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物の怪の夜



 血飛沫が満月が鎮座する夜空に舞い、断末魔が茂る林を震わせる。


 自らの血溜まりの中で陰る視界に茜の姿を宮司は見た。宮司は歯を食い縛り地に伏せたままの体を無理矢理起こす。千切れ飛んだ右腕からは止めどなく血が流れ続け、宮司の意思に反して動きを妨げた。体のそこかしこが宮司を地に伏せさせようと悲鳴を上げる。

 少しでも気を緩めればそのまま気を失ってしまう状態で、宮司は血を吐きながら茜の名を声を精一杯大きくして呼ぶ。何時もなら少しの間も置かずに返事を返す茜は、鬼の巨体を地にねじ伏せ、その血の匂いに陶酔しきっていた。


 宮司の記憶にある嫋やか(たおやか)に伸びていた肢体は、鬼の血に汚れながら黒い巨体をいとも容易く地に縫い付ける物となり、宮司の前で月夜に艶めいていた白皙の躯は、薄く赤みを帯びながらも月光を内に秘めたように白い被毛に覆われている。宮司が愛でた兎のように赤く、慈悲に満ちた双眸は今は慈悲の代わりに獰猛な光を宿していた。


 犬神の姿に変わった茜は息の根を止めた鬼の頸に噛み付いたまま、その眼に、血を吐きながら茜の名を呼ぶ宮司を捉える。その紅い眼に宮司が見知った色は一欠片も見出すことが出来なかった。宮司のなかに絶望と、なにより物の怪への畏怖が湧き起こる。宮司は湧き起こる感情から目を背けるように声を精一杯張り上げて茜を呼んだ。


「茜っ! あかねっ! 我を見失うなっ! 俺の許から離れるなっ!!」


 宮司はまさしく血を吐きながらの茜に叫んだ。それまで鬼の頸に噛み付いていた犬神が宮司を意識し始める。

 黒い塊から牙を離して、犬神はその獰猛な光を宿した眼を宮司に向ける。その眼光は敵意を含んだ威嚇そのもので、宮司の本能がその鋭さに逃げろっと叫んだ。宮司の理性も最早目の前の物の怪は茜ではないのだと訴える。しかし、宮司は己の本能も、理性も無視して目の前の存在と向き直った。


 茜は目の前の物の怪に存在を喰われたのかもしれない。そう考えながら、宮司は立ち上がれない体を引き摺って犬神に近づく。宮司の行動に、恐れる筈はないのに犬神は怯んだ。犬神は黒い塊を置き去りにして宮司から距離を取ろうする。

 宮司が犬神の姿になってもなお、そこに茜が居ると信じて疑わない体てまた犬神に向かう。鋭い牙を宮司に見せ付け、吠えて犬神は宮司を意思を挫こうとした。しかし、宮司は止まらない。二人の間に横たわる距離を確実に縮めた。

 じわり、じわりっと己の意思を貫いて前に進む宮司。その姿に犬神の紅い眼に一瞬宮司の知ったものが走った。



 宮司は辛うじて動く左腕で体を引き摺る。体から流れ出した自らの血で足跡を作る姿は、傍目から見れば動いているだけで驚愕する。しかし、宮司の顔には痛みに苦悩する色はない。代わりに犬神にほくそ笑めば、人は宮司が壊れたと哀れむか、宮司こそ物の怪であったと叫ぶのだろう。

 宮司はまた大きな声で茜を呼びながら体を引き摺る。しかし、その動きに一切の迷いは見えない。痛みに呻くどころか、その顔は勝ち誇ったように犬神を見据えていた。


「茜っ! あかねっ! そこに居ることを俺は知っているぞっ! お前は俺に隠し事は出来ないっ! お前は私の前から姿を消してしまったことを恥じているっ! 私に怒られると恐れているっ!」


