24、麦の村で警護をしたら、ダイヤが住人になる
24、麦の村で警護をしたら、ダイヤが住人になる
俺の名前は、フレッド・ブライアント
ライフィスの冒険者ギルドの5代目ギルドマスターだ
妻子持ちの55歳だ
倅は、冒険者、絶賛恋人募集中だ
俺は、小さい時から、御伽話のように、この街の南外周区に初代ギルドマスターの友人のエルフが石化して埋められてて、その石化を解くまでは、ここのギルドのギルドマスターは、うちの血族で受け継ぐって言う、初代の遺言のせいで、冒険者経由でギルドマスターをしている・・・って言っても、冒険者生活もギルドマスター生活も好きだから文句は無かったが・・・
まさか、エルフが石化されてるって話が本当だったとは!
確認のためにやって来たら、このザマだよ!
綺麗なエルフのお姉さんに抱きつかれて、ほっぺにチューされてるよ・・・かみさんには悪いが、しばらくこのままで・・・
って、そうはいかねえよ!
ギルマスが、モナに話しかけたと思ったら、エルフがギルマスに飛び付いて、ほっぺにチューをしている
「フレディ!会いたかった!」
一瞬固まっていたギルマス!
徐々に口元がニヤけてきたと思ったら
「エルフさんちょっと落ち着いて!」
と、優しくエルフを引き離した
「俺は、フレッド・ブライアント
フレディは、多分、高祖父だ
申し訳ないが
俺は、フレディの孫の孫だ」
「だと思ったw」
ギルマスの説明に、何食わぬ顔で答えた
「そっちの私を石化から解いてくれたお兄さん、本当にありがとうね
私は、レジーナ・フィス・エイブリー
あなたの先祖のフレディとは、仲間・・・かな?
この街を大きくするのを手伝っていたわ
フィスって気軽に呼んでいいよ!」
『ええぇぇぇぇ!!』
そりゃあ、みんな驚かせてもらいますよ
フィスが、回復した事を知り、下からみんなが上がってきてから、フィスは、ギルマスの先祖との出会いから、自身が石化されるまでをかい摘んで話してくれた
途中、ルイスがお茶を用意してくれたり、サーヤがお菓子などを配った
フィスが上手なのか、エルフが話し上手なのか、みんな、昔話や童話を聞く子供のように、フィスの話に釘付けになった
「・・・それで、少年とフレディを庇ったら、バジリスクに石化されちゃったの
石化された後も意識はあったんだけどね、そこからはもう退屈だったわよぉ」
「でっ、でもなんで、俺が買った家の庭に埋まってたの?」
フィスが話し終わったあと、俺は、ツッコミのように質問してしまった
「あっ、そこからは、俺が聞かされてる話しをするかな」
ギルマスは、頭を掻きながら、あまり話しは上手くないが・・・と、選手交代した
・フィスの石化をエルフ達に知られないように隠した事
・フィスの石化を治せるまでは、フレディの一族でギルドマスターを受け継ぐと決めた事
・街が大きく成りすぎて、フィスの埋められている場所も住居区域になっていた事
「そうなんだ、じゃぁ、この家に住む人が、店を開業しても、すぐ店が閉店になってたのは、フィスのせいなの?」
「えっ?私は、いつまでも、石化を解いてくれないから、人が近くにいる時は、ずっと、"助けてぇ!"って念じてただけだよぉ」
あっ、それが、なんか違和感に感じたのか?
はっ、そういえば、一瞬お礼も言われた気がするなぁ
「あっ、それはだな、ここにフィスさんが埋まってる事を知っているのは、ごく僅かだったから、誰かが、住むたびに、あれだ、ちょっとな、出てってもらうために・・・・」
あらら、あまり言えないやつねw
「えっ、じゃぁ、俺も、いつかは、追い出されてたの?」
「馬鹿言うなよ、うちの冒険者が世話になってんのに、後で説明しようと思ってたら、フィスさんを見付けちまうわ、石化を治しちまうわ、こっちの思考能力が追いつかないさ
ホント、アンタには感謝しかないよ」
てへへ、偶然なんですけどね
「なんか素敵ですよねぇ
彼氏の事を石化を覚悟で庇っちゃうんなんて」
「きゃあ、アタシだったら、蹴飛ばして助けちゃうかもぉ」
おいおい、ミサくん!サーヤくん!
「ちょっ、ちょっと彼氏とかじゃないよぉ!」
「顔が真っ赤になってるねぃ
解熱薬でも調合しようかい?」
うんうん、好き合っていたのね、モナは、照れるって言葉を知らないのかよ!
「なぁ、こういうめでたい事は、パァ!っと、どこかでやった方がいいんじゃねえか?」
「これ、出しゃばるんじゃない!」
あはっ、そう言えば、ルイスとタガートの親子ツーショットを初めて見たよ!
「しょうがねぇなぁ!
フィスさんさえ良けりゃ、今日は、ギルド払いで、一席、設けるか?
ルイス、どこかいいところないか?」
「分かりました、中通りのお店を確保して来ますので、後で皆さんでお越しください」
出来る人って、ルイスのような人の事を言うんだろうな、俺には到底無理だな
「あら、フレッディ!
いいところあるじゃなぁい!
さすが、フレディの血筋だわ
遠慮なくご馳走になるとして・・・
ところで、私を助けてくれた勇者様の名前は教えてくれないの?」
「あっ!忘れてた
勇者ではないけどw
冒険者のヒロ、こっちが、同居人のサーヤだよ」
凄い魅力だ!フィスが振り向いただけで絵になる、一つ一つの動作がローズさんの上をいってるぞ!
「ふふふっ、ヒロ・・・ね
改めて、私を見つけてくれてありがとう
あと500年くらいは覚悟してたんだけど、150年足らずで復活できてとっても嬉しいわ!」
「なんか、時間の価値観の違いにドン引きするけど、感謝されてメチャクチャ嬉しいよ」
ギルマスが、先祖の代わりに項垂れているが、反省してます!的な格好に見えるな
その後も、しばらくは、談笑していた
痺れを切らしたルイスが、迎えに来たくらいだ
テイラー商会御用達のお店は、やっぱり、凄かった!
2階の大きな部屋で、酒類から、食事から、いきなりの申し出なのに超豪勢だ
ギルマスの懐が心配になったが、何故か俺の隣の席を陣取ったクリスが
「ここは、うちで持ちますので、安心して飲み食いしてください!」
さすがだね!・・・・、そしてギルマスに恩を売るなんて、クリス・・・なんてしたたかなんだ!
みんな、エルフと改まっての食事なんて経験がないんだろう、フィスへの質問がまぁ凄い!
フィスは、ハイエルフっていう、エルフの中でも、古代から続く種族らしい
なので、混血が望まれず、ハイエルフ同士での結婚が決められている
結構、昔気質なところが、フィスのような若い?エルフの中では、煙たがられているようで
フィスは、それが、最終的な理由になって、森を飛び出したようだ
「ねぇ、フィスさんは、150年くらい、石になっちゃってたんでしょ?
ここに住むにしても、街を出るにしても、ギルドカードみたいなの作った方がいいんじゃない?」
アイトが、肉を頬張りながら、自身のギルドカードを見せながら、素朴な質問をしてみた
「一応、冒険者ギルドが出来た時に、登録してたんだけどなぁ
ねぇ、フレッディ!
調べてみてよ、私も、そのカッコいいの欲しいなぁ」
「わっ、分かったから、そのフレッディってなんなんだよ」
照れくさそうにギルマスが、自分の呼ばれ方を指摘したが
「なかなか愛嬌がありますな!」
と、ルイスに言われ、みんなの笑いを誘っていた
「フィスさんは、これからどうするんだい?
フィスさんを復活させた超回復薬を考案した私としては、もう少し居てもらいたいねい
体調も気になるし、色々教えてもらいたい事もあるしねい」
「あら!そうなの、モナの薬で石化が解けたの?ありがとう
そうね、ここに居てもいいんなら、2〜300年お世話になろうかしらw
どうせ、帰らなくても、誰も心配なんてしないわよ」
モナのモルモットを見るような視線にも何食わぬ顔で言うフィスの時間の概念のズレに、その場にいた一同の箸が止まる・・・
「えっ?だって、さっきの部屋、私の部屋にしてもいいんでしょ?」
「ちょっ!ちょっとお待ちください!フィスさん!
私は、ヒロさんとパートナーシップを結んでいまして!
あちらの住まいに住むならば、パートナーの私の許可も・・・」
いやいや、だから、クリスには大変お世話になってますが、何かに付けてパートナーってw
「まぁまぁ、クリスさん!
クリスさんも、あの家に部屋を持ってるじゃない?
フィスさんに1つ部屋を貸したって、まだ空き部屋あるからいいんじゃないかなぁ?」
「あら、サーヤありがとう?
せっかくだから、石化を解いてくれたヒロに恩返しさせてよクリスぅ」
あらら、サーヤくん、エルフのフィスを味方にしちゃってない?
やっぱ、神って凄いんだな?
「そんな事を言うなら、私だって、ヒロさんには、命を助けてもらってます!」
「あら、クリス!仲間じゃない!
ヒロぉ、アナタって、凄いのね!」
なんか、チヤホヤなのか、弄られてるのか分からない
しかも、ミサも何か言いたげだし
「そんな事を言うなら、私も助けてもらった中の1人だから、住ませてもらおうかなぁ・・・
って、冗談ですが、私も、フィスさんに色々教えてもらいたんで、この街に居て欲しいですね」
「承知しました!
では、私もフィスさんとは、ヒロさんに助けられた者同士と言う事で、親交を深めさせていただきます!」
ふぅぅっと、何故か、居合わせた男達から、安堵のため息が出ている
なんだろう、これ、俺が原因なのかな?ん?
もしかして、俺、モテ期?
いやいや、そんな事はないでしょ、中身は51歳だよ?
「まっ、まぁ、仲間が増えるのはいい事だし
落ち着くまでは,うちにいてもらって構わないよ」
「そうさせてもらうわw
よろしくね!」
「ところで、モナ!
お前の作った回復薬が、本当に石化に効いたのか?」
ギルマスが、最初の時とは違って、穏やかに質問する
「う・・・ん、実は、見ていないから、分からないんだが、もしかしたら、効いたのかねい
超回復薬は、抽出に時間をかけて、癒し草の成分をかなり凝縮しておるので、回復薬の効果としては、申し分ない事は分かってるけどねぃ・・・」
「石化に効くかは、不明ってとこか・・・
そうか・・・悩ましいな
ヒロは、その超回復薬を使った時、変わった事が起きたり、何かをしたりはしなかったのか?」
え!?どうだったっけ?
あの時は、石の状態のフィスに話しかけて、超回復薬をかけて・・・あっ!
「俺・・・モナの超回復薬をフィスにかけながら、左手で石のフィスに魔力を送ったんだ
"治ってくれぇ"って思いながら・・・」
「ははっ、あれは、熱かったよぉ!
火傷するとかじゃないんだけど、体の芯まで、熱くなったよぉ!」
今や、女子会と化してる、ミサ、サーヤ、クリスの間から、手を振りながら、フィスが答えてくれた
「ほぉ、石化の状態で熱さを感じるか・・・
回復薬と魔力か・・・
何かしらの関係性があるのかもしれないねい」
「石化を確実に治せる回復薬・・・もしくはやり方の確証が取れたら、とんでもない発見なんだがな・・・」
って、怪我を治すのとは、訳が違うから、検証をする事が、出来ないよなぁ
「まぁまぁ、固い話は、明日以降にして、今日は、フィスさんの復活!
