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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束20

「そ、そうだな~。分かった良いよ」

「「やった~」」


 さすが幼馴染、奈緒と春香の声がぴったりと重なる。


「ふん!」

「べ~だ!」


 お互い目が合い、その途端に奈緒はそっぽを向き、春香はあっかんべーを奈緒に向ける。その春香のお茶目な一面に僕はドキッとしてしまい、二人の喧嘩を仲裁するのを忘れてしまった。


 奈緒にだけは素直な気持ちをそのまま隠すことなく態度で示す春香。普段の素行からして意外ではあるが、それだけ奈緒と春香の関係は親密であると言えるから、二人の間に挟まれる僕はいまだにどうしていいのかわからないままだ。


「まだやってんのか? 奈緒ちゃんはともかく、あの温和で一歩引いたところに立つタイプの春香ちゃんが意地になると思わなかった。雅も罪な男だね~」

「他人事だと思って。優香ちゃんには職業体験のこと言ってくれたのか?」

「当事者がどうしていいか分からないのに、俺が悩んでもしょうないだろ。ユーも面白いこと好きな子だからね。それに、奈緒ちゃんのこと気になるみたいだから快く引き受けるってさ」


 奈緒&春香が解散の危機だって言うのに拓哉は呑気にあくびをしている。


「奈緒が気になる?」

「男が幼馴染者同士、何か通じるものがあるんじゃないか? まあ、男には分からないことだろ」


 木村竜人のこともあるし、ここは二人に任せるしかない。僕は春香ともっと親睦を深めないといけないからな。拓哉に奈緒の事を託し、僕は僕のやるべきことをするしかない。


「あと、面白い話聞いたんだけどさ、A組からも男の保育士志望が出たらしいぜ」

「そうなのか?」


 男の保育士なんてのは下手したら保育士人口の一割もいないんじゃないのか? それなのに、他のクラスからも数ある職場の中から保育園を選んだ変わり者が他にもいると。


「ユーの話しによると、友達に雅と春香ちゃんの話をしていたらその男が詳しい話を聞かせてくれって言ってきたんだと。普段、ギターばっかり弾いててあまりクラスメイトとも話さない男らしい。見た目からしても保育士を志してる風には見えないんだって」

「それなのに、僕らの話を聞いて保育園を選んだ? あれだろ、恥ずかしくて立候補できなかったけど、他のクラスから男が参加するって聞いたから勇気を振り絞った的な」

「確かに、男が気安く行ける場所ではないからな。でも、警戒はしておけよ雅?」


 スマホで優香さんにメッセージを送っている拓哉が声色をワントーン落とした。


「春香ちゃんを狙う男は多い。もしかしたら、そいつも春香ちゃんを狙っているのかも知れないぜ?」

「そうだよな。春香人気だもんな」


 自分の席には居ずらいのか、珍しく席を離れ大河やそのほかの男子、女子と好きな音楽の話をしている春香を遠目から見つめる。僕も同じクラスにならなければ、話す機会なんてなかっただろう。


 それこそ、クラスを飛び出して行う校外学習は、クラスの垣根を越え普段話すことが出来ない異性、接点のない異性と交流するいい機会だ。


 他のクラスの男子がこの機会を使い春香に近寄ることは理にかなっていると言える。


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