29、クリス支店を出すぞ大作戦part5
29、クリス支店を出すぞ大作戦part5
「やぁ、ジムさん!
お目当ての物は見つかったのか?」
ダンジョンでの探索を終えて、酒屋でエールを煽りカップを置いた時に声をかけられた
「おう!ハリーか
いやダメだ
地下4階までは、調べ尽くしたんだがな・・・
まっ、気長に行くとするわい」
このダンジョンに潜り始めて20年くらいかのぉ
石化を解く為の何かしらの情報でも見つかればいいんだが、全く分からん
それに、下の階層に行く毎に、平面が広くなっていっておるらしく、次の5階は何年かかることやら・・・
「おう、ハリー聞いたぞ!
倅が出来たんだってな
良かったな」
「ありがとう!
ケイシーって名前にしたんだよ」
フンっ嬉しそうで何よりだ
「ほう、いい名前じゃねぇか
そいつがデカくなる頃には、ここをもっと住みやすくしてぇな」
「そうだな!
まだまだ、若い冒険者が、商人や悪知恵の働く冒険者の食い物にされちまってるからな
ジムさんも、見かけたら教えてくれよ!
ジムさんが、手を出すと相手が可哀想だから」
フンっ、俺をバケモノみたく言いやがって・・・
「あぁ、手は出さねえが、2度と悪事が働けねぇようにはしてやるわい!」
ワシがここに来た頃は、そりゃぁ、酷かった
希少なアイテムに群がる商人
頑張って、魔石を集めた若い冒険者から、それらを奪う冒険者
また、寝込みを襲われたり
商人連中が結託して、商人を除け者にしたり・・・
しかし、それを見かねたハリーが、立ち上がり、最初は、1人でそんな奴らを説得していった
そりゃ言葉の通じない奴には、多少のゲンコツwは、喰らわしていたがなw
そんなある時、ハリーの奴は、こう言ってきたんだ
「ジムさん、アンタ強いんだろ?
俺の後ろ盾になってくんねぇか?」
ウケるぜ!
何も、しなくていいから、名前を貸してくれってな
ライフィスに来てから、50年以上経ち、ライフィスの街には、ワシらドワーフやエルフ、獣人もチラホラ見るようになったが、まだ、ここには、そうは居ない
特にワシらドワーフの屈強な噂は、知れ渡ってるからな、ハリーも利用したかったのだろう
最初は、名前だけだったが・・・
「ジムさん、ワリィ、俺だけじゃ敵わねえから、手を貸してくれ!」
フンっ、全く!ワシの悪名が高くなっていったじゃねぇか!
でも、ハリーの頑張る姿は、みんなが見ていたわい
ワシも見られておったかもしれんがな
やっと冒険者と商人が、いい関係になってきたのにな・・・
あと少しだったのになぁ
まさか、お前さんの意思をケイシーが継いでくれると思っておったのに、こんな結果になってしまうとは・・・
ハリー、すまない
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翌朝、ほとんどの者が寝不足の状態で、ダンジョン前に向かうと、ジムさんを待っていたのか、かなりの人だかりができていた
「これだけの人数で押しかけたら、みんな逃げちゃうんじゃない?」
アイトが頭の後ろで手を組みながら呟いた
「それが一番だろ
ヨシ!
さっさと気に食わん奴らを追い出そうや!」
ジムさんは、昨日と違い、明るく言葉を発している
昨日の俺の提案をみんなで話し合い
もしかしたら、この村の方向性が、あるいは、この村自体が変わるかも知れないと期待しているのかも知れない
ジムさん、ブレンダ、エレノア、アランにアリア
俺とフィス、タガート、アイトにミサ
総勢10名の後ろには、50人からの野次馬が付いてくる
アイトの言う通り、いくらジムさんが、手を出すなと言っても、フラストレーションが溜まっている人達が集まってるだろうから、もし、この人数を怒らせたら・・・
そうこうしていると、裏帳簿に載っている1人の人物の拠点(建物)に到着・・・
「もぬけの殻の様ですね」
アリアと、アランで調べてきたが、もう逃げたのか、誰もいなかったようだ
「じゃぁ、入り口を塞いじゃおう」
俺は、建物の入り口を木の板で塞いで差し上げた
次に向かった建物も、もぬけの殻だったので、同じ様に入り口を塞いだ
少しくらいは抵抗があると思っていたが、もう、10軒は、もぬけの殻だった
野次馬達も、ちょっとシラケムードだが
これは、これで無駄な争いがなくて、いい事だし、改めて、ジムさんと言う人物の凄さなんだろう
11軒目も、もぬけの殻だろうと近寄っていく
「ジムさん!
待ち伏せがあります」
"うむっ"と、答えるジムさんの表情が変わった
俺達にも、緊張が走る
向こうも、こちらを伺っていたのか、建物から、ゾロゾロと人が出てくる
「ひぃ、ふぅ、みぃ・・・7人か・・・」
冒険者風な人物が5名と、商人風な人物が2名、全員が手に獲物を持っての登場だ
「お前さん達、その様子だと、抵抗をするっちゅう事でええんだな?」
ジムさんが問いかけると、敵さんは
「ジムさん、抵抗も何も
俺達は、自分らが食う為にやってきた事だ
アンタにとやかく言われる筋合いはねえんじゃねぇか?」
おぉっと、何処にでも居るんだねぇ!
