若紫
若紫
明るい紅紫。
紫の美称。
江戸時代元禄期には、若向きの明るい紫の色名になっていたそうです。
色名ではありませんが、『源氏物語』の若紫の巻で、源氏が10歳ばかりの女の子(後の紫の上)を見出す話があります。
Webカラーは、#bc64a4。
色言葉は、想像力、敬慕、直感力。
色名が若紫なので、色言葉も全部紫の上に当てはめてイメージしててしまいます。想像力は、なんといっても紫式部。源氏物語の想像力は、すごすぎます。登場人物に身につけさせる衣の色は、その人柄や今後の行く末などを暗示しています。色彩感覚が抜群だったのでしょうね。
敬慕は、紫の上が光源氏に対して持っていた気持ちをイメージさせます。
直感力も、紫の上を思わせます。衣配りのシーンのときに、まだ会ったことのない源氏が見初めた姫君たちの人柄を、色だけで当てていきます。
小説で若紫といえば、どうしても源氏物語をイメージしててしまいます。小説で若紫を使ったものはないか調べたのですが、やはり源氏物語が多く出てきました。しかも、色名ではなく人物名として。
若紫とは、源氏物語のヒロイン紫の上の幼少期の名前です。小さい頃から可愛らしく、無邪気で、特に光源氏が想っていた人の顔に似ていることから、源氏の気を引きます。10歳くらいで源氏に引き取られ、理想の女性とするため育てられていきます。
色名の若紫は、そんな若い時の紫の上をどうしてもイメージさせます。また、紫の上は悲劇のヒロイン。長く光源氏と連れ添ってきたのに、源氏はやむにやまれぬ事情とはいえ、皇族の姫を正式の妻とします。どんなに悲しかったでしょう。色名の若紫は、そんな未来も暗示させる色に感じます。
ちなみに若紫が色名になって登場するのは、江戸時代から。
浄瑠璃『心中天網島』には、「野郎帽子は若紫」という一節があります。中剃りをした頭を野郎頭といい、それに被る紫縮緬の帽子のようなものを野郎帽子といいました。その縮緬帽子の色が若紫だったとのこと。
若紫を染めるために使われたのは、ムラサキソウ。
ムラサキソウといっても、花は白いです。とても清楚な感じを受ける、かわいい花です。直径は8mmほどで、5裂します。ではどこが紫かというと、根っこです。紫根と呼ばれています。根にはシコニンという色素を含み、生薬の紫根や紫色の染料として使われました。これで若紫を染めるのですが、今では残念ながら絶滅危惧種になっています。栽培も試みられていますが、発芽率が低く、ウイルスなどにも弱いことから、非常に困難とされているそうです。
源氏物語の若紫といい、ムラサキソウといい、なんだか儚いイメージですね。




