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第58話 崩剣の力

 魔導国の部隊を戦う間、私は違和感を覚えていた。

 それは携帯する崩剣ナイアに対してである。

 元より強力な武器だが、戦闘を経るごとに性能が上がっている気がした。


 誓ってもいいが、私は崩剣を使用していない。

 装備にはこだわらず、凡庸な物で済ませるのが私の流儀だった。

 話し相手として役立ってもらっているものの、それ以外の運用は行っていない。


 ただ、実際に崩剣の内包する力の規模は大きくなる一方であった。

 今や腰に吊るしているだけで無視できないほどの存在感を訴えてくる。

 爆発しそうな危うささえ感じるほどだ。

 別に抑え込むことはできるだろうが、呑気に持ち歩くのも憚られる。


 さすがに気になった私は、そのことについてナイアに尋ねる。

 するとナイアは隠すことなく教えてくれた。


『力が高まっているのは、高濃度の魔力を取り込み続けているからじゃな。汚染されたこの地はとても心地よいのじゃ』


「魔力吸収の効果は常に発動するのですね」


『うむ。周囲の魔力濃度に比例して影響力が大きくなる。吾は絶好調じゃぞ。試しに使ってみてもよいが』


「魅力的な提案ですが遠慮しておきます」


 崩剣ナイアは、周囲の魔力を己のもとに変換する特性を持つ。

 砂漠の大陸のような異常環境において、最大効果を発揮するのだ。

 ちょうど変異した魔物に近い反応である。

 人体に害が出かねないほどの濃度の魔力も、崩剣にとっては良質な燃料になるらしい。


 ちなみに私は、上陸前から身体強化で肉体を保護していた。

 無策で散策すれば、半日と持たずに何らかの不調に陥る。

 ここは人間にとって有害な地なのだ。


 魔導国の面々も専用の道具で身体を保護していた。

 おそらくは各施設も同様に魔力濃度を調整しているはずだ。

 そうして蓄積した魔力を兵器の動力源に転用しているのかもしれない。


 人体に適した環境を作りつつ、必須の燃料を半永久的に確保する。

 その仕組みは実に合理的と言えよう。


 もっとも、私は魔術師ではない。

 詳しい構造は不明だ。

 後ほど魔導国の人間を捕まえて、その辺りの情報を仕入れるべきか。

 相手の戦力把握に加えて、今後の対策になる。

 新たな剣技を開発する糸口になる可能性もあるだろう。


 私はまだ発展途上だ。

 様々な分野の技術や知識を応用して強くなるつもりだ。

 せっかく古代の魔術を復活してくれたのだから、その恩恵を私も戴こうと思う。

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