悪びれもせず、なんか文句あんのか攻撃!の敵さん
「そのお前さん達が食っていくために、駆け出しの冒険者や商人を食いもんにしてもかまわねぇのか?」
ジムさんの言葉に、少しずつ怒りがこもってきている
「フンっ、そんなのは、利用される方がワリィんだよ」
出た、悪い事をしている奴が大概言う
騙すより騙す方が悪い攻撃!
「そうか
ならば、ここでワシがお前らをぶちのめしても、ワシは悪くねぇよな?
お前さん達が、弱いだけだかんな!」
ジムさんの怒りは絶頂だ!
言葉が終わる前にハルバードを横に一閃!
凄い風圧と共に、少し離れた垣根を粉砕した
「ひぃぃぃぃ!」「おおおぉ!」
敵さんの商人達は、悲鳴を上げる
こちらの野次馬達は、驚きの声をあげる
「ジムさん!」
ブレンダは、何故か、ジムさんを止めようした
「すまん」
ジムさんは、止めるブレンダを優しく払い除け、走り出す
俺が思うに、さっきの横一閃を近くでされたら、敵さん全員終わりじゃないのかな?と、思った
敵さんもそれを考えたのか、ジムさんに食ってかかってきた奴以外は、後方に猛ダッシュしている
逃げおけれた感の強い敵さんが、盾を身構える
「あめぇんだよ!」
キィーン!
ジムさんが、さっきの様にハルバードを横一閃!
ハルバードの先端が、敵さんの盾に接触したかしないかくらいの小さな甲高い音がした
「フンっ!
アンタこそ踏み込みが甘いんじゃねぇ・・・」
ドサっ
言い終わる前に、盾の上半分が落ちた
「いっでぇ!」
敵さんの盾を構えていた左肩から、胸にかけて、着ていた防具が、スッパリ横に切れて、肌に赤い線を付けた
「フンっ、おいヒロ!
こりゃぁ、体を真っ二つにしねぇように手加減が難しいぞ!」
"ええぇぇ?"俺が怒られるの?
敵さんの傷は、そんなに深くは無いようだが、力の差を見せ付けられて、腰が抜けてしまっている
周りにいた仲間なのか、共謀者なのか分からないが、そいつらは、すでに脱兎の如く逃げ去っている
「お前さん達のせいで、その痛みをダンジョンで受けた奴らもいる事を忘れんじゃねぇぞ!
命までは取らねぇから、村から出て行け
さもなくば、次は、もう半歩踏み込むぞ」
ジムさんの半歩・・・、盾をも真っ二つにしたあの一閃を胴体で受けたらどうなるかは、誰でも分かる
「ぐっ、・・・
やっぱアンタすげぇよ・・・
でも、なんで、今頃なんだよ!
もっと早く注意してくれてれば・・・」
「ワシだってな、お前さんの言う、利用される方が悪いって気持ちは、分からなくはねぇ
だから、騙された方が反発してくれる事を・・・また、お前さん達が気付いてヤメてくれるのを待ったんだが・・・
やっぱり、自分達じゃ解決出来ねぇわな
っつう事で、ワシがまとめて仕返ししても文句も言えねぇよな!?」
ジムさんは、敵さんを睨みながら言った
「おっ、俺に騙された奴らに仕返しされるなら分かるが
なんで、アンタにやられなきゃなんねぇんだよ!」
「その仕返ししたい奴らが、もういねぇだろぅが!
そんな状態にしちまったのは、お前らだろうが!」
ジムさんは、ハルバードを敵さんに向けて怒鳴る
敵さんは、何も言えなくなってしまい下を向く
「あくまで、自分は悪くねぇってんなら、死ぬ気でワシに抵抗しやがれ!
ワシは、悔しい思いをした者達、亡くなった者達の悔しさを全てお前さんにぶつけてやるわい!」
腰を抜かしてへたり込んでいる敵さんに対して、ジムはハルバードを上段に構えた
もし、それが敵さんに直撃したら、それこそ真っ二つで、ここにいる全員引きまくるぞ!
「まっ、待ってくれ
俺が、俺らが悪かった!
許してくれ!」
「フンっ!
今頃、遅いわ!」
敵さんが、土下座をして降参したが、ジムさんのハルバードを止める事は出来なかった
グワッシーン!!
誰もが無惨な敵さんを想像してしまい、目を覆ってしまった
土煙の中から現れたのは、濡れた地面の上にへたり込みながら泡を吹いて気絶している敵さんだ
ジムさんのハルバードは、敵さんの少し右側の地面に突き刺さっていた
地面は、前後に若干ヒビ割れており、破壊力の凄まじさを物語っている
「いいか、集まったみんなにもワシの気持ちを伝える為にあえて、一撃をお見舞いするフリをした
これからも、志半ばで亡くなった者達の悔しさをワシは忘れんぞ!
ブレンダの邪魔をする者は、ワシが許さんから覚えとけ!」
今度は、地面から抜いたハルバードを集まっていた野次馬達に向けた
野次馬達は静まり返ったが、みんな、首を縦に振ることしかできなかった
「さっ、さぁ、次に行こうか?」
俺は、凍りついた雰囲気をなるべくほぐすように促した
「そだの!