 本来は動くことさえ出来ない体で叫び続けた宮司も途中で息が続かなくなる。荒い息をして動きが一度止まった。その隙に、ひるんでいた犬神は宮司から逃げだそうと後ろの足を引こうとした。しかし、犬神の足は思うように動かない。はっとしたように犬神が動かない後ろ足に眼を向ければ、幼馴染みがその足にしがみついて居た。幼馴染みも宮司と同じように犬神相手にほくそ笑む。


「茜っ! あかねっ! 俺から逃げるなんて許さないっ! 私は知っていた。茜がいつも自分に怯えていたことに、いつもその赤い眼に俺達への罪悪感を宿していたことを!」


 もう一度宮司は息をつく。今度は贖いの言葉で宮司は茜に許しを求めながら、あと少しの距離を縮める。


「俺は知っていた。茜が物の怪の子であることを。そのことを茜が思い悩んでいることを……私は茜に隠し事をさえれたのが嫌だった。腹が立った。だから、本当は私から茜を受け入れてやらねばいけなかったのに、私は意地悪をして黙っていた」


 遂に犬神の元に辿り着いた宮司は片腕を犬神の首に回した。力尽きたように犬神の被毛に覆われた体に身を沈めて、宮司は残りの言葉を犬神の三角の耳にそっと届ける。


「お前はその姿になっても俺に罪悪感を宿した眼を向ける。そんな必要はないんだ……お願いだ。俺の許に戻ってくるんだ茜。そして、俺に謝らせて欲しい」


 重くなる目蓋、陰る視界。指先さえ満足に動かせなくなった宮司は意識が続いた最後に茜をまた呼んだ。ぴんっと張った命綱が切れたように宮司の意識は闇の中に落ちていく。でも……


 ああ、この闇はなぜだろう? とても温かい……




 大切な人の、失われた血と熱を代わりに補うように、茜は華奢に戻った両腕で、今の力一杯で宮司を抱きしめる。

 この人を失いたくない。茜のその一心は、茜のなかに棲まう物の怪の力を波立たせた。


 眼を閉じて茜は宮司を抱きしめ続ける。その茜の肩にそっと気遣うように何かが被せられる。茜はまだふわついて地に足が付いていない気持ちのまま、茜は振り向く。そこにはふんどし姿の幼馴染みが、茜の肩に自分のぼろ切れ同然になった着物を掛けてくれていた。

 茜は幼馴染みに何か言わなければいけないと掛ける言葉を探す。けれども、言葉を探せば探すほど、自分が口にするのは滑稽な気がして言葉に出来なかった。そんな茜に、幼馴染みはぽんっと無事な方の手で茜の頭を少しい乱暴に茜が感じるほどぐしゃぐしゃと掻き回した。


「帰ってきたな」


 幼馴染みの短い言葉。それに茜は感極まって、うんうんっと頭を大きく振った。すると、それまで喉につかえて出てこなかった言葉が、茜の口から渾々と溢れて出来来たのだった。


「私……っ! ――」


 一頻り自分の言葉を言い募ることが出来た茜は気を失ったままの宮司を抱きしめた。自分の気持ちを吐き出すと、やっと頭が働くようになってくる。ふと気になって、自分の周りに眼を向けた茜は初めて気が付いた。

 自分達の周りを、村の見知った顔や、祭事の手伝いに来ている隣村の人が取り囲んでいることを。


 茜を取り囲む人の顔にはそれぞれ三者三様の表情が浮かんでいた。

 ある者は茜達を気遣うような表情を、またある者は畏怖の念を顕わにしていた。しかし、その場に居合わせていた者は皆一様に茜から距離を取っている。


 ああ、皆で見ていたのか……私の本当の姿を……


 茜は自分達を取り囲む人垣を一往に目に入れる。それから茜は、数多の視線から逃れるようと意識の無い宮司に顔を埋めた。しかし、顔を埋めた宮司からは、人の姿に戻った茜でも分かるほど、死の香りが強烈に感じられた。


