12、俺のスキルが、目覚めたかも?
12、俺のスキルが、目覚めたかも?
本当良かった
ヒロさんの武器を1つ拝借してから、ここ何日か、寝つきが悪かったんだぁ
タガートに相談したら、本気で怒られた!
そうだよな、多分あの時、俺1人でも、逃げ切れたかどうだか分からない状況だったからね、あのままだったら・・・終わってただろうね
それを助けてくれたのに、武器をくすねちゃったんだもんね
本当の事を言ったら、ヒロさんに怒られるのかなぁって思ったら、逆に、怒られないで、更に3本くれちゃったよ!
条件は、友達になれ!ってだけだよ!
これまで、色んな人に会って来たけど、こんな人は、初めてだよ
ホントに俺、ヒロさんについて行っちゃおうかなぁw
「見えたよ!あそこが孤児院だよ」
アイトは、歩くのが早い早い、えらい、向こうで、手招きしてくれてる
ちょっと小走りで、近寄ると、柵で囲まれた、ちょっとした広場?があり、数頭の牛?ヤギ?羊?などが放牧されてる
ちょっと大きめの建物に近づくと、洗濯物を干している人が何人かいた
「ミサ!今日は、ここだったのか!」
と、アイトが叫んで走り寄った
「あれ?アイト今日は、休みでしょ?」
と、ミサが元気に答えた
「おう!ミサ!今日は、俺達の友人!が、ここの依頼を受けたってんで、道案内してやったんだよ」
タガートが、ミサも無条件でヒロの友人になった事も含めて説明した
「ミサさん、もう大丈夫なの?
一応、ギルドの依頼を受けて来たんだけど」
と、依頼書とギルドカードを見せる
「ええ?ヒロさん、冒険者になったんですか?
依頼って言うと・・・
あぁはいはい、修繕ですね、分かりました、じゃぁ、院長さんの所に行きましょう」
依頼主の所に案内してくれるらしい
あとは頼んだぜ!と、ミサに挨拶して帰る2人
「無駄遣いしたらダメだよぉ!」
と、ミサの激に、肩をすくめる2人
「いいチームだね」
「そうですかぁ、もう、あの2人、休みになると、すぅぐ、無駄遣いするんですよぉ!」
ほっぺを膨らませて、言っているが、信頼してるんだろうな
「ミサさんは、休みとかに、孤児院のお手伝いとかしてるんだ」
聞くと、ミサは、この孤児院の出身で、8歳の頃に神の声を聞き、神官になったそうだ
それからは、孤児院の隣の修道院に入り、日々の精進を行い、12の時に冒険者になったそうだ
最初の依頼から、タガート達が一緒に行動してくれて、そのままチームを結成したらしい
「冒険者歴が長いんだね
じゃぁミサさんも、俺にとっては、大先輩だね、よろしくね」
「そんなぁ、私なんかまだまだですよぉ
はい、こちらに入りますね」
テヘヘと、言いながら、小さな教会と孤児院の間にある修道院だという建物に案内され、奥の一室に案内される
「ミサさんありがとう
冒険者のヒロさんも、お越しいただきありがとうございます」
依頼書と、ギルドカードを確認しながら院長という人に挨拶された
「修繕という事で、伺ったのですが、私で出来ることなら、何でも言ってください」
「あら、ありがたい事を言ってくださりますね
ここには、私達しかおりませんので、どうしても力仕事となりますと、誰かにお願いしないといけなくて・・
やっと、皆様のお心積りで、何とか、木材などの材料が揃いましたので、修繕をお願いしたいのです」
そうか、修道院には、男性が少ないのかな?
