28.クリス支店を出すぞ大作戦part4
28、クリス支店を出すぞ大作戦part4
「なんだ?お前達もこのダンジョンで一発当てに来たのか?」
ちっ!なんだこのオヤジは!どうせオレとエレノアを喰い物にしようって口だな?
「うっ、うるせぇ!
ここは、冒険者が、自分の腕次第で稼げるって言うから来てやったんだ!
オレ達に難癖付けるんなら、容赦しねえからな!」
ゴッチィーン!
何か頭に凄い衝撃が走って、目の中で星がチラついた!
「いってぇ!何しゃがんだテメェ!」
「黙れ小娘!
ダンジョンの入口の前でウロチョロしてるから紹介してやったのに
コイツはな、こんな辛気臭ぇ顔してても、ハリーって言って、ここの顔役だ
ここで、やって行くならちゃんと挨拶くらいしとけ!
それと、やる気は認めてやるから、何かあったら、ワシの名前を出せ
ドワーフのジムって言えば、大抵は話が通るじゃろ」
「そうだよ姉貴、ここでは、ちゃんとやろうって決めたじゃんか!」
やっちまったぁ・・・
ライフィスでは、問題ばかり起こしちまったから、ここでは、ちゃんとしようと思ってたのに、気を張りすぎた・・・
「わっ、悪かった
ここで、姉妹で上手くやっていきたいから、よろしく頼むっ・・・
よろしくお願いします」
それが、オレとエレノアが、この村で、ハリーさんとジムさんに初めて会った時の出来事だ
簡単にダンジョンに入れると思って、持ち合わせも、準備も何もなく、ダンジョンの入口で、困っていたら、ドワーフのジムさんに声をかけられハリーさんを紹介してくれた・・・
それから、何度となく、ジムさんとオレとエレノアでダンジョンに入っ
ハリーさんは、たまにしか一緒に入れなかったけど、本当によくしてくれた
ダンジョンの歩き方を教えてもらった
モンスターとの戦い方を教えてもらった
人との戦い方も
応急処置の仕方、怪我の具合の見極め方
食べれるモンスターと、調理の仕方
寄って来るハエ共(男達)のいなし方
2人には、ダンジョンで、この村で、また、村の外に出てもいいように、全部を教えてくれた
ハリーさんとの最後の会話は
「お前の口の聞き方だけは治せなかったな」
って、笑って話してた・・・
そんなハリーさんが、人生を賭けて盛り上げてきたこの村とダンジョン、冒険者に商人・・・
それをあのクソ野郎がグチャグチャにしやがったんだ
エレノアが、モンスターにやられたのだって、元を正せばアイツのせいだ
そして、そのエレノアを助けてくれた恩人が、オレが、オークごときを仕留めきれなかったせいで
オレは、何をやってんだ・・・
「ヒロぉぉぉぉ!」
アリアに抱き起こされたヒロは、グッタリしている
「アリア、ヒロの怪我は?
酷いのか?」
「そっ、それが、こんな物が・・・」
アリアが、ヒロの背中を抱き起こして、背中を見せてくれた
「ん??
なんだコレ?」
オークの爪で、引き裂かれた場所を広げて、傷の確認をしようとしたら・・・
「鎖帷子?
しかも、この色って、ミスリルじゃねぇか?」
呆れて何も言えねぇよ!ったく!
「アリア!
怪我もしてねぇ奴を甘やかすな!
気絶には、コレだ!」
腰の水筒をヒロにぶっ掛けてやるぜ!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「冷たっ!」
ひゃ!ひゃっこいがな!
あれ?俺は、さっき、物凄い柔らかい物に顔を埋めていた気がしたんだけど・・・
「いつつつっ
なんか、俺、壁に吹っ飛ばされた気がしたんだけど???」
「あぁ、すまねぇな
しっかり仕留めきれなくて、アイツの最後の悪あがきが、ヒロの背中に一撃入ってな!」
俺は、少し記憶を掘り下げた
「あぁぁっ!
ジャケットが!」
急いで、リリスのジャケットを脱いだ
っはぁ・・・
ズタボロに引き裂かれてるよ
「あのなぁ、ヒロ
その、なんだ・・・
ミスリルの鎖帷子って、A級冒険者かなんかでも、そんないい物身につけてねぇぞ!」
「あっあぁ、コレねw
初めてのダンジョンは、何があるか分からないから、昨日の夜に作ったんだ
っふぅ、作っておいて、良かったぁ」
ひやぁ、くわばらくわばら、ジャケットをあんなにしちゃう攻撃をまともに喰らってたら、やばかったかもw
(まぁ、ちょっとは、それでも治っちゃうじゃないかとは、期待しているけど、無茶はやめとかないとね)
「おいおい、そんな代物をE級冒険者が着てたら、モンスターじゃなくて、人間に襲われんぞ!