 このままでは宮司が死んでしまうと悟った茜。

 茜は周りの人間に物の怪だと罵られることを恐れていた。本当ならこのまま顔を上げずに逃げ出してしまいたかった。しかし、茜の腕の中にいる宮司を助けるために、茜は目の前の恐怖から逃げるわけには行かなかったのだ。


 埋めていた顔を茜は上げる。茜は唯一後ろで茜と意識無い宮司を気遣うようにしていた幼馴染みに声を掛けた。離したくないと思いながら、自らの腕に抱いていた宮司を幼馴染みに預けた。


 宮司を幼馴染みに預けた茜。力が上手く入らず頼りない自らの足を叱りつけて、茜はよろよろと立ち上がる。そこで初めて、茜は自分が幼馴染みが着せてくれた着物以外に何も身に付けていないことに気付いた。慌てて幼馴染みが着せてくれた着物の前を合わせる。


 喉がからからに渇いている。その渇きが喉の渇きなのか、それとも極度の緊張からせいなのか茜は判断がつかなかった。茜はごくりっと唾を呑み込んで喉の渇きを誤魔化した。疲労と恐怖で地面にくっついてしまった足を無理矢理前に動かして、宮司と幼馴染みから距離取る。茜は一人になった。



 足が笑う。どうしても笑ってしまう。一人ぽつねんっと立ち尽くした茜の華奢な足が、茜には大きすぎる着物の下でぶるぶると笑い続けた。


 怖いっ! こわいっ! 怖いっ!! 


 周りの人の視線が私の醜い部分を晒し出すではないか? 今は閉じられている彼らの口から何時私のことを罵る言葉が発せられるのだろう? 

 茜の頭の中でそんな考えがぐるぐると回り続ける。茜が本当に口にしたい言葉がなかなが表に出ず、代わりに小さな悲鳴だけが途切れ途切れに茜の小さな口から漏れた。


 このままでは駄目! 怖い、怖ろしいと逃げ続けていては駄目! 

 茜はきつく目を閉じると自分にそう言い聞かせる。耳を澄ませれば、自分の激しく鼓動する音に紛れて、宮司の弱々しい鼓動が茜には聞こえた気がした。


「助けてくださいっ!!」


 やっとその言葉が口から出ると、言葉と一緒に茜の目からぽたぽたと我慢していた物が止めどなく溢れ出した。言葉を重ねる度に茜の口から嗚咽が漏れた。


 震える足から遂に力が抜け落ちる。茜は宮司を助けて欲しいと懇願しながら、皆が取り囲むなか、一人へたり込んだ。そんな茜の姿にまず動いたのは茜に宮司を預けられた幼馴染みだった。

 幼馴染みは茜の代わりにぐったりと意識がない宮司の失血をしながら、大きな声で茜と同じように叫んだ。


「助けてくれっ! このままだとこの馬鹿が死んじまうっ!!」


 幼馴染みの助けを求める声。これにそれまで動くことを忘れていた、主に茜や宮司の知り合い達が、はっとしたように声を掛け合い動き始めた。


 涙で定まらない茜の視界の向こうで、村の皆が持つ灯りが急に動き始める。そして、茜の耳に宮司を助けようとする懸命な声が届いた。

 宮司を助けようとする皆の働きに、今まで恐怖を体現するように流れていた涙とは別に、種類の違う涙が茜の目許から流れた。


 ああ、これで私の大切な人は助かる……


 宮司の命が助かると思った途端に茜の頭にずんっと鈍い痛みが押し寄せてくる。茜は痛みに蹲った。

 ずんっ、ずんっ、ずんっっと頭を後ろから殴られたような痛み。茜は歯を食い縛ってその痛みに抗おうとした。


 ふっと頭痛に購おうと、視線を地面にばかり向けていた茜は自分の前に人が立ったことに気が付いた。のろのろと茜は頭を上げる。

 まず茜の目に入った物は松明のぎろりっと感じる灯りだった。その灯りはまるで物の怪の茜を焼いてしまおうとするように茜の目先に突き付けられている。一瞬だが茜の視界を奪った。