「分かりました、道具は、一応用意して来ましたので、修繕する場所が分かればドンドン修繕していきますよ」
と、あまり依頼者側に負担は掛けないアピールしてみた
「ならば、ミサさんが、修繕箇所を知っていると思います。
同じ冒険者のほうがヒロさんもやりやすいでしょう、案内役をしてもらえますか?」
「はい、院長」
では、お願いします!と、院長から開始の合図をいただいた
まずは、ミサの案内で、修繕箇所を見て行く、うん確かに、木が腐ったり、板が抜けてしまったりと結構あるが、決して俺では無理って事はなさそうだ
よし、材料を運ぼうと思い、台車が無いか聞いたら、その台車が、まず壊れているとの事
見たら、車輪は無事で、持ち手が壊れているだけだったので、チャチャっとなるべく無駄に木材を使わずに直して、材料を載せられるだけ載せて、最初の修繕場所に行く
何故か、シロは、台車の上に乗って尻尾を振りまくっている
まずは、壁板の交換作業!
ここは、雨風で傷んだ板を何枚か交換する感じだね
ただ、作業してるだけでもつまらないので、会話しながら作業する
「ミサさんは、そのぉ、人の怪我とかを治せるんでしょ?」
「はい、癒しの奇跡ですね?使えますよ」
ふむふむ、怪我を治すのは、癒しの奇跡って言うのね
「それは、いつから?神の声を聞いた時から?」
「そうですね、その時に癒しの奇跡も授かったと思います」
御告げ的な感じで覚えるのね、メモメモ!
「その癒しの奇跡を使う時って、どんな風にするのかな? 」
自分の謎スキルに役立つかもと思い聞いてみる
「え?癒しを使う時ですか?
対象者の傷を治してくださいって、強く神にお願いします」
え?お願いするだけ?
「じゃぁ、その詠唱みたいなのするの?」
ファンタジー物、異世界物を読み漁った身としては、ここは興味深いところ、実際、俺は、こっちに来て、まだ、魔法や奇跡を見ていない、見ていないからこそ知りたい
「一応声に出したりしますが、それは、気持ちを集中するためでして、しなくても願いが届けば奇跡は起こると思います」
そーなの?うわぁ、天に召します我らの神よぉぉ!とか、ないのぉ?
はいここの修繕終了!
次は、雨樋の修繕!
雨樋は、腐りやすいよねぇ、これ、魔鉱石とかで作ったら、長持ちしそうな気がする
まっ、今回は、薄板をノコギリで切って、作っていこう
「じゃぁ、その奇跡ってのは、心で願えば、出来ちゃうって事?
じゃぁさ、あの時、ミサさんは自分には、癒しの奇跡は出来なかったの?」
「はい、ちゃんと集中して、本当に相手を治したいと願わないと駄目ですけど
あの時は、痛みで集中出来ない状態でしたし、それに、自分に対しては、奇跡は基本しないですね」
へぇ、なんか強く願えばかなっちゃうって事かぁ
俺も強く願えば鉱石を手で加工出来るのかな?
よし、今夜試してみよう
今度は、屋根の雨漏り箇所の修繕だ
やばい!屋根の上なんて、乗ったの何十年ぶりだよ
ちょぉコエエと、呟いていたら
「えっ?ヒロさん?なんですかぁ?
板ですかぁ?」
と、上から覗いたら、ヨイショと板を一生懸命持っているミサがいた
一生懸命に何かをしている女性って可愛いく見えちゃうよね
「あっ、無理に持たなくていいよ
ロープ垂らすから、さっき教えた縛り方すれば、持ち上げるから!」
ここは、流石に危ないから作業に集中しよう!
次は、ドアノブが取れかかってる箇所の修繕が、数箇所
一旦ドアノブ取り外して、下地の板を交換すれば、いけそうだね
「癒しの奇跡ってのは、どんな怪我でも治せるの?」
素朴な質問を聞いてみた
「癒しの奇跡の効果には、人によって差が出ます
私だと、タガートの腕の骨折は治せましたね
でも、私が、どこまでの怪我を治せるかは、分からないです」
凄いな!と、驚いてしまった、骨折を治せるのはマジ凄い!
