表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/122

第54話 迎撃戦

 私はそのまま直進する。

 艦隊が散発的に光線を放つも、やはり私を止めるだけの力はなかった。

 絶大な威力ではあるが対処は容易だ。

 たとえ絶不調だろうと問題なく切り抜けられるはずである。


 軽快に捌いていると、光線は飛んでこなくなった。

 艦隊に蓄積された魔力が枯渇しかけているのだろう。

 すぐに仕留められると考えて、光線を無計画に使ってしまったのが原因だ。


 私は徐々に距離を縮めながら微笑する。


(最大出力での連射は想定していないようですね)


 かつての魔術兵器は、確かに凄まじい性能だ。

 しかし、使い方を誤ると十全な働きができない。

 迎撃に使われた艦隊は、本来は大規模戦力を破壊するために使用される類だろう。

 対個人を想定した兵器ではなさそうだった。

 もしかするとそういった用途の機能や、別の兵器も存在するのかもしれないが、艦隊を操る者達が判断を間違えたのは確実である。


 海上を駆けるうちに砂漠の大陸とかなり近付いてきた。

 居並ぶ艦隊の様子も細かいところまで分かってくる。

 軍人らしき者達が叫んで指示を飛ばしているのが見えた。

 彼らは大いに慌てているらしい。


 私は喜色を隠さずに呟く。


「さて、次はこちらから反撃しましょう」


『今度こそ吾を使え! あんな兵器など一発で吹き飛ばせるぞ!』


「生憎ですが、ナイアさんに頼らずとも可能なのですよ」


 私は優雅に返すと、自前の剣に魔力を込めた。

 今回は実質的に斬り放題だ。

 攻撃回数の制限もなく、余計な工夫をする必要もない。


 ――だから、ただひたすらに、剣を高速で振るい続ける。


 前方へと放たれた斬撃の嵐は、海を削ぎながら拡散していった。

 やがて荒れ狂う波を伴って艦隊全体へと炸裂する。


 側面から一刀両断された艦隊は、底部が分離して次々と転覆した。

 或いは船体が斜めに割れて、断面図を晒しながら沈む。

 何らかの重要機関が破壊されたのか、大爆発を起こす船もあった。

 その爆発が味方の船を粉砕して、さらに被害が膨らんでいく。


『なっ……』


 ナイアが言葉を失っていた。

 その間に私は、崩壊する艦隊の間を駆け抜ける。

 ここから彼らが復帰するのは不可能だろう。


「よし、ひとまず殲滅できましたね。今の内に上陸しましょう」


『……もう何も言わぬ。好きにするがよい』


 ナイアは考えることを放棄していた。

もし『面白かった』『続きが気になる』と思っていただけましたら、下記の評価ボタンを押して応援してもらえますと嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