次は、何処だアリア」
「はっはい、次は・・・」
俺達は、ケイシーの住む建物を除いては、次が最後となる建物に近づいていく
「気をつけてくだせぇ、人の気配がしますぜ」
と、先回りしていたアランが戻ってきた
「そうか・・・まだ居るか・・・
相手がどう出るか分からねえから
気を付けて行くとするかの」
ジムさんは、そう言ったが、バルバードには、手を掛けず、ゆっくり建物の前に進む
さっきの事もあるので、みんなは、少し緊張している
「おい!まだ、居るんなら大人しく出て来い!」
さっきの件で、気持ち高揚しているのか、ジムさんが建物の入り口に向かって問いかける
少しの間を置いて、入り口のドアがゆっくり開いた
商人風の男が1人と、その後ろから子供が2人、そしてお腹を抑えた女性が1人(多分、妊娠しているのだろう)・・・ゆっくり出てきた
「すっ、すまないジムさん
悪い事をしたと思っている
村を出ようと思ったんだが、家族を置いては行けなかった
どんな罰でも受ける
だから、家族だけは、見逃してくれ」
さっきがさっきだったので、少し拍子抜けしたが、雰囲気的に重い空気になってしまった
しかし、集まった野次馬達は
"ふざけんな!散々いい思いしてきやがったくせに!"やら、
"いい度胸だ、やっちまえジムさん!"
"お前らのせいで、こっちは、どんだけ惨めな生活してきたと思ってんだ!"
などなど、さっきの敵さんを降参させたのは、自分達だと言わんばかりに強気で言いまくる
それに、これまでの鬱憤で、雰囲気がどんどん悪くなって行く
「すみませんでした
まさか、この人が、皆さんに迷惑かけていたなんて・・・
何でもします
しかし、子供達とお腹の子供だけは・・・」
ダメだ、奥さんと思われる人まで土下座を始めてしまった
こう言うのが、1番やりづらいやつなんだよなぁ
実は俺、ケイシーへの粛清と、その後の提案はしたんだけど、商人達の粛清の仕方は、やっぱり部外者だから、ジムさんとブレンダで決めてもらう事にしたんだよなぁ
ジムさんは、一度、裏帳簿を確認した
その後、深くため息をついてから
「お前さん、人の親になってからは、やめたのか?」
ん?何のことだろう?
「何か、後ろめたいと思ったのか?」
ジムは、質問を続ける
「はっ、はい・・・
コイツと、一緒になって、すぐに子供を授かって、生活に困っていた時に、ケイシーさんに誘われて・・・
金を手にして、ズルズルと・・・
でも、子供の寝顔を見ていたら、俺は何をやってんだと思ってやめました
それからは、真面目にやってきたのですが・・・」
「やっちまった事実は、消えねえよ!
それで、何人の冒険者が苦しんだと思ってんだよ!」
どうやら、ケイシーと結託してたのは、奥さんが妊娠してから子供が生まれて間もない間の少しの期間だけだったようだ
しかし、ブレンダは、今更反省したって許せないようだ
「フンっやった事は、消えぬが、子が出来てからは、やめたんだな
それに家族を見捨てず残ってたんだ
ここで、俺が手を出したら、こっちが悪者になっちまう
ブレンダ、昨日ワシは、後の事は、任せるって言ったよな?」
「ちょっ!
ズリいよ!ジムさん!・・・
ちぇっ!」
ジムに裁決?を急に任されたブレンダが、舌打ちをする
腕を組みながら、頭を掻きむしりながら、少し考えたが
「ちぇっ、子供の前で決められっかよ!
土下座も、もうやめろってんだ!
今度やったら、ぜってぇ、許さねぇからな!
これから、この村を変えるのに、1人でも商人は多い方がいいんだ!
お前は、協力を約束しろよ!
クソッタレ!」
商人と妻は、胸の前で手を組み、女神に感謝をするようにブレンダに頭を下げる
かたや、戦神の化身のようなブレンダは、恥ずかしくなり、プイッと横を向いて腕を組み誤魔化している
結局、許しちゃったけど、多分、この商人は、これから、ブレンダにこき使われるんだろうなw
あとは・・・
そう、ケイシーだけだ
俺達は、ケイシーの住む建物の前に来た
静まり返った建物は、もぬけの殻かと思われた
ブレンダが、入口のドアを蹴り破る!
「クソ野郎!居るんだろ!
出てきやがれ!」
反撃を想定して、ブレンダ、ジムさんで、室内に入る
しかし、人がいる気配がない
手分けして、各部屋を見て回る
俺はフィスと台所に向かった
「あら、地震でも起きたのかしら?
そんな所に隠れちゃって」
フィスの探索能力は凄すぎる
部屋に入ろうとした瞬間に気がついてしまった
食卓のテーブルの下を覗くと、ケイシーが頭を抱えて隠れていた
「どうしたんだよ!
昨日は、あんなに元気だったじゃんか?」
「ひぃぃぃっ
かっ、勘弁してくれ」
ゆっくり机の下から出てきたケイシーは、派手な箱と皮袋を抱えていた
どうせ、裏帳簿に載ってた奴らと共謀して儲けたり巻き上げた金品だろう
みんなに声を掛けた所、ブレンダがドタバタと走り寄ってきて、ケイシーの胸ぐらを掴む
「テメェ!よくも今まで好き勝手な事やってくれたな!」
「わっ、悪かった
もうしねぇから、許してくれ」
ブレンダは、拳を握った右手を今にも殴りかかる所まで持ち上げて、プルプル震わせている
「けっ、殴る価値もねえ!」
ブレンダは殴らずに、そのまま、建物の外へ連れ出した
建物の前に放り出されたケイシーに向かって、集まった野次馬達の罵倒が止まない
騙された者
襲われた者
持ち物を奪われた者
仲間を奪われた者
パートナーを奪われた者
ブレンダが隣に立っていなければ、物を投げつけられていただろう
「姐さん、建物の中には、他に誰もいやせんぜ」
アランが報告をする
「フンっ、大方、金魚のフン共に見限られたんだろうよ
いくらこうやって着飾って、好き勝手やってたってな
商人共と組んで巻き上げた金で雇った奴らなんて、簡単に裏切るんだよ!」
「たっ、頼む!金なら返す!
