10日目
「空想科学小説とかどうだろう?」
「素直にSFといえばよろしいのでは?」
Science Fiction というジャンルの略号でありますけれども、これは結構分類をどうするのかが議論されている分野でございまして、のちにそう言われるならばそれはそうであるとか、なんとかのたまわってくださったかがが、個人的には一番しっくりするわけございます。
「異星人が攻めてきた話がSFなんでしょう?」
「認識が狭くないですか?」
もちろん間違いではないわけでありまして、自身が住まう惑星の主星を公転している多の惑星に、知的生命体、それも自文明より高度なそれが居住していて、何らかの理由でこちらがわに攻めてくるとかは、結構古典的なSFとして有名になったようでありまして。
「宇宙人が攻めてきたぞー、って公共の電波に乗せたらみんな信じたって、ま?」
「有名なエピソードですね。ノンフィクション風ラジオドラマだったそうですよ?」
都市伝説ですが。実際にはありそうでなかった嘘だったそうですね。当時の役者周り、映像関係者周りが面白がって話題を盛ったというところが真相らしいですが、エピソードとしては良くできていましたので、結構いろいろと後に、オマージュが発生したそうでございますよ。
「そうなんだな、まあ、ぽりこれも緩かった時代だったろうしな」
「人種差別的であるというジョークが生まれたきっかけではありますね」
異星人であるから、宇宙人であるから、敵対的な存在として描いても良いのかという論調は、冗談交じりであった最初の段階から、徐々に真面目なテーマになっていったという経緯がございますからね。この場合はどこまでが人であるのかと合わせて、人権問題が絡んでくるわけでございますが。
「人工知能問題とかあるよな」
「まさにSF的な物語テーマとして鉄板ではないでしょうか?」
ある意味古いテーマではあるものの、新旧を語るならば、それこそ大昔、物語文化の黎明期であるような神話もSFであるのではという、意見がございますし、古いからと云って語られることを忌避されるようなものではないと思います。むしろ常に語るべき分野ではないかなと、SFというジャンルは、私はそう思います。
「まあ、お話の世界を現実に持ってきてどうするだという気もする」
「配慮ばかりでつまらない作品となると娯楽として本末転倒ではありますね」
ゾーニングと言いますか、領域分けが必要なのでありましょうね、これは別に物語だけの話ではなく、文化的なそれであるかなと。ただ最初にこのような恐れがありますとか、このような表現がありますとか、述べてしまうと、ネタが割れてしまって面白くない、とか、効果が半減してしまうものもある分けでございまして、難しいですね。
「虚構に、フィクションに、文句を言うなよな、と最初に言っとけばいいんじゃないか?」
「文句を言いたい人は、どのようにしても突っ込んできますから、難しいでしょうね」
利権が絡んでくると、なおさらでありましょうね。
そのように返しますと、先輩は、どう表現しても不謹慎だと言われるなら、いっそ振り切ってみるのもありかな、などと不穏当な発言をつぶやいて、頭やら首をひねったりかしげたりするのでありました。