確かに、どれくらいの傷が治せるかなんて、実験は、ちょっと、やっちゃいけないかもね
「じゃぁ、もっと、ひどい傷や怪我を治せる神官さんもいるの?」
興味があって聞いてみた
「神官だから奇跡が使えるわけではないと思います
修道院の方々でも奇跡を使える方はいます
私が小さい頃、冒険者が大怪我をしまして、ここに運ばれて来た時に、院長が癒しの奇跡を施したのですが、あの時は、切れていた腕がくっついて治りましたね
神への信仰心の大きさで、奇跡の効果が変わってくるかも知れませんね」
気持ちかなぁ?気力とかかなぁ?
俺のスキルも、願う気持ちが駄目なのかなぁ?と、考えていると、ミサが顔を覗き込んできた
「ヒロさん、奇跡に興味があるんですか?」
あかんです!ミサの目がキッラキラしてます、これ、勧誘だったりして?
興味は無くは無いけど、ここは、丁重にお断りしておく
「そうなんですかぁ、ちょっと残念です
ヒロさん、向いてそうなんだけどなぁ
はい、次は、室内です」
次は、屋内の床板の抜けている部分の補修らしいこれで、依頼された分は終わりになるらしい
室内は、床板が抜けちゃってる部分があって、張り替えだけ行えば、塗装は、修道院の方々や子供達で行うらしい
ここの子達は、元気が良く、床板も持たないのだろう
床板用には、あらかじめ幅の合わされた板材が沢山あるので、結構、スムーズに張り替え出来てしまう
そろそろ廊下の張り替えが終わりそうな時、流石に室内の修繕という事で、子供達が、興味を持って見にくる
「お兄ちゃんも冒険者ぁ?」
「ミサ姉ちゃんとは、どんな関係?」
などなど、おマセさんな質問も、飛んでくる
そんな質問に、毅然と振る舞おうとするミサさんだが
「ちょっと、ヒロさんの邪魔しないのぉ」
と、ちょっとムキになってる雰囲気が、子供達にも伝わるようで
「ヒロさんって言うのぉ?ミサ姉ちゃん好きぃ??」
「ミサ姉ちゃんの彼氏?彼氏なの?」
とか、言うもんだから、真面目なミサさんは、真っ赤になってしまい
「コラ!もう!」とか、ワタワタになってしまう
ふふふ、ここは、娘の保育園で、う⚪︎ち話しで、全園児の笑いを取って園長にめっちゃ怒られた俺の出番!
「はいはぁい!おじちゃんは、ミサお姉さんの友達の冒険者ダヨォン!
ヨーローペーコー!」
と、子供が喜ぶ踊れるお兄さん風にポーズを決めた!
はい、空気の流れが止まりましたね!
これです、コレ!
元気な子供達を黙らすには、突拍子もない言葉と行動!
コレで、子供達もドン引きで、修繕作業に集中出来るだろう!
「ギャハハ、ダヨーンだって!」
「ダヨーン!ダヨーン!ギャハハ」
「ヨーローペーコーだってぇ」
「ヨーロペコ!」「ヨーロペコ!」「ヨーロペコ!」
ヤバいです、やっちゃいました!
逆の反応をされたようで、盛り上がってしまった
どう、収拾つけようか考えていると、突如、鐘が鳴った!
その瞬間、子供達の大合唱が止み、一斉に走り出した!
「ヒロさん!さっきのはなんだったんですか?
もう、びっくりしました
まさか、あの子達があんなに喜んで大騒ぎするなんてw
どうなるかと思いました」
と、まだ、ほんのりほっぺが赤いミサが、笑いながら、片付けしている
「さっ!ヒロさん、お昼ご飯です
行きましょ!」
えっ?だから、子供達が走り出したのか!
