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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束45

「じゃあ、みんなでやってみよ~」

「「お~」」


 今度は僕も春香のお陰で人気者である。仮面ライダーが好きな男の子を中心に嵐の様な熱烈な相の手が入る。十数年前のモノを丸パクリとはいかないので最近の仮面ライダーのキャラも織り交ぜて、子供が飽きない様に手遊びを展開していく。これも春香から教わった手法の一つ。


 雅&春香先生コンビの息の合った手遊びで担当の先生がいらないくらいに大盛り上がりで時間は過ぎていく。トイレから戻った朋希が入る隙など無いくらい、僕と春香は肩を並べ特訓の成果を発揮する。


 一歩抜きんでたと思ったね。春香を笑顔にしているのは僕である。朝見た二人の只ならぬ雰囲気にも負けていないと断言出来る。だって僕らは幼馴染で小さい頃からよく遊んでいたのだ。その辺の男に負ける訳がないんだ。


 午前中は菅野雅の勝利と言ってもよかった。まあ、午前中までは、であるが。相手もやられっぱしとは言わない様だ。意味ありげに持参したギター。こいつが誠に厄介であったし、やはり彼のギターの腕前は本物であった。だって、僕ですら聴き入ってしまう程なんだから――。




 竹組の良い子達と昼食を済ませ、さて午後も手遊びで人気者になろうと思っていた矢先、当然と言えば当然なのだが、園児たちはお昼寝の時間になった。このまま朋希が入る隙がないまま畳みかけようと思っていた手前、なかなか寝付かない園児たちにお手上げである。


 他の手を用意していなかったから絵本を読むにも上手く朗読できないし、寝付きが良くなるように肩やお腹や胸辺りをトントンしても力加減が気に入らないのかぐずる子が多発。素人には手におえない状況になってきた。


「子供達の呼吸に合わせて優しくしないとダメだよ。みやちゃんは男性で力もあるからなおさらその子に合わせて力加減考えないと」


「ごめん」


 人一倍意気込んでいる分、僕にもそれなりの態度と成果を求める春香先生にダメ出しをくらい正直凹む。言い訳も出来ないまま添い寝を交代させられ戦力外通告を突きつけられた気分だ。とても惨めに思える。


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