表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/122

第51話 莫大な報酬

 私は祠を出る。

 呪文で再び唱えて、地下の遺産への階段を閉じた。

 これで第三者に無断で盗まれる心配はないだろう。


 欲しい物は手に入れた。

 それだけで金貨数千枚……いや、数万枚の価値はある。

 唯一無二の宝物を頂戴したのだ。

 あとは喜び勇んでシアレスの依頼を遂行しなければならない。

 それが今回の契約だ。


 軽やかに移動する私の腰には崩剣が吊るしてあった。

 結局、私が報酬として持ち出したのはこの剣のみだった。

 稀少性で言えば申し分ないだろう。


 明確な自我を宿す魔術武器はそう見つかる代物ではない。

 高性能な武器を使う主義ではないものの、記念に持っておくのは面白いと思った。

 退屈な時の話し相手にもなる。

 ナイアは実質的に不老不死なので、様々な知識を持っているはずだ。

 生き字引のような扱いができると考えた場合、存外に悪くなかった。


 それにしても、当初考えていた設定額から大きく離れてしまったのは失敗である。

 こればかりはシアレスに謝るしかない。

 まさか喋る剣が見つかるとは思わなかったのだ。


 まあ、貰いすぎた分だけ働けば問題ない。

 そもそも具体的な価格設定は聞いていないのだから、これくらいの暴挙には目を瞑ってもらう所存であった。

 無論、崩剣に見合う結果を出すつもりだ。


 依頼主のシアレスが望むのなら、神でも何でも斬り伏せてみせよう。

 現状、かなり余分に報酬を受け取っている状態だ。

 どんな無理難題でも完璧にこなす覚悟である。


(愉快な契約ですねぇ。腕が鳴るというものです)


 私は身体強化で際限なく加速する。

 そのままの勢いで半日ほど進み、やがて見えてきた海に飛び込むと、水面を蹴って引き続き疾走した。

 脚が沈む前に次の一歩を運ぶ。

 それを高速で繰り返すだけである。


 身体強化を極めるとこういった芸当も可能になる。

 空中を自由に跳んで、立体的な戦闘を行うことだってできる。

 身体強化の根源は魔力操作だ。

 それは単純ながら奥が深い。

 あらゆる行動に応用が利く上、技術を磨くほどに成果が高まっていく。

 実に面白い分野だと個人的には思っている。


 私はこのまま砂漠の大陸へと直進するつもりだ。

 本当は船でのんびりと向かう予定だったが、報酬の多さを考えると悠長に移動するのは不義理だろう。

 迅速な行動も義務のうちだ。

 さっさと上陸して事態を解決しようではないか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! >崩剣 >それだけで金貨数千枚……いや、数万枚の価値はある。 >唯一無二の宝物を頂戴したのだ。 ことによると億の単位に届くかも。 シアレスが知ったらたまげ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