約束の色
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創造主と約束をすることで、創造物は世界に存在することができる。いくら魂がある創造物ができたとしても、約束がなければ消えてしまうのだ。
神様として作られた物もまた、例外ではないのかもしれない。私は少年の顔を見る。
「どうしたの兄ちゃん?」
「お願いがある。私と約束をしてほしい」
「兄ちゃんのお願いならいいよ」
少年は思いのほか早く頷いた。この少年に、警戒心というものはあるのだろうか。
「少年、私に約束してほしいことはないか?」
「ぼくは兄ちゃんと一緒にいたい!兄ちゃんはぼくに約束してほしいことある?」
約束を決めることにおいて、約束してほしいことを両名が言うのは決まり事である。私の願いは、少年と一緒だった。
「私もゼロと一緒にいたい…」
「うん約束だね!」
少年は純粋に嬉しそうにしている。何も教えずに約束をしてしまった私は、悪い神なのかもしれなかった。
「最後に約束の証が欲しい。何か変えて欲しいものはあるか」
「うん!ぼくも兄ちゃんと同じ色がいいな」
ゼロは私の銀の髪と、紅の瞳を指差してそういった。
「本当にいいのか?ゼロの色は綺麗な色なのだぞ」
「兄ちゃんと一緒がいいなぁ。そしたら本当の兄弟みたいでしょ」
ゼロはイタズラが成功した時のように笑う。確かにゼロの言うとおりだ。私がゼロの髪の先端を持つと、ゼロの髪や目の色も私と一緒の色になった。
「ありがとう兄ちゃん!とってもきれいな色だね。ぼく大事にするよ」