリナ、そして、タガートとアイト、ミサ・・・そんなに前じゃないのに、懐かしく感じるな・・・

 あの時は、ダイヤが居たから、強気にイっちゃったんだよなぁ

 ん?何か、忘れてるような気がするな・・・

 !?ハッ!そういえば、シロ?

 俺、シロの事、忘れてない?



「・・・さん!」


 ん?呼ばれた


「ねぇ、ヒロさん!

 なんで、クリスさんが同居してるの?」

「え?今度は、その話?

 そっそれは、ルイスの強制って言うか、クリスの押し掛けって言うか・・・」


 リネンが、かなり喰い気味に食ってかかってきた


「私達も仲間なら、一緒に住まわせて欲しいなぁ」

「まぁ、俺は構わないけど、空き部屋がもう無いんだよなぁ」


 なんでこうなるんだ???


「確かに、家自体、ちょっと古いんだよなぁ

 今、冒険者の村にいるローエに頼めば、改築くらい出来るんじゃないか?」

「もっ、もし、ヒロさんの家を改築するなら、うちで負担させてください!

 パートナーですし・・・

 ちょっと、寝室を豪華に・・・」


 ん?何か、最後の方は、聞き取れなかったけど、クリスに負担してもらうのは、また、ちょっと違う気がするなぁ


 そんな事を考えてると


「おい!ヒロ!

 ところで、今回、持ってきた、冷蔵庫と冷凍庫、エールの冷蔵庫は、うちで使いたいんだけど、置いていってくれるんだろ?」

「あぁ、勿論そのつもりだよ」


 ニンマリしたレイが、超悪い顔をして近寄ってきた


「なぁヒロ、あの荷車もだろ?なぁ?なぁ?」

「あはは、まぁ、そのつもりだったけど、そんなにガッツいて来られると思わなかったよ」


 正直言って、今回のプレゼンにかかった費用は、

・荷車の木材部分の材料費

・冷蔵庫の中に入れた食材

 (シチューはルイスの行きつけの食堂で購入)

・かき氷の果物、ミルク、蜂蜜etc

・お酒類


 くらいで、魔鉱石は俺が持ってたし

 魔石は、ちょっとダイヤに頼んで、大きめの魔物を倒してもらったし

 あとは、俺とドムさんの労力だけなんだよなぁ

 だから、今回の紹介した物は、クリスとも相談して、先行投資って形で、全てレイにプレゼントするのは、初めから決めていた


「クリス!じゃぁ、金貨200枚でいいかな?

 いや、300枚で、買い取らせてくれるかい」

「いや、レイさん!

 全て、初めからレイさんに納めるつもりで持ってきたので、お代は結構です」

 するとレイは、俺達の所まで来て、ゆっくり話し出す


「いいかい、お2人さん

 俺は、街の代表かもしれないが、そこまで腐ってないよ

 ちゃんと、街の経費で購入し、職員全員で使ってみたいんだ

 そうすれば、商品化に向けての改善や、もしかしたら不具合なども報告出来るだろ?

 って事で、こういうのは対等にいこうじゃないか?

 仲間だろ?」


 俺とクリスが、目を見張っていると


「おい!ソイツは、そういうヤツだぞ

 ある意味、ヒロと似てるワイ

 貰っとけ貰っとけ!

 そんでもって、ワシの徹夜分の報酬をくれれば、後で、ローズの店でエールをたらふく飲めるワイw」

「そうそう、そうゆう事!

 ちゃんと代金は払わせてくれ

 後で、量産するまでの対策費とでも思ってくれ

 あっそれと、ヒロと俺の仲間になった契約金とでも思ってくれよ!」


 ドムさんの言葉にウンウンと頷きながら、最後には意味ありげな目線を俺に投げかけてきたレイ・・・


 まさか!?俺は、そっちのはねぇぞ!


「分かりました

 この度は時間を割いていただきありがとうございます

 では、量産に向けた検討などは、ジュディさんと行えばよろしいでしょうか?