そして、今、飲める事を楽しもうぜ!
ねえ!ギルマス!」
「そっ、そうだな!
まさか、タガートに言われるとわなw」
フィスの復活を祝う食事会は、しばらく続いた
ギルマスが左腕に着けてる銀の腕輪が、フィスの腕輪とお揃いで盛り上がったり
その腕輪の裏側に、初代が律儀にフィスの石化の事、場所が刻印されていたが、誰も知らなかった事や
フィスの名前が、この街の名前に使われてる事
以前の冒険者ギルドの場所に、今は、クリスの店がある事
女子グループは、エルフと人間の恋愛事情の違いなどなど、盛り上がってしまい
店側から
「おのー、そろそろ・・・」と、言われてしまうまで、続いた
お開きとなったが、俺は、モナに袖を引っ張られた
「ヒロさんよ!
超回復薬で、石化が解けた事、もう少し、調べたいから、また、近いうちに遊びに行ってもいいかねい?
ギルマスが、うるさくてねい」
と、石化を治した検証を俺としたいらしい
「勿論!何でも、言ってよ!」
店を出た所で、俺は、ある事を思い出した
帰る方向に歩き出した、タガート、アイト、それとミサを呼び止め、例のナイフをプレゼントした
「これ、親友になってくれたお礼に貰ってくれよ!
切れ味は、ドムさんが保証してくれてる、鞘はライリーが、3人をイメージして作ってくれたんだ!
冒険者って、モンスターを捌いたり、枝を切ったりと色々必要だろ?」
「マジかよ!
カッケェ!いいのか?」
タガートは、メチャクチャ喜んでくれている、アイトは・・・
いきなり、見えない敵を襲うようにエアー戦闘を初めて
「コレ、凄く扱いやすいよ!
もうダメだ、俺も、ヒロさんの家に住まわせてもらおうかなww」
こちらも、喜んでくれてる
何故か、ミサは、胸元にナイフを抱いて、何か呟いている、すると、一瞬ホワッと胸元が光った
「ヒロさんありがとう
一生大事にするね」
「あっ、あぁ、って言うか、使いまくってあげてよ、その為のナイフだからね
これからも、よろしくな!」
俺は、改めて3人に頭を下げた
『もちろん!』✖️3
3人から、嬉しい返事が返ってきた
「あら、ヒロは、優しいところがあるのね、ワタシにはないのぉ?」
「いいなぁ、オジサン、アタシにはぁ???」
しくったな!なんで俺は、明るいうちに渡せなかったのか、悔やみまくったよ!
「サーヤのは,今、柄と鞘を作ってもらってるから、待ってくれ
フィスは、まだ、さっき会ったばかりじゃんか!
ってか、エルフは、ミスリルや銀、魔鉱石とか身に付けても大丈夫なのか?」
「あら、気を遣ってくれるなんて嬉しいわね
そうね、銀製やミスリル製の物は、気にせず使ってるわ」
銀とミスリルは大丈夫なんだ
よぉし、張り切って作っちゃおうかなぁ
「まっ、楽しみに待っといてよ
さっ、帰ったら、すぐ風呂にするからなぁ」
「フロぉ?
ねぇ、なんなのぉ、それぇ?」
と、目を輝かせて聞くフィスに、サーヤが身振り手振りで教える
はぁ、明日は、フィスの分の買い出しとかもしなくちゃいけないな・・とか考えながら
家に着いて、公言通りお風呂を沸かした
エルフには恥ずかしさとかないのか、フツーにサーヤと入っていった
「オジサぁン!
凄いよ!フィスさん、お肌がスッベスベで、髪が、サッラサラだよぉ!」
いやいや、サーヤくん、そう言う事を言うと、男の人は、ちがう事を想像(妄想)しちゃうからやめなさい!
「ふぅぅっ、おフロサイコー!
ヒロぉ!おフロは、毎日、入れるのぉ?」
ハイハイ、ご要望とあれば、私の魔力でなんなりと!
"出来る"と、答えたら、サーヤとハイタッチしながら喜ばれちゃったよ
「っで・も・ねぇ!
お料理は、てんで、ダメだってぇ!」
「いいじゃなぁい!
料理を覚えるのは、結婚が決まってからでいいのよぉ
まっ、500年後くらいに覚えるわ」
そっ、そうなのかよ!すげぇなエルフの考えは!
俺には、寿命的に無理だけど、でも、そのくらいの心に余裕を持つ事にしよう!
「まぁ、料理の事はともかく
明日は、冒険者ギルドに行こうと思うけど、いいかなぁ?」
『リョーカイ』✖️2
これでよし、後は、風呂に入って、毎晩の楽しみの、工作タイムしてから、寝るとしよう!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ふぅっ」
フィスさんと、いっぱい喋りながらお風呂に入ってたら、体がアッチッチになっちゃったから、ちょっと、窓を開けて涼もう!
あぁ、今日も、星が綺麗だぁ
でも、今日は、凄かったねぇ!
パパが、石になってたエルフのフィスさんを治しちゃったんだよぉ!
モナさんの薬が、すごかったのも良かったのかなぁ?
うん、パパは凄いのだ!
みんなで、ご飯食べてる時に、観察してたんだけど、間違いなく、クリスさんとミサさんは、パパに好意があるね!
特にクリスさんは、もう、パパにゾッコンだね!
もう、ガンガンアピールしてるよねぇw
ミサさんは、後ろから着いてくるタイプなのかなぁ
でも、優しい感じがするよねぇ
モナさんは・・・モルモットにされそうw
でも、また、遊びに来るって言ってたから、パパの事、嫌いではないんだろうなぁ・・・
フィスさんは、もう、綺麗!の一言だね!
透き通る肌!
喋る声は、心地いいし、喋ってる言葉も、歌みたいで聞きいっちゃう
信じらんないかもしれないけど、寿命が、数千年だって!
ハイエルフって、そんなに長生き出来ちゃうんだよぉ〜
でも、料理が出来ないのはねぇ・・・パパは気にしなそうだけどw
あと、リネンちゃんとイリナちゃんもいるなぁ
リネンちゃんも、好意はありそうなんだけどなぁ
イリナちゃんは・・・ダメだ、分からない
ママは、誰がいいとおもう?
ライバルが増えちゃ、いやかな?
ふふふ、まだまだ、パパのお嫁さん探しは、これからだね!
よし、ほてった体も少し冷えたし、寝よう寝よう!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ぬはははっ!やったぜ!
銀製のナイフを作って差し上げたぜ!
ダメダメ、コレは、まだ、渡さないよ!
ドムさんとこで、刃入れと鞘を・・・そうだなぁ、革でお願いしちゃおうかなぁ・・・・・
さぁ、今日は、ギルドに行って、依頼をこなしていくぞぉ!
って来てみたら・・・・
「フレッディ!なんでよぉ!
なんで、私がEランクからなのよぉ!」
「いやぁ、フィスさんの頃は、ランクとか無かったからぁ・・・
それに、ここまで・・・150年近くも依頼を受けてないからぁ・・・」
そう、フィスさんの冒険者登録の書類はあったらしいんだけど、活動記録がなかったのと、活動してない(出来るわけないけどw)期間が長すぎて、俺と同じEランクから再スタートって言われて、フィスさんが怒ってるんだけど、その怒ってる姿や声も綺麗なのにはびっくりだ!
俺は、そんなフィスと元恋人?の孫の孫wの痴話喧嘩?を横目に、依頼の掲示板を眺めていた
「ねぇ、オジサン!
これって、イリナちゃん達の故郷の依頼じゃない?」
「何々?収穫時の周辺警護?
いいねぇ!これ、リネン達にとっておこう!」
多分、リネンはこれを受けるだろう、そうなると、2人の負担にならない様に、俺達も何かしらの依頼を受けないとなぁ・・・ん?
「サーヤ、これって?」
「あぁぁぁ!?なんで?」
俺達は、ある依頼書を見て、びっくりした!
ちょうどその時
「おはようですぅ!」
ガランっ!ガッシャガッシャ!と、言わんばかりに、鎧が入ってきた!
「おはようヒロさん、サーヤ」
「おはようリネンちゃん!」
「おはよう!ちょうどよかった!」
俺は、鎧娘wとリネンに挨拶と同時に、依頼書を見せた
「あっ!」✖️2
「ヒロさん、これ、取っといてくれたの?」
「あぁ、行くだろ?」
リネンは、依頼書をマジマジ見ながら、深く目を瞑り、頷いた
「イリナ、この依頼受けたいんだけど、いいかな?」
「もちろんですぅ!」
"ありがとう"と、目に涙を浮かべながら抱き合う2人は、今まで、故郷と言う言葉を2人の中のタブーにしてきたんだろう
箍が外れたように、"何買う?"とか、"怒られたらどうしよう"とか、"⚪︎⚪︎は元気かなぁ?"など、しばらくの間、盛り上がっていた
盛り上がっていたと言えば、ハイエルフのフィス!
多分、本人は怒りを露わにズカズカと歩いているんだろぅが!
しかし、その歩き姿すら、流れるような雰囲気で、近寄って来て
「ヒロ!依頼を受けまくるわよ!
もう、フレッディったら、頭が固いんだから!
フレディにそっくり!
何でもいいから、10件くらい、剥がして持っていくわよ!」
いやいや、こりゃあ、大噴火状態ですよぉ!
このままじゃ、1人で、ドラゴンの討伐(無いけどねw)すら、行きかねないよ!
「まぁ、まぁ、落ち着いて、エルフのフィスにとっちゃ、時間なんて無限にあるんだから、ちょっと、俺達に付き合って、ゆっくり依頼をこなそうよ!」
「そっ、そうだよフィスさん、楽しくいこうよ!」
"ぐぎぃ!"と、言わんばかりのフィスも、実は、そんなに怒っておらず
「ふっ、そうね
何か、楽しそうな依頼はある?
私がいれば、大体の依頼は出来るわよ!」
いやいや、Eランクでは、受けれる依頼すら限られてるっちゅうの!
「めぼしい所では・・・
薬草採取!
鉱石納品!
と、例の依頼かな?」
「3件受けるの?1日で終わらす感じ?」
と、聞かれたので、イリナとリネンを紹介して、一緒にエンバラの村に行かないか、フィスに促す
「ヒロの同居人フィスよ!よろしく!」
「うわぁ、エルフさん綺麗ですぅ
イリナです、よろしくですぅ」
「リネンです、よろしく
ヒロさん、この依頼、一緒に受けます?」
"報酬が減っちゃうだろ?"って言ったら、リネンが目くじらを立てて
「ヒロさん!自分の時は、一緒に受けさせてくれといて
そんな気遣いは、ダメだよ!」
「分かった✖️2、ならば、今回は、5人パーティって事で、こっちの3つも受けようか?」
全部、完了しても、たいした額では無いが、薬草採取は、多めに採って売れるし
鉱石納品は、見つからなければ、俺の持っている魔鉱石で、勘弁してもらえるんじゃないかな?
それに、多目に採掘出来れば、なんにでも使えるしね
最後の依頼は・・・
「コレって、ダイヤさんの事?かな?」
「詳しく聞かなきゃ分からないけど、多分そうだと思う
受けてみようか?」
フィスも、問題なさそうなんで、受付のグレースに依頼を受けに行く
「あら、今回も、一緒に受けるんですか?