しっかし、壁に吹っ飛ばされたんだ、骨の1つや2つ、折れてんじゃねぇか」
ジムさんが、心配してくれたんで、体中を確認したが、もう痛みは無かった
「ヒロさん!
ホント良かったです
心配したんですよ!」
あっ、俺はまだアリアに身を委ねていたw
どおりで柔らかくて暖かいと思ったw
「ごめんごめん」
と、立ち上がり、とりあえず破けたジャケットを羽織る
「動けるんなら、もう、上に上がろうや
もう、あらかた片付いただろう?」
ブレンダが、頭を掻きながら"はぁ、心配して損したぜ"と、呆れながら言ってきた
俺は、この場の雰囲気が、何故、冷たいのか分からないまま、縄梯子で地下2Fに戻る
「ヒロさん?
何かあったんですか?
今、ちょっとモンスター来てるんで、気をつけ・・・
わぁぁ、だっ、大丈夫ですか?」
「どうした?
ヒロに何かあったのか?」
コボルドの襲撃をアランと防いでいたタガートが、ミサの悲鳴?に反応した
襲撃も収まり、下での出来事を報告していたら
「あぁ、もう、やりたい放題だなヒロは」
「うわぁ、自分専用ってカッコイイなぁ」
タガートとアイトの反応には、温度差がある
「でも、良かったぁ
もう、びっくりさせないでください!
それと、ヒロさんの準備の良さは尊敬します」
「ホントだよ!
女を心配させるなんざ、サイテーの男だぜ!」
優しいミサと、登って来るなりキツイお言葉のブレンダにも温度差があるなぁ・・・
「ヒロやい、お前のその何でもありの能力で、さっさとここを塞いでしまってくれんか?
今日は、色んな事を見て、知りすぎたわい
早く出て、エールで頭を冷やそうや」
俺は、マジックバッグから、さっき使った、魔鉱石の板6枚と、エールや果実水を出した
おれが作業している間、くつろいでもらう事にした
「そう言うところは気が効くんだなw」
ジムさんが飛び付いてきたw
俺が思うに、この階の壁の魔鉱石よりは、俺の作った魔鉱石(紫)の方が硬そうなんで、まずはさっき作った6枚を基礎材として敷いて、端を既存の床や壁とくっ付ける
続いて、地下3Fで集めた魔鉱石(薄紫)で、同じような板をどんどん作っていく
それをさっきの板とは90度向きを変えて隙間なく敷いていく
端から、ゆっくり元の床や壁とくっ付けていく
隙間が出来たら、埋めるようにする
ちょっと時間は掛かったが、みんなが、ゆっくり休憩してる間に終わらせた
「さぁ、コレで、穴は修復出来たよ」
「やるじゃん!
これで、そのケイシーって人の企みも阻止出来たって事ね」
後ろで見ててくれたフィスが、誰と言わずに確認した
「そうだな
今回、分かった事で、あの野郎を問い詰めてやるぜ
いいよなジムさん!」
「あぁ・・・」
ジムさんは、ブレンダに対して、歯切れの悪い返事をした
ブレンダはケイシーの悪巧みを早く突きつけてやりたい気持ちが急いてしまい、ジムの塞ぎ込んだ目を見通す事ができなかった・・・
一息ついて、俺達は、ダンジョンから出る事にした
途中で捕まえたケイシーの手下達は、アランによって、後ろ手にしっかりと縛り上げられて、数珠繋ぎにされている
まっ、そんな事をしなくても、ジムさんとブレンダに顔を覚えられた以上、この村では悪さは出来ないだろう
モンスターの襲撃もなく、地下2F、1Fと通過していき、地上1Fに来た時には、縄で縛られてる3人を連れて歩いているので、かなり目立つようで、野次馬が出てきていた
"何かあったのか?"と、聞いて来る者も居たが、俺達は終始無言で歩く
それでも、何かあるのだろうと、人が寄ってきた
ダンジョンを出た時には、俺達の噂が広まったのか、昨日のように、ダンジョンの入口の前に人だかりが出来ていた
「すまんが、このまま、ケイシーの所に付き合ってくれぬか?
目撃者は多い方がいいからの」
ちょっと、元気がないように見えるジムさんの頼みを俺達は無言で頷き、さぁ歩き出そうかとした時だった
「おいおい、何の騒ぎだよ!
ブレンダかよ!
お前は、村から出てるんだから、あんまりデカい顔すんじゃねぇぞ!」
と、言いながら、中年になりかけているだろうか、痩せて目つきの悪い、ジャラジャラとした装飾を身に纏った男が、両脇をこれまた、目つきの悪い男2人を従えて、人だかりを割って出てきた
「何だと、この野郎!
