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紅色

挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


紅色



鮮やかな紅。

読み方は、紅色(べにいろ)(くれない)

紅花の花弁を干し、黄の色素を除いて紅色だけで染めた色。鮮やかな赤で、わずかに紫みによっています。

紅花は、エチオピアからエジプトあたりが原産地のキク科カルタムス属の一年草。属名はアラビア語のqurtonに由来。意味は染める、です。

エジプト古代王朝の新王国アメンホテプ一世のミイラにはこの花が添えられています。

さらに末期王朝時代のサッカーラーの遺蹟からは、紅花とそれを精製した口紅が発掘されています。

やがてシルクロードの交流が盛んになるにつれ、紅花も東へと運ばれて、紀元前二、三百年頃には中国の西方で勢力を張っていた匈奴(きょうど)にもたらされたといわれます。

日本は5世紀から6世紀頃まで、呉の国との交流も盛んでした。

紅花が日本に渡来したのが5世紀とされ、中国では紅藍とよびました。紅は赤、藍は青ですが、もっとも親しみやすく代表的な染料だったから、藍は染料の総称ともなっていました。したがって紅藍は紅花の染料のことで、当時の日本人は呉の国から渡来した染料ということで呉藍(くれあい)と発音し、それが「くれない」へと転訛したのです。古くは「へに」ともいったとのこと。近世では「べに」が通称になりました。

そして中国の大唐帝国が日本の文化に強い影響をもつようになった奈良から平安時代にかけて、紅の文字の上に「唐」あるいは「韓」を冠して唐紅、韓紅といわれるようになります。

紅花は非常に高価で、個人にとっては破産的な贅沢品でした。

しかし平安時代の憧れの色なので、身分不相応に衣服を染める人が後を絶たず、社会問題にまでなりました。そのため身分による使用制限ができ、967年から969年には禁色(位階(いかい)によって衣服への使用が禁じられた色)となります。

紅花から染めた色を本紅(ほんべに)と強調し、蘇芳や茜などで染めた似紅(にせべに)と区別しました。

紅色のほかに、真紅(しんく)深紅(しんく)などと称しました。

紅花の色素は染料とするほか、絵の具、口紅や頬紅などの化粧料としても珍重されました。染料には薬効も期待され、皮膚病や循環器疾患などから肌を守る効果も信じられていたらしいです。

赤い色自体が好まれていたから、高価な紅花の代わりに似紅や紛紅(まがいべに)が工夫され、江戸時代には流行しました。

文学では、紅は美しさや恋しさなどの秘めた思い、はかない感情を託した表現に使いました。

また紅花は、花(茎の末)を摘み取って染料とするため、末摘花ともよばれます。

Webカラーは、#bd1e48。


色言葉は、開放的、単純明快、表現。


紅は鮮やかな赤なので、開放的なイメージがありますね。単純明快は、意外です。歴史がある色で、禁色にもなったし、単純明快とはいかないような……。混じりけのない赤が、単純明快さをイメージさせたのでしょうか。表現は、紅色にピッタリですね。小説にも多く登場しています。


小説は以下です。

『雪中梅』

「紅色の墨汁(インキ)あり」


『浮雲』

「微笑が口頭に浮かび出て、頬さへいつしか(べに)()す」


『小公子』

「其静かな顔には、ぽっと紅色がさして居て」


『坊ちゃん』

「此手拭が湯に染った上へ、赤い縞が流れ出したので一寸見ると紅色に見える」


『婦系図』

「当時、女学校の廊下を、紅色の緒のたった、襲裏(かさねうら)の上穿草履で」


紅花の花言葉は、化粧、装い、包容力。


化粧、装いは、紅花から抽出した天然色素が口紅や染料につかわれたことにちなむとのことです。包容力は、紅色が女性的だからでしょうか。キャラクターだと、オシャレやお化粧を楽しむ女性のイメージが思い浮かびます。

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