こういった、人助け的な依頼をいつも受けてくれて、ホントありがとうございます」
どれも、期間が長いので、安心して受けられるものばかりだ
「ヒロキさんが、鉱石採掘に行ってくれるなら、こっちの依頼に変えてもらっていいですか?
ドムさんからの指名です」
"了解"と、収穫の護衛と薬草採取、それと鉱石採取を受けた
「それと、この依頼ってさぁ・・・」
「あぁ、コレはですねぇ・・・」
どうやら、俺達が、カミラさんの依頼を受けていた頃、と言うか、俺が、この街に来てから、少しずつ話題になっていたらしいのだが
商人の護衛をしていたり、依頼を受けて、街の外に出る冒険者達からの報告で、大きなダイアウルフが、頻繁に目撃されるらしい
決して、襲って来たりはしないのだが、物欲しそうな犬のような目でこちらを見てくるらしい
・・・・アイツ、マジで、人間の食い物が食べたいんだろうな!
「ねぇ、多分、俺、このダイアウルフ知ってるから
この郊外に出没するダイアウルフの調査って依頼、俺が受けてもいいかな?」
「えっでも、ヒロキさんは、Eランクでしたよね、この依頼は、一応ギルドからの調査依頼で、Cランク以上推奨なんですよぉ・・・」
そうだよね、アイツは、あんなでも、いつも、獲物を一瞬で狩ってくるくらい強いもんね
そこへ、ギルマスが依頼書を覗き込んで
「まぁ、あれだ、ヒロが、以前話してたダイアウルフだろ?
イリナとリネンが一緒だから、ランクの問題はいいだろう
それに、フィスさんも、いるから、もしそのダイアウルフが、違う存在でも、そうは引けを取らないだろ?」
「あら、分かってるじゃない!
私の実力が分かってるならさぁ・・・」
ヤバい、また盛り上がりそうだぞ!
「フィスさんがいてくれてホント助かった
じゃぁ、調査してくるけど
別に、絶対俺達に被害を出さなくて、逆に有効的だったら、退治したり、追い払ったりしなくていいんだよね?」
「まぁ、確証を得られたら、放置で構わないが、絶対の確証が必要だぞ!」
"了解!"と、調査依頼を引き受けた!
テーブルに戻って、段取りの打ち合わせをする
「ねえ、ヒロのおうちから、ずっとついて来てるその白いのは・・・」
「あっ!シロだよ!アタシのペットだよぉ!」
シロは、サーヤの足元で丸まっている
「あら、今時は、その仔まで、ペットに出来るの?
変わったものね・・・」
意味深な言い方だが、俺には何の事だか分からない
「ところでさ、フィス何か必要な物ある?」
「あなた達と外に出るんなら、わたしは、何も要らないでしょ?
多少の着替えくらいかしら」
それなら、帰りにリリスの店で済みそうだ
「リネンの故郷までは、どれくらいかかるのかな?」
「急いで行けば、1日で行けるかなぁ?って、感じかなぁ」
頭の中で、工程を組み立てる
今から、段取り、昼を食べながら歩いて、野営して、明日着!
うん、コレで行こう!
「これから、段取りして、昼過ぎに出発って感じでどう?」
「うん、じゃぁ、以来の件もあるし、ドムさんの所行って、ちょっと食材とお土産買う感じかなぁ?」
と言う事で、みんなで行動する事にした
歩きながら、イリナとリネンにも、こっちで初めて出来た友人の証と言う事で、ナイフを渡す
「おおぉ!かっこいいですぅ」
「ヒロさんいいの?
遠慮しないで貰っちゃうよ!
ありがとう!」
いいねいいね、そうそう、肩苦しくなく貰ってもらえるのが1番いいんだ
「鞘はライリー特製だから、ライリーにお礼を言ってあげて!」
「あら、ホント女性には優しいのね」
いやいや、タガートとアイトにもあげてますがな!
「おはようございますぅ!」
「おっ!来たな、鎧娘!」
ドムさんが、鎧の音に気付いたのか、顔をあげた
「鉱石採取の依頼で来たですぅ」
「うん?鎧娘が行くのか?・・・
なんだ、オマエさんもちゃんといるじゃねえか!
ワシも行くからな!」
やっていた仕事をほっぽり出して、店内に出て来た
「ドムさんも行くの?
ちょっと、何件か依頼を受けてて、まとめて行くから、ちょっとドムさんを振り回しちゃうかもよ
今日、昼からだけど、出れるかな?」
「気にするな、店は、コイツに任せて行く
昼か!すぐに準備を始めるわい!
たまに街の外に出るんなら、ゆっくりしたいからのぉ
なんなら、ワシも何かを手伝おうか?」
おおっと!エルフとドワーフも一緒に出掛けるって、ファンタジー物や異世界物のど定番のパーティーじゃんか!
っくぅ!萌えるぅ!
「あら、随分と仲が良さそうね
ヒロの家に居候しているフィスよ!」
「なんだ?オマエさん、エルフもパートナーにしたのか?
ワシはヒロのビジネスパートナーのドムだ、よろしくな!」
大体の異世界ものやファンタジーものでは、エルフとドワーフは仲が悪いと決まっているが、なんか普通に挨拶しててびっくりした
「あっそうそう、ドムさん、追加で、このナイフに刃入れと鞘をお願い!
フィスに合う感じで頼むよ」
ドムさんは、ナイフを一瞬じっくり見て、俺を睨む
「まぁた、オマエさんは、職人並にやってくれるわい
サーヤの包丁の時もあったが、この腹の部分の数個の穴は何なんだ?」
おっ!気付いてくれちゃった?
エルフは、果物とか野菜が好きだろうから、包丁と同じ様に、切った物がくっつかない様にねw
「その穴があると、切った野菜とか果物が、くっつかないんだよ!」
「本当か?
オマエさん、あれだ!
そんな技術や知識は、もっと共有してくれぬか?」
あはは、そだね、前世の技術や知識を少しずつ教えないとね、パートナーだし!
「わぁ!ホントだ!
面白い形のナイフだねぇ
エルフさんなら、周りは革にした方がいいかなぁ?」
おお!ライリーも俺と同じ考えだね?
だよねだよね、革の方が、アクセサリーっぽいもんね!
「あら、もう作ってくれたの?
わぁ、ホント、何これ!素敵〜
お姉さん、腰に下げても、邪魔にならない感じにしてくれないかなぁ」
「ライリーよ、分かった
ベルトに着ける感じでいいかな?」
フィスも気に入ってくれたようだ
ライリーには悪いが、いい仕事頼みまっせ!
「じゃぁ、俺達は、ちょっと買い出ししてくるから、ドムさん準備頼むよ?」
「おう、任せろ!
門で待っとるぞ!」
ドムと別れ、食材を手に入れ、リリスの店で、フィスの着替えを買い、以前クリスと行った、スイーツ屋に行く
「すいませーん
お土産買いたいんですけどぉ!」
「これはこれは、クリス様のご友人のヒロ様ではありませんか?」
リネンを紹介し、7年ぶりに故郷に帰るお土産を買いたい旨を伝える
「ほう、それは大イベントですね
承知いたしました」
店主さんは、気合を入れて、チョイスしてくれている
「ひっ、ヒロさん、こんな高そうなお店、私・・・」
「気にしない、ここは俺が持つから、道中に食べるやつも、みんな選んで!
ダイヤの分も買っとかないと、アイツいじけるよ
それと、サーヤは控えめにね!」
店員さんに見つからない様に、フィスの後ろに隠れていたサーヤが、無言で小さく手を挙げたw
「こちらでいかがでしょうか?
ご両親様は、私と同年代と想定し、選ばせていただきました」
「うほっ!これは、喜ぶね!包装をお願いできるかな?
あと、こっちは、道中に食べるんで、簡単な包装でお願い」
流石にテイラー商会御用達!金貨2枚持っていかれたよ
しかし、店主が、俺に小声で
《もし、ご両親様が、お喜びにならなかった場合は、正直にお教えいただけますか?
お代を返金させていただきます!》
店主さん、以外と職人なんだねw
俺も、"正直に報告します!"と、答えておいた
昼は、軽めに想定してるので、門まで続く大通りの屋台などで、ちょっと多めに見繕って買って行く!
門前には、背中の背負い袋にピッケルを覗かせているドムさんが、門の衛兵と談笑していた
「これは、ヒロさん、また、出かけられるんですか?
と、そちらのエルフさんは・・・」
「あら、ちゃんとギルドカードあるわよぉ!」
と、みんな確認してもらい
「いってきます」と、門を出る
門を出て、暫くは西に向かう
みんなで歩いてみてわかったのだが、やはりドムさんは、歩きがゆっくりだ
みんなで、フィスの事などを喋りながらなので、問題はないが、余裕の工程にしておいて良かったかもしれない
「なんかすまんのぉ!
ちぃとばかり、ワシは足が短くてなw」
「あら、おしゃべりが弾むからいいペースじゃない?」
フィスは、歩くのが遅い事を謝るドムさんに、優しく言った
「にしても、フレディが言っておった、石化されていたエルフが、フィス嬢だったとはな!
オマエさん、今回も、やりおったなw」
「あら、私の事を知ってるの?」
自分の事を知ってる存在がいてビックリしているフィス
「あぁ、兄貴とこの街の噂を聞いて、俺が二十歳の時に国を出たんだ!
この街に来たばかりの時は、フレディに世話になりっぱなしでな
最初の頃は、フレディが、仕事を斡旋してくれたから、今の俺がある様な物だわい
冒険者の道を選んだ兄貴は、フレディの倅とよく依頼を受けていたな
いつしか、兄貴は、フレディに頼まれて石化を解く方法を探し始めていたんだが、いまだに成果がなくてな・・・」
「あら、あなたのお兄さんにお礼を言わなきゃね」
フィスは、笑顔で、ドムさんの話を聞いていた
エルフのフィスとドワーフのドムさんが、普通に喋っている事にマジでびっくりだよ
でも、種族関係なしに仲良くなれるっていいよな
「ねぇ、ヒロさん!
あれ、ダイヤさんじゃない?」
アイツ、めちゃくちゃ尻尾を振ってこっちをみている
『オイオイ、最近噂のダイヤくん!
そんなに俺達に会えて嬉しいのかね?』
『ばっ、バカ者!
気付いているなら、気付いている素振りを見せるべきだろ!』
凄い速さで近づいてきた!
フィスは弓、ドムさんが、ピッケルに手を伸ばしたが、俺が手で制して
「紹介するよ、俺の友人、ダイアウルフのダイヤだよ」
「えいっ!」
俺が初対面の2人に紹介していたら、サーヤと、シロがダイヤに飛び乗った
「ダイヤさん元気してたぁ!」
ダイヤも満更ではないようで、尻尾を千切れんばかりに振っている
「彼が、調査対象のダイヤウルフ?」
「そうなんですぅ、ダイヤさんも、私達や、クリスさんを救ってくれた大切なウルフさんですぅ」
イリナのゴツい小手で、撫でられても、ダイヤは喜んでいる
「おい、オマエさん!
まさか、そのモンスターも仲間なのか?」
「実は・・・」
俺は、ドムさんに、こっちの世界に来て、最初に出会ったのが、ダイヤだとこっそり教えた
「じゃぁ、まずは、彼の件をクリアにすれば、依頼は1件達成って事ね
何か、考えはあるのかしら」
「そうなるね
まぁ、ダイヤは人間の言葉が分かるから、大丈夫だと思うよ」
俺は、ダイヤにも聞こえるようにそう伝え、念の為
『ダイヤ、今から、人間の言葉で質問したりお願いするから、念話で答えながら、ハイ、なら首を縦に振って
イイエ、とか、嫌なら首を横に振ってくれるか?』
『なんだ、まどろっこしいではないか!
