創造主と神様
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「あなたが神ですか?一発殴らせろ!」
そこに私が誕生して初めて聞いた声は、怒りとその他の感情が複雑に絡まり合っていた。
ドゴンッ!!!
「!?」
それは私が世界に誕生して、初めての出会いだった。その創造主は私よりも明らかにに強い存在だった。地面にはいたるところにヒビが走り、空の雲は二つに割れた。その拳は私にあたる寸前で止まった。
「クソッ、今頃誕生するなんて。世界はどこまで俺たちの運命をいじくりまわすんだ。今の世界に神は存在してないって、本当だったのか」
「………」
創造主は怒りながらも悲しんでいる。私は声をかけてやることができない。最初から傷だらけの創造主は、私を見るとさらにその表情を歪めた。
「ちくしょう!!僕はナナと約束したのに、くそったれな神様に、二人で拳を叩き込んでやろうって!どうして、先に逝っちまったんだナナ!それに、それにだ神様。どうして、どうしてあんたまで泣きそうな顔になってるだよ………生まれたばかりのあんたに、八つ当たりした僕なんかに」
「私にとって君は創造主だ。君がいたから私は誕生することができた。感謝をする必要はあれど、私が君を恨む必要はない」
私も悲しいのだ。創造主からの感情は私に直接伝わってくる。生まれたばかりの私には重い感情だ。創造主は私が誕生する前に大切なものをなくした。どうして私は必要なときに、創造主の元に生まれてこなかったのか。
「すまない。私がもっと早くにうまれていたら……」
「僕の近くにこないでくれ。あなたはナナに似過ぎてる。僕はあなたが今ここにいることが不愉快だ。特にその金の髪、翡翠の瞳。僕はナナと一緒のものを見るのが嫌なんだ!」
「了解した。私は君に近づかない。だから、泣かないでくれ」
創造主の心からの叫びに私は頷いた。本当は一緒にいたい、ついていきたい、色んなことを私に教えて欲しい。