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初めての恋  作者: 神寺雅文
第五章--告白の先に見えたあの日の約束
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告白の先に見えたあの日の約束02

 視界が白んでいきここまでの様だ。


 そうか、水族館で聞いた話は僕らの事だったんだ。大きな木のある公園はあそこにしかないし、枝から届く二階の窓はあの家のあの部屋だけだ。春香の思い出話と僕の記憶が見事にリンクして一つの道となった。


 その道が一本となり、僕は一つの疑問を感じた。


 どうして、そのことを忘れてしまったんだ? 春香に言われるまで僕はどうして春香のことを赤の他人、高校二年になって初めて出会った初恋の子と位置づけんだ。


 疑問が疑問を呼ぶ。


 第一に、奈緒だって何も言っていなかった。初めから言ってくれればこんな遠回しなことになはならなかったはずだ。それに春香が申告しなかったのも、奈緒が教えてくれなかったのも疑問でしかない。僕が忘れてしまう事はあっても、奈緒までが春香を忘れるなんてありえないだろ。


 どんどん沸き起こる疑問に思考回路が活発になっていく。


「あ、……ここは?」

「みやび! 大丈夫?」

「みやちゃん……」


 見慣れない天井だと思ったら、目を赤くする奈緒の顔がドアップでフレームイン。遅れて春香の聞きなれない僕を呼ぶ声が聞こえてきた。


「ああ、大丈夫。パーティーはどうなった?」

「時間も時間だし、みやびのこともあるから解散になった。今はいつものメンバーだけだよ」


 いつぞやのリビングのソファーに寝かせられていた。状態を起こし周囲を見ると、拓哉と優香さん、寺坊と三バカが心配そうな顔をしているのが見えた。春香はどこだと探すと、どうやら奈緒の背に隠れている様だ。


「はるちゃん、隠れてないで出ておいで。思い出したよ少しだけ」

「みやちゃん……、どこまで思い出したの?」


 恐る恐ると言った具合に奈緒の陰から出てきた春香は見るからに泣いていた様子である。声が震えているのがそのいい証拠だった。


「どこまでって言われても分からないけど、初めて春香の家に突撃したころのことは思い出した。ハルコ先生が僕らにお願いしたんだよね。そうだろ奈緒?」

「う、うんそう」


 奈緒もどこかおっかなびっくりに言葉を選んで発言している。その、返答を聞いてやっぱり奈緒は知っていた様で、尚更怒りがこみ上げてきてしまう。


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