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校内の女王様に好かれた平凡男子

作者: あっとま~く

始まります。

僕、鬼田裕一はどこにでもいるような平凡な高校生だ。

そのせいか、彼女もできず独りで寂しく青春をエンジョイしているのであった。


「おっす鬼田!課題やってきたか?」


「当たり前だろ…それより、そう言うお前はどうなんだ?長瀬」


彼、長瀬俊輔は僕の中学校からの付き合いで、とても仲がいい親友だ。


困ったときには助けてくれる、爽やかイケメンナイスガイだ。


少し忘れ物が多いところを除けば、完璧だろう。


「あ…やべ…やるのわすれたー!」


「あほか」


そういって彼の背中をぱしりとたたく。


そんなやりとりが、とても楽しかった。


「おっはよー!みんな!」


っと、クラスにとある人物が登校してきた。


園田歌織


彼女は文武両道でスタイルもよく、校内の上位の層に君臨する、いわば女王様であった。

だが、僕は彼女が嫌いだ。

理由?そんなの一つしかない。

僕は平凡な高校生活が好きだからだ。

友人と談笑するのが、最高の高校生活だと俺は思っている。

なのに…


「おはよー!鬼田さん!」


「ああ、お、おはよう」


ここ最近、彼女は頻繁に僕に話しかけてくる。

やめてほしい…のに


「今日、課題提出日だけどやるの忘れちゃった★見せてくれない?」


「わ、わかった。」


止まらないのが、彼女である。

ふと、彼女の方を見やるとこれ以上ないくらいの笑顔で課題を写している。


しばらくして…


「あの、さ、そろそろホームルーム始まるから、返してくれないかな…」


「え、ああ!ごめんね!急ぐからもうちょっと貸しててくれないかな?」


(他の人に借りればいいものを…)


「いいよ…」


謎で仕方がなかった。

頼めば、他の人は好きなだけ貸してくれるのに、僕のを借りる意味がよくわからなかった。


ちなみに長瀬と言えば、しっかり自力で頑張って解いている。

真面目だなぁ、と一瞬思ったが、忘れている時点でアウトだろ、と自分でツッコミ、笑ってしまった。




キーンコーンカーンコーン




鳴り響くチャイムの中、生徒たちが一斉に自分の席へ戻る。


「ごめんね、長く借りちゃって」


そう言う彼女は、なんだか少し寂しそうな表情を浮かべていた。


「いいよ、別に気にしなくて」


そういい、軽く微笑む。


いくら嫌いだからと言って、冷たく接しるわけにはいかない。


すると


「!!!」


「えっと…どうしたんですか?」


なぜか園田歌織は顔を赤らめている。


「ぇ…その…」


「大丈夫?」


「ぁ…………………」


だんだん声が小さくなっていく彼女が、不思議でならなかった。





***





キーンコーンカーンコーン




「ああーこれで帰れるー」

「やっとおわったー」

「帰ったらゲームしようぜ」


そんな会話が聞こえる中、一人だけ異様に静かな人がいた。

そう…園田歌織だ。

なにやら授業中もちらちらと僕のほうを見ては顔を赤らめ、居心地がとても悪かった。


「さーさー、帰ろうぜ鬼田~」


「わかった、帰ったらモンスターハンティングやろうぜ」


「お、いいね。たまにはまともな提案するじゃん鬼田~」


「たまにとはなんだたまにとは」


そう言って長瀬の脇をつつく。

さあ帰ろうとなった。

だが、教室を出る寸前で後ろから声が聞こえた。


「鬼田さん!!!」


そう、声の主は…園田歌織だった。


「え、お、鬼田…なにかやらかしたのか…?」


と長瀬が尋ねる。


「え、なんもやってないんだが…」


と、答えると


「ならいい…俺は先帰ってるから…楽しんでこいよ」


と長瀬が耳打ちする。

そして「じゃ、また明日な」と言い、足早に去って行った。

そんな親友に若干の怒りを覚えながら、長瀬の背中を睨んでいた。

すると園田歌織が


「あぁぁぁあの!掃除が終わったら、屋上に来てくれませんか?」


と言った。


え……………………………………

完全に固まった。

一瞬、とんでもないことが脳裏をよぎる。

まさか、まさか


園田歌織に…シメられる…!?


彼女は空手が得意なことでも有名である。(ちなみに黒帯)

最近自分でも調子に乗っているのでは?と自覚していたため…まさかとは思った。

だが、そんな思いとは裏腹に、彼女の口からとんでもないことが告げられる。


「鬼田さんに…つ、つたえたいことがあるんですっ!」


予想外の言葉に、一瞬固まるが、すぐに戻り、状況を整理した。

そして、一つの結論にたどり着いた。

行きたくねえええええ。

内心早く帰って長瀬とモンスターハンティングをしたかった。

ただ…断ってしまえば彼女にシメられるかもしれない、と思ってしまった。

なのでできるだけ笑顔で、


「はい、わかりました。」


と言った。


すると彼女は、これでもかと言わんばかりの笑顔で、


「ありがとうございます!」


と叫んだ。




ややあって、僕は彼女…園田歌織と屋上にいた。


日が沈みかけ、オレンジ色の空。


まばらに散った雲。


涼しい風。


美しい景色に見惚れていた。


「来てくれてありがとうございます。あの…実は鬼田さんに伝えたいことがあって…」


すると、口を開いたのは園田歌織だった。


内心景色に見惚れていたので、突然声を掛けられたので少々びっくりした。


「う、うん」


ただそれを顔に出さず、冷静に受け止めた。


「私と…私と…」


なにかもじもじと、言いたがっている。


「うん」




「付き合ってください!!!」


彼女は顔をリンゴ色に染め、鬼田に言った。


んーーーーーーーーーーーーー??????????????????


