スリップエージェント
初投稿です。試しに書いてみただけなのでたぶん続きません。
そこは魔法と科学が発展した未来
剣の時代は終わり魔法と科学が3000年の人類の繁栄を支えてきた
しかし、医学においては遅く、宗教的呪術的な治療法が否定され始めたのはつい200年前のことだった。
宗教的な思想の残る医学では到底太刀打ちできない未曾有の危機に瀕していた。
気候変動の頻繁な変化、魔粒子の枯渇、魔獣の突然変異、飢饉、そしてパンデミック。
滅亡を恐れた人間達はあの手この手で生き残ろうとした。
ある人は魔法による結界で邪気を退けようと。
ある人は魔導工学でシェルターを築こうと。
ある人は神に人を救い給えと祈り。
ある人は魔獣の生命力にあやかろうと。
ある人は星外に逃れ新天地にて生きようと。
ある人は人間そのものを変えようと。
ある人は過去を変えることで人類の発展を早めようと。
過去改変を目論む違法組織ー株式会社ヴァルハラーは医学の歴史に介入作戦を実行した。
ーーそのミッションは長く医療の発展を妨げた医学史を覆し正史における500年分の時間を早めることーー
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遡行管理法違反だ!制圧させてもらうぞ!
モニターから騒がしい声が聞こえる
我が会社は襲撃を受けていた。相手は宇宙警察だ。こんなご時世にも真面目なことで。やれやれだぜ。
遡行管理法というのは簡単に言えば民間企業に禁止した長期間転送についての法律だ。しかし行き先は死亡フラグばかりの世の中に置いて過去を変えれば未来が変わると信じている人も少なくない。そうした人達から支援を頂いて依頼の要望が叶うよう任務を遂行するのがうちの会社だ。口外はしないがいくつか実績もある。
「社長、エリア突破されました。もう時間がありません」
「転送には後どのくらいかかる?」
「5分あれば出来ますが、これじゃ転送間に合いませんよ」
「脱出の準備はできてるな?先に乗っててくれ」
「しかし!」
「社員が長期出張なんだ。見送りが必要だろう」
「…わかりました。時間変更はなしですからね。」
「大丈夫。なるべく急ぐさ」
マスターキーでセキュリティを手動に切り替え防衛機構を動かし、敵の動きを誘導する
これで3分程度は持つ、といいな。その間にお掃除ロボットを盾に守らせれば、彼は計画時点に付近にギリギリ辿り着くはずだ。
いや少し手前に下ろしてもいいか。転送中にダメージを受ければ時空の中から出られなくなる最悪な事故だけは避けなければならない。生きたまま送り届けなければならない。そうでなければいけない。なんとしても
防衛壁が破壊される音がする
もう近い
「見送りはここまでのようだ、君の無事を祈る。行ってらっしゃい」
柔和な表情を浮かべて願いながらそう呟いて。ひと息。弾けるように非常口に走る、まずいこっちもギリギリだ
駆け上がった先で後方から爆破音
しかし振り返らない。振り返れない
浮かび上がり出発寸前の船に飛び乗る
「出してくれ!」
「遅いですよ!」
同時に重なる悪態に苦笑する
社長と呼ばれた彼もまたエージェントだった
ーー我々には優先されなければならない掟がある
エージェントはどんな状況においても使命を全うせよーー
ネタとしては医学史って面白そうなんですよね。
紀元前に外科手術やってたり、四体液説とか、囚人600人生きたまま解剖したとか、真偽はどうであれ、興味深いことが今の時代に残るってすごいって思う。古代ギリシャ医学、イスラム医学、アーユルベーダayurveda(〈生命の学問〉)などなど、当時の人たちが考えてきたこと、信じてきたことが垣間見える、そんな物語を読んでみたいそう思ってろくな設定せずに書きたいことだけ書き始めました。
御目汚し失礼しました。