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2014年8月23日(土)・朝

昨日までとは打って変わり、今朝の安佐北区は少しひんやりとした空気が入り込む。

6時起床。

と共に、家中の窓を開ける。

少し湿度はあるが、ひんやりとした空気が体に気持ちよく吹き抜ける。

ここ数日間は雨が続き換気も思うように出来なかった。

家の中に新鮮な風が通り抜けていく。


昨日は広島だけでなく、福岡や他の都道府県でも局地的な豪雨に見舞われたと報じられている。

どうか、今回のような被害が出ないことを祈るばかりだ。


連日全国区で放送されているTV番組、とかくワイドショーや報道番組を観て、疑問に思う事がある。

どの局も、こぞって「なぜ役所はもっと早くに警報を出さなかったのか。」という点ばかりを報道しているのだ。


だが、考えてもらいたい。

集中豪雨に見舞われた19日の夕方から20日未明にかけての広島市安佐北区及び安佐南区全域は、豪雨だけではない。

今までに経験したことがないような落雷が続き、そして頻繁に繰り返される停電。

稲光が数分間隔、酷いときには1分間に数回鳴り響く状態で、外に出て避難出来るだろうか。

「自分の身は、自分で守る。」

だからこそ、あの日、自宅2階に避難していたという住民も多いと聞いた。

前途した通り、19日19時頃の段階で、すでに雨脚は強くなっていた。

低気圧のせいか、息苦しさも感じた。

そして鳴り響く落雷。

この条件下で、最も雨脚の強まった20日夜半から早朝にかけての避難は、非常に困難だったと憶測が立つ。

私の住む安佐北区でも、20日夜半に避難所の小学校まで徒歩で逃げろといわれると、間違いなく「無理だ」と答える。

「なぜ逃げなかったのか?」というコメントを残す解説者に、いささか疑問を抱いた。


逃げなかったのではない。逃げられなかったのだ、と。


そして解説者や専門家に聞いてみたい。

「あなたは、深夜2時や3時に豪雨と落雷が降りしきる中、家族と共に歩いて避難できますか?」


報道では、「防災ハザードマップ」の存在について語る解説者が多くいた。

広島市の住民であれば、防災ハザードマップの存在はもちろん知っている。

自治体に加入していれば配られているし、小学校の授業でも、

『自分達が生活する地域の危険な場所を調べてみよう!』

という授業が行われている。

どうかマスコミの方達は、安佐北区や安佐南区の住民が「何も知らず、何も対策をせず今回のような被害にあった」とも受け取れる報道の仕方は控えて欲しいと個人的に感じた事だ。


昨晩、夫が帰宅後にこう言った。

「土・日は、消防に行って来る。」

私の夫は消防団員だ。

普段は一般企業に勤務しているため、災害時等は消防団員として活動している。

20日以降、消防団員の夫宛にも、召集連絡は来ている。

「わかった。団服は準備しとるけん。」

「今日ラジオで聞いたんじゃけど、今はボランティアは控えてほしいって言っとったよ。なんでも現地に車で来る人がおって、緊急車両が通りにくくなるけんって。」

「緑井も山本も、道狭いもんね。ニュースで見る限り、54号線の近くまで土砂が来とるでしょう?」

「じゃね。俺も仕事で20日に通ったけど、可部バイパスは通れんかったし。」


TVで報道されている緑井・梅林・八木地区の道路は狭い。

主要道路の国道54号線は両側8車線ほどある大きな道路だが、1つ置くの住宅街側の道路になると、かなり道幅が狭い箇所も多く存在する。

緑井方面から可部方面へと進む道は、国道54号線沿いにJR可部線が走り、可部線より奥の山側に向かい住宅地が広がっている。

今回甚大な被害を受けたのは、この山側に向かって広がっている地域だ。


今朝7時。ヘリコプターの音が聞こえ始める。

JR芸備線も動いているようだ。

普段であればうるさいと感じてしまう生活音に、少しだけ安心感を覚える。


「じゃあ、行って来る。」

「行ってらっしゃい。気をつけてね。」


消防団服に身を包んだ夫が、救援活動支援に出発した。


9時。

今日の広島の天気予報は曇り。ところにより一時雷を伴った雨。

現在の安佐北区の天気は、雲がかかっているものの晴れ間が見える。


そして私も、自分に出来る事を見つけた。

考えて、行動する。

思っているだけでは、何も変わらない。


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