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一太刀につき金貨一枚 ~守銭奴の剣聖は勇者パーティーを追放されたので気ままに生きることにした~  作者: 結城 からく


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第88話 崩剣の本領

 魔力の伝達に合わせて、崩剣の震えが大きくなる。

 もはや危険な領域に達しようとしていた。

 柄が微かに軋んでいる。


 いち早く気づいたナイアが困惑気味の思念を飛ばす。


『リ、リゼン? これは少々過剰な気がするぞ』


「全力と言ったのはナイアさんでしょう。私は遠慮しませんよ」


『それにしてもこれはやりすぎじゃが……』


 ナイアが控えめに意見するが、決して過剰などではない。

 私が狙うのは大陸全土から押し寄せる飛行船すべてだ。

 感知範囲を広げるほどにその規模が窺える。


 彼らを放っておくわけにはいかない。

 万が一にも私達の飛行船を撃墜されると困るのだ。

 後々の後悔を断つためにも、ここで徹底的に破壊しておくべきだった。


(ナイアさんがいてくれて助かりました。自前の剣術でもやれないことはないですが、崩剣の力を使う方が確実ですからね)


 刃の輝きが最高潮に達する。

 その瞬間、私は崩剣を一閃させた。

 さらに翻すように振い、また別の角度で払い斬る。

 徐々に加速させて縦横無尽に振るいまくる。


 崩剣の力が宿る斬撃は、音もなく空間を突き抜けた。

 彼方に浮かぶ飛行船を両断し、弾みで大爆発を引き起こさせる。

 それによって地上の施設に夥しい被害が出た。

 爆風に乗って崩剣の魔力吸収が蔓延し、技術力に優れた魔導国の軍隊を次々と骨抜きにしていく。


 そのようなことが大陸全土で連鎖的に発生した。

 当然ながら目視可能な距離ではない。

 しかし感知魔術を研ぎ澄ませれば、視覚以上の精度で状況を確かめることができる。


 数百の斬撃を飛ばし終えた私は剣を下げて待機する。

 あまりやり過ぎると砂漠の大陸そのものが崩壊してしまう恐れがあった。

 それどころか周囲の海にも影響を及ぼしかねず、別の大陸でも被害が出る。

 さすがにそこまでは望んでいないので加減は必須だった。


 やがて捕捉していた飛行船の反応が一つ残らず消失する。

 無事に破壊することができたらしい。


 私はそばで呆気に取られていた看守長に告げる。


「さて、無事に一掃できましたね。崩剣の力で大陸全体の魔力を乱しました。監獄は避けたので、防衛に徹していればまず負けないと思いますよ」


「……感謝する」


 看守長はそれだけ言うと、部下を連れて早足で監獄へと戻る。

 地上から裏切り者の監獄陣営を狙う者達がいるかもしれないので、防衛体制は敷いておくべきだろう。

 まあ、これだけ圧倒的な力を誇示したのだから、報復を目論む者はいないはずだ。


 私は飛行船に乗り込む。

 この付近には斬撃の影響が出ないように調整してあるため、移動には何の支障もない。

 凍り付く勇者パーティーを前に、私は朗々と語る。


「それでは今度こそ出発しましょう。魔導国を崩壊させますよ」

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― 新着の感想 ―
[良い点] ナイアちゃんよかったね!
[良い点] 本当に規格外wwww
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