ワレが、何かしたとでも・・・』
多分、コイツ、知らず知らずに冒険者に近づいてたんだろうなぁ
「ダイヤ!最近、頻繁にこの辺で、姿を見せていただろう?」
『おっ!なんで知っておるのだ!』
ウンウンと首を振る
「多分、冒険者を護衛してあげて、何か、美味しい物を食べさせてもらおうとか企んでいたんだろ?」
『なっ、なんで知っておるのだ!
あやつらめ、そばを歩いて守ってやったというのに、誰1人、馳走してくれんのだ!』
ウンウンウンと頷く!
「じゃぁ、冒険者や俺達に被害を加えるつもりはないんだな?」
『もっ、勿論じゃ!
わっ、ワレからは、仕掛けた事など、今まで、1度も無いぞ!』
ウンウンウンウンっ汗!
「って、見ての通りダイヤは、俺達と争うつもりは無いんだけど、どうしたらいいと思う!」
「そんな事は、初めから、分かってる事ですぅ!」
そうなんだよなぁ、ダイヤは、襲ってきた人間だけしか相手にしてないんだよなぁ
まぁ、ダイヤに人間の料理を味合わせちゃったのは俺だしなぁ!
「しかしだな、ダイアウルフとライフィスは、50年くらい前だが、争いがあってな・・・」
ライフィスの街は、街を作っている時から、時折り、モンスターの襲来があったらしい
その全てが、東に聳える山の、北の麓から来襲していたらしい
フィスを石化させた、バジリスクを倒した後は、モンスター来襲の間隔が広がったらしい
街が大きくなり、周辺に小さな村が点在し始めた頃、北の村(東の山の北側の麓付近の村)の家畜がダイアウルフに襲われ始めた
ライフィスの街で、対処しきれなくなり、王都に報告したところ、ライフィスの街の重要性を鑑みた王都が、100人からの小隊を派遣して、ダイアウルフを殲滅したという歴史があるらしい
「だから、ダイアウルフが俺達に好意的になるのは、中々難しいとワシは思うぞ!」
「へぇ、あのモンスターの来襲は、そんなに続いたんだぁ
大変だったでしょう」
確かに、ダイヤは、そんな事を言っていたな・・・
「ごめん、俺、実は、ダイヤと念話が出来るんだ
だから、その事も知ってる
ダイヤは、その時の部族のリーダーだったんだ、仲間は全員やられちゃったんだって・・・」
ダイヤの話を掻い摘んで説明する
殲滅された後は、仲間を作らず、1匹で生きてきた
ダイヤを見かけて、襲ってくる愚かな人間だけ、返り討ちにしてきた
そんな生活を50年もしてきた時に、罠にハマっていたところを俺と出会い、罠を解除して、少しずつ仲良くなってくれた
そして、近くの村まで道案内をしてくれた
そんな時に、襲われているイリナ達に遭遇したけど、ダイヤは、人間とは関係を持ちたくなかったので
ゴブリンを牽制だけしてもらったんだ
そうしたら、イリナ達に鍋をご馳走になって、人間の食べ物にハマって・・・
「ってか、ダイヤ!お前、プライド無いだろ?」
『ばっ、馬鹿を言うな!ワレは、誇り高きダイアウルフだぞ!』
首を横にブンブン振った
俺と、ダイヤのやり取りを見ていたフィスが
「ふふふっ、彼、面白いねw
いいんじゃないの?過去は過去!
なんなら、彼も冒険者になって、護衛の依頼を受けちゃえば!
報酬は、鍋とか?」
「ぶっwww」✖️5
フィスの提案に、みんなが吹き出した
「ダイヤさんが、冒険者って面白いねw
良かったねダイヤさん!」
「フィス嬢も、面白い事を言うな!」
キョロキョロするダイヤをよそにみんなで笑ってしまった
「はははっ、それいいねw
ってか、昼にしよ!
なんか、笑って足に力が入らないよ」
丁度いい時間帯なので、ここで、ランチにする
ダイヤとシロには串肉を買い込んであるのでそれを食べてもらおう!
『おっ!気が効くではないか!』
「もし、無かったら、文句言うだろ?
今夜は、野宿だから、肉の調達を頼むよ!」
俺は、あえて声を出して話しかけた、ダイヤは、軽く"ウォン"と、首を縦に振りながら吠えた
ダイヤの件は、問題ないだろう、どういう風に持っていくかは、別として、護衛の助成的に要請してもいいのかもしれない
その進め方は、ギルマスに任せよう
ダイヤも加わり、5人と1頭となった俺達は、昼食後も、ゆっくり進み、リネン達の故郷、エンバラまで、半日くらいのところで野営した
ダイヤが仕留めた鹿の化け物みたいなモンスターをみんなで食べた、フィスは食べないかと思ったら、地の恵みを無駄には出来ないと、普通に食べた
翌日も、何も問題なく、米の村の手前を左に折れ
周囲に麦畑が、広がり始めた頃、リネンが少し塞ぎ込み始めた
緊張しているのだろう、何せ、喧嘩別れで村を飛び出たんだもんな
「リネン、胸を張って、笑顔で行こう!
成長した姿を見れば、オヤジさんだって、喜んで迎えてくれるって!
許してくれてなかったら、俺に任せな!」
「うっ、うん、ありがとう」
リネンにとっちゃ、親は親だからな・・・でも、親にとっても、子は子なんだけどなw
道の奥に集落らしきものが見えてきたと思ったら、麦畑から誰かが出てきた!
「あれ?こんな村にお客さんかい?
それとも収穫の手伝いかい?・・・
ん?アンタもしかして、リネンちゃんかい?
そっちは、イリナかい?
帰って来たのかい!」
「あぁぁぁぁあっ!おばあちゃん!
久しぶりですぅ!」
鎧がお婆さんを襲い始めたw
「えらい格好しとるねぇ」
「えぇ!イリナ姉ちゃんいるの?」
と、また、1人麦畑の中から、今度は、俺と同じくらいの背格好の青年が現れた
「おぉ!コニー!大きくなったですぅ」
「なっ!なんだ、その格好は!?」
コニーと呼ばれた青年が、イリナの鎧を見て驚きながら、目をキラキラさせて、鎧をいじってる
イリナがイジられすぎて、助けを求めてきた時
「リネンだって!
今、リネンって言わなかったかい!」
現れたご婦人は、ほっかぶりを外してリネンの前で立ち止まった
「かっ、母さん!」
「リネン!リネンなのかい?
ちゃんと、顔を見せとくれ!」
母さんと呼ばれたご婦人は、リネンの顔を両手で引き寄せ、マジマジと見つめる
「おかえり、リネン!」
「たっ、ただいま、母さん」
ハッとなったリネンの母が、俺達に気付き
「あらやだ、すいません
リネンの母です
リネン、お連れの方を紹介してちょうだい」
「うん!
命の恩人のヒロさんと、ダイアウルフのダイヤさん
その同居人のサーヤとフィスさん
そして、冒険者を始めた時からお世話になってる、鍛冶屋のドムさん」
俺達を簡単に紹介してくれた
命の恩人と言う単語が出た時のリネンの母の顔は一瞬驚いていた
「何もないとこですが・・・」
と、家に招いてくれるらしい
しかし、村にダイヤは連れて行けないので、近場の警護がてら、村の外に居てもらう
俺達が、依頼できた事を伝えると、イリナの弟のコニーが村長の所に案内してくれるらしい
イリナとリネンは自分の家に行くらしい、がんばれリネン!
村長は、50代の気さくな方だった
「よく来てくださった、コニーありがとう!
コニーの話では、リネンとイリナまで連れてきてくれたとか、ホントにありがとう」
「いえいえ、今回の依頼内容は・・・」
依頼書とギルドカードを見せる
エンパラの村は、道中でも分かったが、麦の生産が盛んで、ライフィスで消費されるエールは、全てエンバラの麦と言っても過言ではないらしい
今年は、大豊作で、収穫に総出で挑むらしいが、先日、隣村のアキコマの村で、ゴブリン騒ぎがあった為、もしもの時の為に、収穫時の護衛を依頼したそうだ
「狭いですが、私の家に、来客用の部屋がありますので、そちらをお使いください
私どもは、田舎者ゆえ、エルフ様とドワーフ様を珍しがってしまう子らもおるかもしれませんが、悪気はないのでどうか、寛いでください」
「あら、優しい村長さんだこと!
気にしないで、出来る事はなんでもするから、気軽に言ってね」
「おお!そうだとも、気にするな、ワシは鍛冶屋だから、何か修繕するものがあれば何でも治すぞ!収穫前に、農具を持って来させてくれ」
やっぱりエルフやドワーフは珍しいんだろうな、でもフィスもドムさんも慣れててありがたい
ドムさんの申し出に村長は、いたく感謝し、すぐさま自分の子供達を各家に走らせた
農具の点検、修繕は、村長の家の庭先を借りる事にした
サーヤとフィスは、ドムの手伝いをしてもらう
俺は、リネンが心配になり、コニーに頼んで、リネンの家まで送ってもらう
リネンの家とイリナの家は、隣同士で、それで、2人は仲がいいらしい
「リネン!」
「・・・ヒロさん!」
何故かリネンが、1人で歩いてきて、俺に気付くなり、走ってきて、俺にしがみつくように抱きついて
「怒られちゃった・・・」
我慢していたのだろう、肩を揺らしている
「コニーすまない、様子を見てきてくれるかい」
コニーは、察して、小走りに走り出した
ここでは、人の目もあるだろうと思い、周囲を見まわし、麦畑の方へゆっくり歩く
リネンが落ち着くまで、村の柵に寄りかかって待つ・・・
「怒られても当然だよね」
「そうかもな」
リネンが言うには、丁度昼時だったので、家族が揃っていて、兄と妹、それと母は、久々に会えて、めちゃくちゃ喜んでくれたそうだ
オヤジさんだけが、いきなり怒り出したらしい
その喧騒が聞こえたのか、イリナが入ってきて、イリナが、オヤジさんに負けない剣幕で、言い返し始めたらしい
「よぉし!じゃぁ、ここは、約束通り、俺の出番だな!」
そう言って、リネンを促そうとしたら、背の高いイケメンと、リネンをそのまま少し小さくしたような女の子がやってきた
「ヒロさん?ですか?
イリナから、聞きました、妹を助けてくれたそうで、ありがとうございます
兄のエミールです
こっちは、妹のエリーです
コニーにこっちに居ると聞きまして・・・
さ、リネン、気にするな、ここは、お前の生まれた村で、俺達は家族なんだ
父さんだって、嬉しいんだけど、頑固だから、うまく言えないんだよ
分かるだろ?」
うわ!外見だけのイケメンじゃない!
こりゃ、俺が女性だったら、イチコロだわ
妹のエリーが、ニコッとお辞儀してから、リネンの腕を取る
「今日は、すいません
ちょっと家族の時間を持とうと思います
それと、リネンとイリナを連れてきてくれてありがとうございます
多分、村のみんなが、感謝してると思います」
エミールは振り返りリネンの肩に手をやる
少し歩き出して、リネンが振り返る
「ヒロさん、ありがとう!」
俺は、来た道を戻り、村長の家に着いたら、とんでもない人だかりが出来ていた
「オジサァン、何やってんの!