だから、許してくれ
この通りだ」
こう言う奴は、威張れる要因がないと、いかに情け無い存在なんだろう
金で、解決かぁ・・・
ブレンダは、一体どうするんだろう?
「ブレンダよ、すまんが、コイツは、さっきの奴と違って、許すと後に遺恨が残るぞ」
「そんなの分かってるよ!
何なら、ジムさんが、ひと思いにやっちゃってくれよ!」
ジムさんは、もう、ケイシーの事などどうでもいいようで
「手が汚れるじゃねえか
そうだな
ダンジョンの下層に置いてけぼりにしてくればいいのではないか?
自力で出て来れたら、見逃してやろうじゃねえか」
「かっ、勘弁してくれよ
ジム!いや、ジムさん、真面目になるから許してくれよ!」
いい大人が、泣きながら許しを乞う姿は、見ていて、こっちが気分が悪くなる
「許すわけねぇだろ!
こんなチャラチャラした服着やがって」
ブレンダは、これ見よがしに、ケイシーのチャラチャラした服を野次馬達に見せた
「アラン!コイツを縛って地下6階くらいに捨ててきてくれ!」
「分かりやした!」
アランは、アリアと共にケイシーを縛り上げ、口を塞ぎ、担いで運び始めた
俺は、ブレンダに目配せをして、タガート達を連れて、アラン達と一緒にダンジョンに向かう
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ヨシ、ケイシーをダンジョンへ連れ出す事に成功したね!
後は、野次馬を引きつけないとな
「さぁ、みんな!
こっからが本題だよ!
聞いてくれるかい?」
面白がって、ヒロ達について行こうとする野次馬達を引き留めた
"なんだなんだ?"と、振り向きながらぼやきだす野次馬達
「いいかい!
ケイシーのクソ野郎は、ダンジョンのモンスターの餌食にするとして、大事なのは、この村のこれからだよ!
オレは、もう一度この村を、ハリーさんのいた頃のようにしたいと思っている」
"おぉ!そりゃいいな!"
"頼むぜ、ブレンダ!"
集まった野次馬の興味は引けた、後は内容だな
昨日、ヒロ達と話していた内容をアタマで整理する
「どうやって、前みたいに、冒険者も商人もダンジョンで得られる素材とアイテムで、稼げる様にするかって話しなんだけど・・・」
"出来るのか?"
"本当なのか?''
野次馬達の中には、冒険者も商人もいる
みんな固唾を飲んで、ブレンダの話しを待った
「そんで、その方法だけど・・・
オレには、よく分からねぇんだよ!」
!?!?!?
一瞬、その場が静まり返る
"はぁ?何言ってんだ?"
"ブレンダ!頼むよぉ"
"ジムさんなんとかしてくれよ!"
「おいおいブレンダ!
思わせぶりはいかんだろ!
ニール頼めるか?」
ジムに声を掛けられたニールが、ジムとブレンダの間に呼ばれる
「皆さんはじめまして、私は、ライフィスのテイラー商会から来ました、ニールです
ジムさんとブレンダさんにお願いされまして、どうしたら、商人の皆さんと冒険者の皆さんの両方が笑顔になれるか考えました
そこで、1つだけルールを作りたいと思います」
くそっ!ジムさんに紹介されているのに新参者のニール殿に対して、コイツら(野次馬達)の視線は少し厳しいな!
「ルールは簡単です、この村でのアイテム、素材などの買取金額ですが、それぞれに最低額を定めます
それ以上、安く買い取りを行った商人は、冒険者の皆さんで、ブレンダさんやジムさんに報告してください」
「おう!
冒険者の足元を見る商人は、この村から出て行ってもらうからな!」
ブレンダが、ニールに便乗して盛り上げる!
"やったぜ!"と言う冒険者の声と、"そんなの決められたら儲けられねえよ"と言う商人の声
賛成と反対の声が上がる!
「待ってください、最低金額と言っても、ライフィスでの平均的な買取額より1割〜2割くらい安く設定します
そうする事により、買い取った商人の皆さんは、ライフィスに売りに行けば儲かるし、もしかしたら、他の街では、もっと高く売れるかも知れません
勿論、冒険者の皆さんが、この村以外で買い取ってもらっても構わないと思います
そして、商人の方々で、ライフィスまで赴くのが、面倒と言う方は、私が、ここで、ライフィスでの平均的な買取額で買い取らせていただきます
その代わり、私は、冒険者の皆さんからは、最低価格でしか買取はしません!」
"おぉぉぉ!"
「しかし、アンタが、私達商人に嘘の買取額を教えて、儲けたりするんじゃないのか?」
この野郎!野次馬のくせしやがって、ニール殿を信じられないのか?
顔をしっかり覚えといてやるぜ!
