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15日目

「コスプレものとかどうだろう?」

「オタク産業に切り込むのですか、ツッコミが鬱陶しくありませんか?」


 半端な知識で迂闊に飛び込むと、めんどくさい人種に注目されそうで面倒くさそうなイメージがあるのですが、サブカル系の作品は。

 逆に言うならば、現実に沿った取材をしっかりとしたものであれば、受け入れられる余地が大きとも言えそうではありますが。


「変身願望とか、承認欲求とか、そのあたりをテーマにするわけだ」

「現実からの逃避は後ろむきでよろしくないとか言われそうではありますね」


 逃げて何が悪いという反論もありそうではありますが、実際の自分にうんざりして特定のキャラクタになりきることが救いになる人もいるのでしょうね。

 そもそも本当の自分というものでも、そのような仮面をかぶっているのではないでしょうか、という質問に答えが詰まりそうな気がしますね。


「それはまあそうだなぁ、俺も結構このキャラ作っているし」

「ははは、ちょっと何言ってるかわからないですね」


 24時間ぶり二回目のツッコミです。汎用性が高いセリフはデッキに組みやすいですね。それはともかく、仮面であるかもしれませんが、意図して作れるような器用なキャラではないでしょう、先輩は。単純明快に混沌としているだけだと思いますよ、潔いとも言えます。


「いやそれほどでも」

「……褒めてないと言いたいのですが、魅力の一つではあるのですよね」


 二次創作に血道をあげるようなキャラクタは、ああ、頑張っているな、すごいな、こんなに熱中しているものがあるなんて羨ましいな、とか素直な感想を読者から得たりすることができますし、現実から途方もなく乖離しているわけでなく、なんとすれば自分もそうできるかもという共感を生み出すこともできますね。


「まあ、本格的にやろうと思うと準備とか大変みたいだがな」

「適当にダンボールにキャラ名を書いてかぶって完成!とかも過去にあったようですが」


 実際のところ用意していた衣装が手違いで手元に届かず、やけくそっぽい思考の流れで、ああなった様子が、たまたま目立って、ミームにまでなった、らしいのですが。ともあれ、そのあたりの本格的ではなくとも、導入部分を丁寧に紹介する作品にすることで、実用性を増すやり口はありますね。


「狙ってやったんじゃないのあの、ダンボール」

「いや、あれを素の勢いでやったら、ただの変態ではありませんかね?」


 そういう奴らばかりであるという風評被害につながりかねないわけでありますが、受け入れたということは、懐が深いのでありましょうかね?サブカル界隈のといいますか、世間の。


「といういうことは、真面目にあのファッションをはやらせようとする物語なら意表がつけるか?」

「そういう”わかっていない”ところが反感を買うのでは?」


 目立っている面だけを強調することは、その文化を馬鹿にしたり揶揄することにつながりかねない、場合がありますよと、指摘したところで今日は帰りましょう。

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