やっぱり、人間の3欲の一つの食べる事!には敵わないな
食堂らしき所に入ると、子供達が、お盆を持って、ご飯を貰うために並んでいた
ミサに習って、俺も並び、パンとサラダ、それとシチューをもらって、院長の近くに座る
全員座ると、院長が、私の事をみんなに紹介して、そのあと、みんなで、神や大地の恵に感謝を述べ
「いただきます!」となった
"いただきます"だけじゃなく、こういう感謝を言葉に表してから食べるってのも、イイかもね
パリッとしたパンは、ここ焼いているらしい、そして、街角や広場で、売ってもいるらしい
「今日のパンも美味しいね」とか
「今日の院長は、機嫌がいいみたいだね」と、結構、子供達のおしゃべりが聞こえたり
「院長、今日は、⚪︎⚪︎さんが、◻︎◻︎が出来ました」
「△△さん、午後からは、アレをこうしてくださいね」
など、報告やら指示やら、院長自らも喋っている
俺は、てっきり、こういうところは黙食かなぁと思ったら、和やかな雰囲気で驚いた、俺もミサと喋りながら食事をしていた
俺は,食べるのが早いのが自慢なわけでは無いが、大体食べ終わったところで、ちょっとした事を院長に提案してみる
院長よろしいですか?と、承諾を得てから
「あの、食事の後、子供達はどんな予定があるのですか?」
と、子供達の予定を尋ねた
「昼食後は、少し休み時間を設けてます
その後は・・・」
と、言い淀んだところで、隣に座る女性が
「院長、私からよろしいでしょうか?
小さい子は、お昼寝になり
大きい子達は、女の子は、洗濯物の取り込みのお手伝い、男の子は、牛小屋など飼育小屋のお掃除をして、その後、文字の読み書きなどを予定してます」
そうか、細かい事は、院長が知るわけないよな
よし、ならば
「院長、床板の張り替えもあと少しかと思うし、材料もまだあるんで、みんなが使ってる、椅子とか机で、調子が悪いものを修繕しましょうか?」
「よろしいのですか?」
と、院長に聞かれたので、勿論!と答え、ゆっくりと音を立てないように立ち上がり
「食事中ごめんね
みんなが使ってる、椅子や机で、グラグラしてたり、ガタガタしてるものがあったら、食事の後、おじちゃんに教えてくれないかな?
頑張って、少しでも修繕するから、大きいお兄ちゃんお姉ちゃんヨロペコお願い出来るかな?」
と、聞いてみたら
子供達は、喜んで、ハイハーイ!と手を挙げながら
「はぁい、やりまぁす」とか、
「僕のグラグラするぅ」など、反応してくれた
俺の隣では
「ヨロペコとは何ですか?」と、院長が隣の女性に聞いていたw
昼食のあと、何人かの子達に手を引っ張られ、教室のような所に連れて行かれた
何個か、グラついてる物や、ガタついている物を教えてもらえたので
「分かったやっとく!」
と、グーサインを出した
子供達は、広場で、シロと追いかけっこをしている
俺は、取り敢えず、床板の交換を終わらせてしまおうと修繕作業を始めた
「ヒロさん休憩しないんですか?」
ミサが、心配してくれたが、どうしても、子供の前では、頑張りたくなっちゃうんだよねぇ
自分の娘に頑張る姿、見せられなかったしね
「あぁ、子供達を見てると、何かしてあげたくなっちゃうんだよね」
どうしてですか?と聞かれてしまい、仕方なく、家族を亡くした事を伝えた、勿論、場所やいつ?ってのは、はぐらかしたけどね
そして、困ってる人がいたら助ける!が、俺のモットーってのも伝えた
「そうなんですね、だから、ヒロさんは、私たちを・・・」
ミサは、胸の前で手を組み、何やら祈ってる、多分、妻と娘の事でも祈ってくれたんだろう
「ありがとう」と、反射的に言ってしまった
ミサは、首を少し横に振り、とんでもありません、と、頭を下げた
ミサの協力もあり、床板の張替えも終わり、続いて子供達の使う椅子や机の修繕を進めていく
「ここも終わりそうだね、他に何か出来ることあるかなぁ」
「ヒロさん、修繕が上手ですよね
次から、ヒロさんを指名で依頼するよう院長さんに言っておきますか?」
イヤイヤ、これくらいDIY好きの俺にはワケないし、何故か疲れないんだよねえ
「そだね、子供達の為になるんなら喜んで!」
と、ミサに出来る人&いい人アピールしてしまった
と、その頃、なんだか外が俄かに騒がしくなっていた
「ミサさん!」
「はい!行ってみましょう」
俺と、ミサは孤児院から出て、周囲を見渡す
ミサが、慌てて走っている修道女を呼び止めた
「倉庫でカイムくんが、怪我をしまして、それが、結構・・・それで、院長を呼びに行きます」
かなり慌てた様子、俺はミサに
「ミサ、倉庫はどこ?」
こっちです!と、走り出す俺とミサ!
