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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束60

「別に何もないわよ。私たちもれっきとした幼馴染なんだから、ガールズトークに花を咲かせてお泊り会になることなんてざら。それよりも、諦めたとか言わないわよね?」


 ギクリ、やはり気が付いていたか。さすが我が幼馴染の奈緒様である。


「嘘つくの下手すぎ。あたしを騙すなんて百年早いんだから。良いみやび? いま、そこにいるのがどれだけ大変なことなのか、春香の傍に居たいって思っている男子がどれだけいるのか、考えてみなよ? 当たり前って思っちゃダメ、今諦めたら一生後悔するわよ?」


 まだまだ春香&朋希のコンサートの熱はとどまるところを知らない。園児達と春香の天使の歌声が絶賛大盛り上がりで、現在はママと一緒の主題歌を歌っている。


 それを背に聞きながら奈緒の助言に耳を傾ける。今はこの声に集中するんだ。僕の大好きな声に全神経を集中させろ。


「朋希って子もどんな理由があれ一時は離れちゃって、今やっとの思いでそこにいるんだと思う。焦っただろうね? 気が付いたらもう一人の男の幼馴染が春香の隣に当たり前の様に立っててさ。それはそれは悔しかったでしょうね。昔はあそこが俺の特等席だったのにって地団駄踏んでたかもよ?」


 妙にリアリティがあるのはなぜだろうか。まるで自分の実体験でも語るかのように、朋希の心情を読み解いていく。


「だからさ、今は辛いかも知れないけどぜった〜いにめげないで諦めないで。あたしが応援してあげるから、みやびはそのまま明るい未来に向けて歩んでよ」


「なんだよ、まるで奈緒自身は過去にいるみたいな言い方して。でも、なんだか元気出てきた! ありがとう奈緒! あ、じゃ、そろそろ戻るわ」


「……、うん、頑張ってね」


 最後のサビを歌い終わるのが聞こえて戻るなら今と判断し奈緒に別れを告げる。スマホから耳を離しかけたその時――


「あたし、ずっと待ってるからね――」


 奈緒は確かにそう言ったのであった。

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