ケイシー!今日と言う今日はっ」
いきなり喧嘩口調で話しかけられたブレンダが、ケイシーと呼んだ相手に今にも殴りかかろうとした
しかし、そのブレンダの腕をご太い手が握って止めた
「ジムさん!」
「おい、何の真似だジム!
俺が、そんな奴にやられるとでも思ってんのか?ああ〝?
おい、お前ら、あの女を黙らせろ!」
「はっ」✖️2
コイツがケイシーか?
いかにも、親の七光で、逆に頭のキレる奴の食い物にされてる感じの奴だなw
はぁ、でもこういう展開って典型的なやられフラグの奴だよねコレw
ケイシーの両脇に控えていた屈強な男2人が、拳をボキボキさせながら、向かってきた
ブレンダが迎え撃とうと前に出ようとしたら、ジムさんに後ろに引っ張られた
「ちょっ、ジムさん!」
次の瞬間、男達の前にジムさんが立ちはだかり、無言で正拳突きのような攻撃を連続で行った
ングハっ!
グホッ!
屈強な2人は、腹を抱えて、膝から崩れ蹲る
「おっ、おい、ジム、何の真似だ
この俺に逆らって、ここでやってっ!
フゴっ!」
ガンっ!ゴロン!ズザーっ!
ジムさんは、近づいてきた、ケイシーの話を最後まで聞くことをせず、いきなりぶん殴った!
ジムさんに殴られたその男は、1回転して、顔面から地面に突っ伏した
辺りが騒然とする!
「ちょっ!ジムさん!」
ブレンダが慌てる
「なっ、何をするんだ!
じっジム!」
殴られたケイシーが、顔面擦り傷だらけで、左頬を押さえながら、ジムさんに喰ってかかる
ジムさんは、その男の胸ぐらを掴んで、引き寄せる
「ケイシー!
もう我慢ならねぇ!
この村から出ていけ!」
「なっ!何をっ!」
ドッゴーン!
また、殴られるケイシー
肩で息をするジムさん、勿論、疲れなどではなく怒りからだろう
「なぁ、みんな聞いてくれ
ここ、最近のダンジョンでの出来事は、みんな知っていると思う
中層のモンスターが、地下2Fに出現していた件だが・・・」
ジムさんは、中で捉えたケイシーの手下達を前に出して、地下2Fで行われていた事を説明した
そして、ブレンダ達とテイラー商会の俺達とで、その穴を見付けて、塞いだ事を伝えた
「ってな訳で、そこのケイシーが、私腹を肥やすためだけに馬鹿げた事を考え、実行したせいで、何人もの仲間が犠牲になっちまった・・・」
ジムさんは、一度、話を区切りみんなの反応を待った
「大体の者は知っていると思うが、ワシは、ここにダンジョンがあると世間に知られてから、ずっと足を運んでいる
コイツの親父のハリーが、ここを発展させたのも、ワシは見てきたし、協力も惜しまなかった」
ジムさんは、またもや、みんなの反応を待った
しかし、ジムさんがこの村に一番貢献している事は、誰もが知っている事のようで、誰もが頷いて聞いていた
「だが、ハリーが亡くなり、コイツが勝手に村の商人達に圧をかけ、しまいには、自分が村のリーダーの様な振る舞いで、このダンジョンに夢を馳せて集まる冒険者や商人達を食い物にするようになった
でもな、いいか、このダンジョンの村は、誰の物でもねえんだぞ!
分かっておるか?
ここは、冒険者と商人の村なんだぞ!」
ジムさんは、ケイシーに、そして、騒ぎに駆けつけた、冒険者や商人達に聞こえる様にゆっくりと、そして大きな声で語りかけた
「ワシは、ダンジョンに入る根性もなく、ハリーの作り上げた人脈を悪用してやりたい放題のコイツが好かん
だが、ワシには何の被害がなかったので放っておいた」
「なっ、何だと!
俺は、俺の力で、ここまでやってきたんだ
お前だって俺のお陰で・・・」
ケイシーの話しはそこで止まった
「お前が、ワシに何かしてくれた事があるのか?あ?」
ジムさんが、ケイシーの胸ぐらをもう一度締め上げる!
「あっ、いや、その、無いかも・・・」
「ふんっ」
ジムさんは、ケイシーを突き放す
そして、もう一度、集まっている人達に向き直り
「一番悪いのはコイツだが、直接正す事が出来なかったワシも悪かったと思っておる
みんなすまなかったな
だが、同様に悪い奴は、コイツに媚びへつらってる者達や、言いなりになって、文句も抵抗もしないお前達だ」
人だかりが、ザワザワし始めた
"俺は、違う"だの
"仕返しが怖いし"だの
"やっても何も変わらないし"だの
言い訳のような声ばかりが聞こえて来る
「みんなブレンダは、知っておるな
早くから、ケイシーのやり方に反発して、ここから出て、向こうで集まって、この村を少しでも良くしようと動いてくれておった事をみんなは知っておったか?