 それと、片付けの為、もう一台の荷車を敷地に入れる事を許可願えますか?」

「あぁ、もぉ、細かい事は、ぜぇんぶ、ジュディとやってくれ!

 それと、荷車の乗り入れは、許可する、ジュディ頼む」


 頼まれたジュディだが、サーヤから勧められた果実水割りを相当飲んでいたらしく


「えぇ?まぁた、しょーもない事を私に頼むんですかぁ?

 仕方ないですねぇ

 はい!このジュディ、しかとうけたまっ!イタっ

 うけたまっ!

 うけまたわりますたぁ!」


 えええええ?

 さっきまで、ビシッと決めてたジュディさんが、ヘベレケダメダメセクシーガールになっちゃってるよ

 何故か、敬礼だけは様になってるけど


「えええ?

 誰だよジュディに酒呑まさたの?

 もう、今日はダメだわ

 おーい!頼むぅ!」


 レイが呆れて、メイドさんを呼んで、対処してもらう


「ジュディはいつも、仕事熱心だからね

 みなさんどうか許してあげてね

 クリスさん、物は相談なんだけど、もし、魔術学院で出来るような仕事があったら、回してくださる?

 なんなら私も、クリスさんやヒロさんのお仲間にさせて貰えると嬉しいわ」

「エイミーさん、よろしいのですか?

 勿論、こちらからもよろしくお願いします」


 こちらは、お酒のたしなみを知ってる感じのエイミーさん、ローズさんとは、また違った大人の魅力だねw

 しっかし、魔術学院の学院長がお仲間って怖いなw


「ちょっと、ヒロさんいいかしら?」


 そんな、魔性の香り漂うエイミーさんがしなやかに近寄ってきた


「ヒロさん?

 エルフのフィスを石化から救ってくれたそうで、先祖に代わってお礼を言わせてくれるかしら?

 魔術学院の初代学院長のエイダンは、フィスと冒険者仲間で、どうにか石化を治せないかと、ここに魔術学院を作り、石化の研究をしていたそうよ

 それから、代々学院長を娘達が継いで、今は、私って感じなの

 先祖の願いを叶えてくれて、本当に感謝しますわ

 いつか、フィスも連れて来てね」

「そうだったんだぁ

 フィスには、あまり過去の事は聞かなかったんで、そんな経緯いきさつがあったなんて、フィスも聞いたら喜ぶでしょうね」


 ってか、俺、そんなに何もしてないんだけど、どっちかって言うと、モネの超回復薬のおかげなんだけど、黙っておこうw


「それと、もう、冒険者ギルドのフレッドとは会ってると思うけど、もう1人、フィスには仲間がいて、その子孫は、教会にいるから、後で、お礼に行くと思うわよ

 ちょっと変わった神官だけど、仲良くしてあげてね」


 変わった神官って、ちょっと興味があるけど、まぁ、期待しない程度に待つとしよう



 BBQも、盛り上がり、酒乱のジュディが、居眠りし始めた頃に、荷車を引いた男の子をサーヤが連れて来た


「オジサーン!ジョージくんだよ!」

「おっ!なんだ、彼氏でも出来たのか?」


 冗談で言ってみたら、争いの嫌いなはずのサーヤの平手打ちが俺の背中に炸裂した!


「もぉ!友達になったんだよ!

 ジョージくん、この変なオジサンが私の保護者だよ」

「ども、初めまして、ジョージです

 よろしぐ」


 ん?なんか懐かしい訛りだな?


「うん、よろしく

 コイツ、そそっかしいけど、よろしくね」

「もぉ!

 ほっといて、ジョージくんも、何か食べようよ

 ルイスさんいい?」


 ニンマリと笑顔のルイスが頷きながら、ジョージの為に新しい肉を焼き始めた


 BBQに近づく2人の後ろを白いのが付いていく


「あれ?シロか?

 なんかデカくなってね?」

「ガウ!」

 鳴き声まで変わってないか?


