第1話 目覚めたらそこは異世界
ふと意識が戻った。いやこの場合戻ったていうより目覚めたといったほうが正しいだろう。
「う…あ…」
ん?なんだ声が出せない。
いや出せないじゃなくて辛うじて出ている、呻き声だが。
というか身体にじゅうが石のように重い。
あぁそうか俺はさっきカップルを助けようとしてかわりに跳ねられたのだったな。
てゆうか、なんであの時俺は走ってカップルを助けたんだ。冷静に考えてみたら俺が助ける義理はなかったはずだ。なのに無意識に走って助けた。
あれが俗に言う”誰かを助けるのに、理由がいるかい?”ってやつなのか?
いやこれは違うだろうな。
そうこう頭の中で考えてるうちにだんだん身体が動かせるようになってきた。
最初は手足の指先ぐらいだったがだんだんど指先から手、足、腕、膝、と感覚が戻ってきたのがわかる。
感覚が肩や腰ぐらいまで戻ってきたのがわかると俺は身体がを起こして、目を開けてみた。
まだ目は完全には戻っていないらしくぼんやりしていたがしだいに視力が戻ってくるのがわかる。
視力が戻ったときには俺は目を疑う物を見た。
一面に広がる草原。それと人の屍体。
ん?おかしいなまだ夢でもみてるのか?それとも寝ぼけてるのかな?
そう思った俺は目を擦り改めて目の前を見た。
やはり辺り一面の草原。
そしてやはり周りには無数の屍体。
いやおかしい。冷静に考えてこれはおかしい。
確か俺は10メートルぐらいあるビルやマンションに囲まれている公園の道路にいたはずだ。
それがどうだろうか、辺りはビルのビの字やマンションのマの字もなければ街灯も電柱もはてや人の姿すら無い。いや屍体なら無数にあるが。
て、そんなことを言っている場合ではない。
なにがどうなっているんだ?と俺は立ち上がった。
すると俺はまた違和感を感じた。
あれ?俺こんなに背が低かったけか?
俺の身長は172センチで日本人にしてはやや高い方だ。
それがどうだろうか、今俺が立っている目線は身長約120前後の高さだと感じる。
俺の不安はますます膨れ上がってきた。
俺はとっさに自分の手の平を見た。
明らかに成人男性の手の大きさじゃなかった。
俺の不安はヒートアップしてきた
辺りを見回してみら数メートル離れた所に水たまりがあった。
俺はおそるおそるその水たまりに近づき、ゆっくりと水たまりに写る自分の顔を覗いた。そこには
自分の見慣れた顔じゃなく
黒髪の少年の顔が写り込んでいた
俺はその場で尻餅をついた。
当然だ自分の顔じゃない、ましてや知らない少年の顔が写っていたんだ。
そして俺は普通では考えないくらい冷静で呟いた。
「これあれか…所謂、異世界に転生したってやつかな…」
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俺が異世界に転生したとわかってから1時間ぐらい経過した。
ひとまずわかったのは俺はあの時トラックに轢かれて死んだこと、そして目が覚めたら異世界にきていて少年に転生していた。
いやこの場合転生っていうより転移したっていったほうが正しいのか?まぁそんなことはどうだっていい。
あとわかったのは俺の背中に矢が刺さっていたこと。
ん?あぁなんで矢が刺さっていたって?
んなこと俺が知るはずがないだろ。気づいたら背中に矢が刺さってたんだよ。
あのあと背中に違和感あるなーって思って手を背中にやったらなんか棒みたいのが刺さって、水たまりで見てみたら矢が刺さってたんだ。
今日2度目のびっくりだったわ。
しかも刺さってた時は痛くなかったのに引っこ抜こうとした時すごい激痛が来たもんだ。
思わず叫んじまったよ。
流石に俺も痛いのは勘弁。
んで今俺はこれからどうしようか考えている。
とりあえずわかってることはこの場所から離れようとは考えてる。
理由は俺のいる場所は町や村ましてや建物さえもないしかも異世界だ、多分魔物とかがいてこの屍体の臭いを嗅ぎつけてくるかもしれない。
俺はとりあえず周りにはある屍体から使えそうな道具や武器などを探すことにした。
屍体から物を取るのは抵抗があるが今は異世界、そんなことは気にしない。
気持ちの切り替えは大事だ。
「しかし…これといった物がみあたらないな」
俺は手当たり次第物を探してみた。しかしみつからない。
そりゃそうだ、冷静に考えてみたらこの屍体達は矢が刺さっていたり切り刻まれていたりしていたのだ。多分盗賊にでも襲われて全滅したのだろう。貴重品や食料などはみんな取られたみたいだ。
そうこう考えてるうちにある屍体から包丁ぐらいの長さのダガーみたいのを見つけた。
少し錆び付いているが切れ味はあるみたいだ。
俺はそのダガーを拝借して他にもあるかまた探した。
あのあと全ての屍体から探した結果
錆び付いたダガー
火打石
果物を干した食べ物
半分入った水筒
マント
少しカビ生えた本2冊
を見つけた。
俺はそれらを身につけて、屍体を一ヶ所に集めて火打石で火をつけた。
流石に屍体をそのままにするのはまずいと思った。もしかしたら屍体をの臭いで魔物がくるかもしれないし、あとはそのままにするのはなんか嫌な気分だった。
俺は屍体を集めている時にある女性を見つけた。
その女性の屍体は俺が倒れていた少し後ろに倒れていた。
その女性の顔はまるで我が子を守ろうとしていた顔と申し訳ないと感じさせる顔を感じさせた。
(きっと…この俺の身体の母親だったのだろうか…)
俺は燃えていく母親の屍体を黒く、灰になるまで見ていていた。
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屍体が全て燃え尽きるで結局翌日の早朝までかかった。まぁそのおかげなのかわからないが魔物に襲われる心配はなかった。
俺は支度をしてるときに灰の中になにかが光る物を見つけた。
灰の中を探してみるとある小さな指輪らしいのを見つけた。
指輪は俺の中指にハマるぐらいの大きさで真ん中に何かの文字か紋章が彫ってあった。
まあ当然日本語でかかれてるわけでもなく見たこともない紋章だった。
「きっとなにかの高価な指輪だろうな。資金程度にはなるかな」
そう俺はいって自分の左胸ポケットにしまった。いや貰えるものは貰っておかないとね。
そうこうしてるうちに灰を昨日あらかじめ隣に掘っておいた穴に入れた。ここまでやったんだ最後ぐらいまで立派ではないが墓ぐらいは建てておこう。旅立つ物を貰ったお礼に。
一方的だが。
そして俺は十字架に組んだ墓標を建ててある決意をした。
きっと俺の転生は偶然じゃない。必然に起きたんだろう。
俺が前世で唯一答えをえなかったこと。それがきっとこの世界にある。いや、あるに違いない。
そうでなければ俺がこの世界で生まれ変わった意味がない。我ながら強引だがそうであると納得させた。
なら俺はその”答え”を必ず見つけ出す。
そしてこの世界を後悔のない生き方をしていく
そう墓標のまえで固く決心した。