表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/100

9日目

「悪役令嬢ものとかは感情移入がしやすいんじゃないだろうか?」

「先輩が悪役はともかく令嬢というのは無理があるんじゃないでしょうか?」


 失礼だなとプンスカと怒る先輩を見ると、そのリアクションというか仕草がすでに令嬢じゃなくて幼女ですよね、と指摘すると、仕草がさらに悪化しましたね。ある程度高貴なと言いますか、上流階級でありますよという描写ができないと難しそうではあります。まあ、調べればそれっぽく描写ができそうではありますが。


「あれだろ、ふふーん、とか、ハハーンとか言わせればいいんだろ?」

「真剣に令嬢側へ謝罪が必要だと思いますよ?」


 笑い方で身分の高さとかを表すやり口はまあ、ありそうではありますが、普通そのようにする方はいないと思うのですよ。まあ、スタイルといいますか、個性を出そうとして実際にやっている方が皆無かと言われると、意外にいそうではありますが、少なくとも実際の令嬢はそうは言わないと思います。


「ですわよ、とか語尾につければ良いのかな、ですわよ?」

「まさにとってつけていますね、実際にそう話す人いるのでしょうか?」


 記号づけとしては便利ではありそうでありますね。語尾を統一すると誰が喋っているか判別つきやすいという利点はありそうではありますが、リアリティという観点から見ると、不自然さが目立ちませんかね。口調をキャラごとに変えてしまうやり方の延長といえば延長ではありますが。


「ざます、とかにしようか、ざます?」

「実際に喋っているのは演劇とかでしか聞いたことがないような?」


 コミカルになりますよね、ざます。方言の一つであったような覚えがあるわけでございますが、ああ、そのままそうであったようですね、私もよく使う語尾の変形であるようでございます。つまりは、”ございます”が早口っぽくなりまして、”(ご)ざ(い)ます”となったようでございますね。


「なるほどあなたは”ざます”キャラなんだな」

「カテゴリ的にはそうなのでしょうかね?今度から語尾にいたしましょうか?」


 なんか普通に怖い、とはどういう意味でしょうか?特定の語尾を執拗に使用すると妙なこだわりを感じて、狂気味が強調される?それはいつもの言動にも狂気的なものがあるという意味でしょうかね?ふーん?


「そのなんとも表現できない笑顔もやめてくれないか?」

「失礼な。無邪気な感情の発露ですよ?」


 邪気しか感じない、むしろよこしまというには闇がまだ足りないとは失礼な先輩ですね。ああでもこれを暗黒微笑とか書いてしまうと、感性が痛ましいということになるのでしょうね。大元は黒塗りの顔面に白く抜いた笑う口が描かれているような絵でしょうか?こんな感じで。


「漫画的表現では結構よく見るけど現実でそれをやれる人?は少ないよ!」

「科学の進歩とはすごいですね」


 何か違う、とそれは絶対、科学とかじゃなくてオカルトの部類!とか叫んでいますが、光源とか言葉の選択とか、表情の作り方とかで錯覚させることは結構難しくないのですよ?演技のうちです。


「本質だと思う」

「……にっこり」


 その先輩の悲鳴が心地よいという程度にはちょっとお茶目な性質だと、私自身も思うわけであります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