早く、ドムさんを手伝って!」
「おぉい!ワシだけじゃ終わらんぞ!」
慌てて走り寄ると、農耕器具の山が出来ている
こりゃ大変だ!
俺は、鍬を1つ取り、ドムさんに見せる
「こりゃ、楔が緩んどるな
それと、持ち手に滑り止めがあるといいな
フィス嬢が、編むのが上手いから楔を打ち直したら、渡してくれ」
よし、ドムさんが、不具合と修繕の仕方を決め、俺とフィスさんで出来るものを引き受けよう
これを想定していたのか、ドムさんのバッグには、鍛治の道具や革紐やらが、山と入っていた
楔や釘は、ドムさんに言われた物を贅沢だが、俺が、魔鉱石(紫)で作る
フィスは、本当に編むのが上手い!
「フィスも手先が器用なんだね」
「まぁね、うちらは、金属類はあまり使わないから、紐での固定はお手の物よ、長年やってるからね」
流石、森の民!って感じだね
「年の功ってやつだねw」って言ったら
「チョーっプ!」と、頭を叩かれた!
「女性に年の事は言わないの!」
"はっはい、すいません"
周囲にいた村人から、笑いが出る
「ねぇ、革紐沢山あるから、少し貰っていい?」
「おお!好きに使ってくれていいぞ」
フィスは、自分の出番が無くなったので、見物していた1人の女の子を手招きして呼び寄せた
フィスは、あっという間に、革紐でミサンガ?みたいなのを作り、左腕に軽くしばり、手のひらを重ね、何かを呟く
フワッと女の子の髪の毛が、1度揺らいだ
「はい、風の加護を掛けといたわよ」
「ええ!ありがとう
ママぁ!見て見てぇ!」
喜ぶ女の子を見て、他の子供達も、親の服を引っ張る
でも、躊躇している
「みんなぁ!来て来てぇ!
フィス姉さんが、可愛いの着けてくれるよぉ!」
サーヤが呼びかけると、"わぁぁ"と、女の子が集まる
「フィスさん!男の子も大丈夫?」
「勿論!」
サーヤは、男の子も呼び集めた
やっぱり、エルフとドワーフが珍しいのか、少し距離を置いていた村人達が、これを機に近寄って来た
話しかけられる言葉に、フィスは、笑顔で答える
あっと言うまに、フィスは、人気者だ
ドムさんの方も、俺が入ったからか、男達が近寄ってくる
中には、柄の部分が折れていて、出していいものか、悩んでいた男性もいて
流石のドムさんも、"木材はねえぞ!"と、諦め掛けた時、俺は、マジックバッグから、カミラさんの所で確保しておいた、木の枝を数本出す
周囲から歓声が上がる!
そりゃそうだ、バッグから2〜3mの木の枝が出て来たんだからね
人前でこんな事したらリネンに怒られそうだが、気にしない!
日が沈みかけた頃には、全ての農耕具の修復も終わり、村人も帰っていった
しかし、数人の男の子が、帰らずにモジモジしている
「どうしたんだい?」
と、聞いてみると
「今年、お父さんの手伝いがしたいんだけど、鎌が無くて・・・」
と、モジモジしながら近づいて来た
俺と、ドムさんは、顔を見合わせて、ニヤけてしまった
「永久に使える鎌を作っちゃうよ!」
と、言いながら、出し惜しみせず
俺は、魔鉱石(青)を出した、そして刃渡り30cm位の鎌を練り上げた、流石にこの程度の形状なら、上手く作れるぞ!
それを刃入れと柄の部分をドムさんが、滑り止めをフィスが巻いていった
出来上がった鎌を持った少年達は、泣きながら喜んでいる
走り去っていく少年達は、明日から、大人の仲間入りだ!
「ありがとうございます
さぁ、お疲れでしょう
夕飯をお召し上がりください!」
確かにこれは疲れた!
でも、みんな笑顔だ!やり切った感が半端ない!
食卓に着くと、既に食事が用意されていたが、まずは、コレを!と、大きめの木のカップが出された
この村のエールだそうだ
ドムさんが一気に流し込んだ!
「これは、美味いぞ!
何をどうしたら、こんなに美味くなるんだ!」
「ドワーフのドム様に喜ばれるとは、嬉しいですね
さぁさぁ、好きなだけお飲みください!」
本当に美味い!これまで、街で飲んだ、どのエールよりも美味い!
エールが美味けりゃ、ご飯もすすむ!
ご飯が進めば、会話もすすむ!
「ヒロさん、村人の農耕具を直していただきまして、本当に感謝いたします
冒険者の方々が来られたら、収穫を始める手筈にしていたのですが
明日から収穫を始めてもよろしいですか?」
「はい!それは、皆さんのペースでお願いします
私達は、畑の周囲の警護でいいんですか?」
村長が、明日からと言うって事は、早く収穫したいんだろうから、反論なんてするわけがない
「ところで、警護が必要な事が、発生するのですか?」
「いや、今までそんな事は無いですよ
ただ、アキコマの村にゴブリンが出たそうじゃないですか?
その際、リネンとイリナが、来て討伐したと、米の買い付けに行っていた息子から聞きまして・・・
依頼を出せば、帰って来てくれるのではないかと・・・
いえ、冒険者を辞めろとかではないですよ!
小さな村ですから、2人が、元気だと分かれば、みんなも安心しますので・・・」
やっぱり、この村は最高だ、みんないい人なんだよ!
「なんかいいね!
イリナちゃんもリネンちゃんも楽しく過ごせてるかなぁ」
うーん、心配だな、あっそうだ!
「この肉料理、後で、貰っていいですか?
村の外に、狼のツレがいるので、食べさせてあげたいんで」
「あらやだ、狼のお仲間さんもいらしたんですか?
言ってくだされば、用意しましたのに!
すぐに用意しますね、煮込み肉!」
ははは、すいません、普通の冒険者は、ダイアウルフを仲間にしないと思うし、家畜が、怖がるでしょ!
「この煮込み肉、めちゃくちゃ美味い!
俺、食べ終わったら、ダイヤに食べさせてくるから
サーヤは、片付けのお手伝い頼めるか?」
実は、村長宅は、3人の息子と、長男の奥さんがいるが、お腹に赤ちゃんがいるらしいので、サーヤにお手伝いの依頼を出す!
「分かった!任せて!」
「2人はどうする?」
フィスは、風を感じに、ドムさんは、酔い覚ましについて来るそうだ
たらふくご飯をいただいた後、俺、フィス、ドムさんで、夜道を村の東の入り口に向かって歩く
門に近付いた時だった、門に人影を見つけた
近付くと、リネンだった
俺は、さっきの件もあるので、小走りに近付いた
すると、リネンが手で制した!
走るのをやめ、ゆっくり近付いた
「どうした、やっぱりダメだったのか?」
「あっ、うん、父さんはまだ怒ってる・・・
ちょっと、家に居たくなくて外に出たら、人影を見つけて、後を付けたんだけど
もしかしたら、ゴブリンかもしれない」
!!!!!マジか!
「ゴブリンね」「ゴブリンだな」
夜目が効くのだろう、フィスとドムさんが、ゴブリンと確定した
「あっ、彼が倒したわ」
俺達は、駆け寄る
「ダイヤ、大丈夫か?」
『フン、コソコソしておるから、仕留めておいたわ
家畜でも狙っておったのか?』
まぁ、ゴブリンくらいにダイヤは引けを取らないだろう
「斥候かしら、この村を狙っているのかもね」
「まずいな、コイツの来た方向って探れるの?」
"余裕よ"と、フィスから返事が返って来た
ゴブリンは夜行性と聞いたり読んだりしたな
「ほっといたら、まずいよな!
フィスとドムさんは、夜目が効くよね
ドムさんの戦闘力って・・・」
「フン、ドワーフを舐めるなよ!
タガートの10倍と思ってくれていいぞ!」
よし、これなら、先手必勝だな
「俺とダイヤでここを見張るから、リネンは、イリナを読んで、準備が出来次第来てくれるかい
フィス、サーヤにはシロと待機するよう伝えて
ドムさんも、準備したら来てくれる?
ダメだよ、飲みすぎちゃw」
各々に指示を出す・・・あれ?
やっちまった、俺は、Eランクのくせに何をやってるんだ!
つい、前世での現場監督気分でやっちまったよ、後で、みんなに謝ろう!
そんなに待たずしてみんな集まって来た、若干ドムさんの赤ら顔が進んだ気がするが、言わずにおこう
「みんなごめん、俺、Eランクのくせに指示出しちゃって、昔の癖で・・・」
「あっ!私は、気にならないから、ヒロさん主体でいいよ」
リネンありがとう、でも、人生の先輩2人は
「私も、こう言う時は、指示もらった方が楽かなぁ」
「ワシは、元より鍛冶屋だからな、ヒック!
オマエさんに任すワイ」
今っ、ヒックって言わなかった?結構呑んでない?
「分かったありがと
じゃぁ、フィス、先頭で、頼む
次イリナとリネン
その次は、俺とドムさん
最後尾、ダイヤ!警戒しながら頼むよ」
『任せろ』
「何匹いるか、分からないから、最悪は、場所の特定して、日を改めるか、応援を呼ぶかもしれないが
出来る事なら、やっつけたい」
「あら、ゴブリンなんて、チョチョイでしょ?
まさか、ヒロ、戦闘は・・・」
"からっきしです"と、素直に答えて頭を掻く
「中々面白いわね!
そういうとこ、嫌いじゃないわw
じゃぁ、行くわよ」
先頭のフィスが、散歩をしているように歩いていく
リネンと、俺でランタンを着けているが、ゴブリンのアジトが近くなったら、バレないためにも消す手筈だ
時折、ドムさんのヒャックリが聞こえる以外は、静かに進んで行く
どれくらい進んだだろう、フィスが立ち止まり、軽く身を伏せながら、後ろの俺達を手で制す
音を立てないように近付く
「アジトか、分からないけど、洞穴みたいなところに足跡は続いてるわね」
「そろそろゴブリンが活発に活動する時間だから、そこが、アジトなら出てくると思うよ」
フィスが、ゴブリンの追跡を完了させた
リネンの補足が入る
さぁ、どうしたらいいんだろう?
・出てくる側から、フィスに矢で仕留めてもらう
・何かしらで、誘い出して、リネンの魔法か何かで一気に殲滅
・洞穴に入って、片っ端から、ぶっ潰す!
「ごめん、どっ、どうしたらいいかなぁ?」
「何かで、誘き出して、フィスさんの矢で仕留めるのが、簡単かも・・・」
そうか、誘き出せればいいんだな
流石、リネン、経験者は違うね
何かいい物はないかなぁ・・・
アッ!
「美味い物には、敏感かな?」
「オマエさん、何かいい物持っとるのか?
ワシなら、エールで誘き寄せられる自信があるぞ、ヒック」
マジックバッグから、村長の奥さんの煮込み肉を出した
『おっ!おい、随分、美味そうな匂いではないか?
ここで、晩飯か?』
まずは、ダイヤにひと皿分をあげてっと
「ダイヤ、帰ったら、もっと食べれるから、こっちのひと皿を洞穴のちょっと手前に置いて来てよ」
『こんな美味い物をあ奴らにくれてやるのか?
くぅっ、何か考えがあるんだな
任せろ!』
煮込み肉の皿を加えたダイヤが、一陣の風となり、洞穴の少し前に煮込み肉を置いた
「フィス、風を吹かせて匂いで、誘き寄せよう」
「ふん、いい考えかもね」
言いながら、人差し指に何かを呟き煮込み肉を指さした
「イリナとダイヤは、後方を警戒してくれる?