「ライフィスで、多少なり名前が知れていると自負する我がテイラー商会が、もし、不正をしたら、すぐにでも、ジムさんとブレンダさんに報告してください!
私は、自らの足で、ダンジョンに入りましょう」
今さっきケイシーをダンジョン送りにされた事を知っている野次馬達がどよめく
「ニール殿!
そんな事までしなくても!」
「いいえ!
これが、ここに支店を出す様に主人に言いつかった私の覚悟です」
「フンっ、まぁ、今までよりは、みんなの懐があったまるのは、間違いねえだろうよ
不正は、ワシらがしっかり取り締まるから、お前さん達、ちょっと、ブレンダとニールに付き合ってくれねぇか?」
ジムさんが、集まっている野次馬達に頼み込む
「これからは、商人の方々は、冒険者と仲良く付き合い、アイテムや素材を最低価格以上で、いかに安く買い取れるか
冒険者の皆さんは、商人と仲良くなって、いかに高く買ってもらうか
普段から、親交を深めていきませんか?
そうすれば、不正なんて生まれないでしょう?」
「みんな、ニール殿は、ケイシーの野郎とは違う!それは、オレが保証する!
それに、商人からは、殆ど利益なしで買取りをするって言ってんだぞ!
それが、どれだけ損な事か、商人だけじゃなく、誰だって分かるだろう?
ニール殿が不正をしたら、オレも責任を取って、ダンジョンに入るから、それで分かってくれよ」
"ブレンダは、ダンジョン平気だろ!"
"なんだ?荒手の告白か?"
普段からのブレンダの人柄もあってか、誰もが笑い出す
「それと、差し出がましいですが、テイラー商会は、ここを改築し、宿屋、食堂、買取り所と、ここの商人の先輩達に、商人として勝負を挑もうと思います!
今日、差し押さえた、不正商人の建物も、こちらの商人の皆さんで活用しましょう
また、当方は、大工を連れて来ております
店舗などの建築や改築も、相談に乗ります!
どうでしょう、みんなでここをもっと凄い村にしませんか?」
"おぉぉ!"
"なんか盛り上がってきたんじゃねぇかぁ?"
よしよし、さすがはニール殿だ!
これなら、この村は、以前の様に・・・いや、それ以上に発展するぜ
「さぁ!
ニール殿!何から、始める?
オレは何をすればいい?」
"やっぱり告白か?"
"あの商人、ブレンダに狙われたぞ!"
新しいルールが浸透するには、時間が掛かるかも知れない
しかし、悪の芽を潰したからか、集まった者達からは、笑顔が溢れる
これは、新しい村への第一歩がかもしれない・・・
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・・・時は、少し戻り・・・
俺達は、殆ど人が居なくなり、門番すら居なくなったダンジョンに入る
地下1Fに向かい、空き部屋を探す
そこで、ケイシーの口だけを解放する
「なぁ、アンタは、俺の事なんて知らねぇだろうが、俺は、流れの冒険者ヒロってんだ」
「うっうっ、流れでもなんでもいいから、頼む、勘弁してくれ
地下6Fになんか連れてかないでくれぇ」
ケイシーは、薄暗い部屋の中で、何度も何度も懇願してくる
でも、こう言う奴は、この位では、ダメなんだよなぁ
「なぁ、アンタ、俺達冒険者を舐めてんじゃねぇか?
ジムさんには敵わねぇが、俺だって、ドラゴンくらいなら倒せるんだぜ!」
俺は、ジャケットの背中を見せた
「ひぃっ!」
おっ!成功!オーガの爪の傷をドラゴンの傷に見せてかけて凄んでみたら、びびってくれた!
「アンタの事は、ジムさんとブレンダに一任されててな
どうする?このままダンジョンの地下6Fに行ってみるか?」
「やっ、やめてくれ、何でも言う事は聞く
そ、それにコレも渡すから、許してくれ・・・いや、許してください」
ケイシーは、服のポケットから、ジャラジャラと宝石を出すわ出すわ
もしかして、ケイシーが着ている服って、魔法アイテムと一緒なんじゃないかな?ってくらいポケットからは、金貨、宝石、魔石と色々出てきた
「アンタ、2度とこの村に近づかないって約束するなら、命だけなら助けてやらねぇ事もねぇぜ!」
「たっ、頼みます
2度とここには来ませんから、命だけは助けてください!」
よぉし、これくらいビビらせておけばいいだろう
俺は、ケイシーを立たせ、俺が用意した服に着替えさせた
そして足首から布でグルグル巻きにしていく、そう、古代遺跡とかで発見されるミイラのように・・・
布が首元までにきたところで、巻くのを止める
「命だけは助けてやるが、それは、アンタの頑張り次第だ
今から、アンタを閉じ込めて、この村から出す
しかし、閉じ込めてる間は、俺が合図するまで呼吸を止めてなきゃダメだ
出来るか?」
俺には、今からする事に確証がない、でも、出来ると思っているが、念のため呼吸を止める事をケイシーに命じる
ケイシーは、何度も首を縦に振る
その様子を見て俺は、ケイシーの足にロープを結び、顔には目隠しをした
「よし、何があっても呼吸をするなよ」
ケイシーが、呼吸を止めるのを確認して、ケイシーをマジックバッグに頭からぶち込んだ
バッグの収納口が大きくて良かった
俺とタガート達は目で合図をして走り出す
急いでダンジョンを出る
村の入口まで、勿論、ダッシュだ
ミサが遅れ、続いてタガートも遅れだす
アイトは、俺の脇を心配そうに並走する
みんなに嫌われているからって、俺は、簡単にケイシーを粛清していいと思っていない
誰だって過ちはする
その償いは必要だろう
ケイシーだって間接的には冒険者の命を奪っているだろう
ならば、ケイシーには、命の重さ、生きる大変さを経験させようと思う
今さっき、村を出た
幸い、今日は、村の門番すら居ない
門番もケイシーの粛清を楽しみにしていたのか?