牛小屋や飼育小屋らしき建物の隣にある倉庫の前に人だかりができていた
「ちょっといいかな?」
と、修道院の人や子供達をかき分けて前に出る
そこには、左脇腹に鋤か鍬のような器具が深々と刺さって、苦悶の表情で痛がる少年が倒れていた
この子は、ミサによくちょっかいをだしてて、食堂では、1番に手を挙げてた子だ
「何があったの?」
と、優しく周囲の子供達に聞くミサ
「僕が、ヤギさんところをおそうじするのに、道具を取りにきたら、カイムにいちゃんが、あぶない!って言って、僕をおしたの!
そしたら、ガラガラぁってなって・・・わぁぁん!」
多分、立てかけてあった道具が倒れてきて、危険に気付いたカイムが助けようとしたんだろう
「カイムくん、あの子を助けたんだね!
よくやった、もう大丈夫だからな、もう少し我慢しような」
と、カイムのおでこを撫でて、改めて、脇腹を見る
かなり錆び付いた鍬(先端が4本くらいのやつ)の2本が深く刺さっている
刺さってない2本を見ると、先端の幅が広くなっている
「ヒロさん、鍬を抜いてください、私が癒しの奇跡を!」
ミサが、すぐ対処しましょうと錫杖を構える
しかし、俺は、ミサを手で制し
「まず、落ち着こう!
脇腹の中でどんな風になっているか分からないし・・」
と、一旦言葉を止め
「この鍬、結構錆びてるよね
もし、中で、曲がってたり、折れてて、無理に抜いたらどうなる事か・・
この辺に、医者はいないの?」
と、素人目でも分かる疑問を投げかけた
「イシャ?ですか?」
え?なんて?医者とかいないの
「ミサさん、怪我や病気になったら、みんなどうしてるの?」
素朴な疑問を投げかけた
「そっそれは、教会に行ったり、薬師に診てもらったり、薬師や調合のスキルのある人が作った薬などを道具屋で買うかです
なので、早く癒しを!」
まて、まて、まて、おいおい、この世界って、病気や怪我に対して、奇跡と薬頼みなのかよ
「分かった、ちょっと落ち着こう
もう少し、傷を見させてもらうよ」
俺は、傷を見ながら考えた
先端の幅が広くなっているし錆びているから、無理に引きぬきたくない
どうする?
俺は、無意識だけど、鉱石の形を変えれたよな!
ならばこれも、そうやって集める事が出来れば・・・
しかし、急に取り出したら、出血があるし、内蔵がどうなっているか分からない
少し考えて、俺は決意した
「ミサさん、俺が、何とかして鍬を取り除く、その後、傷口から、出血が出ると思うから、奇跡をお願いできるかな」
「はっハイ!わかりました」
でも、もし臓器とかに鍬が刺さってたとして・・・
「ミサさんの奇跡は、もし内臓とかが、傷ついてたら治せるのか?」
しばらく沈黙があり
「分かりません・・・」
と、不安げに答えた
「そっそれは、私に任せていただきましょう」
と、走って来たのだろう、息を切らして院長が答える
「ただ、私の奇跡は、大概の怪我は治せますが、奇跡を行使するまでに時間がかかります
最初のヒールは、すぐに行使できるミサさん頼みますよ」
よし、それでいこう
「あとは俺だけだな、よし、やってみる、鍬が消えたら、奇跡を頼むよ」
ハイ!と言うミサの返事で俺にスイッチが入った
俺は、鍬の鉄の部分を両手で包み込む様にした
『頼む、鍬、俺の手の中にまとまってくれ』と、願う
頼む!頼む!と、俺は強く願った・・・
手の中が、ほのかに暖かくなった気がする
薄目を開けて手を見る、まだ、何も変化が無い
俺は、想像する、このカイムという少年が年下の子を守る為にとった行動
俺は、思い出す、娘と妻がとった最後の行動を泣きながら教えてくれた女の子、そしてそのお婆さん!
