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その神様は創造物
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私が遅かったのだ。私が誕生した時には全て終わっていた。たったそれだけのことだ。創造主は自ら私から離れていった。私は創造主の背が見えなくなるまで、見ていることしかできなかった。
これが最初の始まり。私は創造主に近づかない、正しくは近づけない。
「私はナナ様と似ているか。それは確かに創造主の機嫌を損ねる要因になるだろう。それならば、こんな金の髪、翡翠の瞳など私には必要のないものだろう。創造主は意図せずに私をナナ様に似せたか」
私は創造主の友人のナナ様が持っていたという、金の髪に触れた。すると変化はすぐに起きた。金の髪は銀の髪に、翡翠の瞳は紅の瞳に。
創造主に否定された、生まれたばかりの創造物は、簡単に壊れてしまうものが多い。だが、私はそう易々壊れることはないだろう。創造主に近づくことができなくとも、創造主のことを思うことはできる。それだけで私は十分だ。