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神様と新たな主人
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くるくると私の周りをゼロが回る。私は目が回りそうだ。私が自分のために変えた色を、ゼロが気にいり嬉しく思った。
「兄ちゃん、風邪が治ってるよ」
ゼロが抱きつきながら、私の額に手を当てた。
約束が世界に受け入れられたのだ。
ゼロには感謝しなくてはならない、これで私は消えないですむのだ。
新たな創造主をえた今、私はもう一人にならなくてもいい良いのだ。
「兄ちゃん嬉しいの?」
「ああ、嬉しい。ゼロの兄になれて私は幸せだ」
この日から、私たちは新たな関係を手に入れた。
「兄ちゃん、今日からよろしく!」
「ああ、よろしくな」
私たちは互いにすれ違っているようだ。私はこの世に留まるため、新たな創造主を望み。この少年は変わりとなる家族を願った。
私たちの関係はいびつだ。熱が加わればひび割れるに違いないものだ。けれど、今だけは。
「兄ちゃん、家に帰ろう?」
こちらを見上げ、手を差し出す我が主人。
その手は子供特有の熱を帯びていた。