まぁ、それほど、バッグの中の男は好き放題して来たのだろう
門を出て、道を外れて、林のようなところに向かう
今、俺の頭の中では、ケイシーをバッグに突っ込んでから、数え出した数字が180を超えた
まずいな、おれだったら、そこまで息を止めていられないだろう
あと少し、あと少しだ
もう、限界だ!
肺が破裂しそうだ!
視界が、白黒になりそうになった時、アイトに肩を叩かれる
「この辺なら大丈夫だよ!
早く、引き出そう!」
アイトが、バッグから出ているロープの端を握っていた俺の拳を取る
俺の口からは、ゼェハァと言う音しか出てこないので、頷くことしか出来ない
ロープの端を離さないように握っていたせいか、酸素が足りないのか、自分の意思では拳を開けなかった
アイトも手伝いながら、左手で、拳の指を一本ずつ伸ばしていく、
「引くよ!」
ケイシーの足首に結んだロープをアイトが引く
俺は、ゼェハァ言いながら、バッグの収納口をアイトの方に向けて地面に置いて、引っ張られないように押さえておく
足が出てきた!
ズズッと音を立てながら、ケイシーが引きずり出された
目隠しを外して確認する・・・
ケイシーは目を開けたまま、泡を吹いている
まずい!やっちまったか?
俺は、耳をケイシーの鼻に近づける・・・
微かだが、スーー、スーーという音と共に息遣いが聞こえる
よく見れば、胸もゆっくり上下している
「気絶かな?呼吸はしてるから大丈夫そうだね」
「あぁ、一か八かだったけど、マジックバッグって人も収納出来るんだな」
アイトがジトーッとした目を向けてくる
「でもヒロさん、俺は、入りたくないよその中には・・・」
「あぁ、俺もだw
おい!ケイシー!起きろ!」
泡を吹いているケイシーに水筒の果実水をぶっ掛ける
ゲホッゲホッ
「うわぁっ!」
咽せながら、吠えながら、ケイシーが目を覚ました
「おれ?濡れてない?
なっ、なんだったんだぁ?
水中だか、宙だかに浮いてて・・・」
ケイシーは、意識を取り戻すと同時に何かの恐怖体験をしたかのように急に震え出した
ん?中にいた時の事は、記憶に残るのか?
もっと、調べたいが、今は、その時ではないな
「おい!何も検索すんじゃねえ!
だが、ここは、村の外だ
いいか、今度、この村に近付いたら、ダンジョンにぶち込むからな!
これは返すから、今度は、真っ当に生きろよ
あっ、それと、オメェは、信じられねえから、もっと遠くまで運ばせてもらうぜ」
一陣の風が舞ったかと思うと、ダイヤが側に来た
「うわぁぁぁぁっ」
「ダイヤさぁん!」
『なんだ、飯か?
さっき、喰らったから、満腹だぞ!』
と、満足げな顔のダイヤ
「なんだ?誰かに食べさせてもらったのか?」
『おっおぅ!
昨日、冒険者が近付いてきてな、一緒に歩いてくれたら、飯をくれると言うから、仕方なく歩いてやったら、飯をくれたのだ』
あっ!前のダイヤの調査依頼の報告で、飯を対価に護衛を頼めるかもって報告してて、ダイヤに言うの忘れてた!
ってか、冒険者の目につくところに近寄ったのは、ダイヤからだと思うけどなw
「良かったじゃんか!
多分これからも、頼まれると思うから、よろしく頼むよ!
村長の奥さんにもらったその目印は外すなよ!」
『おっおう!分かったのだ!
それで、ワシを呼んだのは何の為なのだ?』
おっと話しがそれちゃったよ
「あぁ、コイツをどこか遠くに連れてってやってくれないかな?」
『ん?ワレは、お前のおかげで、かなりの速さを手に入れたが、半日で、お前の想像を超える場所まで行けるがいいのか?』
ん?俺のおかげってのがよく分からないが、ケイシーを出来るだけこの村から遠ざけようと思う
俺は、ケイシーの服から出て来た、金貨や宝石を道具袋に入れ
「ケイシー、みんなに悪い事をしたと自覚があるなら、これで、1からやり直せるはずだ
でも、この世の中には、金で買えない物もある事を忘れんなよ
これは、俺が握った"おにぎり"って言う食べ物だ
水筒と一緒に入れておくから、大事に飲み食いしろよ」
「え?いいんですか?」
まさか、貴金属が帰ってくると思わなかったんだろう、それに食い物まで貰えるとは、目を丸くして驚いている
「ケイシーさんさぁ、アンタは、今まで、人から、当たり前の様に大切な物を巻き上げて来たんだろうけど、ヒロさんをアンタの物差しで測んじゃねーよ!
普通、アンタみたいな奴なんて、誰も助けねぇよ!
ジムさんには、俺達だって世話になってんだからな!」
「そっ、そーだぞこの野郎!
