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初めての恋  作者: 神寺雅文
第三章--交錯する恋ごろ
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交錯する恋心15

 それはそれで、僕と奈緒はいくばくか距離を置くようになったものの、僕らは四人でアパレルショップが軒を連ねる駅地下に来ていた。もちろん、明日の服を買うためである。


「みやびってポロシャツ好きよね? 今どきじゃないわね」

「そうなのか? 奈緒はどんなのが好き?」

「そうだね~、みやびは白系が似合うと思うし、このボーダーカットソーと白のリネンシャツがいいんじゃない? 身長あるしスラッと見えてかっこいいと思う」

「なるほどなるほど、じゃあこれいいかも」


 と、件の問題を忘れて早速幼馴染コンビで服選びを進める始末。挙句の果てに奈緒のお勧めをなんの迷いも無しに手に取ろうとするのであった。幼馴染至上主義もここまでくると末期である。

 

 それを、奈緒が慌てて止めに入ったのは言うまでもない。


「ちょっと待ちなさいよ。これじゃ、あたし好みのコーディになるじゃないの? また、みんなから変な誤解されるわよ」

「ああ、そうだった。あまりにも奈緒と一緒にいるのが当たり前になってたからつい。わかった、拓哉と考えてみるよ」


 言われてみればそうである。四人で来て気がついたら拓哉と春香をそっちのけで、服を見ていては、拓哉に申し訳が立たない。急いで拓哉の元へ戻らねば。


 気がついたら、拓哉も春香も店内にいなかった。買い物に集中し過ぎて周りへの配慮が無くなっていたのだ。


「そうしなよ、ちなみに春香はオラオラ系苦手だから、みやびはみやびらしくていいからね」

「おう、ありがとう。そっちも変に気を使うなよ」

「女の子は服装に気を使う生き物なの。明日楽しみにしてなさいよね」


 お互いがお互いの友を探しに駅地下へ散る。我ながら変な関係になりつつあると思うけど、周囲の目を気にするとこうしなければイケないんだ。


「お、いたいた拓哉、どうだ見つかったか?」

「ん~奈緒ちゃんってどんなのが好みなんだ? オレ、渋谷系が好きなんだけどどう思う?」


 駅地下には何店舗もアパレルショップが点在しているため、多少拓哉を探すのに手間取ったものの最初に僕と奈緒がいた店から二店舗離れた芳香剤クサく、いかにもな雰囲気の店を探すとその中に困り顔をした拓哉はいた。


「そうだな~、いまいち分からないけども、たぶんこういうゴッツい感じのは嫌いな気がする」

「だよね~、奈緒ちゃんはどっちかって言うと爽やかお兄系だと思うんだよな。分かった少し考えておく。とりあえず、雅の服から買おうぜ?」

「春香はオラオラ系苦手みたい。それに、僕もそっち系は似合わないと思うから、それ以外で頼む」


 いわゆるサーフ系から渋谷系と言われる着こなしを推奨するアパレルショップを後にし、無難な着こなしを推奨するメンズ向けのアパレルショップをハシゴすることに。いまいち流行りの服への関心が薄い僕は、拓哉から今夏流行りそうな色合いから柄、組み合わせをレクチャされつつ、自分の身の丈にあった服装を探す。


「明日、楽しみだな。今もどこかで、奈緒ちゃんと春香ちゃんが俺たちの事考えながら服選んでるんだぜ? 興奮しないか?」

「まあ、確かに。僕らも二人の好み考えながら選んでるもんな」


 フィッティングルームで早速厳選したコーディネートに身を包む僕。カーテンの向こう側で自分の服を選んでいる拓哉が声だけでも浮かれているのが分かる。


 確かに僕自身も、今こうして春香が好きそうな服装を想像しながら、少しでもカッコよく見えるように、少しでもオシャレに見える様に流行りってのを取り入れている。

 

 でも、体全体を使って「オレ、あなたの為にカッコよくなってきたぜ?」って言っているようなもので木っ端恥ずかしくて堪らない。「どう、オシャレでしょ?」って体で表現しているようで羞恥心を刺激されずにはいられない。


 だから、僕はこの年になっても服を買うのが苦手であり、ファッションに疎いのだ。典型的なダメンズなのである。年齢=彼女いない歴なのである。


「オシャレになりたいを前面に出すことは悪いことじゃないんだぞ雅? お前は奈緒ちゃんが最近化粧を始めたことに違和感を覚えるって言っていたよな」

「ああ、一年の時はしてなかったはずだから」


 クラス替えの日に、速攻で奈緒が化粧をしていることに気が付いたのがその証拠である。別に、それを変だとは本人に言ったわけでもないし、逆にすごく可愛くなったと思っている。でも、奈緒が化粧する必要性が分からないのだ。しなくても奈緒は十分可愛いのだから。


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