表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
初めての恋  作者: 神寺雅文
第三章--交錯する恋ごろ
45/236

交錯する恋心20

「あたしは今のままでも十分幸せだよ? 拓哉君が計画してさ、みやびが緊張しながら春香誘ってさ、ついでにあたしも誘ってくれて、みんなで出かけて高校生らしくキャッキャするの」


 これが奈緒の答えであった。拓哉が好きとかそうじゃなくて、四人でいることが奈緒は好きなのだ。それ以上でもそれ以下でもない。でも、それは悲観的なものではないとも思う。拓哉が言っていた「彼女は俺に興味ない」ってのは、少し違う気がする。


 だから、僕は少しほっとした。安堵した。その安堵したついでに、ちょっぴり怒りを奈緒にぶつけた。


「奈緒がついでの訳あるか! 何言ってんだよ! 奈緒がいないと楽しくないことや、奈緒がいたから感じた楽しいこともたくさんある! そんな悲しいこというんじゃないぞ! 僕怒るぞ!」


 怒るぞって言うか怒っているんだけどね。


「ぷ、ごめんごめん。怒るところそこなんだね。相変わらず、みやびはあたしに甘いな~」

「甘くない! 僕が怒るのは奈緒だけにだぞ! つぎ、そんな悲しいこと言ったら絶交だからな!」

「それは、素直に嫌だな~。分かったよ、あたしも明日はちゃんと男の子と、いや、みやびは春香とだから、拓哉君とデートするって思って一緒にいるからさ、許して? ね?」


 奈緒がそこまで言うのだから、許そう。僕の沸点は低いのだ。奈緒がちゃんと拓哉とデートするって言っているのだからここは穏便に済ませるべきだろ。


「で、春香に告白するの?」

「は、え?」


 僕が腕を組みのを止めると次はすかさず奈緒が猛攻を仕掛けてきた。


「しないの? せっかく明日、デートするのに?」

「いや、四人で行動するし」

「そんなの時間作るに決まってるでしょ?」


 いやいや、待て待て。何をこの子は言っているのですか? 時間を作るだと? 時間を作りたいのは拓哉の方だぞ。


「いつまでももたもたしてちゃ、例の男の子が出てきちゃうわよ?」

「……、確かにそれはそうだけども」

「少しは頑張ってみれば? 告白は無理だとしても、何かしら発展させようよ」 


 応援すると言った手前、奈緒も何かしたいのだと思う。グイグイと踏み込んでくる。


「そうだ、それこそ二人っきりになれば何か進展するかもよ? あんた、意外と二人だけの時とか大胆だし」


 先ほどの事を言いたいのだろうか。悪いがあれば奈緒が相手だからである。


「手とか握ることできるんじゃない? まあ、そこまで行ったらもう告白出来るかもしれないけどね」

「手を繋ぐか……」


 妄想しただけでも手汗が半端ない。これは、いかん。予行練習が必要である。


「奈緒、手を出してくれ」

「なによ?」

「こうか? こうでいいのか?」

「あんたバカ? これじゃ握手でしょ」


 確かに。お互いの方向を向いたままでは手を繋ぐというよりは、単なる握手である。


 僕のそんな行動に呆れた奈緒が僕の隣に立って改めて手を差し出してきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