そして、村を良くしようと動いていたブレンダ達をケイシーがどれだけ邪魔をしてきたか、知っておるか?
ここにおる者の中にも、その邪魔だてを手伝った者や
それを見て見ぬふりをした者もおるじゃろ?」
人だかりの中の半分くらいが、急に目線を逸らしたり、俯いたりし始めた
「このままでいいのか?
まだまだ、探索しきれておらぬこのダンジョンに集まる冒険者達に、商人達にこんな状態の村を見せられるのか?」
人だかりの人達が、更に静まり返った
「ワシは、今回、ブレンダやヒロ達とダンジョンに入ってよぉく分かった
この村は・・・ダンジョンの村は、変わらなきゃならねぇ
俺は、そう思った」
変えるってどうするんだろう?
みんなもジムさんの言葉を待っている
「アリア」
「はい!」
アリアが、ジムさんの隣に並び、懐から書類を出す
「ここに、ケイシーの裏帳簿がある
ここには、ケイシーと悪巧みをして私腹を肥やしていた冒険者や商人、他にも卑怯な奴等が名を連ねておる」
「おっ、オイ、それはっ!」
急に慌て始めるケイシー
だが、鳩尾にアリアが一撃を喰らい、静かになる
「いいか!ワシは、明日から、ここに名を連なる連中を全員ぶちのめしに行く!
何日掛かろうとも、全員をぶちのめしてこの村から追い出してみせる
コレが、ワシが今まで、ケイシーを放っておいた事への贖罪だ
そして、この村の後の事は、ブレンダに任せようと思う」
「ちょっと、ジムさん!
何、無茶言ってんだよ!」
ブレンダが慌てる
「いいんだブレンダ
ワシは、ひとつ仕事が、片付いたんでな
今度は、この村の為にひと汗かくつもりだ
その後のことはブレンダ!頼むぞ!」
ジムさんの言葉を聞きのがさないように聞いていた人達が、一気にざわつく!
"おお!いいぞいいぞ!"
"頼むぜジムさん!
"俺も、手伝うよ"
"ヤバいぞこりゃ!"
人だかりのザワつきが大きくなってきた
人だかりの中の人達は、大半がケイシーのせいで、辛い経験をしてきた人ばがりなのだろう
大半が、賛成の方向だ!
しまいには、ダンジョンの中の入口付近で様子を見ていた人達まで、走り出てきて
"俺達にも協力させてくれ"
"○○の仇を取らせてくれ!"
"やってやんぜ"
ジムさんの周りに、急に人が集まりだし、俺も俺もと、協力を申し出る者で一杯になった
ジムさんの口元が少し緩んだように見えたが、また、厳しい顔つきになり
「みんな、気持ちはありがたいが、手を汚すのは、ワシだけで勘弁してくれ
だが、時間に余裕のある者は、ワシの行動を見守ってくれるか?
この村に巣食う悪しき者をみんなに知ってほしいし、コレからは、みんなで、悪しき者に好き勝手させぬようにして欲しいんだ」
ジムさんはあくまで1人で、やるつもりらしい
「待ってくれよ!ジムさん!
なんで、アンタ1人でやろうとするんだよ
オレにも、手伝わせてくれよ!」
「ブレンダよ、暴力は何も産まないが、時には強さを示さないと解決できない事もある
だが、ブレンダよ、まだ、お前が手を汚す必要なんぞない」
「だからって、それじゃぁ、ジムさんだけが・・・」
ブレンダにはジムさんの覚悟みたいなのが分かるんだろうね、声が詰まっている
このやり取りの中、俺達は、ほぼ外野的存在だった
そのせいもあってか、人だかりの様子がよく見えた
ジムさんの覚悟ある決断を口にした時は、ほとんどの人達が、喜んでいたが、そんな中の数人が、踵を返し群衆を抜け出していた
それを見たジムさんが、アランに何事かを頼み、アランが動いた事
俺は、アイトを見た
アイトは頷き、アランが追いかけた方とは別の方向に動いていた
すると、俺の肩に何かが触れた
振り向くと、フィスが顔を近づけて来た
近くで見ると、ホント人形みたいに綺麗だ
「ちょっと、ヒロ!鼻の下が伸びてるわよ!
まぁ、いいわ
私、ジムに何のお礼もしてないから、ちょっと行ってもいいかしら?」
最初は、何を言っているのか分からなかったが、フィスが親指で人だかりを指したので、ようやく分かった
「無理は、しないでくれよ!
フィスは、強いんだから」
「ふふふw任せて」
と、ウィンクをして、風のように走り出した
「ヒロ!