 頭の痛みと目の前に突き付けられた松明の炎に茜が呻き声を上げた。咄嗟に体を捻って茜は逃げようとする。すると茜は突然に何者かによって地面に組み敷かれたのだ。


 突然のことに茜は悲鳴を上げる。手足をばたつかせて抵抗したが、茜を組み伏せた男の怒鳴り声で動くなっ! っと凄まれて、茜はびくりと震え上がる。恐る恐る茜は自分を組み伏せた者を仰ぎ見た。

 見たこと無い人だっと茜は最初思った。それから、よくよく茜が思い出せば、茜を組み伏せていたのは隣村から祭事の手伝いに来ていら若い衆の一人だった。

 茜を組み伏せたその若い男は茜を親の仇のように睨み付ける。男は背後に居た、これも茜がよく知らない男達に茜を縛り付ける物を要求した。

 よく知らない男に組み伏せられた茜はこれから自分はどうなるのだろう? っと不安になる。ついさっきから続く頭痛も相まって吐き気を覚えた。しかし、口を押さえようにも男に自由を奪われ、手はびくとも動かない。茜は吐き気をどうにか我慢しようとするけれども、内から込み上げてくる物は容易く茜の口から溢れ出した。


「……許して……許してくだ、さい」


 一度戻してしまっても、まだ茜の気分はよくならない。けれども、茜は懸命に許しの言葉を吐き出して自分を組み伏せる男に懇願した。しかし、男は茜の言葉に一切耳を貸さない。茜をまるで汚い物を見るような蔑みの眼で見下ろしていた。


「この物の怪の娘っ! 化けの皮が剥がれたなっ! 息の根を止めてやるっ!」


 男の言葉に同調するように、周りからは今の言葉に近い言葉が茜に投げつけらる。茜はそれらの言葉が投げつけられる度、熱を奪われる気がした。

 これ以上は聞いていたくない。茜は耳を塞いで仕舞いたかった。しかし、茜から自由を奪う男には一分の隙もなかった。仕方が無く茜は耳を塞ぐ代わりに眼をきつく瞑って、目の前から逃げ出すことを試みる。


 若い男達の殺気に囲まれた茜は萎縮して眼を瞑ったまま小さく震える。その姿はさっき村の皆が見た怖ろしい犬神の影はどこに見出すことは出来ず、今の茜の姿は傷つき死に怯える小動物そのものだった。

 茜の震える姿に、茜をよく知る村の人が抗議の声を上げ始める。隣村から来た、茜を組み伏せる男を宥めて茜を助けよするけれども、男は激高して吠えた。


「お前達はこの物の怪を庇うのかっ! 今息の根を止めておかないと俺達は明日の朝にはこの腹に収まってしまうんだぞっ!!」


 茜を組み伏せる男は捲し立てる。いよいよその眼光を鋭い物にして茜の長い黒髪を無造作に掴んだ。そのまま容赦なく茜の頭を地面に叩き付ける。


 地面に顔を叩き付けられる度に茜の口からはくぐもった呻き声が漏れ出る。口の中に錆びた鉄の味が広がった。

 男の手で無造作に掴まれた長い黒髪が何本も切れて、茜に暴力を振るう男の手に残った。男の暴力に息も絶え絶えにぐったりと動かなくなった茜。茜を組み伏せている男はなおも油断ならぬっと眼を鋭くさせたまま、自分の要求を周りに催促した。


「この物の怪を縛る物をっ! 簡単に殺したりしてやるものかっ! 時間を掛けてっ……っ!」


 茜を組み伏せる男の声に応えるように近づく影が一つ。男は初めその影が茜を縛る物を持って来たと思ったようだ。しかし、影の主の顔を見て茜を組み伏せる男は一瞬で険しく顔を歪まる。男の雰囲気が怯んだ物になった。

