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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

アカズキン

作者: 田上 祐司

 とある小さな家におばあちゃんと白い頭巾の少女が住んでいました。

 さほど裕福な暮らしではありませんでしたが優しいおばあちゃんと一緒なら、少女は辛くありません。


 「毛糸を買ってきておくれ。針は要らないよ。赤い毛糸を買ってきておくれ」


 ある時おばあちゃんにお使いを頼まれ、少女は毛糸を買いに出かけました。






 「ありがとうおじさん」


 町に出た少女は毛糸を買って家に帰ります。

 

 「気を付けて帰るんだよ。狼がでるからね」


 優しいおじさんが帰り際に言ってくれました。

 

 「うん?」


 家の前まで来ると何かがおかしいことに気付きました。


 (ドアが壊されてる…)


 ドアノブと鍵が壊されていました。

 嫌な予感がして、少女がそのままドアを開けると……


 「あ……」


 目の前に広がる光景に思わず息を飲みました。

 おばあちゃんが倒れ、そのそばでは狼の被り物をした男の人がおばあちゃんの持っていた宝石をいくつか握りしめているではありませんか。


 「おばあちゃん!?おばあちゃんッ!」


 少女はあわてて駆け寄り、肩を揺さぶってみますが返事もなければ息をしているようにも見えません。

 完全に…事切れていました。


 「ッチ…」


 男の人は少女とおばあちゃんを置いて、家の近くにある山の中に姿を消しました。






 「おばあちゃん…私、どうすればいいかな?」


 「…………………」


 二人きりになり、少女はおばあちゃんに話しかけてみます。

 ですが当然、反応はありません。

 そしてそのまま暫くすると、おばあちゃんが言っていた事を思い出します。


 『狼には銀の弾丸を、そして弔いには花束を』


 「……そうだね、おばあちゃん。悪い狼にはおしおきしないとね」


 棚の奥底、そこにはおばあちゃんが御守り替わりにしていた拳銃が。

 そして隣には銀の弾丸がありました。

 少女は弾丸を拳銃に詰め、家にある一番酒精の強いお酒を5つの瓶に分けて布を詰め花束替わりにバスケットに入れて持って行きます。

 狼が逃げていった森の中へ…






 「悪い子どこだ、首を切れ。良い子はどこだ、鳥を撃て」


 枯れ木をかき分け、草で肌に傷を付け、森の中を歌いながら暫く歩くいていくと小さな小屋がありました。


 「あの狼だ…」


 少女はマッチでお酒に火をつけて、窓から投げ込みました。

 たちまち火の手があがり、狼は喚き散らしながら外へ出てきます。

 そこにすかさず酒瓶を投げつけ…


 「…ッ!?……!!」


 火だるまになりながら何か喋っていますが、少女の耳には不快な雑音にしか聞こえませんでした。

 そして次は家を出る前に持ってきたおばあちゃんが使っていた鉈の出番です。


 「ウァッ!!アアッ!」


 かなり近くで鉈を振るったせいで返り血まみれ、ですが気にせず次の物。


 「狼には銀の弾丸を。そして弔いには花束を…」


 お次は銀の弾丸。

 けれど狼は火だるま血だるまになりながらまた逃げてしまいました。


 「やっぱり悪い子…」


 




 「ひ、ヒィッ!助けてくれ!!返す!返すから!!」


 気付けば辺り一面火の手が回ってまっかっか。

 逃げ場無くした狼は怯えているようにも見えます。

 追い詰められた狼は必死に何か喋っているようですが彼女にその声は届きません。

 そして懐から取り出した拳銃を狼の眉間に合わせ…


「バーン」


 そんな声と共に引き金を引きました。

何度も何度も、彼女の頭巾が返り血で真っ赤になるまで、銀の弾丸がなくなるまで…

 やがて弾がなくなりぴくりとも狼が動かなくなると拳銃を捨て、彼女は空に向かって笑いました。

 炎で赤く染まる森の中で少女は炎に包まれながら、いつまでもいつまでも彼女の乾いた笑いが木霊していました。




めでたしめでたし

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