序章
いつも通り学校へ行く。勉強をする。友達と話す。お弁当を食べる。掃除する。家へ帰る──…。
そんな毎日が…日常がつまらない。
漫画とかアニメとか小説であるような超能力・魔法・非科学的な力は持ってないしこの世界にはそんなものない──…。
───ああ、本当に“それ“があればいいのに。
いつだったか…友達にそれを言った時驚かれた。
本当にあればいいのに…そうしたら非日常になるかもしれないのに…。
自分が世界を救う、突然覚醒した力を狙われる、そんなことこの世界にはない。
───自分が、友達・家族・人類を守れる存在に……か。
そう思い空を眺めていた私──夏秋冬 美春は現在いつも通り日常を送っている。
今日は仲のいい友達の家から帰るためバスを待っていた。
バス停には私しか並んでいなくて少し寂しかったり。
「ここのバスいつも時間遅れてくるんだよねー…」
そう呟くが返してくれる相手は周りにいない。
現在の時刻は17時25分。バスが来る時間は20分だ。
やはり今日も遅れているようで…。
「お母さんに連絡しとこうかな…あ、バス来た」
携帯を取り出して母に連絡しようとした時、バスが見えた。
近くまで来て止まったバス。行き先があってるためこのバスでいい。
乗車券を取り、前の方の座席に座る。
乗客は少なく私と同じ高校生が2人、中学生が2人、成人?の男性が1人、そして私。
「(眠い…)」
降りるところまではまだまだのためウトウトし始めた─────その瞬間。
けたたましい爆音と共に私達を乗せたバスが宙に浮かんだ。
その衝撃で私達は車内で体が浮き、1人は色々な所に吹き飛ばされたり1人は地面に叩きつけられたり───車内は大混乱、そして───悲鳴が響く。
「───っ!!!???ひっ………!!!!」
さっきまで非日常を望んでいた私は突然の現実に心が恐怖に満たされた。
少し高い位置の座席に座っていた私は頭を窓に打ち、そして地面に倒れていく。
─────私、死─────────
そう思いかけた瞬間頭に強い衝撃をうけ、私はそのまま意識を失った。
最後に────
【ここからが本番───……】
その声を聞いて。
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《たった今入ったニュースです。先ほど○○県N市の道路でバスの横転事故が起きました──────》
「─────っえ…?」
《××バスに乗っていた乗客6人は体や頭を打つ等の重傷で現在病院に搬送されています─────》
「…………ひ、広実さん…………」
「────そ、んな」
「まだわかんねぇじゃねえか!もしかしたら美春は違うバスかも────」
《今現在わかる乗客者は─────沢川 流希さん16歳、兎島 玲羽さん15歳、燕崎 刃也斗さん14歳───夏秋冬 美春さん16歳》
「────っ」
「…早く病院行ったほうがいいんじゃないですか?」
「急ぎましょう!…………悠介くん?」
「仕方ねぇよ。悠介、今混乱してんだよ。美春の事好きだから…」
「───早く、行こう」
───望んでいた“非日常“がこんな形で訪れるとは思ってもいなかった。