フィス、出てくる奴を片っ端から、矢で射まくってくれる?」
「あら、ヒロは、コキ使うのが好きなのねw
向いてるんじゃない?指揮役」
ウィンクと共にフィスが弓を構える
「来るぞ」
目を凝らして洞穴を見ていたドムさんが呟く
グギャギャキャ
数匹のゴブリンが躍り出て来た
鼻をクンクンさせているところを見ると、煮込み肉の匂いに誘い出されたのだろう
1匹が、煮込み肉を見付けて、われ先に走り出した
ヒュン!
グギッ
「凄いですぅ」
続けて走り込んで来た2匹も倒される
「流石はエルフじゃな、矢が吸い込まれるようじゃ」
匂いに誘われるように、また2匹、更に2匹と、出てくるが、全て、フィスの矢の餌食になった
すると、今までと違う足音がした
「デカいのが来るぞ」
『おい、ワレ達の周りにも、こざかしい奴らがいるぞ』
どうやら、洞穴からは、ボス的存在が出てくるみたいだ
「イリナとフィスで、デカいのいけるか!?
それとダイヤ前みたく、牽制してあげて!
おれとドムさんは、リネンを守りながら、周りのゴブリンをやっつけよう!」
「ダイヤさんがいれば、余裕ですぅ
って、暗いのがちょっとね」
と、言いながらも飛び出したイリナ
ダイヤも走り出した
ダイヤは、デカいゴブリン(ホブゴブリン)に向かわず、煮込み肉の皿をいち早く救助したw
「なっ!ダイヤさんそれはないですぅ!」
「きゃはははw彼、最高ね!
イリナ!私を信じて!」
フィスが、数本の矢を放った
弧を描くように飛び出した矢は、頭上から、ホブゴブリンの顔を掠めて、足元の地面に突き刺さった
その矢の羽の部分が、ボンヤリと光り始めた
「少しは見えるかしら?
光苔と精霊に感謝してね
ホラ、そっちにも」
フィスは、俺やドムさんの周りにも、光る羽の矢をいてくれた
グギャギャァァ
俺達を伺っていたゴブリンが、明るくなったと同時に近寄って来た
ひぃふぅ・・・5匹だ
「ドムさん、だっ、大丈夫?」
「フン、問題ないわ、ヒック」
いやいや、問題あるでしょ?この、酔っ払いが!
リネンがすでに杖を構えている
「ファイヤボール!」
げっ?それ?威力が・・・
と、思ったら、1体のゴブリンが吹っ飛んだ!
威力を抑えてるんだな!
「村には、絶対いかせない!
ヒロさん、引き付けてくれれば、私が、倒す!」
「おっおう!」
俺は、ナイフではなく、ただの木刀をチョイスして、前に構えている
1.5mくらいの長さがあるから、取り敢えず、近づくゴブリンを横に
振って牽制する
1匹が、ドムさんに飛び込んで来た!
ドムさんは、構えたピッケルを横に振った
グゲっ
残り3匹!
フゴォォ!
ホブゴブリンが、イリナに棍棒を振るった
イリナは半身横にズレ、大剣で受け流す
ドゴォォン!
地面に棍棒がめり込む!
が、すぐに棍棒を持ち上げ、イリナに向かって横薙ぎにする
ギッィィン!
イリナが大剣で受けた!
グギャギャキャァ!
洞穴から、更に2匹のゴブリンが走り出してきて、ちょうど洞穴に背中を向けていたイリナに踊りかかる
2匹のゴブリンが地面を蹴った瞬間、横から白い影が突っ込んでくる
ギギャッ!✖️2
2匹のゴブリンを瞬殺したダイヤが、イリナの脇に立つ
「ありがとうですぅ」
『フン、後で鍋を頼むぞ!』
・・・・・・・
『聞こえぬか・・・・』
ダイヤは、ため息ひとつついて、ホブゴブリンに向かって、跳躍力した!
ホブゴブリンは、目の前から、白い狼が消えたので、何事かと思って、キョロつく!
刹那、目の前が白くなった瞬間、顔面に衝撃が走り、意識が飛ぶ
ダイヤの凄まじい横回転蹴りが、炸裂して首が真後ろに向いてしまった
好奇!とばかりに、イリナの大剣が、マルタのようなボブゴブリンの左太腿に、右斜め上から、ぶった斬る!
ホブゴブリンは、左の支えがなくなりゆっくり倒れる
イリナは、反時計回りに回転
大剣は真上に持っていき、勢いそのまま、倒れている最中のホブゴブリンの右脇腹に振り下ろす!
ズッバァァァン!
ホブゴブリンは、上半身と下半身に二分割された
「っしゃぁぁぁぁ!
やったですぅ!」
ドムさんが、飛び込んできた2匹目をいとも容易く、ピッケルを横に振って、吹っ飛ばしたのと同時に
リネンのファイヤボールが、2匹目のゴブリンの丸焦げを作った
俺が苦戦していた1匹が、俺が弱いと侮ってか、上段に木の枝を打ち込んで来た
俺は、小手で受け止め、空いた腹にり木刀をぶち込む!
転げて腹を抑えるゴブリンの顔面に、申し訳ないがトドメを刺す
「ふぅ、前と違って、1体に集中出来たんで、簡単に倒せたですぅ」
「やるじゃない!
じゃぁ、もう少し様子をみて、残党が出てこなかったら、入ってみる?」
一旦、集まって、お互いの状況を確認する
怪我人はなし!
フィスさんの矢を回収!
ゴブリンの左耳を回収!
ホブゴブリンの魔石と左耳を回収!
これでよし!
少し、離れて、洞穴を監視する
水分補給と、ダイヤの残りの夕飯を済ませる
「なぁ、ダイヤ、その煮込み肉美味かっただろ?
もっと、食べたかったら、もっと活躍しないと作ってもらえないぞ」
『なっ、なんでなのだ!
お前が作ったのではないのか?』
煮込み肉を貪りながら答えるダイヤ
「このエールとその肉はよく合うからのう!
村長夫人も中々の腕前だわな!」
「そうそう、村長の奥さんが作ったんだぞぉ!
恩を売っとかないと、もう食べれないぞ!」
あからさまに、ダイヤに煮込み肉を売り込む!
ドムさんも、俺の会話で察したように乗ってくれたw
『仕方ないな、ワレは何をすればいいのだ』
『まっあとで決めるから、ゆっくり食べてな!』
「ところで、今回といい、こないだのリネン達の依頼みたく、ゴブリンって、人里を襲う奴らなの?」
「ゴブリンな、寿命は短く、1匹1匹は弱いが、繁殖力が強い
よく群がりおってな、何でも喰らうから、手近に食い物が無ければ、人里に降りて来て農産物や家畜も喰らいやがる
まぁ、昔っから、嫌われる奴らじゃな」
俺も、ファンタジー物では、スライムの次に弱いモンスターと思っていた節がある
「ごめん、もしかしたら、私達が受けた依頼の仕留め損ないが、逃げてきたのかも・・・
でも、あの時、ホブゴブリンは、いなかったんだよ」
「なら、その仕留め損なったのが、こっちに逃げて来て、ホブゴブリンと遭遇したんじゃないの?
それに、謝る事はないんじゃない?
その時は、全部倒したんでしょ?」
リネンが、自分達の依頼の時の事を持ち出したが、フィスは、ソレはソレとリネンを思いやる
「これ、もう少しして、ゴブリンが出てこなかったら、全滅かな?」
「まぁ、ホブゴブリンが出て来たっちゅう事は、もう、おらんかもな
居ても、戦力外だろうよ」
戦力外、それは、子供か・・・何かか?
「もう少ししたら、ダイヤとイリナとリネンで洞穴の入り口の見張りをしてもらって
俺と、フィス、ドムさんで中に入ろうと思う」
洞穴では、夜目の効く2人に同行してもらう、外は、ダイヤが入れば、多分、問題ないと思う
「うん、任せて!」
「ダイヤさんよろしくですぅ」
2人は、了承してくれた
「ダイヤ!さっきの煮込み肉が、もっと食べたかったら、しっかり見張って、1匹も逃すなよ!
村に被害が出たら、食えないからな!」
『ワレに任せろ!』
フィスを先頭に、洞穴に入る
俺は、ランタンを持ってなんとか視界を確保する
「あまり臭くないわね、もしかして、ここには、最近来たのかもね」
「かもな、見た感じ、ビッグベアか何かの冬眠穴のような感じだな」
夜目の効く2人が、洞穴を調べる
「横穴とかは、無さそうね」
「ホッ!鉱石があるぞ!
奥まで、確認が終わったら、採掘でもしようかの?」
ドムさんは、酔ってるせいなのか、元々なのか、緊張感が無い!
それから少し進んだら、行き止まりで、少し広くなっていた
「ここで、何日か生活してたみたい
流石に少し臭うわ
ゴブリンは居ないみたいね」
「被害が出る前に潰せて良かったの
しかし、これは、見っけもんだぞ!
鉱石だらけだぞ!」
ドムさんが、壁を見渡し、1人盛り上がっている
ランタンの光でよく見えなかったが、確かに、ダイヤの寝ぐらの時のように、壁が、にわかに光っている
「フィス、外に出て、2人に中は異常無しって伝えてくれる?
俺達は、壁の状態だけ見てから出るからさ」
「分かったわ、でも、さっきまで、ここにゴブリンが居たんだから、気をつけてよね」
既に、ピッケルで掘り始めていたドムさんを俺は止めて、今日は、状況確認だけをする事にする
「スマンスマン、つい鉱石を掘っちまった
見た感じ、ここにある分で、十分すぎる鉱石が採れそうだな
魔鉱石も少し混ざっておるわ」
「じゃぁ、明日夜にでも掘りに来るとして
今日は、もう出よう!」
名残惜しそうに壁を眺めるドムさんを無理やり引っ張って、入り口に向かう
外に出ると、イリナとリネンが、待っていた
「絶対とは言い切れないけど、残党は居ないと思う」
「そっか、多分、最近移動して来た感じみたいだね
周囲を片付けて、もう少し、監視したら帰ろうか?」
倒した、ゴブリン達を笠藪に隠し、自分達も身を隠しながら、少し観察する
その間に明日の警護の予定を立てる
・イリナ、リネン組
・フィス、ダイヤ組
・俺、サーヤ、ドムさん組
に、別れて、洞穴がある方向に、1組配置して、他の2組が、収穫している畑の周りを歩いて、時計回りと反時計回りに警護する感じがいいだろう
「あら、私と彼でいいのかしら?」
「うん、何かあったら、俺とダイヤで、念話が出来るから!
あとは、リネン達との連絡の取り方だけど・・・」
リネンが、バッグから何かを出した
「これ、前に買った、笛なんだけど
何かあったら、これを吹くってどうかな?
どこまで、音が届くか、分からないけど」
「大丈夫よ、私、耳がいいから
どんな音でも、拾っちゃうからw!」
よし、方針は決まった
「よし、もう大丈夫だろうから、帰って、明日に備えて寝よう!」
一応、帰り道も警戒しながら帰ったが、問題はなかった
村長の家に着くと、みんな起きて待っていてくれたので、報告をした
「まさか、本当にゴブリンが居たとは、怖いですね」
「でも、全部倒したと思うので、村の人には言わないでいいと思います」
その後、明日の警護の計画を村長に伝え、寝る事にした
その間も、ドムさんは、エールをがぶ飲みしていた
ホント、明日、大丈夫なのか?