娘と妻は、人を助けて逃げきれなかったらしい、俺が、困っている人を助けるもんだと日頃から娘や妻に教えていたから・・・
カイムも、女の子を助けたい一心での行動だったんだ、そんな優しいカイムの人生をここで終わらせてはいけない!
俺は、もう一度強く願う、今度は・・
「頼む!頼むから、俺の手の中に集まってくれ!
チカラを貸してくれ!
頼む、俺にチカラを!」
と、声に出して願った!
俺の手の中が、じわっと熱くなり、眩く光ったと思ったら、手に重さを感じた
そして、生暖かいものが手にかかった
「ミサさん、今だ!」
「はい!この者に癒しを!」
カイムの脇腹に手を当てながらミサが気合を込めた
ホワッとした光が放たれたと思ったら
凄い、みるみる傷口が塞がっていく、しかし、カイムは、以前苦悶の表情で苦しんでいる
そこへ、目を瞑り、胸の前で指を組み何かを呟いている院長が、ゆっくり割り込んできた
「いきます」
院長が、詠唱のような呟きの合間に合図を出した
「慈悲深き我等の神よこの者に癒しを!」
院長が、カイムの脇腹に当てた手の平から、眩いばかりの、そして暖かい光が発生したかと思ったら、その光はゆっくりとカイムの脇腹の中に入っていった
刹那、院長の体が、グラッと揺らいだ、隣の修道女が、慌てて手を貸す
「カイムはどうですか?」
一瞬グラついた院長が、カイムを心配する
ミサが、カイムの顔を心配そうに見ていた少年と確認する
さっきまでとは違って、穏やかな顔で、ゆっくり呼吸をしている
「だっ大丈夫そうです」
と、少年を安心させるように頭を撫でながら報告した
それを聞いて安心した院長が
「よかった
では、カイムさんを寝室へ運んで看病しましょう
他の子供達も今日は、教室に戻って読み書きでもしましょう」
フラフラしているのに、テキパキと指示を出して戻っていった
俺は、カイムを背負って寝室へ運んだ、少し揺れても、グッスリ寝ている
癒しの奇跡には睡眠効果もあるのかな?
他の子供達が、修道女達に連れられて教室に戻って行く
カイムをベッドに寝かせ、寝室を出て、廊下で、カイムの脇腹から取り出した塊を眺める
かなり大きい塊は、茶色、黒、紺等のマーブル模様の塊
間違いなく、俺が願って鉄を変形させた物だ
これが、俺のスキルなのか、全然、実感が湧かない
「あっ!ヒロさんいた!
カイムくんは大丈夫ですか?
あんな事出来るなんて凄いです!
