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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束14

「はい、これ、頼まれてた書類。あと、私もサッカー部退部してきたから」

「おっサンキュー。ゆーは残っててもいいのに。サッカー好きだろ?」

「何言ってるの、私が好きなのはたーくんがサッカーやってる姿なの。だから、みんなにはたくさんお礼言って背中押してもらってきたよ」

「そうか、ならこれからも一緒だな」

「うん、ずっとね」


 茶封筒を愛の架け橋代わりに互いの間に掛け、こちらを無視して盛り上がるご両人に、最初に声を掛けたのは僕だった。


「も~見飽きたわ! いい加減にしろ! ここは健全な男女が健全な教育を受ける学校だぞ! 乳繰り合うならよそでやれ!」

「なんだよ~いいじゃんか~幸せのおすそわけだよ」


 他人のよだれで濡れた幸せなどいるか! 引っ付こうとする拓哉を押しのけ、優香さんに気になる茶封筒の中身を聞く。


「これですか、言っていいのた~くん?」

「まあ、ずっと隠すことも出来ないしな。監督から許可もらったしいいよ。俺な、フットサル部を作ることにしたんだ」

「そうなの? 足は大丈夫なの?」


 奈緒が拓哉の負傷したひざを心配そうに見る。


「過度な運動はもうできないけど、やっぱり俺にはサッカーしかないからさ。いろいろ考えて、新興だけどサッカー部には入れてなくてもサッカー好きな人間集めてわいわいやろうとおもう」

「素敵な考えだね。きっと、拓哉君の様な生徒が普通科にもたくさんいると思う」

「ありがとう。春香ちゃんもどう? 君が来ると雅も誘いやすいんだけど?」


 藪から棒に何を言いだすんだ。こちらの春香お嬢様はどちらかというと読書が好きなインドア派の女の子だ。誘うなら奈緒にするべきだ。


「私は運動するより、読書する方が向いてると思う。みやちゃんを誘いたいなら奈緒が良いよ。奈緒なら大抵のことならなんでもできるし」

「料理以外だけどな~」

「みやび! 一発殴らせなさい!」


 言わなくてもいいことを言い、弁明する前に殴られた。


「ふふ、やっぱり雅さんと奈緒さんはお似合いですね」

「な、なにを言うのよ優香ちゃん!」

「そうだぞ! ユー昨日の夜あんだけ念入りに相関図を書いて教えただろ。雅が好きなのは――」


 優香さんの失言を聞いて拓哉が優香さんに何やら耳打ちをする。その前に、昨日の夜教えたってなんだ? お泊りしたとでも言いうのか? どうなんだよ。


 拓哉の発言に勝手に変な妄想をする僕をしり目に、思い出したように優香さんが手を叩き咳ばらいをし、わざとらしく自分の発言を訂正した。


「私は春香さんと雅さんもとても素敵な幼馴染だと思います! あ、そうだ、来月の職業体験一緒に受けたらどうです?」

「なんのこと? 職業体験ってなに?」

「来月に一週間、将来なりたい仕事を体験するための校外学習があるんですよ。警察官や消防士、市役所の職員、病院の看護師さん、保育園の先生、小学校中学校、もちろん高校の先生などなど、面白いモノではミュージシャンや演劇の役者さんも体験できるらしいです。本人が本気で望むなら、校長先生が全面的にバックアップしてくれる行事らしいです」


 よくある職場体験学習ってやつである。あの校長先生なら企画してもおかしくはない。とても夢のある授業であり、もう将来の夢を持っている春香や演劇に興味を抱いている奈緒が優香さんに対していい反応を示した。


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