翌朝、朝ごはんを頂いていると、奥さんが
「外の狼さんに、朝ごはん作っておきましたよ」
「あっ、わざわざすいません」
どうやら、朝から、肉を焼いてくれたらしい
この事は、ちゃんとダイヤに伝えないとな
支度をして外に出ると、既に村の人達は、畑に向かっているようで、収穫が始まっている
この村にとっては、麦の収穫が、1年の生活の糧となるので、物凄いイベントなんだろうな
俺達は、まず、東の入り口から、村の外に出る
そこから、昨日向かった洞穴の方角へ進み、畑の切れ目でまで行き
最初の待機組は、朝飯も兼ねてフィス・ダイヤ組
俺は反時計回り、イリナ・リネン組が時計回りで、警護を開始する
村の規模は、タガロの村の1.5倍くらいだろうか、しかし、麦畑は、めっちゃ広い!
全畑の外周は、1周で、3〜4kmありそうだ
ここで収穫出来る麦だけで、ライフィスの1年のエールの消費量の3倍は、軽く超えているらしい
クリスの商会でも、直接エンパラの村で麦の買付けをしているようだ
ライフィスにも、ビール工房が、あるらしいが、ドムさんが言うには
「ここのエールが一番美味い!」
と、言いながら、今も、少し歩いては、水筒に入れてきたエールを飲んでいる
となると、ここで作られるエールを商売にした方が儲かる気がするな
これは、帰ったらクリスに報告だな
そんな事を考えながら、歩いていると、麦を刈っていた少年が、走り寄ってきて
「冒険者のお兄さん!ドワーフのおじさん!
この鎌、最高だよ!
ありがとうね!」
と、言って、また、麦畑に走って戻って行った
ドムさんも、嬉しかったようで
「怪我はするなよ!」と、声を掛けて、また、エールを煽ったw
「ドムさん、エールを飲みっぱなしだねw」
と、サーヤに弄られていた
昼は、待機組の場所まで、村長の奥さんがランチを運んでくれた
「あらまぁ、こちらが、お仲間の狼さんですか?
こりゃまた大きいですね
今晩から、料理の量を増やさないといけませんねw」
と、驚く奥さんが、みんなの笑いを誘っていた
『ダイヤ、あの煮込み肉を作ってくれた人だ
この村の偉い人の奥さんだぞ
しっかり警護しとけよ!』
『そっ、そうなのか?
ならば、小ネズミ1匹見逃せんな!』
「警護は任せてくれ!だそうです」
「ありがとうございます
狼さん頼みますね
イリナちゃんも、リネンちゃんもありがとうね」
2人は、力強くガッポーズする
その後も、警護を続けていたが、意外にも、フィス・ダイヤ神が人気があり、戦力外の子供達のほとんどが、ダイヤに群がって、一緒になって警護していた
やっぱり、大きな犬と思われているのか、ダイヤが気を許しているのか、ダイヤの背中には、5人の子供達が乗っている
「あなたも大概、気に入れられたものねw」
『フン、肉料理の為だ』
フィスは、ダイヤにウィンクした
その後、何事もなく、夕方になり、俺達も、村人達の帰宅を確認してから、帰る事にした
収穫は、毎年、1週間くらい続くらしいので、夕飯のあとに、俺とドムさんは、ダイヤの夕飯の運搬がてら、洞穴で採掘をする事にした
流石に昨日の今日なので、フィス、イリナ、リネンにも同行してもらったが、もぬけの空だったので、3人には帰ってもらった
流石に徹夜にならない程度で、採掘しても、3日で掘り尽くしてしまったが、ドムさんは、予定以上の鉱石が手に入り上機嫌だ
って、言っても、運ぶのは、俺のマジックバッグなんだけどね
4日目も、なんのトラブルもなく収穫が進み、この日から、ドムさんは、使って傷んだ農具の修繕をすると、警護がてら村人に声を掛けて周り
夕飯後に村人の修繕を始めた
俺とフィスとサーヤも駆り出され、手伝っていると、リネンが顔を出した
少し浮かない顔をしている
どうやら、親父さんとうまくいってないようだ
やっぱり、ここは、俺の出番と思い、ドムさんに断って、リネンの元へ・・・
「俺の出番だろ?」
「あっ、でも・・・」
俺は、そんなリネンの背中を押して、リネンの家に向かう
「大丈夫、あんなにお兄さんが優しいんだ、親父さんだって、ホントは優しいはずだよ」
「うへぇ、どうかなぁ・・・」
何から切り出そうか、考えていたら、リネンのうちに着いてしまった
「こんばんわぁ」
と、声を掛けて待つと
「あっ、ヒロさん!
良かった、リネンがいないんで、探しに行こうと思ってたんです
あがってください」
イケメン兄さんが出てきた
「あら、その節はどうも
リネンとイリナちゃんから聞きました
リネンの事、本当にありがとうございました
お父さん!リネンの命の恩人のヒロさんですよ!」
居間に通されて、そこに居たのは
身長2mは裕に超えている、肌が褐色に日焼けした、偉丈夫!
これは、怒らせたらまずいねw
「リネンがお世話になったようで、お茶でも飲んで行ってください」
「私の方こそ、伺うのが遅くなってしまいすいませんでした
そうそう、リネンとお土産を選んでいたのに、俺が持っていたんで
すいません、コレ、食べてください」
"わざわざすいません"と、お母さんが受け取り、蓋を開ける
「あらまぁ!エリー大変よ!」
「すげぇ!ヒロさん、いいんですか?」
驚くお母さんは、妹を呼び
兄のエミールは、目を丸くしている
それもそうだろう、店主の選び抜いたお菓子の詰め合わせだ
「ごめん、リネン
イリナの分も俺が持ってたから、渡してきてくれる」
俺は、リネンに頼んだ
リネンも、忘れていたらしく、慌てて持って、出て行った
それから、お茶も用意され、お母さんを中心にリネンの小さい頃の話や、エミールやエリーの話しをして談笑した
俺は、親父さんを観察していたが、リネンの話しの時には、思い出して口角を上げていた
やっぱりリネンの事が好きなんだろうな
俺は唐突に
「お父さん、ちょっと2人で話しませんか?」
と、切り出した
親父さんも、何かを察したのか、"そうですね"と、立ち上がってくれた
心配そうに見るエミールに、俺は、ウィンクして、グーサインをして、外に出た
2人きりになったところで
「お父さんは、リネンが帰ってきて嬉しくないんですか?」
と、ど直球で聞いてみた
しばらく無言だったが
「嬉しくないわけないじゃないですか?
でも、いきなり冒険者になるって、イリナまで連れて行ってしまって・・・
全く、それにあなたがいなかったら、もしかしたら・・・
そう思うと余計に・・・」
「イリナは、迷惑がっていましたか?」
初日に、イリナが、ここに来た事を聞いているので、聞いてみた
「・・・いいえ
逆でした、連れ出してくれて嬉しかったって・・・
自分でも、もう、怒ってなんかいないんですよ
ただ、あんなに怒って反対してしまったもので・・・」
もう、デッカい体が小さく見えるほど、ショボンとしている
ホント、優しい親父さんじゃねぇかよぉ!
「じゃぁ、リネンが冒険者をしている事は、怒っていないんですか?」
「えぇ、今は、あの子の人生なんで、何をしようと私に何かを言う事なんてできません
それに、先日のアキコマの村での活躍は、誇らしいくらいです・・・」
なんだよ、お父さんも変なところで意地張っちゃってる感じなんだなぁ
「お父さん、俺の話しをさせてもらいますね・・・
俺、以前は、妻と娘が居たんです・・
住んでいた所が震災に遭って、妻と娘は、人助けをしていた途中で・・・」
えっ?と、振り向く親父さんを無視して
「俺が、以前から、困っている人がいたら助けるのが当たり前だ!と、話していたせいかもしれません・・・
何回も後を追おうかとも考えました・・・
向こうで、謝れればそれでいいのかなと・・・
でも、それは、今の現状から、ただ逃げるだけで、何も解決しないと思って、生きる事を選びました・・・」
家族を持つ親父さんなら、分かってくれるだろう・・・
「それからは、2人の分も長生きしようと、2人に胸を晴れるような生き方をしようと・・・
でも、2人がどう思ってるかなんて、分からないんですよね・・・
だって、居ないから・・・こ聞けないんですよね・・・」
親父さんは、ハッとなっていた
「お父さんやリネンには、そんな思いは、してもらいたくないです
冒険者は、何があるか分かりません
離れた所で、生活していて、家族の後押しが、あるのと無いのとでは、全然違うと思いますよ」
「・・・・」
親父さんは、黙り込んでしまった
ちょうどその時
「あっ!ヒロさん!父さん!」
リネンが、イリナの家から、帰ってきた
すると、親父さんが、リネンに駆け寄り、リネンを持ち上げた
ちょうど、子供を高い高いする感じだ
「リネン!お帰り!
ごめんな、意地張ってて」
「えっ?あっ、うん、ただいま!
私もごめんね飛び出しちゃって」
どこで、見ていたのか、お母さんやエミール、エリーまで出てきていた
「父さん、高いし、恥ずかしいよ!」
「あぁ、スマンスマン、ついw」
はははっと、大声で笑う親父さんの目には、光るものがあった
「リネン良かったですぅ」
笑い声が、聞こえて出てきた、イリナがリネンに駆け寄り抱きつく
みんなが、頬を伝うものを気にせずに笑っている
「父さん、あのね、あのお土産は、ヒロさんがお金を出してくれたの
でもね、私もちゃんとお土産用意したんだ
はいコレ!好きだったでしょ!」
「おっ、クッキーか?
どれどれ・・・
ん?真っ黒じゃないか?
バクっ!
ぐはっ、焦げてるぞ!
でも、今まで食べたクッキーの中で、1番美味しいよ!
エミールも食べてみろ!」
"えぇ、やだよー"
"ぎゃははは、お姉ちゃんヘッタクソー"
"もう、リネンったら、明日、焼き方教えてあげるから!"
一気に明るくなったリネン達を見て、俺は、胸を撫で下ろして、村長の家に戻った
「オジサン遅い!」
「おい!オマエさんも早くやらんか!」
何故か、修繕の量が増えていてびっくりした
それほど、麦が豊作なのだろう!
俺とドムさんは、今夜も夜更かしのようだ!
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ちょっと時間は遡り・・・
ドムから、渡された鎌の柄の部分に革紐を巻きながら、耳を澄ますフィス・・・
ちょっと、風の精霊を使って盗み聞きをしてました
へぇ、ヒロには、そんな過去があったんだぁ
「ねぇ、サーヤ、ヒロの過去って知ってるの?」
「あっ、ええと、うん、知ってるよ
私のお父さんと幼馴染だから」
そうなんだぁ・・・ん?
「じゃぁ、サーヤの両親は?」
「うっ、うん、震災で・・・
だから、オジサンと暮らしてる感じ」
そうなのかぁ、だから、ヒロは、優しいし、サーヤを娘のように可愛がってるのね
(↑ヒロとサーヤの嘘設定にどっぷり騙されてます。ハイw)
「じゃぁ、サーヤにとって、ヒロって、結構大事な人なんだね!」
「うっうん、そうだよ!
だからねぇ、こっそり新しいお嫁さん探しをしてるんだぁw
あっ、でも、フィスさんはダメね!
料理が苦手だからw」
ぐっ、そう言う事だったのね!