俺達、実は、前にジムさんに世話になっててよ、な?」
「はい、ここには数回しか来てませんが、その度に、お世話になってますんで、ジムさんに協力したいです
いいですか?」
「何言ってんだよ!
タガート達が協力するなら、親友の俺にも協力させろよ!
それに、俺は、弟のドムさんのパートナーなんだぜ!」
やっべ、まぁた、お節介オヤジが出てきちまったぞ!
もうこうなったら、ジムさんに嫌がられてもいいから、首を突っ込んじまおうかな?
俺は、まだ、ゴネているブレンダとジムさんに近寄り
「ちょっといいかな?
部外者の俺達で、申し訳ないんだけど、ジムさんは、明日から粛清を始めるんでしょ?
じゃぁ、もう、今日は、疲れたでしょ、エールでも飲んで英気を養おうよ!
ね?ジムさん」
「ちょっ、おい、ヒロ!
待て!ちょっ!」
俺は、半分無理矢理にジムさんを集団から引き離し、ブレンダのコミュニティに移動を始める
着いて来ようとする人達をアリアが、制して
「あっ、明日から、ジムさんは行動すると思いますので、時間がある方は、ご同行して構いませんので!」
タガートもアリアを手伝う
俺とミサで、ジムさんを挟んで、プンプンのブレンダは、エレノアになだめられているが、ずうっとゴネながら後をついて来る
「ジムさん、俺は、昨日初めて来た身だけど、首を突っ込ませてもらうよ」
「待て待て、おまえは、無関係だろ?
何で、首を突っ込むんだ?」
ミサに腕を絡められて、ぎこちなく歩くジムさんが、ごもっともなことを言う
「ジムさん、私達は、ここに来た時や街で会った時に、ジムさんにお世話になってるので、申し訳ありませんが、親友のヒロさん共々、協力させてもらいます!
これは、決定です!」
「そうそう、それに、俺はドムさんとパートナーだしね
あと、エールのタダ呑みはさせないからねw」
"おい!そりゃねぇだろ!"と、笑いながら驚くジムさん
ダンジョン入口での出来事が、早くもこっちにも伝わっているようで、ブレンダのコミュニティの人達がジムさんの周りに集まって来た
"ジムさん、ケイシーをぶっ飛ばしてくれたんだね!"
"やっぱり、ジムさんは、俺達の味方だったんだぁ"
"この状況を変えてくれよぉ"
「どうやら、何もしなかったせいで、色々な誤解を生んでしまっていたようだな」
「そりゃそうだよ!
ジムさんが、あっちに居るから、逆らえねぇって奴だって居たはずだぜ」
ジムさんの呟きにブレンダが答える
俺は、詳しくは分からないが、ジムさんがケイシーを殴った事は、ここにいる人達にとっては、以外であり、驚きの出来事だったんだな
「まぁ、ひと仕事終わったんだから、ゆっくり飯でも・・・
食えそうもないかも・・・」
ニールの店舗が、見えて来たと思ったら、予想以上の人だかりが出来ていた
「私、手伝って来ます!」
ミサが、走り出した
「ジムさん、ブレンダ!
俺も手伝って来る!
後で、来てくれ!」
俺も、走って戻る事にした
「みなさんお帰りなさい!
見てください、大盛況ですよぉ〜!」
ニールが満面の笑みで手を振りながら喜んでいる
シャワーの順番待ちやら、ホットサンドやおにぎりの温め待ち、何と、精霊の腕輪は、半分も売れたらしい!
「おう!ミサ!ヒロさん!
良かったぜ!
大工の俺じゃ、失敗ばっかりで、迷惑かけまくりだぜ
頼むよ、手ェ貸してくれよ!」
ローエが、慣れない手つきで、接客をしている
俺と、ミサは、荷物を置いて、ヘルプに入り、しばらくは、接客や調理に精を出す
しばらくすると、フィスとアイトが戻って来て、ヘルプに入る
その頃には、客足も一段落してきた
ブレンダとジムさん、そしてエレノアは、店舗前の1つのテーブルで、戻ってから、ずっと話し込んでいた
内容までは、分からないが、腹を割った話なんだろう、何度か、ブレンダが大きな声を出していた
「さぁ、みなさん、そろそろ、ご飯の支度を始めますね」
ニールが、店の片付けもそこそこに、腹を減らした仲間の為に、準備を進める
その頃には、タガートとアリアも戻って来ていた
「買って来たよぉ!」
早めに店仕舞いしていたライリーが1人の手伝いを伴って、お使いに行っていたらしく、ちょっと高めだが、肉を購入して来た
肉と言っても、小さな豚がほぼ丸ごと1頭だ
「ひゅぅー、今日は、豪勢だなぁ
ふぅ、姉貴、ジムさん、何人か追いかけて調べて来やしたぜ!」
「何のこったい?」
アランが、帰って来て報告をしたが、ブレンダは、ジムさんにばかり集中しすぎて、アランの言ってる事が何の事やら分からない
「すまねぇなブレンダ
アリアが動けなかったから、アランに動いてもらってな
裏帳簿で、名前が分かってても、どこに居るかは分からねぇからな」
「なんだよ!
