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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束51

 穴が有ったら入りたい。春香も最初から言ってくれればいいものをどうして何も言わず奈緒の家に向かったんだ。あんなの先週までの特訓の流れを考えたら、今日もこのまま秘密の特訓すると思ってしまうじゃないか。


 そうでなくても、今日の反省会とか、明日の作戦会議をする可能性だって考えられたはず。まあ、だったら朋希も誘うはずだが……。


「どうしたバカ息子? あれ? もしかしてご飯に誘ったけど断られたから逃げてきた?」


 慌ただしく息子が帰宅したものだから玄関まで出てきた母さんが開口一番で的確に罵ってきやがった。


 インドを彷彿させるスパイシーは香りが廊下に充満しているってことは今夜の晩御飯は菅野家で一番美味いと人気のカツカレーか。もしかしたら、僕がチームFを食事に誘うかも知れないと予想していたのかもしれない。この人ならあり得る。


「ち、ちげーし。あ~腹減った! お、今日はカツカレーか!」


 だからこそ、そんな女の勘が鋭い母さんに要らぬ詮索をされる前に自室へ退避。そのまま風呂に入って晩飯を食べる事にした。


「あんたも少しは青春しなさいよね。今週はそれなりの物用意しておくから。誘えるもんなら誘ってみなさいよ」


 最初から最後まで母さんは母さんらしく愚息を煽り、それでも息子の可能性と懸命に恋をする姿勢を応援するべくそう言ったのだ。


 好物のカツカレーを二杯御代わりしてその日は割かし早く就寝した。春香から来るはずのメッセージが来なかったのもあるし、疲れていたのもあり二十二時を回る頃には熟睡して今日のダイジェストを夢で観ていた。


 奈緒の部屋に二つの人影が鼾をかいて眠る僕の部屋からも見えたのを、トイレに行きたくて目が覚めた時に気が付いたけど、それが何時だったのかも奈緒と誰がその時一緒に居たのかも考えもしなかった。


 自分の温もりで温まり至福の空間と化したベッドに吸い込まれ、両親も寝て静まりがける一階から十二回時計が「ボーン、ボーン」と鳴ったのを確認する。


「奈緒のやつまだ起きてるのか……ふぁあ、寝よ」


 寝言に違いような独り言をつぶやきまた夢の世界へと入場するのであった。


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