それで、以前、フロで、私に料理が出来るか?とか、洗濯は?とか、お掃除は?って、聞いてきたのか・・・
「っくぅ、でも、それはそれで、ちょっと悔しいわね!」
「だったら、今からでも、花嫁修行するぅ??」
無理!無理無理無理無理!
「ごめんなさい
でも、その、ヒロのお嫁さん探し、面白そうね!
私も混ぜてよ!」
「いいよぉ!」
はは、面白くなってきたわ!
フレディ!あなたの後輩達は、なかなか面白いわよ!
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麦の収穫も、修繕した農具のおかげもあってか?10日で無事完了した
ゴブリンが潜んでいた洞穴も、あれから2度、確認に行ったが、も抜けの空だったので大丈夫だろう
リネンもすっかり、父と仲直りし、警護の後は、家の手伝いをしている
依頼としては、収穫の警護なので終わっているのだが、村長が折角なので、収穫後の収穫祭に参加してってほしいとの事なので、お言葉に甘えて、参加する事となった
収穫が完了した次の日に行うって急過ぎるように思えたのだが、収穫後の方が、出荷や、エール造りなど、忙しくなるので、毎年、収穫直後に朝までバカ騒ぎをするらしい!
村長の庭から、村の中央まで、各家のテーブルと椅子が持ち出され、去年に造ったエールを飲み尽くせ!とばかりに、アキコマの村からの応援者を含めて、盛り上がるらしい
そのエールを目当てに、麦の買付けの商人が、早めに移動して来て参加するので、食べる物も盛り沢山で、屋台まで出てしまう
俺達も、段取りから参加する!
まっ、1人は、朝からエールを呑みまくって役には立たないが、俺と、フィスは、村長宅の庭のセッティング、サーヤは、村長夫人を手伝って、朝から料理しっぱなしだ!
まっ、段取りも祭りの1つの楽しみなのだろう、村中がエールの匂いと、料理の匂いで充満している
実は、ダイヤも、村の中に入っている
警護をするフィスと歩いている姿を村人全員が見ているし、子供達の人気者なので、村長直々に招かれたのだ
もう、何度か、村長夫人自慢の肉料理を堪能して、木陰で昼寝をしている
が、そこへ、段取りの邪魔・・・じゃなかった、まだ、段取りすら参加出来ない子供達が
「大きなワンちゃんだぁ!」
と、モフモフしに来ている
ダイヤも、満更ではないようで、子供達のやりたいようにさせている
シロも人気があり、追いかけっこで、子供達を疲れさせている
空が赤みを帯び始めた頃、すでに千鳥足の村人も多いが、村長宅に村人が集まり、祭りを始める村長の挨拶が始まる
「えぇぇ、今年は、例年にない大豊作にも関わらず、冒険者の皆さんのお陰で、農具も直してもらい、予想より早く収穫が終わりました
何より、村を離れていたイリナとリネンが、今年は、冒険者として参加してくれました
こんな嬉しい収穫祭はありません」
"村長、話が長ぇぇぞぉ!"
"早く、始めろぉ!"
"リネンちゃぁぁん!"
みんな、エールが入ってるから、野次がすげぇのなんの!
「あっはいはい!
じゃぁ、みなさん、今年も、浴びるほど呑みましょう
では、エールに乾杯!」
『おおおおぉぉぉぉ!』
地響きと思うほどの歓声とカップを合わせる音、それと、拍手!
小さな村とは思えない盛り上がりだ!
俺は、人の集まる所が苦手だったんだけど、警護で知り合った人達や、農具を直したり、作ってあげた人達から、乾杯を求められ、揉みくちゃにされ、存外、楽しくなってきた
偶然、ゴブリンからの被害を未然に防ぎ、この人達は、そんな危険があった事すら知らない
それでいいんだ!
笑顔が1番!
何もなく、いつもと同じが1番なんだ!
俺は、そういう世界にしたいんだ!
さぁ、今日は、ドムさんにエールで挑んでやろうか?
それとも、綺麗なお姉さんでも探しちゃうかぁ!?
まぁ、朝まで時間は、たっぷりある、今を楽しむとしよう!
目が覚めたのは、もう、かなり日が昇ってからだった
ええっと、とりあえずベッドで目が覚めました、ハイ
顔を洗おうと部屋を出ると
「オジサンいつまで寝てるの?
出発前に部屋を片付けないとダメだよ!」
サーヤから怒られた
外に出て顔を洗おうと思ったら
「嘘だろ?」
もう、片付けが終わってる?
すると、村長が近づいてきて
「はははっびっくりしますよね
昨夜は、楽しめたようですね
私達は、二日酔いなんて縁がないんですよ!
朝まで呑んだって平気なんです
まぁ、若い者達は、まだ、鍛えが足らず、二日酔いになる者も、多少いますがね」
トホホ、鍛え方が違うんですね
参りました・・・
庭を見渡すと、ドムさんとフィスが、農具の修繕をしている
「やっと起きたか!
出発する前に、ちょっと、コレだけ修繕させてくれ」
「あら、ドムに挑んで負けたから、ふて寝でもしてたのかしらw」
そうだった、ドムさんに挑んで、痛い目に遭ったんだった
聞けば、昨夜は収穫祭だった為、修繕に出せなかった人達が、ドムさんに相談して、出発前に農具を見てもらってるらしい
「ヒロさん、ご飯は、どうされます?
狼さんは、もう済ませましたよ!」
気を利かせてくれた村長夫人
多分、喉を通らないので、お水だけ頂くことにした
リネンとイリナも、出発の準備を終わらせて、ドムさんの手伝いをしていた
「ヒロさん!早く出ないと、明日中に、ライフィスに戻れなくなっちゃうよ」
「そうですぅ、早くするですぅ!」
俺は、寝癖もそのままに準備をした
って言っても、ほとんどが、マジックバッグに入っているので、準備はすぐ終わった
「みなさん、本当にありがとうございました」
村長は、依頼の木札をくれ、依頼書にサインしてもらった
「はい、皆さんのお弁当です
狼さんの分もありますからね!
それと、コレを狼さんに・・・」
村長夫人は、弁当を用意してくれた
そして、前掛けから何かを取り出した
ダイヤの首に、スカーフの様な、タペストリーみたいな布?を巻いた
「この刺繍は?」
「麦の刺繍で、この村のシンボルなんです
狼さんは、もう、この村の一員ですので、いつでも村に入って来れる様にする為の目印です
お嫌ですかね・・・」
ダイヤは、いきなり首に、麦の刺繍の入った布を巻き付けられて困惑していたが
『これがあれば、いつでも、あの肉が食べられるのか?』
「夫人!ダイヤが、時折、この周辺の警護をしてくれるそうです
まっ、見かけたら、水でも飲ませてあげてください」
「あら、嬉しい、子供達も喜びます!
その時は、たんまり肉料理を作りますね」
村長夫人は、自分の3倍くらいあるダイヤの頭を仔犬の頭を撫でるように撫でた
『人間にもいい人は、いるってのが分かっただろ?』
『ふんっ、しっ、仕方ない
たまには、こっちまで、来てやるかのうw』
ダイヤの声が、喜んでいる
人に当てにされて嬉しいんだろうな
俺達は、村長達に別れを告げ、東の入り口までやってきた
何人かの人達が、見送りをしに集まってくれている
リネンの家族も来てくれている
「ヒロさん、リネンを連れてきてくれてありがとう
また、遊びに来てください
リネンとイリナの事、よろしくお願いします」
リネンの親父さんが、笑顔で握手をしてくれた
イヤイヤ、リネンの方が、先輩なんですけど・・・
「みなさんもお元気で!また!」
「行ってくるね!お父さん!」
手を振るリネンの顔は、来る時と違って、晴れやかで、どこか誇らしげだ
イリナも、家族とお別れをしている
「ヒロさん、イリナ姉さんの事、頼みますね!」
「一丁前の事を言うなですぅ」
"任せろ"と、言って、グーサインをする!
改めて出発する
何度も、振り返り、手を振る
「リネン、良かったね」
「うん、ヒロさん、本当にありがとう
これから、定期的に帰ろうと思う
ヒロさんとサーヤも一緒にね」
リネンは、人が変わったように明るくなった気がする
最初は、余計なお世話的に介入してしまった、リネンの親子問題だったけど、ホント良かった
「ダイヤさんも、良かったね
故郷が出来た感じで!」
早速、ダイヤの背中に乗っているサーヤが、ダイヤのスカーフを撫でながら言った
ダイヤの事だ、3日と開けずに肉料理を貰いに行くんだろうな
「ダイヤの件だけど、そのスカーフを目印にして、警護の相棒をダイヤに交渉出来るようにするか?
勿論、報酬は、一緒にご飯を食べるってのはどうだ!」
「彼が、それで良ければ、いいんじゃない?
しかも、今は、エンバラの住民なんだからw」
さすが、フィス!ナイスアイデア!
そうだ、ダイヤはエンパラの住民として公表すればいいんだ!
スカーフに麦の刺繍が入ってるし!
「ダイヤはそれでいいか?
意思の疎通が出来た方がいいから、最初は、念話が出来る人に限定にするか?」
『フンっ、別に引き受けてやっても良いぞ!
ワレは、美味いものが食べれるなら・・・イヤイヤ!料理の為では、ないぞ!
だが、騙そうとする輩には、容赦はしないがな』
だよな、人間を全部、信用するなんて、出来ないよな
「だな、よし!
まずは、念話が出来る人で、ダイヤを見かけて、直接交渉してもらう感じがいいな!
報酬は、必ず、ご飯を食べさせる!
これで、行ってみようか!」
「それで、少しでも、昔の蟠りが無くなれば、いいんじゃねぇか
ヒック!」
うん、そうだ、これだけ知識と理性を持つダイヤだ、1人で暮らすより、みんなと接していた方が、楽しいだろう
って、昼間っから、呑みすぎだよドムさん!
『おい、お前が、ワレに名前を付けてくれたのだから
お前が、ワレに毎日、料理を持ってきてくれてもいいんだぞ!』
『流石に、ライフィスの街には、入れないからなぁ
俺が外に出てる時は、必ずそうさせてもらうよ!』
よし、ダイヤの件は、これで、ギルマスに話してみよう
「まっ、全て上手く事が運んだように思うが、何か忘れとらんか?」
「そうね、依頼は、全部終わったの?」
・・・・・・!!!
「ちょっ!やべっ!
薬草採取してねぇじゃん!」
「そうですぅ
やってないですぅ」
アワアワする俺と、イリナ!
「やっぱり向いてないかもね、指揮役w」
ボソリと呟き、フィスが笑う
「ヒロさん慌てないで!
私達が小さい時によく行った場所に薬草生えてるから、そこ行こ!」
「おおぉ!懐かしいですぅ!
行こう!行こぉ!」
「たっ、頼む!早く連れてってくれぇ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「まぁまぁ、段取りの悪いこと」
大の男が、アタフタする姿を見て、クスクスと笑う女性
「サ・ヤ!
あなたが、いいと思う人
あの人が、いいと思う人なら、私は、いいと思いますよ」
胸の前でギュッと両手を握り、見つめる先には、大きな狼の背中で、腹を抱えて笑っている少女がいる
「サ・ヤ!あなたも、好きに生きなさい!」
いつも、読んでいただきありがとうございます
今回は、1話って感じの進め方ではなく、1つのエピソードという事で、長々と書いてみました
いつもの4倍くらいの長さで、まとめてみました
よろしくお願いします