オレは、蚊帳の外かよ!」
ブレンダが、舌打ちしながらボヤく
「姉貴!
だから、さっきからジムさんが言ってるじゃんか!
姉貴に後を任せたいから、汚い事はさせたくないんだって!」
「そりゃ、ジムさんの気持ちは分かるけど、オレだってあのクソ野郎に恨みがあるんだぜ!
せめて、ケイシーの野郎だけでも、キッチリ追い込みてぇんだよ!」
ブレンダのブスくれた顔が中々治らないようだ
「さぁ、コレでも呑んで、ちょっと頭を冷やそうよ!
あっ、体は熱くなっちゃうかも知れないけどね」
俺は、ジムさん達のテーブルにエールを置いた
そして、ご飯が炊けるまで、豚のほぼ丸焼きに取り掛かる
中に香草やネギみたいな野菜、香辛料をたらふくぶち込んで、紐で巻き巻きして、ゆっくり回しながら、こんがりになるように焼いていく
そして、ライリーにバトンタッチして、俺は、ダンジョンで手に入れた、魔鉱石(薄紫)を使って、増設用シャワーの貯湯タンクを作っていく
タンクを作りながら、ある事を思い出した
「ねぇ、ダンジョンでさぁ、スケルトンの魔石とか拾って来たけど、ニールに買い取ってもらって、みんなで分けようよ?」
「はっ?あんなもん値段つくのか?」
ブレンダからしてみれば、そんなに価値はないのだろう
「何か、買い取れそうな物を見付けて来たんですか?」
自分の名前が出たので近寄って来たニール
俺が手渡した魔石を見て
「確かに小さいですが、ライフィスでは、間違いなく値は付きますね
査定しときますので、食事の後にでも、換金する素材を見せてくださいね
でも、ここでは、売れないのですか?」
「あぁ、地下3Fくらいまでの素材や魔石なんて、ここの商人共に売りに行っても、足元見られちまって、全然割に合わねえんだよ
だから、ダンジョンに篭っちまう奴らが多いんだよ」
ニールが、顎に手をやり、思案し始めた
「そうやって、商人の買い叩きに、冒険者が負けちまうから、足元を見られちまうんだ!
ワシみたく定期的にライフィスで買い取ってもらうようにすれば、商人共も、もっと客寄せの為に買取額を上げようとするだろうが
何度も言うが、元はケイシーが悪いんじゃが、ケイシーをつけ上がらせてるのは、ある意味、商人や冒険者なんだぞ!」
ジムさんは、エールも入った事で、発する言葉にも熱が入る!
「そっ、そうかも知れねえけど・・・
じゃぁ、どうすりゃいいんだよ」
ブレンダが、口を尖らせる
「やはり、ここには、しっかりとした流通が必要ですね」
ニールが、ここは出番とばかりに口を挟む
「俺も、そう思うよ
いくら、悪巧みしている者を排除しても、この村の中だけでの流通なんて、高が知れている
ここにいる商人達だってそれくらいは分かっているだろうし、独自の流通ルートを持っているんだろうけどね
後は、まとめ方だろうね
ニールは、もう、その辺考えちゃってるんじゃない?」
俺が、ニールに目線を送ると、"少しは"と、言いながら、ニヤリと笑みを浮かべた
「そろそろ、火が通ったんじゃないかなぁ?」
「おう、米も炊けたと思います」
いいタイミングで、ライリーとミサから、嬉しい掛け声が入る
さぁさぁ、明日の作戦は、ご飯を食べながらやりましょうや!
香草がしっかり効いた、こんがりな焼豚
炊きたてご飯をベースにいただきましょう
「やっぱ、肉はたまんねぇなぁ」
「姐さん、それ俺の肉っす」
さっきまでブスくれていたブレンダは、肉があると治るらしい
しばらくは、みんなで夕飯を楽しむ
「ジムさん、ところでさ
俺、考えてたんだけど、明日から粛清を始めるって、もしかして、敢えて時間を与えてるんじゃない?」
「フンっ小賢しい奴だな
ワシだって、そりゃ、好き好んで、暴力は振るいたくないわな」
やっぱりそうなんだw
でも、それだけジムさんの実力も、そしてネームバリューも凄いんだろうな
「うん、予想した通り!
