神様とテント
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数時間後、私たちは隣町のサーカス団の前までついた。色とりどりの旗が風にたなびく。その旗の下で、一人の青年がナイフを磨いている。
「こんにちは!ジャック。どうかな?ぼくイメージ変えてみたんだ!」
「やあゼロくん元気そうでよかった。よくにあっていますよ」
不思議な匂いのする人間だ。
「ワタシのことはジャックと呼んでくださいね」
「ゼロの兄のレイという。私のことも呼び捨てにしてくれてかなわない。よろしく、ジャック」
ジャックは私たちについてくるよういうと、先に進んでいく。どうやら、一つのテントの中に入れてくれるらしい。
そのテントの中は道具であふれていた。しかし、一つ一つ丁寧に手入れが施されている。
「すみません。狭いと思いますが、ゆっくりしてください。明日までに片づけるには、今は人でが足りないのです」
「大丈夫だよジャック。ぼくが片ずけを手伝うから、明日の出発には間に合うよ。また馬車に乗せてもらっていいかな?」
「もちろんです。ワタシはゼロくんに助けてもらっていますから」
ゼロはジャックと仲がいいようだ。小さなゼロ一人で、今までどう生きてきたのかと思っていたが、ジャックが手助けしてくれていたようだ。
ゼロが片ずけをしにテントからでていくようだ。
こちらを、寂しそうに見る。
「レイ兄。そこで待っていてね。すぐ戻るから、帰ったらおかえりって言ってほしいな」
「ああ、わかった。いってらっしゃい」
私がそういうと照れたのか、ゼロの顔が赤くなる。
早足で私から遠ざかっていった。




