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第14話 沸き上がる闘志

 シアレスが怒涛の連撃を仕掛けてくる。

 聖剣の化身としての誇りに傷が付いて怒り狂っているようだ。

 猛攻の中で多種多様な剣技を織り交ぜて命を狙ってくる。


 反撃を警戒して防御に回られたくなかったので挑発したが、その甲斐はあったらしい。

 激情に駆られているせいか、地形が変わりかねないほどの威力が聖剣に込められていた。


 しかし、私の防御を打ち崩せるほどではない。

 変幻自在の刃の挙動は、予測できる範疇にある。


(だいたい八割くらいは把握しましたかね)


 ここまで無駄に防御していたわけではない。

 シアレスの扱う剣技を理解し、それぞれの特徴を掴んで動きの予測に利用している。

 戦いが始まった当初はやや難儀したが、今ではかなり楽になってきた。


 シアレスの使う剣技は、見た目よりも限定されている。

 本人が意図して使い分ける以上、そこで特徴が出てきてしまうのだ。

 歴代勇者にも得意な技があり、シアレスはそれらを抜粋している。

 長所ばかりを集めて最強の剣技にしようとした結果、新たな弱点が生まれていた。


(愚かですね。強みばかりを集めれば良いわけもないでしょうに)


 私は憐みながら反撃に移る。

 すくい上げるような一閃を隙間に打ち込んだ。


「残り五回」


 シアレスはなんとか防ぐも、無理な体勢から流派を切り替えたせいでよろめく。


 私はそこに追撃の突きを放った。

 切っ先がシアレスの膝に穴を開けて、非物質の身体を損傷させる。


「残り四回」


 呟きながら私は踏み込む。

 シアレスは焦りながらも振り下ろしを強行した。

 即死しかねない一撃に対して、私は真っ向からの斬撃で応じてみせる。


 互いの刃がかち合う。

 一瞬の拮抗を経て勝ったのは私の剣だった。


 真上に打ち上がった聖剣をよそに、高速の三連突きを披露する。

 シアレスの両手と片脚を穿ち、転倒したところで刃を突き付けた。

 遅れて落下してきた聖剣が地面に刺さる。


 静寂の中、私は普段通りの口調で告げる。


「これで契約完了ですね」


 笑顔と共にシアレスの首を貫く。

 すると靄の身体が薄れて消えた。

 それと同時に地面が蠢き、艶のない漆黒の宝玉が顔を出す。


 どうやらこれが闇の秘宝らしい。

 化身であるシアレスを倒したことで封印が解かれたのだろう。

 私は秘宝を手に取ると、腰を抜かした長老に微笑んでみせる。

 白目を剥いた長老は、泡を噴いて気を失った。

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