じゃぁ、明日は、相手がやる気を無くすくらいにカチコミかましてやればいいんじゃない?」
「か・ち・こ・み?」
ジムさんが、怒りに任せて暴れるわけじゃない事が分かったので安心したが、昔の仁侠映画で覚えた単語を使ってしまってエレノアに不思議がられてしまった
「あぁ、脅しをかけて、追いだすとかね
上手くすれば、戦わずに降参させられればいいかなぁと思ってね
見た目だけなら、ローエもかなりいい感じだよね」
「おいおい、言ってくれるぜヒロさん!
俺は、シャワーの増設しねぇと、ニールに怒られちまうぜ」
おっと、職人顔のローエは、結構迫力あるんだけど、断られちゃったなw
そんなやり取りを見ていて、ジムさんが笑い出した
「お前さんは、面白ぇな
フィスの石化は治しちまうわ、鉱石を手で練っちまうわ
鎖帷子は作ったと言い張りやがる
お前さんと居たら退屈しなさそうだなw」
「ふふwそれは言えてるわねw
色々楽しませてくれるわね」
いやいや、俺は、いつだって、真剣にその時その時を考えて行動してるつもりなんだけどな
ジムさんもフィスも何かを勘違いしてるんじゃないかな?
「そうそう、ヒロと居ると、ダメな事でも、何とかしちまうような気がするんだよなぁ」
「あっ、それはある
ヒロさん、諦め悪いもんね」
タガートとミサも買い被りすぎだよ
「そうそう、ヒロさんなら、何とかしちゃうよ
うん、もぐもぐ」
「おいおい、ほっぺに米付いてんぞ!」
早くもおにぎりを食ってるアイト
「じゃぁさ、アラン達の情報をまとめて、明日のカチコミ大作戦の予定を決めようよ
あっちの村の大体の地図って書ける?」
俺は、マジックバッグからちょっと大きめの紙を出す
「なら、私が書いときます」
アリアが引き受けてくれ、別の空いたテーブルで書き始めた
食べ終わった者から、その周りに集まる
俺は、アリアにホットサンドを渡しながらお礼を言う
「じゃぁ、ここにアラン、アイトそしてフィスの見てきた情報を書き込もうよ」
"ここの○○は、荷物をまとめ始めてたから、逃げ出すんじゃないか?"
"△△は、もう、荷物背負って何人かで、出て行ったね"
"この◻︎◻︎は、ローエみたいな強面の人達と何か話してたから、抵抗するかも知れないわよ"
そんな情報をアリアの書いた地図に書き込んでいく、若干、弟子が師匠を愚弄する発言もあったが、それはご愛嬌w
ジムさんが持っている裏帳簿と見比べて、大体の所在は把握できた
って言うか、裏帳簿に名前があるもの達は、"類は友を呼ぶ"って言うのが合っているのか、大体近くの場所に集まっていた
「じゃぁ、こいつらを一気に蹴散らして、ケイシーの奴を追い込めばいいんだな!」
「そっ、そうだけど
姉貴は、手を出しちゃダメだからね!」
ブレンダが、要点を超簡単に説明したが、エレノアに嗜められた
かなりエールを呑んでるジムさんは、このままこっちで寝るらしい
まぁ、冒険者は野宿は当たり前なので、寝床は、何処でもいいらしい
まぁ、寝るも何も、作戦会議?の後、そのまま、エールで軽い宴会が始まる
ブレンダが、ニールに、
「魔石は全部、エールと換金してくれ!」
なんて、言うもんだからたまったもんじゃない!
ジムさんやタガート達を巻き込んでの独壇場だ!
俺は、こっそり抜け出し、ニールに売り物の在庫などを確認する
やっぱり、手頃で腹持ちのいいおにぎりは、めちゃくちゃ好評らしい
ライリーの方も、武具の修繕は、かなり来客があるらしい
また、村の武器屋も何軒か覗いてきたらしいが、ただ売っているだけって印象だったらしい
ライリーに魔鉱石(薄紫)が大量に手に入ったから、必要か尋ねたが、炉が無いからと断られた
さしあたり不足になりそうな物は無さそうなので、俺はリリスから貰ったジャケットの補修をする事にした
針は自分で作る
糸を通す部分は、指で摘んで柔らかくした時に、串で穴を開ける
そうだ、ダンジョンで手に入れた蝙蝠の羽根の部分が使えないかな?
羽根を1本取り出し、羽根の部分を切り抜き、ちょっと火で炙って産毛?みたいのを焼いてみた
うん、伸縮は変わらないな!
ヨシ!これを背中側の裏地にしてしまおう
気合いを入れて、針に糸を通すチャレンジをしていたら
「ヒロさん、やりましょうか?」
片付けとシャワーを済ましたミサから、声を掛けられた
「え?いいの?
結構、派手に裂けてるけど、イケるかな?」
「ヒロさん、たまに不器用なところありますよねw
まだ、シャワー浴びてないんですよね?
