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第64話 幽閉施設

 私は数日ほど移動をする。

 不定期に現れる魔導国の軍隊や、彼らの施設を粉砕しながら突き進んだ。

 やがて砂漠の只中に佇む鋼鉄の牢獄の発見する。


 外観は無骨な箱型で、内部のあらゆる反応が遮断されている。

 途中で尋問した兵士から得た情報とも合致しているので、ここに勇者パーティーが閉じ込められているようだ。


 意識を集中させると、微弱ながら彼らの魔力を感じる。

 地下深くに幽閉されているらしい。

 内部に侵入して向かう必要があった。


「さて、助けに行きましょうか」


 意気込む私は背後を見やる。

 そこには靄の身体で大量の魔術兵器を引っ張るナイアの姿があった。

 戦闘面で彼女の力を借りる気はないが、荷物持ちにするのは便利ではないかと閃いたのだ。

 以来、鹵獲した魔術兵器をナイアに運ばせている。


 どれが勇者パーティーの役に立つか分からないが、少なくとも竜機鎧辺りは有用だろう。

 安全な脱出には彼らの自衛力も求められる。

 これらの平気で身を守ってほしいと思う。


『吾は伝説の崩剣じゃぞ? このような扱いは不当じゃと思うが……』


「私が持ち主なのですから、どう使おうと自由でしょう。適材適所で手伝ってもらっているだけです」


 別に私が荷物持ちを担当しても困らないものの、退屈そうなナイアに仕事を割り振ってみようと考えたのだ。

 さすがにずっと同行しているだけでは彼女もつまらないだろう。


 とは言え、戦闘面での補助は不要である。

 私一人で事足りている上、そもそも強力な武器は好まない。

 互いの主張からすり合わせをした結果、現在の形に落ち着いたのだった。


 私とナイアは牢獄へと歩いていく。

 入口と思われる門の前には、大量の軍隊が待ち構えていた。

 多種多様な兵器を設置して万全な迎撃態勢を築き上げている。


 しかし不思議と仕掛けてこない。

 経験上、既に彼らの射程内に踏み込んでいるはずだ。

 引き付けるにしても不自然である。


 ナイアも同様の疑問を抱いたのだろう。

 彼女は首を傾げながら呟いた。


『どうしたのじゃろうな』


「ここまでの被害で怖気づいたのですかね。或いは命令系統が麻痺しているのでしょうか」


 私がこの大陸で与えた損害は甚大だった。

 決して無視できない規模である。

 迎撃態勢を敷きながらも、迂闊に動けなくなったのかもしれない。


 ここでもし手を出せば、返り討ちにされるのは目に見えている。

 彼らの心境は絶望に満ちているに違いない。

 それでも逃げ出さないのは、ここが閉鎖された砂漠の大陸であるためだ。

 臆病風に吹かれたところで安全な場所に駆け込めるわけではない。

 変異した魔物の餌になるのが関の山だろう。

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[良い点] >「さて、助けに行きましょうか」 >意気込む私は背後を見やる。 >そこには靄の身体で大量の魔術兵器を引っ張るナイアの姿があった。 >戦闘面で彼女の力を借りる気はないが、荷物持ちにするのは便…
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