私なんか、慌てちゃって・・・」
と、走り寄ってきたミサは、さっきの出来事が嘘の様にキャピキャピだ
「カイムくんは大丈夫そうだね
しかし、さっきの事は、自分でも、まだ、実感がなくて
実は、出来るかどうか、分からなかったんだけど、ミサさんから聞いた奇跡の起こし方を真似してみたら出来たんだ
ありがとう」
と、感謝を言うと
「そうだったんですか
でも、きっかけはどうあれ、あれは、間違いなくヒロさんの能力か、スキルって事ですよね
あんなの見た事も聞いた事もないです」
ははは、俺もね
「まっあとで、もっと思い通りに出来るようになるか検証はしてみるよ
そうだ、修繕の続きやっつけちゃおう」
「そっ、そうでしたね」
教室に行くと、カイムの件を知っている子供達は塞ぎ込んで、読み書きどころではないようだ
さぁて、どおしたもんかと、考えながら、修繕を続けた
あと、少しで修禅も終わる頃
ダダダダダダ!と廊下をかける音がした
「ジャジャーン!勇者カイムふっかぁつ!」
いきなり、カイムが教室に駆け込んできた
「カイムにいちゃぁん!」
「カイム!」etc
塞ぎ込んでいた子供達が、一斉に色めきだった
「カイムくん!もう大丈夫なの?」
「うん、冒険者の兄ちゃんとミサねえちゃんと院長のおかげで、もう、全然平気だよ!」
と、脇腹を叩いてみせた後、子供達にもみくちゃにされた
シロも混じって飛び跳ねている
どうやらカイムは、ここのムードメーカー的存在のようだ
院長の癒しの奇跡の効果は、凄いようだ
「実は、私の左肩の怪我も院長さんに癒しの奇跡をしてもらったんです
もう、傷跡もないんですよ」
奇跡って凄いな!
しばらくは、勇者カイムの帰還の盛り上がりをミサと眺めていた
「本当に今日は、なんてお礼を言ったらよいか」
院長から、依頼書にサインと木札をもらった
「いえいえ、無我夢中でしたので、あまり覚えてなくて
でも、院長とミサさんの奇跡があったからこそです」
一か八かだったなんて今更言えないよ
「本当にありがとうございした
貴方に神の思し召しがありますように」
院長にお礼されて部屋を出た
修道院を出ると、子供達や修道女達が見送りをしてくれた
「冒険者の兄ちゃんありがとう、またきてね」
「シロちゃんまた来てねぇ」
「ミサ姉ちゃんまたねぇ」
いやぁ、子供達に見送られるなんて、生まれて初めてだよ
みんなに手を振りながら、孤児院を後にする
「カイムくん、元気になってよかったですね」
「あぁ、終わりよければ全てよし!ってね」
「えっ?何ですかそれ」
「あっまっ、怪我したけど治って良かった!ってね」
元の世界のことわざは、通用しないのねw
「ヒロさんは、このままギルドに行くんですか?」
「うん、そだね、通り道だから報告して行こうと思う」
「じゃぁ、私も行っちゃおうかなぁ」
と、後ろ手に両手で錫杖を持ち何故か、ルンルンに歩くミサ
そんな、お胸を強調して歩かなくても、十分貴方のそれは、強調されてますよ!
「じゃぁ、もう少し、奇跡について聞いちゃおうかな・・・」
いいですよ!と、嬉しそうなミサ
少し、日が傾きかけた中通りは、街頭に火が灯り始め、2人の足元には、数本の影が伸び始めていた
「っふぅ、一時は、どうなる事かと思いました。
マっ、じゃなかった、女神様!先ほどはありがとうございました
危うく、私が、手を出してしまうところでした」
と、猫耳の少女が、木の柵に隠れながら、胸の前で、手を組み天に祈りながら、独り言を呟いた
「しかし、あのお姉さんは、なかなか真面目そうでいいですね」
と、何やら、冒険者の男と一緒に歩く神官の娘を見ながら呟いた
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「っふう、私が、地上の者に手助けをするのはいけない事なのですが
まっ、今回は、使い方の分からないスキルに、ちょっとだけ、キッカケを差し上げただけなので、いいでしょう」
アゴに手をやり、自分の行動に問題はない!と、1人頷く女性
「それに、あの娘にお願いされたら、断れないですからね」
と、こちらに祈りを捧げる、猫耳の娘を見ながら微笑む女性
がんばれ!と、届かぬ声で応援した
いつも、読んでいただきありがとうございます
やっと、この小説を書き始めた時に思っていた事が、少し書けてきました
書きたい事ばかりが浮かんできて、全然文章が進まなくてすいません
ありがとうございました




