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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束72

「奈緒ちゃんが他の男を褒めるのことが、そんなに悔しい? イライラするくらいジェラシー感じてる? てか、嫉妬ってやつ?」


「べ、別に嫉妬なんかしてない。奈緒が誰のこと褒めようが関係ない」


「じゃあ、そんな怒ることないだろ? 奈緒ちゃんだって女の子だ。好きな男だっているだろ。現に、お前だって奈緒ちゃんじゃなくて春香ちゃんが好きなんだ。文句言う筋合いないだろ?」


「そりゃ、そうだけど。なんでこんなにもイライラするんだよ。一体何だこの気持ち?」


 奈緒がキザで高圧的な態度をする木村竜人のことを絶賛したから? 男のことを絶賛したから? 僕のことを見ていないから? なんで僕がここまでイライラする? この感情はなんだ? 僕が嫉妬する? 誰に? 奈緒の好きな男に嫉妬? 奈緒はあいつが好き?


 頭の中がこんがらがる。何がどうなっているのか意味が分からなくなってしまい黙り込んでしまう。


「お前さ、それってもしかして、奈緒ちゃんのことす――」


 僕の言動から何かを導き出した拓哉であったが中途半端に言葉を止めた。「す」って言ったところで完全に動きを止めて僕の目をジッと見つめてきている。


「いや、なんでもない。お前は春香ちゃんが好きなんだよな? 今は自分のことを第一に考えたほうがいいっしょ。奈緒ちゃんもそれを望んでいるし、今日はそのために来たんだ」


「そのためって?」


「なんかあったろ? 奈緒ちゃん、すげー心配してたぞ今日一日。だから、俺とユーを誘って菅野家に遊びに行くことにしたんだ。ま、本人はそのこと隠してるけど」


 そういう事か。急に二人を連れて遊びに来たから何かあるんだと思ってはいたけど、やっぱり奈緒は僕の心配をしていたんだ。そのことを一切口にも出さないし顔にも出さないところが奈緒らしい。自然と笑みが溢れてしまう。


「相変わらずお節介だな」


「そんな彼女を心配させているのはお前だぜ? 何があったのか話してくれるよな?」


 前髪を掻き揚げキザったらしくそう言った拓哉に、頼もしさを感じたのは彼に彼女がいるからであり、童貞な自分よりあんなことやこんなことも済ませた大人の男だと知っているからである。


 ここは包み隠さす寺嶋朋希に出し抜かれた経緯を全て打ち明けることにしたのであった。

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