ゼーハー!
オメェのせいでこんなに走らせやがって!
ヒロがいなかったら、オメェなんか、本当にダンジョン送りだったんだからな!」
おっ!タガートが、到着した
「っはい!
ふぅ、もう走れない!
私も、ヒロさんが、更生するチャンスをあなたに与えると言うから納得しましたが
一生許しませんからね!」
「ひぃっ、わっ、分かりました
反省します」
ミサの怒った顔を初めて見たよ!
ケイシーは、アイトと、走って来て凄い形相のタガートとミサに釘を刺され下を向いた
「じゃぁ、ダイヤ、後でお礼はするから、コイツをここに戻って来る事の出来ないって思う所まで、運んでくれるか?
それと、この道具袋は、最後に渡してくれ!」
『フンっ、任せろ』
ダイヤは、背中にケイシーを乗せると、一陣の風となって何処となく走り去った
「本当に逃しちまっていいのか?」
「あぁ、過ちってのは、必ずしも個人のせいとは言い切れないんだよ
確かに心が弱いから、つけ込まれるんだけど
利用する奴、見て見ぬふりする奴、同調する奴
それに、1度の失敗で、全てをダメな奴だと判断するのは、どうかなぁって、ってか俺に実害は無いんだけどねw
でも、同じ事を繰り返したら、ジムさんやブレンダが容赦しないだろ?w」
俺だって、今まで、どれだけ仕事で失敗してきた事か・・・
まぁ、犯罪や悪い事はしてきてないけど・・・
まあ、やり直せるかもしれないのなら、それに賭けてみてもいいよな?
多分、ママもミサも同じ気持ちになってくれるだろうよw
「ホラ、2人とも、これでも飲みなよ
汗ダクじゃんか!」
俺は、タガートとミサに果実水の水筒を渡す
「ワリィ!助かる!」
「ごくっ、くぅーw
ヒロさんって、ほんっと、優しいですよね!
最高です!」
はははっ
年齢、性別関係なく、こうやって付き合えるってサイコーだよな
「さぁ、一息ついたら、戻って、報告とブレンダとニールの方がどうなったか確認しようぜ!」
"あぁ"と、立ち上がり、村に向かって歩き始める
村に戻ると、新しいリーダーとしてブレンダが名乗り出て(ジムさんのゴリ押しだけど、不思議と誰からの文句も出なかった)、ニールを商人代表に決めてしまったそうだ
最初は、反発も出るだろう
まっ、それは、昨日の夜の密談の想定内だ
そして、ローエが、ここに残って大工仕事を一手に仕切りたいそうだ
ある意味、10年間発展が止まっていたこの村が、再始動を始めるといった感じだろうか、不正の根源のケイシー、そして悪徳な商人がいなくなった事で、冒険者達は、以前の様にダンジョンに夢を馳せ、また、冒険者の持ち出す素材やアイテムで、商人達も活気付く事だろう
ブレンダの引越しや、ニールの拠点となる、旧ケイシー邸の改築などをするのに、俺達は、5日ほど滞在した
「本当に、修繕でいいのか?
立て直した方が、いいんじゃねぇのか?」
改築にあたって、ローエは、どうしても、納得いかない様子だが、ニールは、お金をかけたく無いと必要最低限の修繕だけで済ますらしい
「ホラ、施主が言うんだから、文句言わない!」
「おいおい!ローエの弟子は、親方には厳しいんだな!」
フィスがローエに突っ込むのに対して、突っ込んでしまったよ
ライリーは、場所を移して武具の修繕をし始めた、客が来るわ来るわ
ここの冒険者は、武具の手入れは、ほとんど自分でやっていたみたいらしく、直し甲斐のある武具ばかりで楽しんでいる
ライリーが居てくれるお陰か、ニールへの冒険者の接触も多く、また、ニールの人柄も合わさり、商品の売れ行きも良好だ
また、たまにフィスが店頭に立つものなら、妖精の加護が受け安くなる腕輪の売れ行きが半端無いw
やっぱ、エルフという種族が綺麗だからか、フィスが綺麗なのか、その魅力に惹かれた冒険者が後をたたない
フィスが腕輪を作る姿を足繁く通う冒険者までいるくらいだ
ニールの店の修繕も終わりかけた頃には、みんなのおかげで、早くも冒険者が集まる場所になってきていた
その頃には、ニールや俺らが、用意した商品の在庫が乏しくなってきたので、一旦、ライフィスに戻る事になった
ニール、俺、ライリーとタガート達
それと、ブレンダの代わりにエレノアが、テイラー商会の代表であるクリスに挨拶する為に同行している
そしてなぜか、アリアが、ジムさんのお使いだとか言って付いてきている
ローエは、家屋の修繕や建築の仕事が一気に増えたので、そのまま残り、なんと自称弟子のフィスも
「親方は、施主の言う事を聞かないから、しばらくは残って、間を取り持ってあげるわ!
まっ、ジムに恩返しもしないとね!」
と、仕事の手伝いなんてしないくせにローエと一緒に残ってくれた
村を出ると、俺の気配に気付いてからダイヤが側に現れ
『アイツは、潮の匂いがする辺りに置いてきたぞ』
と、尻尾を振りながら報告してくれた
身構えるエレノアとアリアにアイトが、"まぁまぁ、仲間です"と、説明していた
「おお!ありがとう
お礼は・・・今は、何も無いから後でいいか?」
『気にするな、今は、また、何処ぞの商人と冒険者の護衛中なのだ
今夜は、鍋らしいから、礼などいらぬわ
またな!』
はぁ??俺より鍋かよ!