 男の注意が自分から外れたと感じ取れた茜はうっすらと眼を開ける。自分を組み伏せる男の顔を盗み見て、なかなか思うように考えを巡らせてくれない頭で疑問を募らせた。

 どうしたのだろう? なんでこんなに険しい顔を? 茜が疑問を本格的に解こうとするよりも先に事は動いた。


 それまで茜にのし掛かっていた力が急に無くなった。それと同じように、うっすらとしか見えない茜の視界から男の姿が突然消え失せた。突然の事態の推移に混乱する茜。まさか自分が物の怪の力で男を消し去ってしまったのでは……っと一瞬疑心暗鬼になったしまった。けれども、男の姿が消えた後に続いて聞こえた声に、茜は思わず安堵の息を付いたのだった。


「いててっ……」


 突然現れたと茜が思った影の持ち主は、茜を組み伏せていた男をおざなりに止血した片腕で思い切りよく殴り飛ばした。殴り飛ばした後で、場違いな程明るい声を上げて茜の視界に入って来た。

 最低限の手当こそした体。そこかしこに血糊をべっとりと付けた褌姿。今、男を殴り飛ばした腕にはおざなりに布が巻かれていていた。布は真っ赤に染まっている。

 幼馴染みが茜を守るように仁王立ちをすると、幼馴染みの行動にそれまで茜を物の怪と敵視していた人間はひるんだように一歩距離を取った。茜を組み伏せていた男を除いて。


 幼馴染みに殴り飛ばされた男は、すっくと立ち上がると暫くの間は無言で幼馴染みを睨み付ける。その眼の鋭さはまるで太刀の切っ先のように鋭かった。

 いよいよ意識を保って居られなくなった茜の耳に、男の感情を抑圧した声が辛うじて届いた。


「お前、何故この物の怪を助けるっ! お前の親も、俺の親と一緒に物の怪に喰い殺されたではないかっ!」


 男の詰問きつもんの声。茜はその声を聞いて、何故この男がこうまで茜のことを、物の怪を猛烈に憎むのか茜は分かった気がした。そして、男が幼馴染みのことをよく知っていることも茜は気が付く。

 幼馴染みはその丈夫な体と強面な顔にそぐわない気さくな人柄で、村の中だけでなく隣村でも度々頼りにされていたことを茜は知っている。男は幼馴染みが隣村に手伝いに行った時、知り合ったのだろうと茜には思えた。


 茜の耳がどんどん遠くなっていく。静かになっていく錯覚に陥りながら、茜は必死に音を、隣村の男と幼馴染みとのやり取りに耳を傾けた。自分の所為で幼馴染みの立場が危うくなってしまわないだろうか? 幼馴染みの身が茜は心配だった。

 隣村の男は怒りを滲ませた声で幼馴染みに言葉を投げつける。


「お前っ! まさかその物の怪を助けると言うのかっ! 親の敵である物の怪っ!」


 そこまで言葉を投げた男は、一度言葉を切るとますます息を荒くして幼馴染みに言葉を投げつける。


「もしやお前っ! その物の怪の娘に、心を奪われて居るのではなかろうなっ!」


 男の詰問に、もう殆ど顔すら見ることも出来なくなるほど弱った茜の耳にも容易く分かるほど、幼馴染みは大きな声で笑い、詰問に答えた。


「はははっ! 女を好いて何が悪いんだっ?」


 茜が意識を途切れる間際に聞いた「裏切り者めっ!!」っと言う憎悪に満ちた叫び。茜はもう嫌だっと、人が傷つき死ぬのは見たくないと強く思った。しかし、茜にはもうどうすることも出来ない。茜は深くて、暗い場所に沈んでいったのだった。



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