6日目
「動画投稿者、それも仮想アバターものとかどうだろう?」
「とりあえず流行りにのっておくスタイルですね」
よく考えると、それは流行っているのでしょうか?他のジャンルの創作コンテンツを小説化してしまう不自然さが目立っているような気もしますが。仮想の人格と見た目を持ってして主に映像コンテンツで作品を発表するわけでありまして、それはそのまま視聴した方が楽しめるのではないかなとも思っってしまいます。
「長いじゃないか、視聴時間が」
「愛が足りないのでは?」
確かに、何時間耐久とかされてしまうと付き合いきれないですというような対応にはなりそうではありますが。そもそも映像コンテンツは時間食いですからね、文章読み趣味なら、結構な速度で内容を消化することができますし、ラノベとか速読したら一冊30分もかかりませんし。
「それはあーたが変態的に早いだけですし」
「普通の技術ですよ?それもそれほど際立ってもないです?」
一番早く内容が確認出来るコンテンツは紙媒体の漫画ですね、筋だけを追うならば、コミックス一冊10分もかかりませんし。当然、じっくり読みたいようなものとか、絵を鑑賞したい場合ではない時に限りますが。逆に一枚絵で魅せようとするコンテンツだと、一時間以上見入ったりもしますね。
「美術館コンテンツだと、1日動かない感じだもんな」
「むしろ数日かけて通いたいレベルですね」
芸能界ものとしてみることもできますかね?映像作品ものを文章かする場合には描写がネックになりそうではありますね。歌唱ものを組みわせますと、聞こえない音楽を表現しなければならないので、嘘っぽくなりやすいところが注意が必要なのでありましょうか。
「尊みのある歌詞には自信があるぞ」
「14歳の少年少女が一生懸命格好いい言葉を並べました感の奴ですね」
何か胸に刺さったようなリアクションをしていますね、先輩。大人になった時に見返して悶絶するようなものを書いてしまうのですよね。ええと、実体験ではなくて、一般論ですが。まあ、自分の恥をさらして表現をすることは、クリエイタとしてそれほど珍しいことではないのでは、とは思いますね。
「恥なんだ」
「排泄物に例えた方もいましたね」
役になりきって何かを表現するという点では、仮想現実の仮想人格は便利ですよね。それは本当の自分ではなく、偽物のそれであるということで、恥を回避することができますので、遠慮しなくなるという。匿名性の上手な使い方なのでありましょう。
「あれなんか辛辣?」
「褒めてますよ、技術とか環境とか上手な使い方だなぁ、と」
他意はありません、その仮想の人格もまた中の人のうちであるということも否定しないわけですし。そもそも本当の自分というものも、そのような仮面をかぶって演技していることには違いないのではないですかね、とか、後、複数の人格が一つの脳みそを使っていることは珍しくない、というよりはそっちの方が自然ですよね、とか。
「あれ、何か怖い?」
「大丈夫、怖くない、怖くない」
最後に”いっぱい”先輩が怖い、とか言ってしまうと可笑し味が増しますかね?
奇妙な表情で頭とか首とかをひねったりかしげたりしながら、こちらを覗き見る
先輩が面白いなぁ、と。どっとはらい。