アイツ、俺のおかげでって、なんちゃら言ってたくせに、鍋の為に楽しんでるのかよ!
「あら、もう、行っちゃったのですか?」
「あぁ、商人の護衛を手伝ってるんだってさ
鍋が食えるからって張り切ってるよ」
エレノアとアリアが、不思議そうに聞いていた
「やっぱりヒロさんって、不思議ですね
あの偏屈の姉貴とも普通に喋るし、しかも、ダイアウルフが仲間だなんて・・・」
「だね、でも、ブレンダさんがいたら、飛びかかってたかもね」
"だよねぇ"的にブレンダをネタに笑い合っている、エレノアとアリアは、仲が良さそうだ
「そうだ、ヒロさん、先日言ってた、ダンジョンのマップだけど、地下6Fまで写してきましたよ」
と、アリアが丸めた紙をくれた
俺は、ダンジョンに入った時、階段の部屋で違和感を感じたので、騒動の後、ジムさんに尋ねたら
「なんなら、マッピングはアリアに任してるから、写しでも描かせてやるわい」
と、言ってくれてたけど、こんなに早く貰えるなんてびっくりだ
「ジムさんからの伝言で、
"マップがあるからって、深く潜るなよ!"
だそうですw」
「勿論!
あんなコエェ所、しばらくは遠慮したいよ!w」
「おいおい!ダンジョンのマップだと?
そりゃ、高く売れるぜ!
っかぁ、ヒロだけズリぃわ!」
おお、そんな考えもあるのかぁ
「いやいや、そんな事しないよ!
ちょっと階段の部屋で違和感があったからね調べたいんだよ」
「そう言えば、何か言ってましたね?
また潜るなら、声かけてよヒロさん!」
アイトが、おにぎりを頬張りながら言ってきたが、コイツ、俺のおにぎりをいくつパクってるんだ?
「それはさておき、ニールは、あの村をデカく出来そうか?」
「はい、ライフィスの街をあそこまでした、下地を作ったのは商人だったと聞いています
なので、やってやろうと思ってます」
ははは、凄いな
楽天家のタガートとは違って、しっかりと夢を見据えて考えてるんだね
「そっかぁ
じゃぁ、ライフィスとあの村を結構頻繁に行き来する荷馬車が必要だな
よっしゃ、頑丈な車輪と車軸は、俺が作っておくから、ローエに車体を作ってもらうといいよ」
「はい!ありがとうございます
そういった設備投資も帰ったらクリス様としたいので、ヒロさんも同席お願いしますね
多分、クリス様は、ヒロさんに会いたがってますから」
おいおい、何を意味ありげな笑顔で見てくるんだよニール君!
「ええ!それなら、私も参加したいなぁ
タガートの弟のニール君の仕事でしょ?
じゃぁ、私達が手伝わないとダメでしょぉ!」
「そっそれなら、わっ、ワタシも、姉貴の代理としてしっかり参加させてもらわないと!」
ん?ん?何かミサやエレノアまで色めき立ってるような・・・
タガートを見ると、アイトとニヤニヤしながら、こっちを見てる・・・
「おい、なんだってんだよ!」
「おいヒロ、ミサとエレノアは、こないだ、ヒロに助けられた自慢をかなり熱く話してだけど
まさか、ヒロ、どっちかに手ぇ出したか?」
ええええ?
イヤイヤイヤ!俺は、首を横に全開に振る
「はぁぁ、ヒロさん、ハレンチすぎるよぉ」
いやいや、おかしいよ!
俺は、何もしてないよ!
「あぁ、エレノアちゃんも、ミサちゃんも、ヒロさんなんだぁ
ふぅぅん!
なんか、わかるぅ!」
「だな、ヒロさんは懐が広いから魅力あるよなぁ」
アリアやライリーまで、俺を弄り出したんで、俺は、不貞腐れて1人先を急ぐ!
サーヤとクリスは上手くやっているかな?
帰ったら、サーヤ達には、土産話的な物はあるだろうか?
リリスには、素材の土産はあるけど、折角もらったジャケットを台無しにしちゃったなぁ・・・
一緒に行動する仲間がいる
帰っても出迎えてくれる仲間がいる
俺は、今、生きる事を満喫してんじゃねぇか?
さぁ、戻ったら、ダンジョンのマップを調べるぞ!!
後ろの仲間を無視して、1人物思いにフクふけっていたら
後ろから、やんややんやと野次を飛ばされるヒロだった・・・
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後日、ダンジョンの村では、ある噂が流れていた
「地下6Fで、派手な服が見つかったらしいぞ・・・」
「間違いねぇのか?」
「あぁ、ニールさんの所で、買い取られたとか言ってたぞ」
「じゃぁ、モンスターに・・・」
人の噂も75日・・・
拡散されるのは早いし、忘れられるのもあっという間だろう
しかし、今回のジムさんやブレンダの行動は、ハリーの活躍以上に後世に伝わっていく事だろう
いつも読んでいただきありがとうございます超七丸です
本業が、めちゃくちゃ忙しくて、なかなか話しを進められなくてヤキモキしてしまいました
なんとか、クリスの支店を出す話しは、当のクリスはほとんど関与していないという、今更ながらに痛感しました
ありがとうございました