さぁ、貸してくださいって!」
ミサになかば強引にジャケットを取られてしまった
俺は、ミサの好意に甘えて、シャワーを浴びるついでにタンクに湯を溜めた
シャワーからあがると、ミサがジャケットの背中を見せてくれた
3つの爪痕が残っていて斬新な見た目になっている
あれっ?どこかで見たような・・・
あっ!飲んだら元気になるドリンクのマークみたいだぞw
「ごめんなさい、あまりにも爪痕が大きかったんで、私にはこれが限界でした」
「いやいや、逆にカッコいいよ!
俺、戦闘なんて出来ないのに、強そうなイメージになるよw」
直ったばかりのジャケットに袖を通す
あれっ?なんか、背中がヒンヤリするぞ
蝙蝠の素材のせいかな?
「ミサ、ありがとう!
じゃぁ、お礼に!」
と、言って、マジックバッグから、以前にリネンの村に帰る時に購入した店で、買っておいたお菓子を出した
ホント、このバッグは、入れた物が悪くならないからありがたい
「わぁ!いいんですかぁ!」
「勿論!
ミサは、裁縫が上手なんだね
これは、男共のハートを鷲掴みだなぁ」
俺は、そう言って、ミサにあげた物と同じお菓子に齧り付く
「ええ?じゃぁ、ヒロさんのハートも鷲掴みにしちゃってますか?」
と、上目遣いで言ってきた
ンゴホッ!
あまりの可愛さに、咽せてしまった
シャワー後の薄着もあって、谷間の破壊力が、半端ねぇ!
「ちょっ!何言い出すんだよ!
こんなオジサンのハートなんか掴んでどうすんだよw」
「ダメなんですか?
というか、ヒロさんの事をオジサンなんて思ってるの、ヒロさんだけなんじゃないんですか?」
ギクっ!
ダメダメダメだよ!ミサくん!
俺の中身は51の老人に片脚突っ込んでるんだよ!
「なっ、何を急に言ってんだよミサw」
ヤバい、若い子に急にこんな事言われて慌てまくっちゃってるよ
「ふふ、ヒロさんって、凄く頼りになるのに、たまに、凄く子供っぽい時ありますよねw」
「あんまり、いじめないでくれよぉ」
と、戸惑っていると
「なぁに、自分達だけ美味しそうな物食べてるのかなぁ?」
俺の後にシャワーを浴びたフィスが、これまた薄着で絡んできた
「フィスさぁ、自分は気付いてないのかも知れないけど、フィスは綺麗なんだから、もうちょい露出を控えられないかなぁ」
俺は、ナイスタイミングに来てくれたフィスに、感謝の気持ちで一杯だが、愚痴りながら、バッグから取り出した、お菓子と共にタオルを渡した
「あら、あなた達の方が、不自然なんじゃないの?」
何が不自然なのか分からないが、襲われないうちに隠す所は隠してもらいたい
まっ、フィスなら、襲われても簡単にあしらっちゃうんだろうけどね
「ところで、明日は、何か考えがあるの?」
フィスは、俺に聞いてきた
目が面白がってる感じがする
多分、何かしらの事をして欲しいんだろうな?
「実は、何も考えてないんだよね
ジムさん達と俺達で、対峙すれば相手は降参しないかなぁ?」
「えぇ?それだけぇ?
何か、面白い事しないの?
ねぇ、ミサもヒロらしい事して欲しいわよね?」
「はい、そうですね
最後は、ここにいるみんなが笑顔になる様なのがいいですね」
トホホ、なんで、部外者の俺にそこまで期待するかな?
「まぁ、何となくは、あるかな
それと、不正な奴らを追い出した後の提案も少しはね・・・
って、じゃぁ、酔い潰れる前に、ジムさんやブレンダ、ニールに相談してくるよ」
俺は、そう言って、かなりドンチャン騒ぎに発展している、テーブルにゆっくり近づいて、ジムさんに話しかけた
最初は、"駆けつけ3杯だぁ"とか、変な盛り上がりだったが、俺が、真面目な話を切り出すと、すぐに大人しくなり、ニール、アランそして、ローエやこのエリアの商人も呼び出して、俺の提案を始めた
多分、一晩やそこらで纏まる話では無いが、ここを良くしたいと考えている者達なら、きっかけになる事くらいは、まとまるだろう
ちょっと、無謀で、夢のある話を俺達は夜更けまで、時には、酔ったブレンダが歌い出す場面もあったが、構わず話を続けていった・・・
いつも読んでいただきありがとうございます、超七玉です
ゴールデンウィーク明けから、仕事が立て込みまして、なかなか、話しを勧められませんでした
間が空いてしまいましたが、少しずつ進めていきますのでよろしくお願いします
ありがとうございました




