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11日目

「幼馴染しか”かたん”物語とかどうだ」

「てーてー、とか呼ばせるお話ですね、良いのでは?」


 恋愛ものはどの時代でも一定数の需要が見込まれるものでありますし、その中で時間をかけて紡ぎあげられてきた関係をしっとりと描写するやり口は、これはもう手法が確立しているまでありますからね。友情ものとして押せば性別もあまり気にしなくて良いですし。


「同性でも恋愛は成立するぞ?」

「それはそうですね」


 そもそも結構適当な認識になってきているわけでございますし、今更、性別にこだわる必要は薄いわけでございます。夢を見させるために美形とか可愛いとか容姿にはある程度こだわった方が良いかもしれませんが、これもまた好みが千差万別でありますね。だからこその関係性に注目するわけでありますけれども。


「恋愛もので幼馴染は不利で不憫で不便な役所とされることが多いからな、あえて逆を行くわけだ」

「小さな胸を一生懸命張って悦に浸っているところ、すいませんが、結構その手のひっくり返しもメジャになっていますよ?」


 前提として幼馴染との恋愛が上手くいかないことを、共通認識にしておいて、どうなるのであろうかと、展開を読ませないようにすることで、読者をひきつけるやり口は未だ健在だとは思います。けれども必ず幼馴染ポジが負けてしまうということはやはりすでにないわけで。


「時代が私に追いついてきたな」

「むしろ逆なんですよね」


 そもそも恋愛もので誰が誰とそれを成し遂げるのかという点を最初に明言してしまったような作品は、推理小説で前書きに犯人がしっかり判明しているようなものであるのではないでしょうかね?ちょっと娯楽として楽しむにはハードルが高いような気がいたします。


「犯人って最初にわかってないと安心して読めなくない?だからわしは最後から読むぞ」

「よしそこに正座しろ、夜まで説教コースだ」


 まあ、あらかじめ犯人がわかっている段階で、どうやって作中の探偵役がたどり着くのであろうかという、知恵比べてきな作品も少なくないわけではありますが、作者が意図的に隠しているなら、それに従った方が面白く読めると思うわけでありますよ。まあ、他の人にネタバレしないのであれば、実はどう読んでも自由じゃないかなと、とも思いますけど。


「ならいいじゃん!?」

「あなたは口が軽いので、うっかり喋りそうで嫌なのです」


 その場合多大な被害を受けるのは私なので。自衛のための説教ですね。

 ある意味連来もので誰がくっつくのかを明言してから書き始めることは、推理物犯人が最初から分かっていてどうやってそれを探偵が追い詰めるのか、のやり口に近いのであろうかなと。違い意味でのドキドキが楽しめそうではあります。


 最後に読者の意表をついて、やっぱりくっつかないとかやると炎上しそうではありますが……それはそれでありなのでしょうかね?

 しっかりと本は最初のページから読んで順に読み進めましょうね、と先輩をしつけながら、早めに落ちる日を感じている今日この頃です。

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