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6人目は草なの

 

 すぐにアジトへと向かうと、黒百合さんと久我と……あと一人見たこと無い男性がいた。

 もしかしてこの人が6人目のギルメンなの?


「こんにちわー……」

「おや、日に2回もログインするとは珍しいではないか」

「どうかしたので?」

「いや、あの……その前に」


 私が言いよどむと、その男性もこちらに気づいたらしい。

 黒いマントのようなものを着て、手袋……指貫グローブ? のようなものをはめている。

 それに眼帯もしているけど、AGIが上がるアクセなのかな?


「ほう。我の存在に気づくか。貴様、視えているな?」

「はい?」

「フフ。そう怯えなくても良い。我も仲間だからな」


 そういってこちらへと歩いてくる男性。

 ……黒いマントを靡かせて歩いてくるけど、吸血鬼でもリスペクトしているのかしら?


「それよりも、マントの丈は大丈夫かしら?」

「丈? 何を言っているんだ貴様は」

「だって……」


 その男性……いや、男の子かな?

 私も女性にしては小柄なほうなのに、この人の身長は私より少し大きいくらいだ。

 このVRMMOはリアルとアバターの違いがあまりないし、男性の身長平均としては小さめだと思うけど。


「これは我の身を護るベールでもある。今がベストな大きさにきまっているだろう」


 そういって、マントをバサッと広げる男性。

 私は無言で助けを求めたけど、黒百合さんも久我さんも我関せずといった感じでスルーされた。


「あっ! そんなことより、会ったんですよアイツに!」

「そ、そんなことって何だよっ!」

「え?」

「あ、いや……アイツとはどんな奴だ?」

「ほう。それはもしかして、件の人物にかい?」


 私は腕が6本ある人物に遭遇したこと。逃げている最中、腕に掴まれそうになったこと。触れられる前にログアウトしたことを話した。


「やっぱり、触れられると魂を抜かれるのよ!」

「ふむ。タカマチ君に追いつくほどの逸材か。これは決闘レースが楽しみだな」

「私もその場に居合わせたことはないのですが、もしそれが本当だとするとなかなかのツワモノでしょうね。そもそもタカマチ選手は遅いわけでもなく、速いというほどでもない。スキルを使っていないということなので、今までの被害者は為す術もなく追いつかれて――」


 えっと、注目するところは敵の速さだけなの?


「やはり漆黒の民は存在したか。是非とも手合わせしたいものだ。そして奴を倒すことによって、我の闇の力は更に――」

「この人だれ?」


 さっきから気になっていた存在。

 大体予想はついているけど、自己紹介まだよね?

 ま、見るからに面倒くさそうな人だから関わりを持たないでもいいけど。


「そういえば、君は初めてだったか。紹介しよう。彼はウィー……」

「フハハハハ! 我の名は漆黒のウィザード! 特別にそう呼ぶことを許可しよう!」

「……君は初めてだったか。彼はウィード。漆黒の雑草だ」

「ウィードさん。初対面の人に嘘はいけません。せっかくのソウルネームを誇らないでどうします。ねぇウィードさん」

「違う! 俺はウィザードだ! ダークマスターのウィード! じゃなかった。ダークマスターのウィザードだ!」


 ウィード? ウィザード?

 結局どっちなのよ。


「タカマチ君。この草は無視して良い。何、所詮は雑草さ。ほっといても勝手に復活する」

「ちょ! 姫さん。その言い方は!」

「あ”?」

「すみません何でもありませんごめんなさい」


 地獄の底から響いてきたような声がしたけど、あれって黒百合さんから……?

 近くにいた私でも震え上がったのに、直接言われたら強制ログアウトしそうな恐怖だった。

 絶対に口に出せないわね、おばさんって言葉は。


「何か言いたげだね、タカマチ君」

「い、いえ! そういえば自己紹介がまだだったわね! 私は魔法少女のタカマチよ! よろしくね草さん!」

「草ではない! 我は漆黒の――」

「そうね、よろしくね漆黒の草さん!」


 黒百合さんからの恐怖から逃れるため、ウィードさんの顔も見ずにブンブンと握手をする。

 そして、一刻も場を離れるためにアジトから飛び出す。


 だって、ログインできるかの確認と報告がメインだったもの。

 今からレベリングするにしても、もうすぐ寝る時間だし。


「おやおや、タカマチ選手。ちょいとお待ちを」

「え?」


 気づけば、飛び出した私を追って久我とウィードが追ってきていた。

 すぐに空を飛ぼうとした姿勢を崩し、二人を……というか久我は真横にいたので、ウィードが追いつくのを待つ。


「どうかしたの?」

「この雑草が貴方の実力を知りたいらしくて。どうです? 2人でどちらが上かを決闘レースで決めてみては?」

「…………いいけど」


 やっぱりこの人も決闘レース脳なの?

 でも、一つ思うのは。


「はぁ……はぁ……おい、新入り。俺と決闘レースしろ……はぁ……はぁ……」


 この人、こんな短距離で息切れしているけど大丈夫なの?


「俺が……負けたら……もう雑草でもいい」

「じゃあ草」

「草ですか。では早速ギルメンにそう呼ぶように報告を――」

「ちょ待っ! まだだから! まだ負けていないから!」


 ……本当にこの人、大丈夫かしら?



タイトルで決闘レースの結果がネタバレ?

やだなー、死す(死んでない)のようなものですよ。


ようやく14時間勤務が終わったので再開します。

労働300時間超えは寝るだけになるので勘弁。

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