1話
───【ここからが本番───……】
あの言葉は───一体誰が言ったのだろう…。
というか私は────生きてるのかな…。
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「────ん………」
うっすらと目を開けると白い天井。
右手には点滴が打ってあり、頭がズキズキする。
薬品の匂い───ここ、病院…かな。
「!あ、起きた?」
「!!!???」
突然女の子が私を覗き込んだ。
いきなりのことで私は飛び起きてしまい、頭の痛さにうずくまる。
そんな私を見て女の子は私の体を支えながら喋り始めた。
「ダメだよ、そんなすぐ起きちゃ」
「…ありがとう…ございます」
よく見ると女の子も頭に包帯を巻いている。
そしてこの子…………どこかで…………あ。
「バスに…乗ってた…」
「そ!あたしもアレに乗ってたの……いや、“あたし達“かな」
「え…?」
そしてハッと気付く。
ここの病室が、異様に広くベッドが私のも合わせ6つあり……私とこの人を抜かした4人が私を見ていることに。
「ひっ──…」
「あ、ごめん怖かった?駄目じゃん皆!女の子ジロジロ見ちゃ!」
私の体を支えながら女の子が皆に向かって言う。
「あ、ごめんねー」
「すみません」
「けっ」
「あぁ……すまない」
1人1人が私に向かって頭を下げる。
なんか私悪いことしたみたい……。
「でもなんで…バス事故の被害者皆がここに?」
「さぁ?なんでだろうね」
「あの…そこの方、確信はないですけど…“被害者じゃない“ですよね?」
「え!?」
私が窓のところにいる男の人に話し掛けると皆が驚いてそっちを向いた。
なんでそんなに驚くのだろう?
「(ま、待って……さっきまで“こんな人居なかった“!!!)」
皆がそんなことを思っていることを知らない私はその男の人に話しかける。
「あの…」
「────やっと全員起きたか」
「え?」
腕を組んで仁王立ちしていた男の人は私達を見渡してニヤリと笑った。
「俺は桃茂木 真。率直に言うが───お前たちに地球と人類を守ってもらう」
─────?
「─────は?」
私達6人の声が初めて被る。
ま、待って…何この人。何言ってるの?
そんなのアニメとか漫画の台詞ですよね!?
「俺は警察だ。だが普通の警察じゃない。“特別戦闘課“という特殊な警察の課にいる」
「特別…戦闘課…?」
「そう。今回のバス事故は俺たち特別戦闘課が担当になったんだ」
「どうしてだ?普通のバス事故じゃないのかよ?」
中学生の男の子がその人に尋ねた。
私達も同じことを思っていたため皆しっかりと静かに聞いている。
「お前達は病院に運ばれたから知らないだろうが……これ、見るか?」
そう言って桃茂木さんは写真を取り出し私達に見せてくれた。
その写真は私達が乗っていた××バスだが────綺麗にまっぷたつになっていた。そこからバスの車体の部品やガソリン、そういうものも出ていたが不思議と炎上はしていない。
「お前たちをバスから救出した時既にバスはこの状態だった。普通だと爆発とかしてるはずなんだがな…。そして今から話すことは流石にお前たちには見せられないから写真は無理だが…………覚悟して聴け」
真剣な顔をして言われたからか不思議と顔が強ばる。
「……このバスの運転手、知ってるか?」
「…私知ってる。中学通う時いつもこのバスだから。……松茂さんでしょ?愛想のいい」
中学生の女の子がそう答えると桃茂木さんは小さく頷く。
「そうだ。その松茂 太朗って運転手な───……心臓と目がくり抜かれてたんだよ────血を流さずに、な」
「!!!???」