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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束67

「ふふ、雅が言ってたとおりに表裏のないキレイな心をしているのね。でも、おばさん心配だな〜」


「なにがです?」


「ちゃんと避妊しなさいよ?」


 爆弾だ。とんでもない爆弾発言をしやがった。息子に言うならまだしても、その親友に「まだ早いわよ子供作るには?」って続けて言い放ちやがった。


「……え、その……大丈夫だよねたっくん?」


「……おう! 俺はいつでもいいぞ! ユーとならいつでも結婚していい!」


 さすが拓哉! よく言った。それでこそ男だ。友情にアツく、彼女一筋な拓哉なら断言すると思っていたぞ。


 しかし、そんな拓哉の発言に感銘を受けたのは男の僕だけだった。と言うか、何事にも男性よりも現実的な事の多い女性陣からは「呆れています」って言いただけなため息が漏れた。


「ば、ばか……そう言う意味じゃなくて……」


「ほんと男ってロマンチスト。良い拓哉くん? もし、今子供が出来たら学校はどうするの? 出産費用は? 子育てって大変よ? それに仕事だってどうするの? 父親になるのに無職で大丈夫? まさか、両親にたかる気? 自分が気持ちいいからゴム付けないダケじゃないの? 優越感に浸りたいからじゃないの? 本当に二人とその子の将来考えて今の発言しているのかな?」


 大人げないことこの上なし。拓哉がそこまで深く考えている訳がない。もちろん、その時になったらしっかりと考えを纏め頼りになるのが拓哉だ。今から心配することじゃないと思う。


 でも、未成年の考えなんて浅いも浅い。大人が丼なら僕らの考えなんて取り皿くらいの浅さだ。それを見抜いている母さんは畳み掛けるように言葉を続ける。


「もちろん、君の事よしっかりと考え家族を幸せにするでしょう。でも、やっぱり手順とか、環境、タイミングってあるの。優香ちゃんだって確かに体はもう大人よ? それは拓哉くんが一番わかると思う抱いているのだから。でもね、まだ心は子供。これからたくさん経験を積んで、一回りも二回りもたくましい女性にならなきゃ駄目。人を育てるのって自分が思っている以上に大変なんだから」


 実際に子供を育てる身である立場の母さんが言うのだから間違いないのだろう。自信満々だった拓哉の顔から余裕が消えたのは、拓哉も結婚――強いては家族を持つ事の大変さに少しでも気がついたからに違いない。 

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