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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束15

「役者さんもいいの? どんな夢でも応援してくれるってこと?」

「保育園って市内ならどこでもいいんですか? 何人でも一緒のところに行けるんですか?」

「先生のお孫さんは演劇で有名な竜人さんですからね。A組ではもう四人行くことになってます。たしか、市内であればどんな場所でもいいはずです。人数も定員はないって担任の先生がいっていたので、仲良しグループで同じ場所に行くのもありです」


 奈緒は奈緒で以前から興味のある演劇の役者を体験したいらしく、珍しく興奮気味に優香さんから情報を聞いている。春香だって予想はしていたが保育園の先生を体験する気満々で瞳を爛々と輝かせている。僕なんかは特にやりたいこともないので話の流れを見守るだけだ。


「そうなんだ~楽しみ! もちろん、みやび、あんたも演劇だよね? 一緒に来るでしょ?」

「何言ってるの奈緒! みやちゃんは保育園の先生になるの! ね、みやちゃん? 私と一緒に来てくれるよね?」

「え、え、ちょっとまって。急に言われても、僕にはまだやりたいこととかないし……」


 まさか、この二人に僕の取り合いをされるとは思わなかったし、第一に二人の意見が真っ向から食い違るとは思いもよらなかったから、困ってしまう。


 僕としてはどっちも行きたいって言うよりは、二人と一緒ならどっちにしろ楽しいに決まっている。だから、答えを決めあぐねてしまい、どんどん二人の息が荒くなってしまう。


「第一、奈緒ばっかりずるいよみやちゃんを独り占めして! 私だって幼馴染なんだから、みやちゃんともっと思い出作りたい。奈緒はいままでたくさん一緒に遊んだでしょ? 今回は我慢して一緒に保育園行こうよ!」

「独り占めなんてしてないわよ! そりゃさ、春香が引っ越してからも、みやびとはずっと一緒だったけど、よりによって保育士はないんじゃないかな? みやび男だよ? 全然似合わない!」


 どこの発言が春香の逆鱗に触れたのかは火を見るよりも明らかである。男が保育士なんて似合わない。そんなニュアンスに聞こえてしまったに違いない。春香が初めて奈緒に怒りをぶつけた。


「そんな言い方しないで! 保育園の先生はとっても素敵なお仕事なんだから! そっちこそ、夢ばっかり追いかけて、地に足つかない生活しかできないじゃん! 奈緒は将来なりたいからいい経験になると思うけど、関係ないみやちゃんを巻き込んでみやちゃんをいい加減な大人にしないでよ!」

「なによ! 保育士だって子供と遊ぶだけで何も身につかないじゃない! どうせ成長したらみんな“先生のこと忘れちゃう”んだし、春香こそ子供たちに理想抱き過ぎよ!」


 止めに入ることが出来なかった。なぜ、二人がここまでして言い合うのか見当もつかないんだ。教室中が一瞬にして静まり返り、全員がオロオロとしてしまいどうして良いのかわからない状態だ。


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