少しばかり、思っていたことと違ったな…


さっき冷静に考えれば告白じみたことだと気づいた。気づいたのだが、

どうしてもそのことから目を背けていた。


そして、てっきり友達になってくださいとでも言われるのかと思っていた。

だが、告白をされた以上、答えは一つだけ。


「ごめんなさい、君とは付き合えません。」


「え…………………………………………………………………」


彼女は、固まったと思えば、涙を浮かべ、そこに座りこんだ。


きっと勇気を振り絞ったのだろう。

フられてとても悲しいんだろう。

だからこそ、断らなければいけなかった。

彼女を幸せにしてあげる自信は…はっきり言ってこれっぽっちもなかった。

幸せにする自信がないのにその場の流れで付き合うほうが、かわいそうだからである。

彼女…いや、園田歌織には、もっといい人に出会ってほしい。

そして、園田歌織がもう二度と自分に関わってほしくないと思った。

こんな悲しい思いをさせる人なのだから…

僕は泣きじゃくる彼女を背になんともいえない罪悪感を感じていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

私、園田歌織は、同じクラスで隣の席の鬼田裕一が好きだ。

彼は私に優しくしてくれるどころか、気遣いがとてもでき、気がつけば私は彼に惹かれていた。

そうだ!今日は勇気をだして告白してみよう!


そう意気込んで、教室の扉の前に立つ。

緊張してるのがばれないように、なるべく平静を装って…


「おっはよー!みんな!」


ふう、いつもの私みたく振る舞えたかな…


みんなからいつも通りの明るい挨拶が返ってきた。


さあ次は、本命の人にあいさつだ!


「おはよー!鬼田さん!」


やっぱり少し緊張してしまったが、それくらい気づかれないだろう!

まあ、うまく平静を装えたと思おう!


「ああ、お、おはよう」


よし!ファーストコンタクトはばっちり!

        ・・・

そしてもう一つ!わざと忘れた課題を見せてもらおう!


「今日、課題提出日だけどやるの忘れちゃった★見せてくれない?」


「わ、わかった」


少し彼から不満気な返事が返ってきたものの、これくらいどうでもいい!


よし!完璧!!




少しして




(8割は写し終わったな…なんだかもったいないな…)


「あの、さ、そろそろホームルーム始まるから、返してくれないかな…」


と、彼に言われた。


だが、どうしても手放したくない私は、少々自分らしくないと思いながらも、彼に言った。


「え、ああ!ごめんね!急ぐからもうちょっと貸してくれないかな?」



もう終わってるけどね!






キーンコーンカーンコーン






(さすがにもう返さないと鬼田君こまっちゃうよね…)

「ごめんね、長く借りちゃって」


うう、寂しーよおおおおお

で、でも、貸してもらえただけラッキーだね!よし!

すると


「いいよ、別に気にしなくて」


と爽やかな笑みを向けられた。


「!!!」


「えっと…どうしたんですか?」


「ぇ…その…」


「大丈夫?」


「ぁ…………………」


やばいやばいやばい!あんな笑顔向けられたらまともに反応なんてできないよぅ…


ま、まあ、とにかく今日、告白するしか…



ない!





***






キーンコーンカーンコーン





あぁ…心臓が、うるさい…

き、緊張かな…?

まさか…そんなこと…


え、ええい!やる!今からやるんだ!


いつまでもモジモジしていたら、何にもならないわよ!


と、内心思いながらも動けない私であった。


「ぁ…」


鬼田くんが帰っちゃう!


待って!


「鬼田さん!!!」


長瀬くん?だったかな

何やらその人と話してるけど…

いや、いい!伝える!ここで!


「あぁぁぁあの!掃除が終わったら、屋上に来てくれませんか?」



固まって…る?



少し間が空いて、彼から返事が来た。



「はい、わかりました。」


と、またもや爽やかな笑みを向けてくる。

動揺を隠すように私は叫んだ


「ありがとうございます!」


思いっきり笑顔を作って。






***





「ごめんなさい、君とは付き合えません。」


「え…………………………………………………………………」


流石に動揺が隠しきれない。


あ…あぁ…

ふ、フられた…

なんで…どうして…

うぅ…



気付けば私は涙を流していた。



「…………っ」



後ろから少し声が聞こえた…


けど、もう何も聞こえなかった。


でも、そんなただ泣きじゃくるばかりの私に、彼は手を差し伸べてくれた。


「こんなとこに放置できないよ。ごめんね。家まで送ってあげようか?

といっても、君の家知らないから、案内してくれると助かるな。」


そんな優しい言葉を掛けられたら…もう…


もう彼の顔すら見れなくなるほど涙が出ているのに優しくしてくれる彼。


やはりどうしようもなく、惹かれてしまった。


すべて力が抜け、彼に身を委ねた。


「わかった…案内するから…つれてって」


きれいな夕日が、火照った体に染みる気持ちがいい風が、少し暗くなった空が。


すべて、魅力的に見えた。


中でも、彼だけは…












           他のなによりも美しかった。





















読んでいただき、ありがとうございました。

すいません、全然サクッと読めるような長さじゃないことに書き終わってきづきました…


好評なら続きを是非書きたいと思います…


初心者なのでいろいろおかしいんですが、すいません。


感想かいてくれるとうれしいです!



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