「そうそう、オジサンがいない間にシロがちょっと大きくなったから、私がお仕事の時とかは、お店に預けてるの」

「おい、オマエさん、気付いてないかも知れんが、そやつは、多分フェンリルの幼体だぞ

 まぁ、先の話だが、結構デカくなるし、下手すりゃ手に負えんくなるぞ」


 ふぇっフェンリル?なんなんそれ?


 俺が若い頃に読んでたファンタジー物には出てこなかったぞ?

 まあ、白い小さい犬って言う括りから、白いデッカい犬って括りになるだけでしょ?

 ってか、サーヤのペットなんだから、気にしない気にしない

 でも、飼い犬なら・・・


「なぁ、サーヤ!

 シロは、悪さはしないと思うけど、ダイヤみたく、スカーフでも巻かせるか?

 他の白い犬と間違われないように」

「えぇ、首輪とかはやだよー

 窮屈そうだからぁ」


 なんか、シロも心なしか嫌な顔をしてるな、でも、野生じゃないよって雰囲気が欲しいんだよなぁ


「なぁヒロ、それなら、街の紋章でも入れた物でも、身につけてさせたらいいんじゃないか?

 仲間だろ?」


 レイが提案してくれたが

 うーん悪くはないが、街の紋章って重重おもおもしいよなぁ

 シロが、さらに嫌な顔をした気がする


「では、シロもうちの一員って事で、テイラー商会の家紋を・・・」


「キューーン」

 はい、クリスの申し出も、シロは嫌がってますね


「サーヤちゃん!

 これなんてどうですかぁ!」


 と、イリナが、胸元のネックレスを見せてきた

 それは・・・、確か、ミランダさんの店で買った、サーヤ、イリナ、リネン、ライリーの友達の証?だったかな?


「うんいいかもね?」

「ワンワン!」

 おっ、シロも喜んでる


「ねぇ、オジサン、後で買いに行っていい?」

「シロも喜んでるし、いいんじゃないか」


 今度は、採用されなかった、レイとクリスが、心なしかしょんぼりしている


「にしても、ヒロ

 お前の周りは、面白い奴が多そうだな?

 って、ヒロが1番面白いのかもな?」


 レイが、エールの入ったカップを俺に渡しながら、言ってきた


「いや、俺なんて大した事ないよ

 みんなに助けてもらってるんだ

 だから、少しでも、恩返ししないとね」

「そうですね、何故か、ヒロさんには協力したいと・・・

 協力しなきゃいけないと思わせる何かがあるんでしょうね」


 イリナとリネンに慰められていたクリスも、照れくさい事を言ってくれる


「私達は、助けて貰ってばかりかなぁ」

「そうですぅ!

 リネンは助けてもらってばかりですぅ」


 "もぉ、イリナもでしょ!"と、鎧を叩きまくる


 みんなありがたい事を言ってくれるが、違うんだ


 家族を亡くして塞ぎ込んでた俺が、サーヤに転生させられて、こっちにきて、俺が、みんなに救われたのかも知れないよ

 感謝するのはこっちだって


「そんなぁ、照れるなぁ!

 もっと言ってくれてもいいかもなw」


「調子に乗るでないワイ」


 と、熊のようにゴッツイ、ドムさんの手で、背中を叩かれたw


「ジュディも、寝ちまったし、俺のスケジュールは、もう分からないから

 パァッとやろう

 そうそう、冒険者の村の事も、まだ、詳しく聞いてなかったしな!」


 レイが、そう言うと、食材の追加を持ったメイドさん達も現れ、仕事の終わった職員達も、申し合わせてあったのかポチポチと現れては、冷蔵庫と冷凍庫に集まり、ローズさんからエールやお酒、サーヤからかき氷をもらっていた


「よぉし、みんな、俺達も手伝いに行こ!」


 レイとテイラー商会の会談(プレゼン会)は、懇親会に変わって、これから、更に盛り上がっていく・・・

読んでいただきありがとうございます

主人公が、電化製品を電気のない世界で作って、プレゼンした話しでした

よろしくお願いします


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