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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束19

「でも、相手は僕だぞ? 奈緒が傷つくところなんて一つもないだろ」

「か~、聞きしに勝る鈍感っぷりだ。こりゃ、奈緒ちゃんも今まで何もできなかった訳だわ。雅、お前もそろそろ、女心を勉強しろよな」

「ちょ、どういう意味だよ」


 呆れた様に肩を竦めた拓哉が立ち上がり鞄を持って歩き出す。


「お前にとって一番大事な子は誰だ? とっくにお前の中には好きな子がいたんだと思うけど? まあ、こればっかしは自分で気づかないとな。お前が変わらないと誰も幸せになれないぞ」


 じゃあな。って言い残し拓哉は教室から出て行った。追いかけようと思ったけど、優香さんの拓哉を呼ぶ声が聞こえたので思いとどまった。


 僕が変わらないと誰も幸せにならない。拓哉が帰りがけに残したその言葉が、ポッカリと空いてしまった胸の中で渦巻く。


 いつも一緒な奈緒が居ず、春香もいなくなってしまい一人残されたのは僕。この状況が少しあの夢に似ていると思ったのは、もしかしたら昔そんなことを体験したからじゃないだろうか。


「お~い、そろそろ最終下校時間だぞ~君も帰りなさい」


 レトロな曲調のBGMにのせ下校を促す校内放送が始まり、僕も校内を見回っていた教諭に下校を促され、寂れた廊下を我が家を目指して歩み始めたのであった。



 職業体験を春香と一緒に行くことを選んだことに後悔はない。でも、奈緒と春香の関係がギクシャクしたままで良いとは思っていない。思っていないが、翌日の二人は相も変わらず口を利かない。むしろ、悪化している。お互いの存在を無視している様な行動が目立っている。


「ねえ、みやび~次の日曜日どこか遊びに行かない?」

「え、ああ、良いけど二人でか?」

「そりゃそうだよ、拓哉君と優香ちゃんを誘う訳にもいかないでしょ?」


 それはそうだが、君の目の前にもう一人の幼馴染が座っているけど? 敢えてそれを口に出すのが怖いので一瞬だけ春香を見ると――。


「他に一緒に行くような“友達”もいないじゃん。分からず屋さんはいるかも知れないけどね」

「おいおい、奈緒、きのうのことまだ怒って――」

「ねえ、みやちゃん? せっかくだから土曜日に映画でも“二人だけで”観に行こうよ! 離れ離れになっていた間の時間埋めるために、二人だけでいろんなところに遊びに行こう? たまには自分勝手で暴力的な子から離れてゆったりとした時間過ごそうよ?」


 売り言葉に買い言葉。奈緒のあからさまな“口撃”に意外や意外、春香が反応してこんなことを言いだした。こりゃ、僕が想像する以上に二人の間にできた溝は深そうだ。


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