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一太刀につき金貨一枚 ~守銭奴の剣聖は勇者パーティーを追放されたので気ままに生きることにした~  作者: 結城 からく


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第52話 砂漠の大陸

 翌日の夕方頃。

 波打つ海面をひたすら疾走していると、彼方に砂漠の大陸が見えてきた。

 戦争の果てに捨てられた土地だ。


 現在は魔物が跋扈し、謎の組織の拠点となっている。

 過去の魔術兵器が掘り起こされているそうだ。

 悪事を目論んでいるのは言うまでもない。


(勇者パーティーでも太刀打ちできないとなると、それなりの性能なのでしょうね)


 思念が途切れる前、シアレスから魔術兵器に関する話を聞いた。

 曰く、現代の魔術が陳腐に思えるほどに強力らしい。

 当時は技術的な革新の箍が外れて、誰にも抑制できない状態だったそうだ。

 その中心が砂漠の大陸である。


 度重なる戦争が様々な兵器を生み出して、すぐさま実戦に投入されていたという。

 環境汚染が取り返しのつかない領域にまで進み、すべての国が滅ぶまで殺し合いは続いたそうだ。

 なんとも愚かだと思うが、ある意味では人間の本質かもしれない。


 かつての魔術兵器は、現代にはほとんど引き継がれていなかった。

 シアレスによると、その時代の勇者が破壊工作と記憶処理を徹底することで、進みすぎた文明を帳消しにしたらしい。

 若い頃に魔王を殺した勇者は、寿命で死ぬまで世界の安寧のために奔走したそうだ。


 その間にいくつもの悲劇が引き起こされたものの、結果的に勇者は魔術兵器を根絶に近い段階まで追い込んだ。

 勇者の行動が魔術の歴史に空白を刻み、過剰な進歩を巻き戻した。

 捉え方によっては、世界を二度救ったと言えよう。


(さすがは勇者ですね。私では足元にも及ばない偉業です)


 ちなみにナイアにも当時について訊いてみたが、よく憶えていないという答えが返ってきた。

 何も考えず、ただひたすら殺戮の道具として酷使されていた時期らしい。

 ただ、ナイア自身も楽しんでいたそうで、特に悪い思い出ではないそうだ。

 世間の情勢も気にせず、気の赴くままに虐殺を満喫していたという。


「ちなみに当時の持ち主はどうなったのですか?」


『戦場で木端微塵になって死んだな! 腕は良かったが、全裸で戦うのはさすがに無謀すぎじゃな』


「それは無謀以前の問題では」


『うむ。吾もそう思う』


 その後、紆余曲折を経て過去の勇者パーティーに拾われたそうだ。

 勇者にはシアレスがいたので、代わりに戦士の愛剣になった。

 ただし使い手が変わってもナイアの気質は変わらず、何も考えずに暴れることばかりだったという。


 余談だが、同じ人格を持つ武器でありながら、シアレスとナイアの仲は悪い。

 普段からたびたび喧嘩していたらしい。


『顔を合わせるのは何百年ぶりじゃろうな。少しは大人になっているとよいが……』


 ナイアが大げさに嘆く。

 そもそも剣には顔など存在しないのではないか。

 少し指摘したくなったものの、無粋だと思って口を閉ざした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! ……なんかそこはかとなく、 リゼンとナイアの掛け合い漫才になってる感が。w [一言] 続きも楽しみにしています!
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