神様と手
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頬の熱が残ったままだが。私は椅子に座りなおすことにした。ジャックが分厚い手袋をした手で、私の頭を優しく撫でた。私の思考は停止してしまいそうだ。
「私は子供じゃないぞ。こんなことして嬉しがると思っているのか!私はゼロの兄なんだッ。甘やかす側なんだぞ!」
「フフッ。素直に甘えてください。ワタシはこう見えて、結構年上なんですよ」
とっさに出てきた私の言葉は、思っていた以上に幼なかった。仮とはいえ私は神、ゼロの兄として存在すると決めた身。私が甘やかされて嬉しい?そんなことは私が認めたくない!
「ううっ。もう私を撫でないでくれ」
「はい。わかりました」
スッと離された手をつい追ってしまう。
創造主に一度でいいから撫でてほしかった…。
「レイ?どうかしましたか。具合が悪いのですか?」
「ああ、大丈夫だ。よかったら他のテントも見てみたいのだが、いいだろうか?」
「かまいませんよ。私が案内しましょう」
私を撫でたジャックは、とても満足そうな笑顔をしている。ジャックのサーカスには、通常いるはずの人や動物がいない。これではサーカスとして、やっていけないのでは?
「フフ、初めてワタシのサーカスに来る方は、ワタシ以外に団員がいないことに驚きますよ」
「ジャックはどうやってサーカスをしているんだ?一人だけではできないだろう」
「創造の力を使えば、ワタシ一人でもサーカスが回せるのですよ」




