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初めての恋  作者: 神寺雅文
第三章--交錯する恋ごろ
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交錯する恋心11

「あぶなっ!」


 明日から始まるGW計画もほどほどに、学園生活を普段通りに過ごす僕の前に不可思議な出来事が起きた。


「どうした雅?」

「え、いや、サッカーボールがこっちに飛んできて」


 昼休みになり食堂で昼食を四人で済ませた僕達は、女子コンビと別れ男子コンビは食後の運動がてらグラウンドに出てスリーポイントの勝負をバスケットコートでしていた。


 そこは暇を持て余す学生への、学園からの粋なプレゼント。楽しめるスポーツは多種多様であり、世界に存在するスポーツが全て出来ると言っても過言ではないほど、この学園の敷地内にはコートや施設が準備されていた。


 その中でも学園の生徒なら普通科、スポーツ特待生科などの所属している科関係なしに自由に楽しめる様になっているバスケットコートはその一つである。十基のバスケットゴールが設置されており、その一つで僕と拓哉はどちらがより多くシュートを入れられるか勝負していた。


 その最中であった。拓哉がゴールに弾かれた自分のボールを追いかけてゴールの背面に歩み始めると、フェンスで囲まれたバスケットコートの中に一つの子ぶりのサッカーボールがものすごいスピードで飛来してきたのだ。誰かが故意でゴールを狙ったのかモノなのか、はたまた隣接するフットサルコートから大きく外れてここまで飛んできたものなのか。それは分からないが、とりあえず持ち主が表れていないから、僕は小首を傾いでしまっている。


 僕らの他にバスケットで遊んでいる生徒たちはこの不可思議な現象にまるで無関心である。そもそも、サッカーボールを持っているグループなど最初から見ていない。


「え、お前がシュート外した音かと思った。誰も来なくね?」

「いや、僕はなにも。なんだろな?」


 手を使うことなく爪先だけでサッカーボールを器用に救い上げそのまま、会話しつつリフティングを始めた拓哉。その軽やかな身のこなし、ボール使いを見ると拓哉がスポーツ特待生でこの学園に入学したことが如実に立証された。

 

 で、拓哉の視線の先にあるコートの入口へ僕も振り返るが、閉めたはずの扉は開いているものの、誰かがボールを取りにくる様子はいまだにない。


「まあ、いいか。オレ返す場所知ってるから後で返しにいくわ」

「上手いんだなやっぱり」

「まあ、生まれた時からこれと一緒に育ったもんだからな」


 つま先だけでボールを支えたと思ったらそれを高く跳ね上げ、今度はうなじで受け止める。神業ってやつを、いとも簡単に披露する拓哉。こんな才能を持っているのにどうして辞めてしまったのだろうか。僕の視線と疑問に気が付いた拓哉が頭を激しく跳ね上げボールが天高く舞う。


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